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以前Fanbox内で行ったアンケート結果一位になった親子ヒーローの小説です。かなりおまたせしてしまった分内容を詰めたいと考えて、ゲームブックのバッドルートを進んでしまったような形式で、問題解決に向かうまで色々な敗北をする連作としました。

子供は親の背を見て育つ、なんていうが……思えば息子には背中ばかり見せてきた。

平和の為、人々の為、滅私奉公することがヒーローにとって必要だと言い聞かせて、背中ばかり見せてきた。

玄関まで見送りに来る幼い息子をわかっていながら、背中を向けた。

だがそれでも、今でも………、間違ったことをしてきたとは思わない。そんな幾人もの犠牲のもとに、平和や社会は守られてきたんだ。

これが俺の生き方だ。

背中を見せるのが俺の生き方だ。すまない許してくれ。

だから頼む。振り向かないでくれ。

俺の背中の記憶だけを覚えていてくれ。

こんな、俺の無様なツラを最後に見ないでくれ。

ああ……ああ……頼む。頼む。

ヨダレが、とまれねえんだ………。父ちゃんは。

「最初の報告は今から19時間前だ。第一発見者は現場の作業員。建てた覚えのない巨大な建造物が一夜にして出現、会社の規定に則って即座にヒーローに報告、調査能力持ちを中心に三名が派遣された」

二階から降りてきたばかりの息子は、目を見開いて俺を見ていた。

それはそうだろう。野球部の朝練に備える忙しない早朝に、親父がリビングでどっかりと座っている待ち構えていたのだ。それだけでも珍しいのに、真っ赤なヴァンキッシャースーツを身に着け、臨戦態勢で腕を組んでいる始末だ。

短い黒髪、チクチクと生い茂った髭、太い眉。リビングのテーブルよりも居間で胡座をかいているほうが似合う芋臭い顔は、爽やかな朝にはさぞ暑苦しいだろう。

「………」

息子の返事はなかった。無理もない。数ヶ月前の口論以来まともに会話もしてこなかったのだ。

それが今日になって突然、父親ではなくヒーローとして話しかけてきたのだ。そりゃあイイ気はしないだろう。

だが今は一介の高校球児といえど、元はヒーローとして英才教育を尽くされてきた息子だ。どんな感情があったにせよ、息子は自分を抑えて俺の正面に座った。うんざりとした表情をしっかり俺に向けながら。

「三名のヒーローが現場に到着後、建造物が起動。塔の最上部が開口し、眼のような模様のついた石が出現、そして――」

俺は手元のリモコンを操作し、リビングのテレビの電源を入れた。スーツに覆われた指で操作する自宅のリモコンというのはなんだか奇妙な押し心地だった。

「頭頂部から光線を発射。ここまでは、各ヒーローの視点で鮮明にデータが残っている」

「………」

「ヒーローといえど、この速度と量じゃあ、目視で回避しつつ接近するのは、ほぼ不可能だな」

映像の中のヒーローは身体能力と飛行能力を活かし、巧みに攻撃を回避している。しかし体力と集中力は、いかなヒーローと言えど有限だ。

一発、二発と、水色に輝くスーツに攻撃が直撃する。

『な、なんだこれは、攻撃なのか!』

スーツから異音を発し、胸のコアが危機を示す色に変わる。

そこで映像は停まった。

「本来ならば、どのような窮地であってもスーツ内蔵の記録装置が止まることはない。強力な電磁パルス攻撃か、スーツにハッキングが行われたか。エナジーの急速な枯渇か。基地のコンピューターは数少ないデータから答えを出そうとした。だが結論が出る前に、ヒーロー基地がハッキングを受けた」

「で、どうしろってんだよ俺に。そもそも俺はもうヒーローでもなんでもねえぞ」

結論を急くように、息子はついに口を開いた。

「言えよ、親父。朝練行かなきゃならねえんだ」

俺は語った。

作戦の成功率を高めるためにお前の協力が必要なこと。

電磁パルスに対しては、稲妻の力を持つ俺たちの能力が耐性を持つこと。

ハッキングに対しては、旧式のスーツのままヒーローを辞め、アップデートしてないお前のヴァンキッシャーJrのスーツが有効に働くということ。

エナジーの枯渇に対しては、エナジーの受け渡しが円滑に行える親子が適任であること。

「すべての条件が、お前に言っているんだ。もう一度世界を救ってくれと」

「勝手な話だな」

「そうだ。お前個人の意志や感情は無視し、能力を見ての依頼だ」

「そりゃあ、正義のヒーローヴァンキッシャーとしてか」

「――ああ、そうだ」

俺は迷わず答えた。

坊主頭の息子が睨みつけるように俺を見ている。

「ヒーローの息子として、受け入れてくれ。お前が必要なんだ」

これまで語ってきたのは、すべて真実だ。

誰かに頼まれたからではない。世界のためにそうするのがいいと、俺自身が判断して息子に語った。

だが、俺自身の耳にさえ、この言葉は寒々しいものとして響いていた。

こんな情報不足の戦地に息子と出撃したいなど、子を想う親が言う言葉ではない。やはり俺は、一人のヒーローとしてはともかく、親父としては失格なのだ。

それでも、伝えないという選択肢はなかった。正義と平和の為にできることを、我欲と家族のために我慢するという道は選べなかった。

「どうする」

俺は息子をまっすぐ見つめていった。

真紅のスーツに包まれた肉体が、僅かに熱を帯びていた。

元ヒーローとして、もう一度世界のために戦うと言ってくれ。

俺の息子として、そんなの御免だ俺は嫌だと断ってくれ。

二つの感情が同時に渦巻いていた。

「やりゃあいいんだろ」

久しぶりに見つめる息子の顔は、すっかり男の厳ついものになっていた。

あの時の息子の顔は男そのものだった。

あんなに小さかったのに。

将来はパパのようなヒーローになる、なんて、そう言ってポーズをとって見せてくれた時、ああ、あれは今でも人生最良の日だと思い出せる。

「お前の位置は俺のすぐ後方だ、距離300までは攻撃を回避しつつ目標に接近。その後は攻撃が激しくなると予想される、ここから先は俺が電磁バリアを張り先行する、お前は俺を盾にして接近し、出来得る限り消耗を抑え、最後は単独で突撃してもらうことになる」

「おい聞いてねえぞ、親父」

現場の目前にした最終ブリーフィングの最中、息子は再び俺に食って掛かってきた。

俺と全く同じ造形の紺色のスーツに身を包んだ、ヴァンキッシャーJrと登録されたヒーローは坊主に丸めた頭を俺の髭面のすぐ前までずいと突きつけて吠えた。

「どういうことだ、なんだよ盾にって」

「今は、俺のことはヴァンキッシャーと呼べ、Jr」

「Jrって歳じゃねえよ。クソ、そんなことはいいんだよ。なんだよその作戦、盾にしてって……俺はともかく親父はどうするってんだよ」

「お前が無事目標を破壊すりゃあ、連絡が取れない先遣隊共々救出されるってわけだ」

「………クソ、聞いてねえ……聞いてねえぞ」

「ああ、言ってなかったからな」

「………」

「俺がお前の壁になり、同時に外付けの電池になるってことだ。それが最も、作戦の成功率を高める」

「なんで伝えなかったんだよ」

「そりゃあ――」

そんなもの決まっている。こんな言い方をしたら、お前はきっと断れなかっただろう。口は悪いが、優しい子だとわかっているからだ。

「ったく、後味最悪だ。ヒーローが嘘つきやがって」

「嘘はついてねえ。詳細は現場で伝えると言ったときに、お前が尋ねなかったのが悪い。ま、年相応に賢くなったってことが、こんなゴリラ親父でもよ」

そう言って俺は真紅に輝く胸板をドンと叩いてみせた。誤魔化すように、わざと豪快にそう見せた。

「覚悟決めてもらうぞ、よし、行くぞ」

「お、おい!」

もはやこれ以上考える時間を与えるわけにはいかない。

今回の作戦に必要なのは頭脳やテクニックではない。

ひたすら前へと邁進する、覚悟とヤケだ。

なるほどそういう意味でも俺のような親父より、若造のほうが適任だろう。ハッキングされながらも、基地のコンピューターってのは色々と賢いらしい。

工事の最中に投げ出された現場は、荒々しい岩肌がむき出しになっていた。

風に吹かれて砂塵が舞う。俺たちはその中をゆっくりと、縦に並び、雄々しく行進でもするように進んでいた。

映像ではわからなかったが、常に風が吹いている。

距離が近づいていく。600、550、500……、前触れ無くソレは俺たちを襲った。

「避けるぞ!」

声が息子に届いた頃には、俺たち親子は既に一発目の光線を回避していた。

着地と同時に二発め、間髪を入れず三発目。スピード自慢の下半身が、赤と紺の二色の帯を描く。

距離450、400……。攻撃は苛烈になってくる。300までは温存していたかったが、このペースではむしろエナジーよりも集中力が持たない。俺はともかく、息子が直撃を食らっては作戦が完璧に瓦解する。

「仕方がない、現場においては臨機応変! 少し早いがシールドを展開するぞ、ここからは俺の後ろにぴったりついて離れるな! いいな!」

俺は叫ぶと同時に俺は腰を落とし、ガニ股にして両足をパイルのように大地に突き立てた。

「ぐ――ヌゥッ、ヴァンキッシュシールドォォッ!!!!」

世界のため、平和のため、そして息子の活躍のため。

俺は両腕を限界までパンプアップして、前腕をクロスさせた。赤と黄色で∨の字の描かれたエネルギーシールドが正面に展開される。

「ク……す、進むぞォッ!!」

光線が俺の正面、ど真ん中を射抜くように突き刺さる。

5発までは問題なかった。しかし六発、七発と攻撃を受けるうち、スーツに表示されるメッセージにノイズが混じり始めた。

「まだだ――おとなしくしてやがれ……!」

俺は自分のスーツに言い聞かせながら、ガニ股中腰の姿勢でズリズリと前進した。

俺の後ろには息子がいる。

俺の背中には息子がいる。

いつも置いていってばかりだった息子が、今は俺のすぐ後ろにピッチリとついている。

背中ばっかり見せてきたんだ。

親父の背中を、今日はせめて格好いいものとして最期まで見せてやる。

「親父ッ」

耳の後ろで小さな声が聞こえた。

右側25メートルほど先に、先遣隊のヒーローが見えた。

仰向けに倒れた彼は、緑色のスーツに身を包んだままビクビクと痙攣していた。どうやらまだ生きているようだ。良い知らせだ。

「ああ、問題ねえ、大丈夫だ、なんせお前が助けてくれるからな」

「………いや、あれって」

「集中しろ、馬鹿になれ! とにかく前だ、前に進むんだッ!」

とんでもない教えだ。だが、時にはそれくらい割り切ることが必要なのだ。

そうだ、馬鹿だ。今の俺は正義馬鹿そのものだ。

エナジーをギンギンに滾らせて、筋肉を盛り上がらせて、ただひたすらに前へと進む。目標を破壊し、平和を取り戻すため。とにかく一歩、一歩と前進する。

髭面を限界まで歪め、汗だくになって、とにかく前へ、前へ前へ。馬鹿になって突き進め。

俺は盾だ。上等だ。この生命を使い捨てるつもりでとにかく進め。

スーツに筋肉食い込ませ、腰を振って、腋見せて、息子にケツを突き出す姿勢で、とにかく全身、エナジーをどばどば吐き出して気持ちよくなって全身だ。

「おい、親父ッ!」

「ハッ、ヌゥ―――!?」

俺はもう何発目かもわからない光線を弾きながら、息子の声に我に返った。

待て、腰を振る、だと? な、なに考えてやがる。

エナジーを吐き出すだと。そんなもん以ての外だ。こいつをギリギリまで温存するための作戦だぞ。

「待て、いったい、なにが起きてやがる――」

俺はスーツのデータを網膜に展開させた。

………

計器はまだ正常に作動している。ように見えた。

気がつけば、俺の体をピッチリと覆っていたスーツが、ギュウギュウと俺の筋肉を締め付けている。

似ているようだがこれはまるで違う。筋肉の動きを全く妨げないからこそ、俺のような髭ゴリラの親父が全身タイツ型のスーツなんてものを身に着けているのだ。それが、なんだ。

ケツに食い込み、股間が擦れ、胸板の乳首までツンと突き出るくらいにまでピッチリ張り付いてやがるじゃねえか。

「く、クソ、ハッキング型――で、間違いなかった、ようだなッ」

体が動かしにくい。

いや、違う、正確には妙な動きだけが楽だ。

前へ進むだとか、まっすぐ立つだとかができねえ。その代わりに腰を振ったり、ケツを突き出したりのポーズが妙に楽で、気持ちがよくなっちまっている。

ああ、気がついたら、意識したら、途端に全身がむず痒くなってきやがった。スーツが俺の体をシゴいてやがる。よりにもよって息子の前で!

「ハァ……ハァ………ぜ、前進だァ、い、急ぐ、ぞ、ヴァンキッシャーJrよォォ……!! ンオォォ!!」

俺は雑念を振り切るように吠えて、再び一歩脚を動かした。

ほとんど震脚だ。だが、それぐらいの決意がないと体が動かなかった。

スーツがビービーと音を立てている。

撤退。解除。敗北。危険。

そんな音だ。

「グゥウゥゥ、だ、黙ってやがれッ、俺は正義のヒーローヴァンキッシャーだぞッ、お、親父の胆力舐めんじゃねェぞォォ……!!!」

左、右、左、右。

俺はどんどん不格好になりながら、とにかく盾を前へと持っていった。

息子は何も言わない。

黙って俺の背中を見つめている。見つめてくれている。

せめてもう少し格好いいスマートな親父だったら、この場も鮮やかに切り抜けれたかもしれねえな。

だが、ないものねだりをしてもしょうがねえ。

俺は息子のミルクを作るのだって四苦八苦したし、息子の精通をデリカシーなく慰めたようなこともしたし、息子の授業参観もほとんど出席せずにヒーローをしてきた、そんな親父だ。

だが、正義のため、平和のため、お前の為に戦ってきたつもりだ。

そんな背中がこれなんだ。最期まで俺はそうあるんだ。

「グ……オォォオオッッ、オホォ!?」

だがそんな決意を捻じ曲げるような、とてつもない快感が股ぐらからこみ上げてきた。

体が痺れる。全身が電気になっちまったみたいだ。俺の正義と一心同体のハズのスーツが、俺の股間とケツを小刻みに振動させて弄ってやがる。

すでにスーツは狂わされ、完全に悪に堕ちていた。今ここにいるのは、丸裸の正義の親父と、悪に堕ちたスーツ。そして無傷の息子ってわけだ。嗚呼クソ、とんでもねえ事態になったもんだ。

「オォォ……ま、前だけ、み、見てろォ……も、目標、だけェをォォッ!!」

俺はたまらず、後ろの息子にそう言った。

背後からでは見えないだろうが、既に俺の肉棒はビンビンに勃起し、プレエナジーがたらたら溢れていた。

息子の前でこんな無様を晒すなんて。

とんでもない屈辱感だ。

だが、だからこそ息子をこんな無様な姿にするわけにはいかないという決意もあった。

ああ、そうだ、俺の大事な息子を、こんな恥ずかしい目に合わせるもんかよ。俺だけだ、俺だけで十分だ。

光線が容赦なく俺のシールドに突き刺さる。

だいぶ光が薄くなってきやがった。

ああ、あちこちに仰向けになっているヒーローたちは、みんなこの直撃を受けて、エナジーを吐き出されて、あんな姿になっているのだ。どうりで連絡が取れないわけだ。

ああ、シールドが消えちまう。

股間にエナジーが集まって。腕の筋肉に力が入らねえ。

まずい。まずい。俺まで直撃受けちまう。

息子の前で、息子の前で息子の前で―――

駄目だ、進め、耐えろ、進め。

「親父、限界だろッ! 一旦下がれよ、交代だ! 俺にだってシールドくらいつくれんだ」

何言ってやがる、お前を無事に届けるための作戦だぞ。

そんなもん却下に決まってる。

「現場においては臨機応変だろッ! 親父がここで崩れちまったら――」

息子の声の最中にも、光線は容赦なく俺を狙い撃つ。

盾にヒビが入る。汗が吹き出す。雄汁が飛び出しそうだ。スーツの中で蒸れた体がぐるぐると蒸発しちまいそうだ。

俺は――

・限界まで耐えた

・息子の提案を受け入れた

『俺は、限界まで耐えることを選択した』

そうだ、息子にこんな攻撃を受けさせるわけには行かねえんだ。俺の大事な息子に、こんな無様な姿を晒させるわけにはいかねえ。そうだ、俺だ。父ちゃんが最期まで受けきってやる。父ちゃんが犠牲になってでも、お前を無事に送り届けてやる。

パリン

だがそんな決意だけでは、正義はどうにもならなかった。

俺の前腕の盾は小さな音を立てて割れて崩れて砕け散った。

「う――オッォォオオオ!!!!!?」

「親父ィッ!!」

俺の胸板に光線が直撃する。

スーツがいよいよ明滅し、完全に意志を乗っ取られる。股間が波打ち、乳首がひねられ、ケツの奥に食い込んでくる。気持ちがいい。全身で俺のエナジーを搾り取ってきようとする。俺の全身が、オナホにぶっこまれたチンポのようにぐっちょんぐちょんと扱かれる。

「い、行けぇ、先にィィィ、は、はやくぅうう、お、俺は置いて、おいてイケェ!! イケェ! イケェイケェエエエエ………アァァアアイケイケイケイケ……ケ…………あぁぁあああ゛、イクゥゥゥウウゥゥウ❤❤」

俺はついに、息子の前で無様にエナジーとオス汁を股間のもっこりから吐き出した。

気持ちいい。気持ちよすぎる。気持ちよすぎるだろ。

息子の前でイッちまっているのになんでこんなに気持ちいいんだ。

目の前が暗くなる。スーツからのフィードバックで、目の前が砂嵐のようになる。

俺は最期まで息子のために盾になった。最期まで、だから、だからだから。

「だ、だから、あぁぁあイクゥ、気持ちよくなってイッちまうっぅうう❤❤」

ガニ股で腰をガクガク振る俺の横を、息子の紺色のスーツが駆けていく。

ああ、よかった、お前は正義のために前進するんだな。正義の親父として誇らしいぞ。俺の遺伝子を受け継いだ立派なヒーロー。ああ、なんて誇らしいんだ。誇らしい。誇らしすぎてチンポが気持ちいい。ああ、もうダメだ。俺はもうダメだ。エナジー出すことしか考えられなくなっている。脳味噌全部で、エナジー吹き出す事を考えちまってる。

あああ、振り返らないでくれ、そのまま進んでいってくれ。

せめてお前は正義のために戦い抜いてくれ。俺はもうだめだ。もう正義が霞んでいる。正義の代わりに頭にチンポが生えてくる。気持ちいい。息子のすぐ近くなのに、親父チンポが気持ちいい。

「ふ、振り返るんじゃねぇええ……イケイケイケェ、ぜ、絶対に振り返るなよォォオォオ❤❤」

あああ、そうだ、そのまま俺に背中を向けてイッてくれ。

だめだ、絶対に振り向くな。振り向かずに進むんだ。皆のために正義のために。振り向くな。

振り向くな。振り向いちまったら。

俺がこんなふうに腰振って髭面ヘロらせてイッてのがバレちまうッ。

ああ、射精しているとこ見られちまった。

気持ちよく腰振ってるの見られちまった。

でもまだ、背中だ。背中だけだった。親父の逞しい背中だけ見せたはずだ。

だからまだ大丈夫だ、顔は見られてねえ、チンポは見られてねえ。こんな無様な面でイキまくってるのバレてねえ。ああ、待て、なんで止まる。なんで止まった。おいまて振り返るな、俺を見ようとするな。やめろ、やめろ、やめてくれぇぇええええええええ❤❤

「親父――ッ」

「ああぁぁ、や、やめ、振り返ッ!! み、見るんやねぇぇえ親父のチンポフリみ、みるんじゃねぇえええオォォオオ❤ そ、そんな眼で見られちまったら、俺、俺ぇェ❤❤ おぉぉおぉおおぉぉお、と、と、と、父ちゃんますます、イッちまうぅぅううう脳天からイッグゥゥウ❤❤❤」

瞬間、これまでと比べ物にならないほどの快感が俺の全身を包んだ。

筋肉っていう竿をスーツで弄くられていたのに、顔面を見られてフィニッシュだ。亀頭攻めだ。親字面を息子に見られて亀頭攻め。

そんなものイッちまうにキマってる。頭キマっちまうにキマってる。

「親――父ィ」

息子は愕然と足を止めてしまった。

ああ、息子の背中ががら空きだ。

息子、俺の愛する、息子。

背中に光線が刺さりそうだ。ああ、ああ、ああ……息子まで俺みたいになっちまう。そんな、俺の大事な息子が。

そんなことになったら、ずっと、ずっと見られることになるじゃねえか。向き合ったままお互いチンポを勃起させてスーツに扱かれて顔を見合って………。

ああ、駄目だ。

考えれば考えるほど。

チンポが気持ちよくなっちまう。

息子が光線に撃ち抜かれたのが見えた。

ああ、息子のチンポがでかくなっていく。俺そっくりの立派なチンポだ。精通のときにはあんなにちっこかったのに、いつのまにか立派になりやがって。

ああ……でももう駄目だ。息子も俺と同じ、正義馬鹿から生まれたチンポ馬鹿になっちまうんだ。

俺がヘマこいたばっかりに。

嗚呼、なんて無様なんだ。

なんて無様な親父なんだ俺は。

でも、でも…………すまねえぇ…………。

もう、それが気持ちよくってたまらねえんだ。あぁぁ、見られる、見られる見せつけちまう。親父のチンポを見せつけちまう❤

「あぁぁあオヤジィィィチンポぉぉお、チンポが扱かれて、ああぁぁああお、俺も、親父みたいにぃぃぃい、あぁぁああイグゥゥゥゥウ❤❤」

「す、すまねえぇえええ父ちゃんを、父ちゃんをユルシテクレェェェエ父ちゃん気持ちいぃぃいいい❤❤❤ み、見てくれぇもっともっと見てくれぇ❤❤ 無様にチンポ負けした親父のヒゲツラ見まくってくれぇ❤❤❤❤」

俺と息子は同時にスーツに精液を吹き出した。同じタイミング、同じ腰振り、同じヘロ顔。ああやっぱり俺たち親子なんだな。気持ちよすぎてもう何も考えられねえけど、お前のイキ顔がドスケベで俺そっくりなのだけは父ちゃんわかるぞ❤わかるぞ❤わかれて幸せだぞ❤

こうして俺たち親子は敗北し、互いの射精を見せ合う置物となった。

もう二度と背中を見せ合うことはない。

このままイキ狂うまで、俺達は正面と顔面を見せあって、幸せにイキまくるんだ。

これからもずっと。

ああ、ずっと一緒だぞ。

これからは、ずっと、父ちゃんと一緒だぞ❤

BADEND1 向かい合っての親子同時射精

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