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それが何処からやってきたかなど、一介の大工である寺水ゴウには皆目見当がつかない。


その日は風も弱く一日天候には恵まれるのだと、朝飯を掻き込みながら見ていたテレビで語っていた。だというのに、曇天のような暗さが突然襲ってきたあの苛立ちをよく覚えている。

建築用の足場が取り囲むように立ち並ぶ骨組みのさらに上、屋根大工たちが声を上げるのが聞こえたときも、ゴウは太い二の腕を組みながらまだ腹を立てていた。

男がわあわあと声を荒げることは、彼の「男のびがく」というものに反していたからだ。危険な作業をするならば、腹を括って準備を整え、どっしり構えておくべきだと、説教の一つでもしつつ手助けしてやろうと空を見上げた。


ゴウは叫ぶことはなかった。だが言葉を失った。


それは、見たこともない巨大な飛行物体だった。

大工の目はひと目見ただけで材質や構造が未知のものだとわかった。

日本はおろか地球にあるどんな船にも似ていない。不格好なV字型の飛行船は通常の大きさであれば間抜けな印象だっただろうが、大きいというのはそれだけで様々な常識や価値観を覆す。

異物。

恐怖。

侵略。

そんな言葉が皆の頭に浮かんだ。それと同時に、船から人型の影がいくつも街に降り立ってきた。


ーーー。


悲鳴とどよめきがあがった。

その瞬間、ゴウは走り出した。

船は巨大だった。だが、それに相対するゴウもまた肉体も精神も大きな男だった。平時から恐れられたり、頼られたりしてきた男だった。そして、図体ばかりの男ではないことは、側にいる者であれば嫌でもわかるのが寺水ゴウという男だった。


「ぼさぼさしてんじゃねえ! 逃げるんや! こっちや! 壁にもたれて進むんや!」

粗野で単純、学もなく品もないが、しかし腕っぷしだけで大工の棟ゴウとして街中で評判になるまでに至った男は、その日の危機に際してもいち早く行動に移った。


ゴウはふざけた変態的格好の男たちを容赦なく殴りつけ、彼らの手に持っていた武器らしきものを取り上げ、号令をかけて大工たちを避難させた。


「阿呆どもが! ほれこっちや! がんがん来いや!」

無論しんがりは自らが務め、大工にだけではなく、目に写ったものは男も女も誰にでも命令した。本能のみの行動だが、しかしその腕前と早さは確かなもので、人々は口々に感謝を述べ逃げていった。


「ハァハァ……なんだか知ったことやないが、わしのシマで暴れて良いのはわしだけや!」

そうしてゴウも見事に戦い抜き、異変の初日はそうして終わった。ゴウはいつものように腕を組み、彼らの感謝を全身に浴びてフフンと得意げに鼻を鳴らした。


久しぶりの喧嘩の満足感と、誰かの役に立った充足感、奴らがなんだったのか、これからどうなるのか、そんなものを考える脳は持ち合わせていない単純な脳筋男のゴウは、むしろスッキリと眠れたくらいだった。いい気分だった。


翌朝、そうして逃した人々にマンキニを渡され、笑顔で強要されるまでは。




「おうゴウさん!」

「今日も精が出るねえ」

「よっ、男前!」


ゴウは商店街を進みながら、今日も彼らの称賛を受けていた。

だが、その表情は作り笑いが浮かび、ねじり鉢巻に隠れた額には青筋が浮かんでいた。


大工としてこの商店街を闊歩するのが好きだった。

大股で腕を振り、ど真ん中を風を切って歩くのが好きだった。

それが今はなんだ。彼は航空自衛官寺水ゴウとして、素っ裸以上にみっともないマンキニなるものを着用させられ、股間の膨らみを見せつけ、ケツの食い込みを見せつけ、ガニ股のままつま先だけを地面に擦らせて進んでいた。

これが滑稽でなく、なんだというのだという姿だ。

それを口々に褒められるのだから、たまったものではない。

「ンーーンンンッグゥ」

「おぉ~今日もいい食い込みっぷりだねえ、さすがはマンキニ自衛官さんだ」


そのうえ彼の身につけた白基調の迷彩マンキニには、両肩部分にそれぞれ間抜けなプロペラが取り付けられている。

巨大な三角筋を強調するように食い込んだそこがブルブルと回転している。そうして出来上がった謎の浮力により、ゴウはつま先だけをかろうじて地面につけた状態で中途半端に浮遊しつづけていた。


これが、今の寺水ゴウという男の仕事。

マンキニ航空パトロールだ。


脚から力を抜けば、即座にプラプラと下半身が揺れるような半端な浮遊感。

UFOゲームの商品のように、安物の悪趣味なキーホルダーのように、鍛え上げた自慢の肉体がぶら下がっている。

そのうえマンキニの食い込みが絶妙にこそばゆく、玉の裏をグニグニを押され、尻の奥を刺激し、竿にスリスリと擦れるのだ。

屈辱と思いながらも、雄の本能として常に半勃起状態にされてしまうのは仕方がないことだ。


(言い訳なんぞ男らしくないことしたないが、クソ……ホンマにけったいな衣装や……!)

元の職業も、立場も、彼個人の資質もなにもかも無視され、ただ逞しい肉体に食い込むマンキニを見せつけるだけの仕事。このマンキニの付属品のような扱いは、自衛官という職も、寺水ゴウという男も、どちらにも等しく侮辱すしている。


しかし、暴れるわけにはいかない。

もしそんな様子を見せたら、他の男たちのように『調整』されてしまう。そうなったらいっかんの終わりだ。この格好を喜んで息子にも自慢するような、頭のおかしい変質者にされてしまう。



「ぬ……うぅう……っ」


ゴウはせめてもの抵抗とばかりに腕を組み、胸を張り、ガニ股になりながらもふんぞり返って得意げに、なんとか威厳を保とうとしていた。

羞恥心が残っていることを悟られてはいけない。とはいえプライドを捨て去ってマンキニを強調する動作もできない。そんなゴウにとって、この姿勢が唯一の妥協点であった。


幸い逞しい腕を見せつけるようなこの格好は昔から常にしていたものであった。パトロール先も商店街や工事現場ばかりで、ゴウに対し好感をもっている者が多い。

今日に至るまで、彼がレジスタンス活動をしているとバレることはなかった。


そんな生活が数ヶ月。

ようやく全てが報われる日が目の前に迫っている。

海上自衛官のヤマト、陸上自衛官のコウゾウ、二人との協力により、ようやく解決の糸口が見えてきた。


「フンーーフゥーーッ」

ゴウは鼻息を荒く噴き出しながら、ジロジロと商店街を見つめていた。

あの壁も、あの屋根も、あの店も、自分たちが建ててやったものだ。こんな無様な格好を晒すために、この道を復興させたのではない。

必ずあの日々を取り戻してやると、寺水ゴウは歯を食いしばって決意した。


自分より随分と上等な頭を持つ二人だ、正直なところ作戦は任せきりだった。そのぶん決行当日の際には、思いっきりこの腕と脚を使ってやろう。

寺水は数カ月ぶりの誇らしい気分が分厚い胸板の中に込み上げるのを感じていた。



『ピンポンパンポーン』

「ーーン?」


商店街を四往復した頃、ちょうど正午になったその時にゴウが身につけたマンキニから妙なチャイムが鳴った。

様々なけったいな機能が盛り込まれた変態布切れだが、このようなことは始めてだった。

ゴウはそこでようやく今日の朝礼の際に、あの上官殿……上官殿と呼ばなければいけないあの小僧がなにか言っていたことを思い出した。

所詮変態共の世迷い言。洗脳された人間の言葉として、子半分程度にしか聞いていなかった。


「キミの働きぶりは素晴らしいね!」

「もっともっと上を目指せる人材だと思うから、そう進言しておいたよ」

「これでもっと航空自衛官らしい働きができるはずだよ」


おぼろげな記憶を、角刈り頭のなかの筋肉質な脳みそで思い出す。


「んぐぅ!? な、なんや、何が起こっとるんや!」

寺水は自らのマンキニ食い込みが、グッと強くなるのを感じた。

体を襲う奇妙な浮遊感。

見れば両肩のプロペラが今まで以上の光を放っている。


「ぬぁ……あぁ勝手に、浮き上がりよるっ!」

「おぉ~ゴウさんもついにかあ」

「これでこの街もますます安心だねえ」


ゴウの体が浮き上がっているのを、市民たちはニコニコと楽しげな花火でも見るように見上げていた。

彼らに助けを求めることなどもできず、ゴウはされるがままに青空に向かっていった。


(なんなんや、わしは……どうなとるんや!)

ゴウは動揺を悟られまいと、腕を組んだままぐんぐんと上昇していった。

二階建てを超え、屋根を超え、空に向かってぐんぐんと上昇していく。


(ハァ……ハァ……あ、アカン、なんやこれ、なんなんやこれはァ……!)


その感覚は、得も言われぬものだった。自分のような大男が、体重もなにもなくなったこのようにふわふわと浮かび上がっていく。それは己のどっしりとした思考と態度もまるごと、ぷかぷかと軽いものになっていくようだった。

思考が鈍くなっていくような感覚。そして快感だ。


「おぉお~~こりゃあ立派なもんだぁ」

「まるで守り神さんができたみたいだねえ」

「パパーおじさんすっごい飛んでるよー」

「ぬぅ!? ーーふぅゥッ……♪」


ふやけた頭に染み込むように、遥か下から称賛の声が聞こえてくる。それまで横から同じ視点で受けていたものとはまた違う響きだ。

足の裏からじわじわと全身を通り、脳天まで込み上げるように快感が響いてくる。


「お……♪」


超人のように空から人々を見下ろし、彼らの声を鍛え上げた肉体に受ける。

拍手をするもの、拝んだりする老人、指さして笑う子供。

視界に入っていた多くても10人程度だった人々が、数十倍に膨れ上がる。


「んごぉ♪ ーーーは、アカンーーな、なにやっとるんや!」

ゴウが叫んだのは、他ならぬ自分のイチモツにだった。マンキニに収まっていた自慢の巨根が、ムクムクと膨れ上がっている。

「アカンーーこのままやとっ、お、おお……おほぉッッ♥」

ついにゴウは、自らが嫌うやかましい叫び声を上げて、そのうえ首を子供の駄々のように振ってしまった。

情けないどころの騒ぎではない。とびきり惨めな負けた男のような悲鳴と、力の抜けた素っ頓狂な喘ぎと、地に足のついていない男の歓喜の声、それが全部混じったような酷いものだ。


「ちが、い、今のはーーわしはッ……!」

グイッと勃起に引っ張られたマンキニが、いよいよゴウのケツ穴を激しく責め立てる。これまで男の意地で堪えていたものが、一気に決壊しそうだった。


「あ、あ、アカァン♥」

皆に見られている。

地に足をつけて生活をしている人々皆に、マンキニ姿でふわふわと浮かび上がるこの奇妙なマッチョ親父を見られてしまう。


ギュンギュンと興奮が高まり、金玉のなかで大量の精子が暴れ狂うのを感じた。

イカン。これは違う。興奮するな。楽しむな。気持ちよくなどなるな。


ゴウはあの日のことを思い出していた。

自分が叩きのめしたあの男、空から襲いかかってきたあの男たち。マンキニ姿で船から降り、手に持った銃で人々を洗脳し始めたあの侵略者達。

彼らも、空をこのように無様に飛んでいた。つまりこの姿は、褒められるようなものではない。悪しき侵略者。間抜けな変質者。その一人に自分が今なろうとしている。されようとしている。


ゴウはギリギリと歯を食いしばった。

興奮しないように、この姿を屈辱的なものだと角刈り頭に叩き込む。

空の上、一人孤独にゴウは戦った。



「みなさ~~ん、今日もお元気ですかぁ~~」

真横から聞こえた声に、ゴウは目を見開いた。


そこにいたのは顔なじみ程度の男。

確か近くの学校で体育教師を務めていた男だった。筋骨隆々の肉体とジャージ姿が特徴的で、生徒からは恐れられてい多様な男だった。


「本日もわたくし航空自衛官が、みなさまの安全を見守っておりまぁす、マンキニッマンキニッ♥」


こんな男が上空を旋回していたことなど、ゴウは知りもしなかった。

太陽を背にしてニタニタ笑いを浮かべる髭面男は、汗だくの体をテカテカと輝かせて、素早くコマネチの動作をしていた。

地上からは影の様に見えるのだろうか。あの動きをすればきっと、遠くからでもわかるに違いない。ポタポタと汗と汁が、セミのしょんべんのように落ちている。あれもきっと喜ばれていることだろう。


「んーーアカンッアカンっちゅうにぃい、わしは、わしはぁあ♥」


見てしまった。


間近で見てしまった。


ゴウは必死に組んでいた腕が緩んでいることに気がついた。

がっしりと、逞しい二の腕を見せつけていた姿勢が崩れてきている。


腕が自分の意志を持っているかのように、段々と股間に向かっていく。

指先が伸び、股が開き、勃起チンポがヒクヒク上下する。


そんな彼はゴウのことなど気にもとめず、空を浮かびながらもっともっと見せつけるようにダブルバイセップスの姿勢でマッスルマッスル♥とマンキニを見せつけていた。時折鼠径部に手を当て、激しくシュコシュコと腕をクロスさせマンキニマンキニ♥と叫んでマンキニを見せつけていた。


どくどくと下半身の血流がちんぽに集まっていく。

見惚れてしまう。

まるで太陽だ。空に浮かぶ逞しい筋肉の塊が、人々を温かく照らして守っている。男らしい。立派な雄だ。


大工の棟梁、ゴウ。

アレに比べれば、腕を組んでいるだけでなんの変化もない航空自衛官など誰も見ない。負ける、負けてしまう。

誰よりもイチバン尊敬されて、見惚れられていた筈の寺水ゴウという男が……。


(アカンんん頭がうまく働かんッ、ああ、あ、後少し、後少し踏ん張るんや、ふんっばりゃあなんもかんも元通りぃい、わしも大工に戻って、また地に足つけてっイチから再出発できるんや、わしが、わしが街を元通りにつくってやるんや、わしが、わしがッッ……♥♥)


ゴウは虚ろな目をしながら、頭にのこったプライドと気合でブルブルと歯を食いしばった。

そして、かつてしたいたように足を踏ん張った。


「あ♥」


しかしその脚は、空を蹴るだけだった。

踏ん張るにも、その地面が遠い。

どんなに脚をバタつかせても、踏みしめる地面がない。どっしりと構えたつもりでも、それはマンキニを引っ張られてピクピクガニ股になっているだけの姿だ。


「ーーはひ」


その瞬間、なにかが終わった。


「あ、こらアカンわっ♥」


それはあっけない幕切れだった。


なぁんもでけへん。

なぜなら踏ん張ることがそもそもできないのだ。

しょうがない。しょうがあらへん。はあしょうもな。


すっと、肩から力が抜けるのを感じた。

全身から力が抜ける、腕がだらんと垂れて口がポカンと開いた。

あかんあかん、なぁんもあかん。ちょっとこればっかりはさすがのわしでも無理やわ。何が無理ってもう無理なもんは無理やわ。


そしてゴウは、ピシリと指を整えた。



「マンキニッッ♥♥♥」



一人の男の黒い影が、Vの字を描くの街から見えた。





「たっだいまぁあ♥ もどったでぇえへぇ♥」

ゴウが空に上っていたのは、時間にすれば三分ほど。

ちょうど特撮ヒーローが現れる程度の時間。カップ麺ができあがるまでの時間。一人の男が尊厳全てをチンポのために投げ捨てるまでの時間。


再び商店街にまで降下してきたゴウは、それはもう見事なポージングをかましていた。


「はひぃ♥ お空の散歩完了ぅ、本日も異常なしなし、わしが見張っとる限りぃ、どぉんな悪も栄えへんでぇ♥」

ゴウは今までのように胸を張ると、それまでマンキニに収まっていた肉棒がぶるんとマンキニからはみだした。

組んでいた二の腕はすっかり垂れ下がり腰に当たっていた。というより、自分のケツを揉むかのような位置にあった。


「このわしにかかればぁあ♥♥」

そのままゴウは鼠径部に手を持っていった。


「どぉんな悪党もぉぉお♥♥」

ゴウは張っていた胸を、背を、グッと丸めて縮こまった。


「見逃さマンキニッやでええ♥ マンキニ♥ マンキニ♥」


そして激しく、ポーズをキメた。

ゴウが激しくマンキニをすると、浮いていた体がさらにふわりと上昇した。

マンキニの動作一回につき、数センチ。

くいっ、くいっ、と鍛え抜かれた筋肉の塊のような男が上昇する。


そのまま右に左に、車についた飾りのように、大の男がぶらんぶらんと揺れている。

マンキニの浮力と、引っ張られる力のままに、ぐりんぐりんと空を舞う。

安物の土産物のキーチェーンのように。

それはまるきり、マンキニの付属物のようでさえあった。


「おうさっすがゴウさん、いいマンキニだぁ!これからも頼りにしてるよ!」

「よっ日本一のマンキニ!」

「そのマンキニがあればあこのまちも安泰だあ」

人々は口々に、ゴウのマンキニを褒め称えた。


その言葉はかつて聞いたどんな褒め言葉よりも、深く深くゴウの脳髄を犯した。

マンキニが褒められることは、マンキニ親父にとって至上の喜びなのだ。このマンキニにもっと見合うポージングを、もっと見合う筋肉を、もっと見合う声を、顔を、表情を、すべてを捧げることこそが、マンキニ航空自衛官寺水ゴウの使命なのだ。


頭の中からすぅっと爽やかな風と太陽のような熱を感じた。


「わ、わしは航空自衛官寺水ゴウッ、本日もみなさまの安全を空から見守らせていただくであります、マンキニィィィィイッ♥」


その瞬間、ゴウの肉棒からはこれまで出したどんな射精より大量の精液が吹き上がった。

尻の快感で身悶えし、チンポは一人でに射精し、太い眉の顔面は知性ゼロの猿より劣る顔でげひげひと笑った。


そうした姿のままゴウは、いやゴウのマンキニは空高くへと昇っていった。

精液が飛び出したぶんで軽くなったように、脳みそから使命や誇りが消えたぶん重みげ消えたように、ふわりふわりと筋骨隆々の角刈り男が浮いていく。


「はへぇ~~♥ 食い込み食い込みぃぃい♥」


呆けた頭と体に、マンキニの気持ちよさと充足感が満ちていく。

この先人生で踏ん張り必要などまるでなくなった足は、それが新たな仕事だとでもいうかのように気持ちよさそうに痙攣し続けている。


「マンキニマンキニマンキニ上昇ぅぅううわしの頭もお天道様まで昇天やぁぁあ♥♥」


脳が焼かれるような快感に、ゴウは歓喜の涙など流しながら大声を上げた。そしてまた激しく精液を噴き出した。


「はあぁああ……お空に向かって射精するんは、きもちえへえぇえ~~~~♥♥」

大量の精液が青空に放たれ、そして商店街に落ちていく。

誇り高きマンキニ航空自衛官のマーキングだ。これで悪は即退散。人々は潤い、喜び、守られるのだ。

そう思うと、射精の一回一回が人生の喜び全てを味わうような、男の喜び全てを満たす快感に包まれる。



「はひ♥ はひ♥」

そうしてマンキニと、それにひっついた筋肉男寺水ゴウは飛んでいく。マンキニに組み込まれた巡回コースのままに、朝から晩まで、太陽が落ちるまで……いや、夜になってもテカテカの筋肉を月に照らして飛び続ける。


もはやゴウは歩くことはおろか、進路を考える必要もない。

ただただマンキニの従うまま。

筋肉とチンポとケツを見せつけながら、えへえへと笑っていれば良い。

それが上級マンキニ航空自衛官。寺水ゴウの残りの人生なのだ。


「あひぃぃマンキニ様ぁぁ♥」


ゴウは自らの肩にぶっちゅと口づけし、己を包み込むマンキニに愛を囁いた。


「わしを何処へでもつれてってつかぁさぁい、わしどおぉおんあところでもお供いたしますぅう♥♥」


ゴウはマッスルポーズをしたまま、はるか空へと向かっていった。

太陽に向けてチンポをピクピクとさせ、人々の目にもはいらないような高さまで。

しかし彼は孤独ではない。


「おぉお航空自衛官の皆様ぁ、わしも今日からお空のパトロールをご一緒するでありまぁあっす♥♥」

空にはもう浮かび続けていた男たちがいる。


ゴウと同じく、マンキニの似合う、マンキニに相応しい、マンキニのためにすべてを捧げた男たちが。


彼らこそが、真の仲間なのだ。

くだらない使命をゴチャゴチャ隠れてするなど、そもそもゴウの性分に合わなかった。そのようなことは他の連中に任せれば良い。


「わしはぁぁコッチの大事な大事なお仕事があるんやぁ♥♥」


かつて皆に頼られていた大工はこうしてすべてを捨て、また空に向かって射精した。

太く立派な肉棒からほとばしる臭い精液は、かつて彼が建てた家の屋根へと精液が垂れた。

しかしゴウはその家にまつわることなど綺麗さっぱり忘れ、ただ愛しのマンキニに口づけをしていたのだった。


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