マンキニ洗脳される陸海空の豪傑達 完結編 降参マンキニパレード (Pixiv Fanbox)
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「そ、そんなもんは、無駄ッ、無駄ーーぬぉぉぉおおおおお♥♥」
猛々しい雄たけびが、工場の中に轟いた。
薄い鉄板ならば震わせるような、低く激しい咆哮だ。しかし、どれほど雄々しく猛々しい屈強な自衛官の叫びといえど、ただそれだけに力などない。全身に降りかかる精液から身を守る力など勿論ない。
「お お お おっ………!?」
洗脳されたマンキニ男たちの性欲と変態願望がたっぷりためこまれた濃厚な雄汁は、容赦なく里村の全身に降り掛かった。
「ほぉお……おほぉぉお♥」
鼻の穴が強制的に膨らんだ。イカ臭く粘っこい臭気が肺と脳へと吸い込まれた。
その刺激は、男であれば耐えられないものであった。
苦痛ではない。
理解してしまうのだ。
この濃度。臭い。味。ぬめり具合。
なんて素晴らしい雄汁。最大級の興奮と快感を味わわなければ決して到達できない濃厚な精液だ。
こんな射精をしたい。俺もしたい。
できるのか。あのマンキニというものを身につければ、この射精ができるのか。
マンキニで射精がしたい。
マンキニになりたい。
マンキニ。
マンキニ。
マンキニ♥
「へっへっへ、どうやぁ、無駄ちゅうのはお前の抵抗の方やぁ♥」
「さあ俺たちといっしょにマンキニになろうぅ♥」
二人は完全勝利を確信し、ニヤついた顔で筋肉を強調したマッスルポーズを見せつけている。
「男の忍耐なんてもんは、マンキニの前にはゴミも同然やからのおぉぉ♥」
「そのとおりぃ、このおマンキニ様の前では、どんな男でも適うわけないんだあ♥」
なんと皮肉なことだろうか。
彼らのだらしのない笑みはそれを自分自身で証明している。
昔気質の頑固職人だろうと、息子を愛する子煩悩パパであっても、正義を愛する警察官であっても、誰もマンキニには勝てなかった。
男であれば抗えない。男であるほど逃れられない。
欲望に呑み込まれ、快楽に溺れ、完全に新しい価値観のもとに生まれ変わってしまう。
そのはずだった。
「ぬ――――ぐぉおお、けしからぁァァん!!」
だが――
里村は猛々しく立ち上がった。
「ぬが!?」
「な、なにぃ!?」
「ハァハァ………、むぐ、むふ、無駄じゃあ!」
里村は不敵に笑うと、怒り心頭といった具合に怒鳴った。
すっくと立ち上がると、勇ましく
「その出来損ないの演技ッ、チンポから漏れとる先走り、ケツまでヒクヒクさせおって、まったくもってけしからんッ!!」
里村は怒りに震える顔で、右足をズイと踏み出した。
「そんなもんで……」
左足が右足から離れるようにドスンと床を穿った。
「い………い………いっぃ………」
両腕でしっかり抱えていた装置が、ガラクタのように放り投げられた。
自由になった腕が下に、下に、自分の股間に向かっていく。
そして――
「い、偉大なる魔王様のスパイが、そんなもんで務まると思っとるのかッぁぁあ♥ まったくぅうけしからぁんマンキニマンキニ♥♥」
里村の全身が輝くと、そこにあったのは緑色の迷彩柄のマンキニでコマネチポーズを繰り返す変態親父の姿だった。
その通り、こんなことは無駄だった。
里村コウゾウという男は、とうの昔に洗脳されて上級マンキニ戦闘員に改造されていたからだ。
それは今から数ヶ月前。三度目の決起集会の後のことだった。皆と別れ、一人になった里村をかつての同僚である自衛官達が襲いかかった。
「な、なにをするんじゃッ! やめっ、やめんか!」
なんてことはない、彼の決死の『忍耐』と『演技』は、陸自に見抜かれていたのだ。洗脳に抗った哀れな反乱分子として、里村はかつての仲間たちの手で入念な調整を与えられた
「ふぉぉお!? んごぉ、きもち――――あっ、そんなトコロを」
新たな洗脳マンキニを与えられ、催眠映像を見せられ、ちんぽとケツをマンキニ姿のまま刺激され、勃起した肉棒をマンキニからはみ出させられた。
「はひぃぃい♥ こ、これが本当のマンキニィ!?」
体に食い込ませて、マンキニポーズを取る。
コマネチを数回。
ダブルバイセップスポージングを数秒。
そしてチンポを振ること数回。
その頃には、里村の心は完全にマンキニの虜になっていた。
「はいぃぃ♥ わしらは愚かにもこんな素晴らしいマンキニに抗うためにぃいレジスタンスを結成しておりましたぁぁン♥」
そして、洗いざらい作戦のすべてを報告していた。
それこそ、この肉棒から垂れる先走り汁のようにとめどなくダラダラ、ダラダラと垂れ流した。
なんのことはない。
この数ヶ月の屈強な自衛官達が耐えて耐えて耐え続けていた日々は、すべて把握され、反乱分子のデータ収集のために使われていたに過ぎなかったのだ。
彼らにストレスを与え、目標を与え、どの程度洗脳に抵抗できるかを確認する。
勿論本当に牙が届くことなどない。そのために、潜伏している里村は逐一報告し、機器を狂わせていた。仲間たちの努力を無為にしながら、里村はそのたびにご褒美のマンキニポーズをこなして至福の時間を味わっていた。
「ふひッ♥ マンキニを脱ぐなんて、信じられない阿呆共じゃ」
さらには、警察官の角山が洗脳されたのも、里村が裏で手引をしていたからだ。
『ここで一人くらい犠牲者を出したほうが、雰囲気がピリッと引き締まってよいかとおもわれます、マンキニ♥』
などと言って彼を売ったからに過ぎない。
旧友を裏切り、正義を踏みにじり、努力を嘲笑う。
それになんの後悔もない。
それどころか、洗脳されていないフリということの苦痛しかなかった。
本当であれば一秒も余すことなく、朝から晩までマンキニを讃えて、筋肉を見せつける動きだけしていたいのに、それが許されないのだ。
しかしこれも、偉大なる支配者様の命令。
男の忍耐だなんだのと、洗脳されていない仲間たちはほざくのだが、そんなもの……このマンキニ我慢の忍耐に比べれば屁のようなものだ。
そうして過ごすこと数ヶ月。
他の二人も見事洗脳され、レジスタンスはこれで天晴全滅と至ったのだ。
「しかしおまえらぁ、わしの完璧な演技にちぃとも気づかんかったのぅ、阿呆みたいじゃ♥ ガッハッハ♥ このデータだって、この装置だって、ぜぇんぶとっくに昔に目の前のになんの意味ももたないようにされとったのに、すっかりわしを信頼して任せ切っとったのぅ♥ っちゅうわけじゃあ、お前ら悪いのぅ、我慢はぜーんぶ無駄、残念じゃったのぉおお♥♥」
「――ガッハッハ!! そりゃあ傑作やのぉッ! いつまでも抵抗しているわしらおマヌケ自衛官には相応しいおマヌケ末路やわ♥」
「ヌッハッハ! こいつは一本とられましたなああ里村先輩! さすが、無様っぷりも、間抜けっぷりも、この俺よりもずっと先をいかれているとは、この淀屋ヤマト、改めて感服であります♥」
三人はマンキニ姿で、涙があふれるほど豪快に笑いあった。人生を賭した戦いの結末が覆されたというのに、テレビ番組の悪趣味なドッキリが成功したかのように朗らかでしょうもない空気だ。
「ようし、ネタバラシもすんだし、さ、次じゃ次じゃ、ほうれでてこおぃ」
「ふひっ、マンキニ警官角山久作、参上ぅぅであります♥ 仲間に売られて見事洗脳ッ、ひと足お先に毎日毎日、元気に男汁を出しておりましたでありますぅ♥」
そうして、まさにドッキリ成功の効果音でも流れそうな様子で、物陰から警察官の角山が飛び出した。
「ワハハ、まさに大成功っちゅうことかぁ♥♥」
そのあまりの見事なタイミングに、四人はそれそれ大口を開けて笑いあった。
過ぎてしまえば、なんのことはない。今が幸せならば過去のことはどうでもいい。
爽やかなスポーツマンのように、男たちは晴れ晴れとした気持ちでマンキニ姿で腰に手を当てて笑っていた。
どうでもいい。マンキニを身に着けた屈強な男として、難しいことなど考えなくて良い。過去はすべて水に流そう。
それより大事なことは、四人の今後の未来を考えることだった。
――――――
「えーみなさまに大切なお知らせがありますっ」
「我々は愚かにも、偉大なるマンキニ魔王様に歯向かおうとした、レジスタンス、正義の味方気取りのアホ自衛官でありましたぁ」
「しかし、この白旗マンキニのとおり、みごとに全滅っ」
「ありがたいことに、このようなパレードを行う栄誉を授かりましたぁぁあ」
それは見事な「行進」だった。
分厚い胸板。広い肩幅。鍛え抜かれた大腿筋。全身これ筋肉といった姿の男たちが四人揃って低く雄々しい声で叫んでいる。
だが、それは勝利の凱旋などではない。
それは見事な、敗北の行進であった。
四人が腰を突き出すと、その股間に食い込んだ白いマンキニが太陽に輝いた。
それまで身に着けていたマッチョな印象の迷彩柄は消え失せて、あるのはただただ白一色。
その股間には一文字真っ赤な色で『降参』と書かれていた。
相手色に染まることを象徴している白旗、それと同じ意味をもつ真っ白なマンキニ。
先端からは勃起がこぼれ、汁が溢れ、マンキニにいやらしいシミが出来ていた。
「マンキニッ、マンキニッ♥ 作戦を練り、忍耐を重ね、歯向かおうとしても、その結末はこのとおりであります♥」
「マンキニ勃起、マンキニッ勃起♥ コソコソしたって、ええことなんかひとっつもないでえ♥ チンポがムズムズするだけやぁ♥」
「マンキニィィィィン♥ そうじゃそうじゃ、どうせ全部筒抜けじゃぞぉ、無駄な抵抗はやめるんじゃあ♥」
「マンキニチンポマンキにチンポ♥ さっさと諦めて降参しよう♥ さあ、キミたちも、怪しい人がイたらお父さんでもお隣さんでも、迷わず報告してあげよう♥」
どれほど我慢をしていたのか。
なんのために耐えていたのか。
熱い志をもっていたのか。
彼らは口々にそれを語り、その一つ一つを無駄だったと吐き捨てて笑った。
それはそれは幸せそうに。
「根性も努力も忍耐も、マンキニが気持ち良すぎて全部全部無駄マンキニマンキニ♥」
「ケツが食い込んだら、頭がパーになってまぅう♥」
「ほひぃ♥ 今となっては我慢していたことが信じられないぃ♥」
「すぐにぜーんぶどうでもよくなるから、なんも不安になることはないぞお♥」
この行進は、決して反逆者たちへの罰などではなかった。
だが、彼らを喜ばせるご褒美でもない。
これは、未だ隠れている他の反逆者たちへの忠告だった。
お前たちの未来はこうなのだ。だから早く一緒になろう。諦めよう。一つになろう。
これはいわば、男たち四人の人生を使った『宣伝』だった。
彼らは怯えているかもしれない。絶望し、牙をもがれ、降伏するかもしれない。
あるいは、もうこの街には一人のレジスタンスもいないかもしれない。
であれば、彼らはいもしない人間に対して意味のない勧告をしているだけの、無意味、不要な、筋肉を見せつける喧しいパレードをしているだけになる。
――しかし、そんな可能性の話など、四人のマンキニ男たちにわかるはずもなかった。
彼らがわかっているのは、ただこの降参マンキニがとても気持ちが良いこと。命令は絶対であること。それだけだ。
「はひぃい親友たちとお揃いマンキニは嬉しいなぁ♥」
「裏切っとったくせになぁにが親友や、このぉ」
「おほぉ♥ 堪忍じゃああ♥」
四人は長年愛し合った恋人のように男たちは口づけと喧嘩を交わして、どこまでも歩いて行く。
「ハァハァ♥ しかし怒る気持ちもわかないくらいきもちいぃい♥」
「こりゃあすごいぞお、ナニをされても許しちまう♥」
「これが世界平和♥ この国を、世界を守るっちゅうことかあ♥」
「つまりマンキニを皆で身につけるのが、最高の世界平和でありますぅ♥」
自衛官としての立場も剥奪され、怒りも忘れ、義務も忘れ、ただただ快感とチンポとマンキニだけに耽溺する。
あるのは今の幸福だけ。
過去の怒りもなければ、未来の希望も絶望もない。
ただあるのは今、この瞬間の射精だけ。
この快感の、今が永遠に続くのだ。
「「「「皆様もマンキニにかんっぺきに降参いたしましょうぅぅううう♥♥」」」」
四人は愛と平和とマンキニを全身に味わいながら、同時に白いマンキニの中に真っ白な精液を吐き出した。
すべてが白く、なにもかもが霞んで見える。馬鹿になっていく。
なにからも隠れる必要もなく、迷彩を身につける必要のなくなった男たちにとって、白はこのうえない幸福の証だった。
終わり