元応援団長オヤジの勇姿 学ラン姿で脳みそ弄られ完全敗北 (Pixiv Fanbox)
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遅くなりましたが新年最初の投稿です……!
かつての自分の作品の雰囲気や洗脳の描写を意識して、じっくり書き上げてみました。
「ついたぞ」
車から出た俺は片手でドアを閉めながら、もう片方の手でスマートフォンに語りかけた。
『センパイの目から見て、どうですか』
「俺の時代は――なんてオヤジ臭えことは言いたかないが、しかしこれはいただけねえ。見事に腐れてやがる」
かつて通った学校。記憶に刻み込まれた校門とグラウンドは変わりはなくそこにあった。懐かしい光景だ。だからこそ俺はそれらを踏みつけるいい加減に踏みつける男たちに腹が煮えていた。
時刻は朝。鳴っているのは授業開始の本鈴だ。
本来ならば生徒も教師も教室の中に収まって、勉学に精を出し始める時間だ。
だというのに、俺のすぐ横を学ラン姿の生徒たちが通り過ぎていく。焦る様子はまるでない。それどころか、ダラダラとくっちゃべりながらカバン片手に笑って歩いている始末だ。
「聞いていた以上だな、腑抜けてやがる」
『センパイが現役の時代も、相当に荒れてたって話じゃないですか』
「だからこそだ。フケるでもねえ、真剣でもねえ、半端な男ってもんが一番どうしょうもねえ」
俺の声が聞こえたのだろう。先ほど通り過ぎた生徒が二人ほど振り返った。いかにも喧嘩腰な顔だ。それこそ睨みつけるような表情だ。だがその顔はすぐに引き攣り、首がぐるりと元の角度に戻った。
特段に俺が凄んだわけではない。この俺……八島堅蔵が生徒相手に拳や脅しを使うなどあっては、かつて真っ当な道を示してくれた恩師に顔向けができん。
ただ俺は堂々と突っ立っていただけだ。男らしく仁王立ち。この鍛え抜いた厳つさ、纏う男気。決意の差。すっかりオヤジになった顔と、現役時代より太くデカくなったガタイ。それが合わさって、不良未満の学生の意気などへし折れたのだろう。
「悪いが徹底的に『指導』させてもらうぞ」
『はい、良い知らせを待ってますよ、八島センパイ』
俺は肩を怒らせ全身の筋肉に力を入れると、かつて世話になった母校の正門をくぐった。
この学校を腐らせている元凶。生徒会長様とやらにひとつ挨拶をしにいかなくてはならない。……学校のすべてを牛耳る生徒会長。ここに至って尚、現実味を感じない話だ。そのうえ……
「脳を弄る……ねえ。にわかには信じがたい話だ」
恩師の頼みや言葉を疑いたくはないが、それでも納得し難い話には違いなかった。
生徒会長とやらが使う奇っ怪な話術に、学校も生徒も教師も狂わされているのだという。
…………。
まあ真実は、手を焼いている生徒のことを正直に伝えられない腑抜けた教師が、妙な話に仕立て上げているとかそこらへんだろう。嘆かわしいもんだ。
だが俺は違う。
自分のメンツや体裁、そんなものより大事なもんがあるってことを知っている。俺はまさにこの学校でそれを教わったのだ。どうしようもない不良だった俺に、恩師はまっすぐぶつかってくれた。
「今度は俺の番だ。まっすぐぶつかってやる」
まさにその言葉通り俺の歩はまっすぐ校舎に向かっていった。
「こんなもん、だったか……」
久しぶりの母校の空気は、懐かしさと違和感が入り混じった複雑なものだった。
当時から背丈自体は変わっていないのだから、目に見えるものの大きさは違っていない筈なのだが、やはり一般社会基準よりも小さくまとまった下駄箱や廊下は異世界に入り込んだような違和感があった。
土と埃と汗が混じった香りは、たしかに当時の記憶…………応援団長として駆け抜けた青春を感じさせる。だがそれに混じって明らかにおかしな青臭さが鼻の穴を突くようにして漂っていた。
「臭えな……どうなってやがる」
思春期真っ只中の男だらけだから、という言葉程度では到底納得できない、生臭い、青臭い、雄臭い、不快な酸っぱい臭いが充満していた。まるでゴミ箱の中に鼻を突っ込んだような糸引くような臭いだ。
掃除が行き届いていない、そんな理由じゃとても納得できないような、染み付いたような匂いだ。
「なにがどうなってやがる」
『今の生徒会長の方針だそうです』
「方針、こんなもんがか」
『より自由に、より楽しく、より生徒の自主性を……まあそんなもんです。みんなヤりたいときにヤりたいことをすればいいって』
「自由と適当を吐き違えてがやる。そんなもんがまかり通っているのは、教師や大人の責任だな」
『そんなふうに変えられちまってるんです、この学校は』
「………生徒会長とやらの力で、か? ったく、どこまで本気にしたもんか」
俺は靴を脱ぎながら決意を新たにした。
いずれにせよ、向かうべき場所は生徒会室だ。
俺が現役の時代にはなかった部屋だが、どうも三階に用意させたのだという。
とことん学び舎ってもんを馬鹿にした話だ。
俺は匂いに顔をしかめながらズンズンと校舎の中を進んでいった。
すぐ目の前にある階段を上り、踊り場に出る。
懐かしい大鏡の前には、授業中だというのに三人の人影があった。不退転の決意でもって動いていたはずの脚はそこで止まった。
「なにを…………」
俺は唖然として呟いた。
本来教室に収まっているはずの生徒がただダラダラとしていることだけならば今更驚きはしない。問題はその中心。二人の生徒に挟まっているもう一人だ。
「ふぉお…………むぉお♥」
男はしっかりとネクタイを締めたベテランの教師だった。
髭を剃り、髪を整えていれば、厳つい顔の俺と違って随分とダンディな風貌だろう。そんな男が口で、手で、食らいつくように生徒たちの魔羅に奉仕していた。
「おいアンタ、何をしてやがる!」
思わず口から出た大声。だがそれにも返事はなく、代わりに教師に自分のナニをしゃぶらせている短髪の小僧が言った。
「ムリムリ、今俺のしゃぶるのに夢中だし」
「つか、誰? 新しいセンセ?」
そう言って生徒たちは振り返った。
その顔が俺の顔面を、そしてガタイを捉えた。校庭のときと同じで、やはりその顔が引きつった。だが間近で見るその表情は恐れや敬意というものではなく、なんとも形容しがたいものがあった。
「お前らも授業はどうした。学生の本分ってもんがあるだろうが。いや、違うな……一体何を考えてやがる」
「おっさんこそ、え、なに、どうした、何考えてんの?」
会話が噛み合っていない。
俺という異物に困惑するのはわからんではないが、……遥かOBにあたることは置いておいても、目上の人間に対する態度ではない。
「俺はお前ら学生がまっすぐ生きられるように、今日からこの学校に――」
「いやそういう話じゃなくってさ、その格好さ」
そう言って半笑いのまま、奴らは俺を指さした。そして今度は指先をすぐ後ろの姿見に持っていく。
格好? 俺は指で示されるままに、姿見に目を向けてやった。
今日に備えてしっかり角にまとめた短い黒髪。
学生にはとても真似できない男臭い口周りの髭。
太くつり上がった眉毛。
ガッチリと太く分厚い肩幅。
それを包む真っ黒い学ラン。
「………なんだ、この格好……は……」
そこで初めて俺は自分の格好に気がついた。
どうもこうもない。
学ランだ。
学生達が義務として着用する制服。
それもただの学ランではない。まっすぐ俺の体を包む特注サイズの長ランだ。ずっしりと分厚い布地を内側から、俺の胸板や腕や腹筋が押し上げているのが見える。完全に親父の顔面と体格をした男が、現役時代と全く同じ長ランを身にまとって学校の姿見に写っている。
反射的に鼻をひくつかせると、突然それまで感じなかった制服特有の匂いが込み上げてきた。
当時から老けた顔で、オヤジ臭いだのなんだの言われていたが……しかしそれと比べてもまるで違う仕上がりだ。
本物のオヤジ真っ只中である今の俺は、体型も顔立ちも男臭さもなにもかもが学ランからはみ出るように男臭かった。
「俺は……。なんだ。どうしてこの格好を………………いつから……」
首をギュッと引き締めるハイカラーの刺激。そこから立ち昇ってくるような男臭い汗の香り。普段遣いするようなものではないからか、どうしても香ってくる埃っぽさを含めて、古臭さとともに青春の記憶が蘇ってくる。
どうしようもねえ不良だった俺が、恩師の導きで団長を任されるまでになったあの頃の記憶。高校、大学と、これに捧げてきた。
「何でだ、俺は」
『センパイ、どうかしましたか』
コール音もなく、まるで真横にいるかのように電話から声がした。
「な、なんだおめえ、ずっと繋げてたのか、いつから……」
『センパイ、なんかビビってるんすか?』
挑発にも等しい言葉を突然投げられて、俺は怒りより先に困惑した。
『みんなセンパイの男気を頼って、この学校に呼んだんですよ? 誰にも負けない男気を見せつけてくれるって、そう信じていたんっすよ』
男気。
その言葉がすっと俺の鼓膜に、そして頭に入ってくるのがわかった。
その瞬間、全身がバネでも入れられたかのようにビインと跳ねた。
体が長ランに合わせるようにガチガチに強張りながら背筋が伸びる。
……信じている。誰にも負けない。頼って。
頭の中に次から次へと、言葉が流れ込んでくるのを感じた。
「お、俺……はっ…………」
『センパイはきっと今頃、一番男気を見せつける姿で戦っているんでしょうね。そんな自分を信じればいいんですよ、ねえ八島センパイ――』
俺は再び鏡を見た。
その通りだった。鏡の中の俺は、いかにも雄、男そのものだった。見ろこの格好を。これ以上に「男」を感じさせる姿があるか。ひん曲がったものを真っ直ぐにする。厳つい気迫をまとった男の中の男。
そうだ、俺はこいつの迫力でこいつらを正しい道に戻してやろうと、そう思って朝からこの格好をしてきたんだ……。
「そう、だった…………そうだ、俺ァ…………」
頭の中にぽっかり空いていた記憶が、綺麗に埋まっていくのを感じた。
そうだ、思い出してきた。今ならわかる、なぜこんな格好……いや、この姿を選んだのかが。
『センパイの姿が通用しないことなんてないっすよ』
「ああ、そうだ、その通り……だ……」
『もっと見せつけてやってくださいよ』
「ああ、俺は……見せつける……」
『もっと、もっと、もっと男……漢を見せつけてやればいいんですよ』
「もっと…………だと?」
「そう、もっと、です」
もっと。
もっと。
もっと見せつけてやれ。
その言葉は声の中でも、際立って俺の鼓膜と頭に突き刺さった。差し込まれた傷が痛むように、俺の頭で何度も何度も声が繰り返される。
もっと、もっと。
しかし、それをどうすればいいかがわからない。
今の俺の姿は上限に達している。どうすりゃいいんだ、もっとって…………これ以上ってのは…………。
俺は答えを求めるように、フラフラと不確かな足取りで鏡に近づいた。
鏡には今も犯されている教師と、それを楽しむ生徒が見える。そんな姿には目もくれず、ただじっと自分自身をにらみつけた。
学ランを着込んだオヤジの全身がよく見える。男臭い喉仏が上下し、汗が滲み、角刈り頭が朝の日差しを斜めに受けて白く輝いている。
「もっと…………俺ぁ…………もっと…………」
俺は腕を組んで顔をぐっと持ち上げた。
オヤジのツラがますます強調されて、姿だけでむせ返りそうな雄っけが出てくる。
『もっと』
「もっと…………」
『もっとだ』
「も……もっと、だ…………」
俺は気がつけばブツブツと呟いていた。鏡に映る俺の顔面がどんどん赤くなり、興奮したオヤジのソレになっていく。巨大な姿見の端にはそんな俺を見て笑っている男たちが写っていた。
舐められるな。もっとだ。我慢するな。俺をさらけ出せ。漢を見せろ。恩に報いるべきだ。規律を正せ。雄だ。雄。雄。もっと。もっと雄。押忍。押忍…………。
鏡に写った俺が、まっすぐに俺に手を伸ばす。
そこだ、わかるだろ、本当はわかってんだろ。
頭の中の声が大きくなり続ける。止まらねえ。止まらねえ。男らしく胸板の前で組んでいた俺の手が、ゆっくりと下っていく。長ラン越しに俺のガタイを撫でて、ボタンを一つ一つ下っていく。下に、下に。
「ま、待て……そいつは確かに、雄…………だが、そんな格好許されねえ、だめだ、待て……」
『「なんだ、ビビってるのか」』
鏡の中の俺が、そして電話からの声がダブって聞こえた。
俺は鏡を見返した。
そこにいる学ラン姿のガタイのでかいオヤジが、真剣な目で俺を睨んでいやがった。
もっと雄を見せつけて、半端もの達を真っ直ぐにしてやろうって言ったじゃねえか。恩師に報いるって誓ったじゃねえか。あれは口だけだったのか。
…………そんなわけねえ、俺は、俺は真剣だ。
この八島堅蔵がそんな半端なことをするわけがねえ。
だがこれは違うんじゃないのか。俺は何をしようとしているんだ。
『見せろよ、お前を……雄そのものをかましてやれよ』
う…………ぉおっ、俺の、雄を、か。
『そうだ、雄だ。負けるんじゃねえ。お前は八島堅蔵だろ。こんな年下のガキ共に負けていいのか』
そんなわけがねえ。俺は……俺は……。
頭の中の語らいが終わることなく俺を飲み込んでくる。
自分自身との問答は、答えるのも尋ねるのも俺の声だ。右から左、手前から奥、声が四方から聞こえて頭の中でぐわんぐわんと反響する。
どうなってやがる。何が起きてるんだ。目が回りそうだ。汗が止まらねえ。
おかしくなる。おかしくなっちまう。
頭だけじゃねえ、俺のガタイも、腕も、妙なことをしそうになってくる。
手が動いていた。
脚が開いていた。
長ランの中に手を突っ込む。
ベルトの下。
ぶっとい下半身の中をまさぐる。
下から上へ、上から下へ、アレを探るように手が動く。
待て。
声は出なかった。
しかし口が開く。
待て。
「待て! お前ら……! 来い、そして見ろ!」
姿見の中の俺が叫んだ。
いや、所詮鏡なのだから、叫んでいるのは俺自身だ。だがそんな間抜けな勘違いをするほどに、鏡の俺はこの俺八島の意志を無視して叫んだ。
「見ろって、なにを?」
一人が近づいてくる。
俺の心臓が跳ね上がった。
待て。来るな。見るな。やめろ。
学ランの中の筋肉が緊張と羞恥で燃え上がる。そんな俺を見て、鏡の俺が笑った。
得意げに。見せつけるように。そして『俺』は後ろ手に手を組み、胸を張った。堂々とした仁王立ち。
「俺はこの学校OBの八島だッ! 今日はお前らのいい加減で腐った態度を指導するためにやってきたッ!」
耳目を集める大声だった。
それは踊り場に留まらず、二階と一階にいた生徒たちを呼び寄せた。
身動きができない俺を取り囲むように集まってくる。
「お前らそんな軟弱な教師を一方的に相手するような、卑怯な真似するんじゃねえ!」
挑発的な言葉にさらに大勢の生徒が集まってくる。
生意気盛りの小僧どもが。
まだ社会も知らない若造達が。
男の矜持もわかっていないような生徒連中が。
物見遊山まるだしの顔で集まってきた。
鏡の俺が笑った。
やめろ。
やめろ。
それだけは――。
「見ろ、こ、これが……この俺……八島堅蔵のぉぉ男だぁぁあッ!」
『俺』は叫ぶと、勢いよく振り返った。
それはかつて団長時代にやっていたような動きだった。ハチマキを締め、長ランを翻し、黒く鍛え上げた全身を見せつけるように腰を突き出す。
そして、俺は見せつけた。
長ランから一本、ズルリむき出しになった、イカ臭い一本槍。
男の象徴。チンポ。肉棒。デカマラ。
「どうだああ、見ろォぉぉ…………!!」
俺はそれを見せつけるように、天を仰いだ。
(な、なにをしちまってるんだ、俺はこんな、こんなッ……! う、おぉぉ……!)
俺の頭は完全に錯乱していた。
学ラン姿というだけでもどうかというのに、さらにチンポを剥き出しに姿は誰がどう見ても変態そのものだ。
俺の誇りである長ランに先走りが飛び散る。自分の鼻にまではっきりしっかり臭いが込み上げてきやがる。なんて格好だ。雄すぎてほとんど犯罪だ。いや、犯罪そのものの格好だ。何をしているんだ。俺ってやつはいったい。
「うわ、何っすかその格好!」
一瞬怯えた表情を見せた生徒が、俺のチンポを指さして笑った。
俺の口がまた独りでに開いた。
「俺がお前たちに正しい男の生きざまってもんを見せてやろうってんだ!」
「そうやって変態かますのが、男の生きざま?」
「ああそうだ、見ろ、この雄っぷりッ! これが正しい男のあり方だ! 押忍!」
意味不明の俺の主張に、当然のように若造達が笑う。
こんな歳の離れた半端な不良未満に笑われている。本来の俺にとって、耐え難い屈辱だ。
だがそんな状況に甘んじるどころか、俺はますますチンポを固く勃起させていた。
なぜだ。
どうしてだ。
行動もおかしければ、感情も狂ってやがる。
どうして…………気持ちいいんだ。
笑われるたび、見られるたび、全身に甘ったるい快感が走っちまう。口から垂れそうになるヨダレを啜る音がはっきり俺の耳に聞こえた。
膝が笑う。腰が揺れる。勃起が止まらん。先走りが溢れてくる。
「俺はお前たちに正しい漢を見せつける!」
「俺の一番の目標は、この学校を正すこと。俺の雄の迫力で戦うことだ! ソレ以外の全ては二の次だ。自分のメンツ、プライド、そんなものより、お前たちを正すことを俺は取る! その決意がこの姿だ!」
「かつて恩師が俺にしてくれたみてえに、俺はお前たちを見捨てねえぞ!!!」
俺は腰を突き出しながら、さらに片手でチンポを扱き出した。
口と体と脳とで、やってることとやりたいことがめちゃくちゃだ。
「見ろこの姿! どうだ、雄だろう! お前たちも俺のようにまっすぐ一本芯の通った男になれ!」
俺はそう言いながら、ガチガチに太くなったチンポを見せつけた。
「なーにいってんっすか、わっけわかんねえ」
「今はわからねえだろうが、そのうち、わかるときがくる……!」
かつて恩師から受け取った言葉を俺はそのまま自分の口で呟いた。こんな使い方をしたいわけがねえ。それなのに口が止まらねえ。チンポが止まらねえ。魔羅の気持ちよさが止まらねえ。
「うっわ、すげえツラでシコりだしたよ」
「変態の気持ちなんか一生わからねえって」
もっとやれ。
もっと晒せ。
雄になれ。
俺の脳みその中から、次々新しい命令が湧き上がってくる。
「な、なんと言われようと、俺は……や、やり遂げる、やってやるぞ……」
「あービビった、なんだ、ちゃーんと完全にキマってたのかよ」
「わかりづれえと困るよな、生徒会長に脳をイジられた男って結構見た目だけじゃわからねえし」
「今日新しく来る玩具ってこれで何人目だっけ」
生徒たちは俺を見上げて、口々に好き勝手なことを言っていた。間違いなく日本語のはずだっていうのに、どういうわけか俺はその言葉が理解できなかった。
生徒会長? イジられた? 何人目?
何を言ってやがる。
俺はそんなことされちゃいねえ。
俺は、俺は…………その生徒会長とやらをとっちめに来たんだ。玩具にされている学校を救いに来たんだ。そんな男、顔も声も知りゃしねえ。
そんな俺が、脳みそを弄られているわけがねえ。
「いいから俺を案内しろ、その、生徒会長とやらのところに、俺を連れてけ、連れてけッ!」
「あーはいはい、玩具にされてえんだよなオッサン」
「お、俺がその生徒会長に、男の生きざまを見せつけてやろうってんだ」
生徒たちは顔を見合わせて、クスクスと笑いながら俺の背に手を回した。
そのまま俺はまるで連行されるように、階段を登っていった。
『センパイ、頑張ってください。センパイしか頼れるひとはいないんです』
『センパイ、今どこらへんですか、ちゃんと向かってくれてますか?』
ああ、向かっている。
大丈夫だ。
進んでいる。
俺は電話相手に乾いた返事を繰り返しながら、おぼつかない足取りで進んでいた。
かつてこの学校内を堂々と闊歩したものだ。
不良時代は猫背になって威嚇するように。
団長時代は一転、見守るように胸を張って。
そして今。
俺は学ラン姿で、チンポを扱きながらフラフラ情けない足取りで進んでいた。
想像はしていたが、廊下にも生徒たちが蔓延っていた。
携帯ゲーム。オナホール。教師。オヤジ。
奴ら曰く『玩具』で遊んでいやがる奴らが教室から溢れている。
そんないかれた男たちだ、本当の学生たちに混じって学ランを着込んだオヤジが闊歩しているところを見て、当然のように笑って近づいてくるものばかりだった。
「オッサンなんでそんな格好視点の?」
「これが……一番男らしい姿だからだ……!」
「なあケツの経験ってある? どんくらいある?」
「一度もねえ、俺のケツはそんなもの…………のためにあるんじゃねえ!」
「なあなあチンポ気持ちいい?」
「ああ、あ…………あたまが…………イカれそうになるくらい気持ちいい……!」
窓に映る俺はどんなふざけた質問にも真っ正直に答えちまう。
その度に頭の奥が恥ずかしさと気持ちよさでどうにかなりそうだった。
『センパイ、もっと堂々と答えてください』
『センパイ、いや、団長……誰にも負けないでください』
電話からの声は今も聞こえている。
ただ答えるだけじゃな足りねえ。もっと、もっとだと声は言っていた。
俺はこの声の……そう、応援に応えるように振る舞っていた。
「チンポ、チンポ扱くと…………学ラン姿でチンポ扱くと、たまんねえ気持ちいいぞ、この団長八島のオヤジチンポがビンビンだッ、押忍ッ!!」
上半身だけ見れば、凛々しい角刈りの屈強なオヤジだ。
だが少し視線を下に向ければ違う。
俺はチンポ丸出しの変態長ラン姿で、下半身はいいように年下の小僧共に弄られている。
「あっ…………くっ…………ふぅううッッ…………!」
俺は絶えず自分自身でもチンポを扱きながら歩いていた。今にも崩れ落ちそうになるのを必死に堪えているせいで、腰も脚も度々止まっちまう。そう広くないはずの校舎が、遥か広大な砂漠のようだ。
そうして足が止まるたびに、周囲からクスクスと笑いが上がる。
「ぬぅ…………俺はこんな……ま、負けねえ、負けねえぞッ……! この俺の、団長八島の誇りにかけ――てぇぇ……ッ!」
そう言いながら踏ん張る姿も、今じゃ必死に射精を我慢しているだけだ。それがまた滑稽に写ったのか、一人が俺をカメラに収めながら爆笑していた。
「ぬぉ…………♥」
その瞬間、俺はついに堪えきれず小さな射精をしてしまった。
必死に抑えたからだろう、精液は量は出なかった。だが込み上げた独特の匂いは誤魔化しようなどなく、近くにいた者から順に「くっせえ!」「うわ出したぞ!」「情けねえ!」と嘲られた。
それでまた俺は気持ちよくなっていた。
そう感じるように頭が勝手に働いていた。
『団長、その姿のままもっともっと見せつけてやってください』
『団長…………自分で出した雄汁の臭い嗅いでみてください』
応援の声はより激しくなる。
笑い声はどんどん増えていく。
俺の頭はどんどんグチョグチョに弄られていく。
「はやく、早く生徒会長に、会わせろ、あ、会わせろぉぉ…………!」
俺は笑われながら、最後の希望とばかりにその言葉を繰り返していた。
三階にある生徒会室まであと少し。
廊下を渡りきると、一階から二階に登ったのとは別側の階段にたどり着いた。
そこにあった姿見を俺は見た。
角刈り頭の髭面のオヤジが、学ランを見せつけるように股を開いてチンポを扱いていた。
存在そのものが応援団を侮辱しているような姿だ。
かつての俺が見れば激昂し、拳と気迫に訴えかけたに違いない姿だった。
俺はそんな自分にぶっかけるように、二度目の射精をした。
生徒会室。そんなものは正確には存在しなかった。
あったのは取ってつけたような張り紙で『生徒会室』と上書きされていた校長室だった。
生徒たちが乱暴に扱う学校の備品とは桁違いに金も手入れも必要な物に囲まれた部屋の中、そいつはいた。
『団長、到着しましたか?』
木製のテーブルに我が物顔で腰掛けた若造が、ニヤついた顔でそこにいた。手に持ったスマートフォンに頬をつけ、人差し指でその背をトントンと叩いてやがった。
『「おつかれさまです、八島団長」』
二重に聞こえてくる声は、今日一日中聞いていた声に違いなかった。
「てめえが…………この学校をおかしくしやがった。生徒会長……かっ」
「あ、団長にとっては初めましてになるんっすかね、自己紹介するの面倒なんで…………はい、まあなんっつうか、そろそろ思い出してもらっていいっすよ」
そういってやつはスマートフォンを操作すると、俺の携帯から奇っ怪な音が聞こえてきた。
「んぎぃ…………ぎぃいい!?」
俺は歯をむき出しにして天井を見上げた。
快感でする仰け反りとはまた違う。頭が音と声で直接ほじくられるような違和感と異物感。
「お、おおおおおお、俺、俺は、俺は、俺は俺は……!!」
記憶が次々と鮮明になってくる。
封をしてきた屈辱や怒りが蘇る。
そうだ。
この学校に入る前から。
今朝この番号の着信を受けたときから――俺は…………俺は…………。
「ハァ…………カハッ……ァ……!」
「それで、俺たちを……っていうか、俺をどうするつもりっすかね」
音が止むと気がつけば俺は四つん這いになっていた。
全身が汗だくだ。ただでさえピチピチになっている長ランの中が、天然のサウナのように熱くなっている。
それでも屈してたまるかというように、俺は顔を見上げて正面を睨みつけた。
ようやくすべてを思い出していた。
眼の前の男、そして電話の主こそ、俺が最も忌むべき相手。倒すべき『生徒会長』とやらだ。
そんな俺を見下ろしながら、生徒会長様とやらは笑っていた。完全に勝利を確信したような表情だ。
「舐めるんじゃねえ、ここに、たどり着きえすりゃあ…………五分、五分の勝負だ――俺は、俺は、タイマンだったら、誰にも負けねえ。負けたことがねえ!」
「すっかり八島団長さんモードですね。ハハ、面倒でもちょっと手を凝らしてよかった。やっぱりそっちのほうが面白そうだ」
俺は負けねえ。
こんな相手殴りかかっちまえば一発だ。
…………もちろんそんなことはしねえ。恩師との誓いはやぶれねえ。
それに、俺を応援している後輩たちもそれは望んじゃいねえだろう。勝利に使う手段は一つ。そうだ、あいつが言ったように、俺の男気で打ち負かす。
完膚なきまでに男気を見せつけて、それで終いだ。解決だ。
「待ってろ、すぐに俺が――!?」
声が消えた。
息をするのも忘れた。
俺はソレに釘付けになっていた。
「男気、へえ…………」
目の前には、生徒会長とやらの汚え一物が突きつけられていた。ヤツが学ランのジッパーを下ろし、引っ張り出してきたのだ。
若いくせに生意気に黒ずんだ竿だ。力強く脈動し血管が浮き出ている。息をしているように上下している。むせ返るようなしつこい臭いがグングンとそこから立ち昇ってやがる。
「…………こんなものを舐めるなんて屈辱的ですよね」
他人事のように語る声が、俺のアタマを一撃で揺さぶった。
やめろ、耳を貸すな。心が叫んでいるが、体がまるで動かねえ。
「そんな屈辱に立ち向かえるような、男気のある人なんて、いないだろうなあ…………」
わざとらしい演技だ。
そんなものにのるわけがねえ。
俺は変態じゃねえ。
俺はホモでもねえ。
俺は八島。応援団長の八島堅蔵だ。
誰にも負けねえ男の中の男として、生き続けてきた男だ。
そんな俺がビビって逃げ出すと思ってやがるのだ。
油断のせいだろう。お笑い草もいいところだ。
俺は負けねえ。俺は引かねえ。俺は、俺はこのチンポから逃げたりしねえ……!
「ム――ン…………オォォ…………!」
初めてしゃぶる雄の魔羅の味は、吐き気と怒りを混ぜこんだような味がした。
塩っ辛さと苦味。生気のない食事とは違って、口の中で勝手に動きやがる。
犯される。俺の口が、舌が、この野郎に犯されている。
「あー結構悪くないっすね、唾液の量も多めだし、やっぱ口がでかい男ってのは尺奴隷にするってアリだな」
俺の角刈りアタマに手を置いて、目の前の男は満足げに笑った。
「こんなデケえケツしてるんだから、ソレじゃあ勿体ないっすよ、会長」
「わかってわかってるって」
連中はすっかり王様気分で油断している。俺がコイツを射精させるまで、せいぜい残り少ない王座を味わっているがいい。最後の味だ。この雄竿の味……俺が口いっぱいに頬張っているチンポの味。まずい。デカい。キツイ。それなのに舌が止まらねえ。
「おー上手上手」
生徒会長が俺の頭を撫でる。
アタマ――。
アタマに置かれた手。
まるでこの俺が、こんな息子ほど歳の離れた男の所有物になっちまったような屈辱。
なっちまったような…………?
違う。俺はまさに、この男の…………生徒会長様の所有物の学ランオヤジだ。
「!? ――な、何を考えてやがる、俺は、俺は………!」
「なに口止めてるんだよ、そんないい加減なことしていると、八島団長にはもうチンポやらねえぞ」
「ム――――ウゥう!」
その言葉を聞いた瞬間、俺のガタイは反射的に俺は再びチンポにしゃぶりついた。なぜだ。こんな最低野郎だぞ。チンポなんて最悪な味だ。それだってのに、俺は…………俺は!
「ようし、いい子っすねえ八島団長。さて……じゃあそろそろ、アンタも他の教師とかと同じくらいに、完成させちゃおうかな」
完成。
この俺が。
本能的な危機を感じて、俺はその瞬間、激しくチンポを扱き出した。
命の危機に瀕した雄が種汁を吐き出すというか、まさにソレに近い。チンポは勃起し、雄汁…………押忍汁が、応援団長の押忍汁が激しく溢れ出す。
やめろ、頭を撫でるな。
やめろ、屈辱に感じるな。
やめろ、俺を完成なんてさせるな。
俺……俺は…………。
感じちまう。だめだ、チンポが興奮して止まらねえ。
この俺が。
「もっともっといい感じの脳みそにしてあげるっすよ」
「射精直後って、一番頭がふわっふわしてて、弄りやすいんっすよ」
「とんでもねえ変態にしてやるよ」
敬語とタメ口が混ざりあったセリフだ。
射精。
今日すでに二度ぶっぱなしたチンポがグチュグチュすけべな音を出している。
今すぐ射精させてくれ。
やめろ射精なんかするんじゃねえ。
2つの声が叫んでいる。
ゾッと冷や汗が出た。
興奮で汗が止まらなかった。
口がニヤけて眉毛が歪んだ。
目の奥が恐怖で見開いた。
自分でもどんな顔面をしているのか分からねえ。
ただひとつ、わかる。
次の射精は、俺の人生最高の快感だ。
もうすでに長ランから飛び出したチンポはガッチガチだ。この男くせえ俺が、生徒会長様のおもちゃにされちまう。負けちまう。プライドもなにもかも踏みにじられる姿を晒しちまう。
この俺が。八島堅蔵が。
俺を慕ってきた後輩たち。
俺を導いてくれた恩師。
なによりこの俺自身をすべて裏切り、チンポから白い汁を出して最高に気持ちよくなってイキ狂ってヘロ顔晒して学ラン姿のままとんでもなく気持ちよくなっておかしくなって裏切って恩師もなにもかもぐちゃぐちゃで
「――それにしても会長。こんないいモン、どっから引っ張ってきたんっすか? これって教師とかじゃないですよね」
「コイツの世話してた教師いただろ、あのガタイのいい爺さん、あいつから他にもいい男はいないかって聞いたらまっさきに名前が出たんだよ」
………………
その瞬間、俺の脳は完全に停止した。
言葉が出なかった。
理解ができなかった。
あの
ガタイのいい 爺さん
……俺の脳裏に浮かんでいたのは、一人の尊敬する男の顔だった。
俺――俺は、俺の…………そんな、馬鹿な、嘘だ……俺は――――
あの人が俺を売った。
そんな事があるはずがない。
そんな天地が引っ繰り返るような。
俺も。
俺もそうなるのか。
そんな最低野郎に。この俺が。八島――ああ、団長八島が。
「あ…………あ…………俺ァ…………おれええ…………おれええ………………」
「ああ、やっべええ壊れちゃいそう。危ない危ない」
グラグラと揺れる俺の首ごと、角刈り髭面の俺のオヤジ顔面の生徒会長様が包み込んだ。
「イけよ、イッちまえ」
そして命じた。
拒否などできない。したいと思えない。
中毒患者が薬物を見せられたときのごとく、脳がヨダレを垂らし、歓喜し、食いつく最高の言葉。
イけ。
「――――――――押忍」
俺の口から完全服従の返事が出た。
その瞬間。
最後まで抵抗していた俺の脳の一部が、完全に変質するのがわかった。
「おぉぉ――――押忍ッ! 押忍ッ! 自分は脳みそイジられて完全に敗北し、完全に服従し、完成しちまいます、これより完成します押忍! 学ラン姿のまま丸出しにしたオヤジチンポから種汁出してかんぜ――おぉぉイグぅぅう押忍――押忍ッッ!!!!」
俺の口上の途中、生徒会長様の種汁が俺のオヤジ臭え顔面に吐き出された。
その瞬間に自分は射精をしました。
生徒会長様の種がついた俺は、生徒会長様の所有物。所有オヤジの一つになりました。
押忍。
「よし、完全にキマったツラになったな、どうだ、どんな気分だ」
「自分は――こんな男臭い長ラン姿で挑んで、それでも生徒会長様に完全に敗北しました、押忍。それはつまり、自分のすべてでもって挑んでも生徒会長様には敵わねえということです。押忍。八島堅蔵……元応援団長は…………生徒会長様に、完全に屈服いたします。押忍」
「どんな気分だって聞いたんだよ、オヤジくせえ口ではっきり答えろ」
「押忍。自分は――自分はッ!!!」
そうして自分は立ち上がりました。
応援団長よろしく、足を肩幅に開いて両手を高く左右に掲げました。
そして叫びました。
生徒会長様を称えるお言葉を。
自分の不甲斐なさを主張する言葉を。
ビンビンに勃起したオヤジチンポを見せつけながら、超欄姿で何度も何度も叫び射精し咆哮しました。
イジられた脳みそを振り絞って、言える限りの言葉を並べました。
こうして自分は完全にこの学校の支配下に置かれました。押忍。
この関係は今後どんなことがあろうと覆ることはありません。押忍。
生意気にもこの学校を守るだとか、男気を示すとイッてまいりましたが、生徒会長様の催眠の前ではまったく手も足も出ませんでした押忍。
これより自分、八島堅蔵は、名も知らねえ年下の生徒会長様の手となり足となり友人だろうと後輩だろうと恩師だろうと裏切って絶対服従、二四時間完全に支配されることを誓います。押忍。
押忍。
押忍――――
押忍…………………………