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Skebで納品したアドバイスを載せます。

リンク先でも閲覧できますので、こちらでも全体公開になります。

https://skeb.jp/@matsukitchi12/works/19

正直、課題だらけの自分が人様にアドバイスなんて、と思うことも少なからずありますが、自分が歩んできた中で得たものを共有することに価値を見出す方がいれば、こういう機会もどんどん活用したいという気持ちが勝ります。

自分の引き出しを見直す、中々無いことなので自分にとっても大いに勉強になり、刺激を得ます。

ケースバイケースだと思いますが、ある程度の熱量を出しつつどういう回答が理想的なのか、こなしていきながら探っていきたいです。

※海外フォロワーさん向けに、コピペで翻訳ツールに使いやすいよう画像内にあるテキストを画像の後に書き起こしていますので、画像と画像の間のテキスト量が多いです。

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(本文)

はじめまして。

松吉様の描かれるバニー服やタイツの艶めかしさがとても好きで、是非アドバイスを頂きたくリクエストさせて頂きました。

よろしければアドバイスを頂けますと幸いです。

アドバイス頂きたいポイントとしては以下の2点です。

(2つともアドバイスが難しそうであれば、①だけでもアドバイス頂ければ幸いです)

【アドバイス頂きたいポイント】

①タイツの質感向上

タイツが好きなこともあり、自分なりにタイツの描き方勉強中です。

もっと艶めかしくタイツメインでも映えるようなイラストにしたいのですが、

タイツの質感等のアドバイスを頂けないでしょうか?

②イラストとしての見栄え

今回お送りしたイラストは自分なりには良く描けたと思ったのですが、

他のイラストと比べると思ったほど伸びなかったなぁというのが正直なところです。

このイラストを魅力的にするために、不足していること・意識すべきこと等あればアドバイス頂けないでしょうか?

以上、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

https://twitter.com/dorachan_r/status/1416339078253932545

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(回答)

はじめまして、リクエストありがとうございます。

本項では②を主軸に回答したいと思います。

①については、既にタイツの質感や魅力を深く追求されていると見受けましたので、

あまり質感にこだわっていない自分からすると質感向上については有力なアドバイスが思いつきませんでした…。

代わりと言っては何ですが、自分のタイツの塗り方・タッチで意識していることを画像で説明させていただきます。

②については様々な切り口がありましたためテキストでの【分析】と

画像による添削例の【実践】でお送りします。

(※なるべく推敲を重ねましたが、色々と書いてあることが重複したり、

前後であやふやな流れになっていることがあるかもしれません…!どうかご了承ください)

(また、添削はリクエストに含まれていませんでしたが文面のみでは伝えるのが難しく、

僭越ながら手を加えた調整例をつくる運びとなりました。不本意でしたら恐縮ですがこちらもご了承いただければ幸いです)

本項は【分析】編となります。

リクエストで指定いただいたイラストを拝見しました。

シチュエーションがとてもドキドキするものであり、

特に透き通る髪と澄んだ目が状況に拍車をかけてとても好きです。

更には見えそうで見えない脚の組み方、脇のチラリズム…ああもうたまらん!

状況としてはこれ以上ない男の子の夢が詰まってると思います…!

それだけに思ったほど伸びなかったとのことで、もったいないものです…!

(くうぅう!この魅力!もっと届け!!男子の夢だぞ???!!)といった感じでしょうね。

それではリクエストにあるように、『魅力的にするために不足していること・意識すべきこと等』を、

私なりの観点から分析し、それによって添削例を提案したいと思います。

(長いですので先に添削画像を見てから本項を照らし合わせて見ていただいても構いません。)

分析・イラストの魅力を考える

そもそもイラストの魅力とは何か?千差万別あると思います。

今回のイラストに元々ある魅力を、私なりに見てみます。

【今回のイラストの魅力】

1、キャラクターとの距離感、密度、親密感

2、体つき、顔つき

3、ストーリー性

4、フェチズム

(自分のスタイルとしては色彩や塗りなど、細かい描画から魅力を考えるアプローチが苦手なので、

そこについてはこの項目では触れていません)

1、キャラクターとの距離感、密度、親密感

これが個人的に今回一番に感じた魅力と思えます。近づきたい…!親密になりたい…!

これをさらに深めるための要素として構図やカメラワークを調整する余地があるかもしれません。

マシュに対し、見てる人の立ち位置はどうなのか?立っているのか?一緒に座っているのか?

息遣いが聞こえてきそうな距離か?

しかしながらdorachanさんの方としてはタイツのつま先もしっかり見せたい意向があるように見えます。

それを踏まえて最優先すべきは『キャラとの距離感+タイツのつま先』なのか、それとも『タイツのつま先(タイツそのもの)のみ』なのかで、

イラストを調整する方向性が変わってきます。

2、体つき、顔つき

顔つきについては、最初に書いた通り申し分ないと思います…!

時として顔の魅力というのは技術だけでは片づけられない描き手の良さがあるのでうかつに口出しできないと考えています…今回は顔については割愛します。

体つきは『女の子としての魅力』『体の描き方』の2つあります。

『女の子としての魅力』は、

腋、肩、胸、お尻などを抑えていて素晴らしいです。服もスカートの流れがアクセントになっています。

右手のしぐさもいいと思います。指をきれいにそろえるのでなく、ちょっと人差し指が離れていてほんの少しそわそわしているのかなといういじらしさ…!

心をくすぐられます。

足先も特にこだわりを感じる大きな魅力です。

dorachanさんの他の絵も拝見しましたが、

「思ったほど伸びなかった」というのは成人向けの絵や下着・下半身のラインがよくわかるご自身の絵と並んだとき差がついたのではないでしょうか。

今回のように、成人向け表現ができないかつ体のラインの強調が少ないものですと

より深い人体や服、しぐさの演技、塗りなどの描写力やムードの表現力、日常シーンなどの観察力・説得力が一層試されると思います(もちろん成人向けの絵にも言える話ですが)。

『体の描き方』について

骨格、重心、ポージングなどの体の知識や経験がものをいうので、

今回の体育座りのような難しいポージングは、非常に誤魔化しがきかない特徴があります。

特に足先が、単体で見ると塗りが非常に良いだけに、ポージングに対する位置や角度、サイズなどで画面全体とうまく相性が合わずもったいなかった印象があります。

足先は必然的にキャラの末端となるだけに、距離感によって遠近やパースの影響を受けやすく、

全体のバランスを踏まえた上での配置などの工夫を一層凝らす必要がありそうです。

3、ストーリー性

FGOは実はあまり詳しくないですが、マイルームのベッドでしょうか。

これだけでストーリー性が高まり、この上なくいいシチュエーションと言えます。

ここから小道具など足さずとも、また背景に自信がない場合は必要最低限ベッドのシーツだけでも絵になると思います。

しかしマイルームであることを一層受け手にわからせるためには「空いている空間」と「壁」の奥行きの方向の違いなど描写を描き分ける必要が出てきます。

添削では画面左と右でパースを変えています。

4、フェチズム

これは肝となる部分ですね。ですがアプローチやこだわりに個人差があるので今回は直接触れず、

そこを補う形で体の描き方・構図など見直していきます。

上記のイラストの魅力を見た上で、

「視線と構図」という切り口で明暗や構図の添削、

「体のつくりやバランス」という切り口で大まかな線画の添削をしたいと思います。

これらすべてを掛け合わせた添削はしていませんが、それぞれの要素を参考にしていただければ幸いです。

これらの切り口について解説していきます。

■「視線と構図」

イラストの画面全体的な話になります。物理的にも、客観的にも一歩引いて見る考え方です。

受け手は、最初にこのイラストのどこが目に入るか?すっと引いて実際に見てみます。

最初に書いた通り、透き通る髪と澄んだ目のある顔や頭部ではないでしょうか。

もうそこで受け手との「ファーストコンタクト」が決しています。

一枚絵の平面情報の恐ろしいところで、「ここで」「一発で」目を引く勝負が決まってしまう「出オチ」とも言えます。

広告のポスター等は言わばこの「出オチ力」を圧倒的にコントロールして目を引き、伝えるべき情報を乗せています。

そしてこの出オチ、ファーストコンタクトを経て視線は他の情報を求め、画面のほかの場所へと移ります。

ではなぜ最初にそこへ目が行くのか?そして次に視線はどこへ行くだろうか…?

結論から言うと顔の次に目を引く要素はいくつかあれど、強力な決め手に誘導しきれなかったと思います。

もう少しわかりやすく、dorachanさんの他の絵と比較してみます。

現在pixivのピックアップに挙げられている叢雲の絵を見てみましょう。

(URLを貼り付けての納品ができなかったため作品IDのみ表記します:87601043)

この叢雲のすごいところは、構図に無駄がなく、受け手の視線もばっちりコントロールできている各パーツのバランスにあります。

恐らく最初に目が行くのは足先から顔の付近にかけて、ではないでしょうか。

『明暗のコントラストの強いもの』、または『形(面積)の大きいもの』は自然と目を引きます。

(『明暗のコントラストの強いもの』…すなわち限りなく白に近いものと限りなく黒に近いものが相対しているところ)

顔のコントラストも背景より抑えられていて、一番に目が行かないようになっています。

やはり足先でしょう。

そしてこの足先のすごいところは、

そこからするする~っとごくごく自然に顔に目が行くように脚・膝のラインが形成されていて、

しかもその道中に夕日や窓枠があることをいやでもわからせてくれるのでシチュエーションやムードが自然と理解できる、

更に髪がふわっっっとなびいてただでさえ出来上がってた情感がさらにひときわ深まります。

なんだこの気持ちは…!!!そうか、俺は……叢雲に恋しているんだ  という演出が完成されています。 

受け手の心をすっかり出来上がらせるように視線を導く、そんな構図になっている印象です。

これが常時コントロールできるようになると、きっと末恐ろしいでしょう…

あらゆる形状が無理のない「斜め」の角度に描かれることによって視線もスムーズに誘導されやすいです。

一方でマシュの方は縦に急いた、やや窮屈な流れとも言えます…。

先述した話と被りますが並々ならぬタイツ愛があふれ出たマシュの絵、

画面への視線的に主役になっている顔部分に対し、(dorachanさん的主役であろう)タイツへのこだわりがバッティングしてしまった感があります。

対する叢雲の絵は、各パーツのサイズ、そして明暗でしっかり差をつけて優先順位を格付けすることに成功しているため、

非常にわかりやすくできています。

■「体のつくりやバランス」

体の描き方の問題で言えば、体の比率、重心、骨格、奥行き…などなど(自己流に磨き上げる上でも)ある程度抑えていく必要があります。

ハッタリの効く構図やポージングによっては、そこまでの厳密さがなくともある程度誤魔化しもできますが、

今回は体育座りという難しいポーズに加え、体の角度的にも誤魔化しの効かないものとなっています。

今回のような難しいポーズを取ったときはまずネットでそのポーズ名を画像検索して、写真で見る下調べをするのが無難です。

それらを見て肩はどのくらいの位置まで来るか、肘はどこまで届くか、手はどこまで届くか、膝はどうか…

違和感のないバランスを検証します。

その補助として可動フィギュアで検証するのも便利です。

今回叢雲とどこで差がついたか、それは奥行きに違いがあります。

叢雲は「上半身」「下半身」で奥・手前ときれいに分かれています。背景で言う「遠景・近景」みたいなものです。

少し乱暴に言うと体の重心やバランスなど考慮しなくてもこの奥・手前の配置さえしてしまえばそれで絵として成立します。

ところがマシュの方は奥・手前という大きな階層がないため上半身と下半身が一つ繋がりになったことで

より正確な人体の認識が求められ、難易度が上がっています。

分析は以上です。

それらを踏まえ、自分なりに明暗・線画・構図それぞれの観点から添削させていただきました。


視線と構図から見る

【明暗】の調整例

(ビフォーアフターがわかりやすいように、

構図や線画はそのままにしてます。)

(画面全体を見た印象でざっくり手を

入れています。細部などには触れていません。)

それぞれの調整箇所について解説しますが、

光源や形状などのデッサン的な明暗・塗り

というより、

ひとつの面に「変化をつける」・メリハリをつけ

飽きない見た目に工夫するなどの基準ではったりや

脚色を加えています。

画面のストーリー性や見せたい目的になどによって

正解は変わってくるので、パッと見た印象を踏まえた

調整の一例として考えていただければ幸いです。

頭や肌の調整解説

一番に目立たないよう

少し暗くして

コントラスト弱めました

少し暗くして

メリハリつけつつ

周りとのコントラスト弱めました

個人的な考えですが、

チラリと見せたいところは

筆をガシガシ入れず、

陰影のコントラスト弱めで

最低限にとどめることで

より威力が増すので好きな手法です。

背景の調整解説(あまり細部は手を入れてません)

パースや流れのイメージ

ここを

壁としました

体のシルエットをより見やすくするため

影は無くすか極端に薄くていいと思います

両足に

目が行きやすいよう

シーツの影を薄めて

コントラストを

強めました


タイツの調整解説

明るい面、

左脚・右脚とも

同じ調子だと変化がないので

メリハリつけました

脛や太ももより

平べったい形状がわかりやすいよう

明るい面を増やしました

(相対的に脛や太ももの丸みが

キレイに見えます))

ふくらはぎより

面積の大きい太ももの

方を明るくしてメリハリつけました

お尻の暗い面に沈んでしまう

ので明るい面を増やしました 


【線画】の調整例

横から見た体育座りを検証して

膝の位置、手の位置、上半身の姿勢など

見直します。

(※画面内に収まる構図条件と、

足で股が隠れる演出意図は度外視してます)

腕の組み方を

再現した場合の姿勢

   ↓

膝が胸に密着する

(膝頭と胴体の間の

隙間が少ない)

肩のラインを揃え、

同様に膝頭も高さを揃えたいです。

膝の向きを

再現した場合の姿勢

    ↓

つま先・すねも気持ち

ゆったりめに開く

前傾姿勢でない場合は

腕をゆったり伸ばして

手を組む

前傾姿勢で

膝を抱える

肩幅に合わせて

お尻も大きめに


視線と構図から見る

【構図】の調整例

トリミングのみで調整してみました。

(左と下の背景を描き足しています)

全身を画面内に収める前提で考えると強引な調整ですが、

足先に注目しやすくなると思います。

頭を切ることで近い距離感を演出できます。


【オマケ】構図ラフ

簡単ではありますが構図練り直しの提案として描きかけていた構図のいくつか。

参考になるかわかりませんが…。

「見せない」構図案の色々

セーフ

逆光。暗くしてセーフということにする


タイツの質感については、自分のフェチに従って「艶めかしくしたい」

という願望が強く、あまり実物に近づける意識はないです。

細かいテクスチャを入れたりという手法は取っていません。

(あくまで絵のタッチを出す方向性が好きなため)

タッチと言えば、その筆の流れを活かす形で、ハイライトを引いています。

全体の雰囲気や流れなどで強弱・メリハリをどうするか判断しています。

(実物だとなかなか輪郭に沿ったハイライトはできにくい質感のため脚色多めです。

その辺はまだ自分も改善したいところです。)   

背景の色を取り入れたり、タイツの色と

補色(この絵で言えば青や青緑系)

になるものを使う

強 弱

複数の明るい線(ハイライト)

を入れてその形状、色、

コントラストで変化を出す

(特にアウトラインに

隣接してるものは、

アウトラインに沿って平行に

するのでなく、肉感に沿って

途切れたり薄くさせる)

厳密な「黒タイツ」というこだわりがないため、

比較的肌の余韻や暖色を感じやすい茶色い下地を

よく使います。

明 暗

このタイツも、上の絵と似た方法を取り入れてます。

この絵に限らず、総じてほぼほぼ「艶めかしくしたい」

という目的だけで色合いや明暗を調節してます。

明暗は全体的な陰影が均一にならないように矢印のように

上下や左右で下地から差をつけています。

最近では、簡素に艶めかしさを出すために

境界線の比較的はっきりしたハイライトも織り交ぜます。

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以上です。

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