じっさいにやってみよう! 『尊厳破壊』 (Pixiv Fanbox)
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「そ、それでは、不肖……わたくし山本雄大、……こ、これよりッ……これより………」
「…………」
「わ、わたくし! 山本雄大ッ! これより、社員の不始末をお許しいただくため、裸踊りをひとつ踊らせていただきます! どうぞ、拍手でお迎えください!」
◆◆◆
さて、皆様には前回で、尊厳破壊ってちっとも難しくないんだな、ということを理解していただけたと思います。今回はその実践編として、こちらの山本雄大さんにご協力をいただきます。
こちらの社長、ご覧の通り現在社員の失態の責任を取る為に、裸踊りを命じられているところです。
……裸踊りと聞くと、いかにも無様で、既に尊厳など損なわれきっているように思えます。
しかしその実態は違います。裸にネクタイだけの肉体と心中には大きな隔たりがあるのです。
彼がこの姿に身をやつしているのは、ひとえに社員を護るため。すなわち自己犠牲に過ぎません。姿だけ見れば笑ってしまうような痴態ですが、その実……彼は決意と優しさによって尊厳を高めているとさえ言えます。
これはいけませんね。
この状態では大義がある為、指を指して笑おうと、撮影して辱めようと、屈辱的命令をしようとも、心を折るのは難しいです。
人は外部とのコミュニケーションによって自己を確立します。
攻めれば攻めるほど、彼はより護っているものの存在の大きさを感じて強くなってしまいます。現在の彼にとって最も大切なのは、男としての単一の尊厳……ではなく、それらを捨ててでも大切な社員や家族を護るという点なのです。
この状態で個人尊厳を破壊しても片手落ちもいいところですね。
こういった場合どうすれば良いか、彼のケースを実際に観察して、改めてどうするのが簡単で楽でスッキリできちゃうか、考えてみましょう!
◆◆◆
衣服を着た人間に合わせた空調は、素っ裸の俺には涼しすぎた。
裸の首にネクタイだけをだけを締めて、おどけたような姿を晒しながら、俺の体と心は冷え切っていた。
「そ、それでは、不肖……わたくし山本雄大、……こ、これよりッ……これより………」
この空間の中で、ただ一人だけ人間ではない扱いを受けているような気分だった。
よりにもよって、などと考えるのは失礼に当たるが、この場にいる相手側の社員はひとり残らず自分より若く、髪色も衣服も派手なものばかりだ。
そんな中で、誰よりも歳も体格も自分が素っ裸で立ち往生をしている。
人間たちのなかに、ひとりゴリラが紛れているような気分だった。
「…………」
しかし、ここで臆病風に吹かれているわけにはいかない。
今ここに立っているのは、山本雄大個人ではない。我社全員、家族全員、皆の代表である山本社長だ。たとえどれほど蔑まれようと、果たすべき役割をこなすことこそ、男として今本当に必要なプライドなのだ。
「わ、わたくし! 山本雄大ッ! これより、社員の不始末をお許しいただくため、裸踊りをひとつ踊らせていただきます! どうぞ、拍手でお迎えください!」
俺は両手に持たされた扇子を開き、その扇子以上に大きく股を開いた。
「あぁ~ッ、踊るおど~る~なぁら~~、………山本音頭~っとぉよいよいっとぉ~~!!」
裸踊り、と言われても知識はまるでない。カラオケにも何年も行っていない。
俺は何処かで聞いたような音楽を無理やり叫び、調子っぱずれの歌を歌った。
『彼ら』の目的は俺の醜態だ。それを見て笑って楽しもうというのだから、俺が滑稽であればあるほど早いうちに満足してくれるだろう。そう思った。
「は、はっだかでおっどれば、天晴だぁ……! 頭も心も、まるはだかぁ~……とッ!」
開いた扇子を二つ重ねて股間のイチモツを隠して踊る。右へ左へ、四股を踏むように、ドスン、ドスンと肉を蓄えた体を左右に揺らす。
彼らの視線が俺の股間に集まっている。なんとか隠した男の急所。裸踊りの醍醐味といえば、やはりここなのだろう。いつまでも隠しているわけにはいかない。
「ハイ、右上げて! ――左上げてっと、ハイ!」
俺は片手の扇子を持ち上げて、ギリギリ見えるか見えないかの寸前で左と入れ替えた。
わっ、とギャラリーが沸くのがわかった。
なんと無様な動きだ。陰毛が風に扇がれている。だが止めるわけにはいかない。
ハイ、ハイッと叫びオッスと適当な声を上げながら、俺は何度も繰り返した。
速度を上げ、敢えて自分から腰を突き出してみると、若者達は程なくして手を叩いて笑い出した
指笛を吹き、手拍子をうち、おーいいぞ、よっニッポンイチ! などと煽るような声がする。
――しかし、その囃し立てる様子だが、どうにも俺が想像していた光景ではなかった。
てっきり笑いものになり、嘲りの声がもっと多いものだとばかり思った。
「社員のためにここまでするなんて、社長さんさすがだわ」
「俺だったらやれって言われてもビビってできねえよ」
「すげえ体っすね、踊りが適当でもサマになってるっすね」
次から次へと、おひねりのように投げつけられるのは、俺を褒めそやす言葉だった。
確かに俺の体は逞しい。ラガーマン時代の名残り、今でも続けている筋トレ、日々会社のために労働している足腰。それらは太い腕、太い脚、ガッチリ逞しい肩幅として俺の人生をさせていくれている。
そんな体で間抜けな裸踊りをしている、というのが笑える――のだと思っていた。
だが違う。この体と股間とプライドは、俺の誠意を伝えるために役立ってくれているのだ。
「ハァ、ハァ……あ、ありがとうございます! ここでもう一丁、派手に踊らせていただきます、押忍ッ!」
やはり恥ずかしいことには変わりない。変わりはないのだが、それほど悪い気分ではなかった。
なにせ喜ばれているのだ。このままいけば、今回の失態は水に流してくれるだろう。
これが終われば社員は無事。会社も安泰。結構なことだ。
俺がどんな姿を晒したかを、黙ってさえいれば丸く収まるのだ。
まさに天晴(アッパレ)なことだ。
「ハッ……それ右、それ右、今度は左、扇子で扇げば男が香るゥ~~~ッ! 天晴天晴!」
俺は手首を使って扇子をバタバタと扇いだ。冷えていた体はいつのまにか汗だくだった。踊りと興奮、羞恥と安堵、様々な感情が俺の肌をじっとりと濡らす。
ぽたり、ぽたりと太い脚から汁がたれた。
「おいおい大将、なにか垂れてるぞ!」
「なんだなんだ、お楽しみになってきたのか、いいねえ!」
「さすが! 男の中の男!」
「ハァ……ハァ……え、ええ?」
なにやら騒ぐ声に目を下にやれば、扇子の横から肉棒がズルリとはみ出ていた。
半勃起した肉棒が、ブランブランと派手に揺れていた。
汗だとばかり思っていたが、一番最初に垂れたのは俺の愚息の先走り汁だった。
………きっと血流が良くなりすぎたか、風で扇ぎすぎたかで、勝手に反応してしまったのだろう。
「こ、これは失敬――」
「いいぞいいぞ隠すな隠すな」
「いい社長を持って、社員たちはシアワセもんだな」
「こんな恥ずかしい目にあっても尽くすなんて、理想の社長ってのはこういうものだなあ」
しかし、そんな俺の肉棒に視線を向けながら、なおも人々は口々に俺のことを褒め称えた。
確かにここは男の急所であり、男の象徴だ。わざわざ口に出して自慢しないが、相当立派な太さに長さ、そして見事な角度で勃起するイチモツだ。
後も喜ばれているならば、裸踊りの最中にも勃起させている方が、より滑稽で男らしくて色気があって楽しんでもらえるかもしれない。
恥ずかしい。だが、恥ずかしいからこそ続けなければ。
「そ、それではお言葉に甘えまして、引き続きわたくしと……わたくしの愚息の踊りをどうぞご堪能くださいッ! アッパレぇ!」
俺は半ばヤケになって、ついに両腕の扇子を同時に上に持ち上げてしまった。
おぉお~っと、今日一番の歓声が上がった。
視線が一箇所に集まった。俺の股間に目が集中。
その瞬間、俺はググッとフルボッキ。
ダラダラ汁の親父のデカマラが、情けなくもガチガチ勃起。
体が芯から熱くなる。
「あ、天晴ェッ! コレが男の完全体ィッ!」
俺はガニ股のまま、再び片足を持ち上げて踊り始めた。
俺はわざと隠れないように扇を動かして、下品に腰を振って踊りだした。
「…あっそれェ゛! チンポ丸出し社長の踊りぃ~っ! ここで見せなきゃおぉっとこがぁすたる~!! フンッ!」
こぶしを利かせた渋い歌声で、ついに下品な言葉を口にする。
たまにはボディビルダーの真似事のようなポージングを見せると、それがまた受けた。
男らしさと間抜けな踊りを交互に挟むことで、観客の皆様はすっかり興奮している様子だ。
「右に左にチンポを揺らしゃぁ~~男と男のお突きあいィッ! ソレ、天晴、天晴、チンポのアッパレッ!!」
ああなんてことを言っているんだ俺は。
こんな場所で、こんな状況でもなければ生涯口にしなかっただろう下品な歌だ。だがこれは仕方がないんだ。こうすることでしか社員を守れないのだ。だからこうしてチンポをふりふり、腰を突き出し、筋肉見せつけ、仮りそめ笑顔で踊るしかないのだ。
パン!
一人が俺の腰に合わせて手拍子を打った。
パン! パン!
「おう! 腰がうっごけば汁が飛ぶゥ!! 穴はなくとも棒はあるゥゥッ! おう!! 飛ばす飛ばすは男汁ぅゥっとッ! 応ッ!」
俺は腰を振りながら声を張り上げた。
手拍子は次々に広がって、凄まじい破裂音となって部屋中に響いた。
まるで、俺の腰が空気と交わっているような錯覚さえ覚えた。
「ほれ、腰振りッ! 腰振り! 応ッ! 応ッ! 応ッッ!」
いつしか手拍子の音は逆転し、俺の腰に合わせて……ではなく、手拍子に命ぜられるがままに俺は腰を振っていた。
扇子を馬鹿みたいに振り回し、ネクタイをぶらんぶらんと揺らしながら、女の一人もいない空間で空気相手に腰を振る。
パン パン パンパンパン
「アッパレ! アッパレ! アッパレパレパレェッ!!」
ガチガチに完全勃起した肉棒が空気を突く。真似事でも何度もしていると、本当の快感と興奮と、そして男気があった。
ああ、男になってしまう。この手拍子で男になってしまう。一番男らしい瞬間。種汁を出す瞬間が近づいてきてしまう。筋肉見せつけて男になってしまう。
こんな大勢に見られながら、変態的な裸踊りで射精しちまう。
俺は。 俺は。なんて。
「ほら社長さんもっともっと腰振って!」
「いいぞ格好いいぞ社員のためにチンポだチンポ!」
「チンポひとつで社員を救う、本物の男ってやつみせてくださいよーー!」
「ホイッ! チンポ振っては男気社長! 一つ振ってはマラの為ェッ! 二つ振ってはオスの為ェェ! 応ッ! チンポ! チンポ! チンポチンポチンポぉ!! アッパレ!」
俺は脇を完全にさらけ出すほど手を上げ、チンポをブルンブルンと上下に振った。
周りを見回すと、みなさんが笑ってこちらを見ていた。
ああ、出すところをこんな大勢に見られちまう。
チンポだの天晴だの叫んでいる親父が、雄の汁をチンポの先からビュルルっと気持ちよくひり出す瞬間、四方八方から見られちまう。
ああ、あああッ。
俺は、なんて。
俺はなんて、社員思いの社長なんだァ❤
そ、そんな最悪な❤ 経験をしてでも社員を守ろうとしているなんてッ❤ 本当はゼッタイ嫌なのに、ああ、こんな死ぬほど恥ずかしいこと❤ でも、でも仕方がない、皆を護るためなんだ❤ 俺はそのために❤
「あ、あ、あ、こ、これにて、これにてわたくしめの踊りは、仕舞いとさせていただいますゥ、最後にひとつ、イッパツッ、デカイのぶち上げさせていただきますゥッ! 天晴! 天晴! チンポ天晴!!! チンポチンポアッパレアッパレ! ほれほれほれほれきたきたききた」
「あぁぁああッ❤ チンポアッパレェェェッッ❤❤❤」
◆◆◆
というわけで、責任感ある社長は見事こんな顔とポーズで、自ら尊厳というものをかなぐり捨てて射精しました。
おそらく彼自身は自らがどんな無様な姿となっているかを認識すらしていません。今はまだ。
ですがこれは紛れもなく尊厳の放棄です。
後日この写真を見せつけたところ、彼はその瞬間……魂ごとひっくり返ったような驚きの表情を見せ、改めて尊厳の崩壊を感じ、そして……敗北を理解しました。
無理もありませんね。なにせ、こんな笑顔で変態踊りをキメていますからね。誰がどう見ても変態裸踊り親父でしかありません。本人としては理想の社長と自分を思っていたでしょうから、そのギャップで天から地に真っ逆さまです。
今回利用したものですが、それは彼の自己肯定の精神です。
自尊心や、自らの行動に対しこれで間違っていなかったのだ、と思考する部分ですね。
これがあるからこそ、彼のような尊厳ある男は、耐え難い屈辱や羞恥に挑み無事勝利することができるのです。プラスの行動の原動力、と言い換えても良いかもしれません。
実際、彼の働きによって最大の目的である会社の安全というものは保証されました。
しかしその結果、本当の狙いである山本雄大という個人の陥落や人格の改変ということに気がつくことができなかったわけです。
それは何故か。
彼は肉体や男気を褒められ、徐々に徐々に、誇りとしている場所をズラされていったからですね。
耐えて仕方がなくやっていた行為が、褒められ、煽てられ、いつしか気持ちよくなってくる。命令されているから仕方なく――という名目がさらに背中を押して、どんなに気持ちよくなっても背徳感や危機感を感じることが出来なくなっている。
行動にはいつのまにか様々な言い訳がつき、自己肯定の繰り返しで、少しづつ大胆になり、奇妙になり、自分に都合の良いように正当化をはじめます。そんな人間の末路は一つ、即物的な気持ちよさ第一の行動です。
このように、相手に強制させるだけではなく、うまく当人を誘導していければ、これまでよりもずっと簡単な尊厳破壊が可能となります。
立派な精神のパワーだけを利用し、ベクトルを変えてやれば……それはそれは頼もしい味方になってくれる、というわけです。
皆さんも、最近頑張ったから……と貯金を崩して欲しいものを買ったり、嫌なことがあったから……といって衝動的に甘いものを食べたりはしますよね。
今回利用したのは、それの人生版というだけのことなのです。仕組みをしればとってもありがちで、珍しくもなんともないことですよね。
仕方がないから、頑張ったから、だからちょっとだけ気持ちよさを感じてもしょうがない。
男らしさが濃すぎるから、俺は命令されているのだから、だから射精するのは俺の意志じゃない。
そんな『ちょっと』の緩みです。本来であれば、別にそれほど問題じゃない欲望の話です。
ですが今回の対象は、なにせ尊厳ある人間。『尊く、おごそかで、犯してはならない。気高く威厳がある』存在なのです。そんな人が自分の欲望やたるみを許せないのは当然ですよね。
つまり、己の気高さによって、彼等は崩壊するのです。
ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。
では、最後に一言ご挨拶をしていただきましょう。
『ハイッ、みなさまも、わたくしのような堅物男を利用し尽くして、どうぞ楽しい尊厳破壊ライフを送ってくださいィ❤ アッパレェ❤❤』