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「ちょっ…!!な、なによ、コレ…!」

クリスマス、お正月と年末年始の行事を終え、更にはピンク色のハートが飛び交うバレンタインを過ぎたばかりのカルデアで、今夜もまた一人、自室で足元に目を移しては驚嘆する者がいた。

彼女の名前はジャンヌ・ダルク〔オルタ〕。かの聖処女ジャンヌ・ダルクがひょんなことからルーラーとしてではなく、反転・異霊化したアヴェンジャーとして召喚された姿である。

とはいえ、今の彼女を見て本当にあのジャンヌ・ダルクなのかと疑わない者はいないだろう。

閉めきられた薄暗いワンルーム、ゴミ箱から溢れたハンバーガーの包み紙に、床に何本も転がったままの空になった炭酸ジュースのペットボトル。

そして…。


「は、82kgって…んなわけないでしょ!ざけんじゃないわよ!やっぱりこの機械、狂ってるわ、そう…おかしくなってるのよ!そんな、私が82kgのデブなんかに…、デブ、なんかに…」

ぶにゅ。

足の下に置かれた薄型体重計のディスプレイに表示された数字に戸惑いながら、かれこれ30分。乗っては降り、乗っては降りを繰り返しても、毎度示されるのは82kgというぽっちゃりを越え出た値だった。

そんなわけない、英霊が太るわけ…。

そう信じてきた常識が皮肉にも、自身の姿を省みずにジャンクな食事を貪ってきた生活習慣のツケによって瓦解する。

まるで「俺・私って太らない体質だから~」と学生時代に笑いながら油断していた人間が、20代後半にしてストレスによる過食と体質の変化によって、見違えるほどにブクブクと太っていたかのように、ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕、通称・邪ンヌもまたその身に堕落の印を蓄えていた。

「なっ…!これって私…もしかして本当にデブった…とか…」

そんなはずないと思って摘まんだ腹の肉は、摘まむはずが予想を大きく上回るほどの皮下脂肪で「掴む」と言った方が正しく、両手でもガッツリと掴める。

それもそのはず、元々44kgだった身体に余剰な脂肪が丸々約40kg分も付いたのだ。身体は一つなのに重さで言えばかつての自分が二人分。全身にみっちりと肉が付いていてもおかしくはない。例えば、隙間のあった太もも同士の間が、今やもっちりとした太ももの肉で埋まり、間に首を挟まれれば窒息なんてことも…。


ぶに、ぶにゅんっ。

「うっわ、これが私の身体だなんて…」

余分な肉など全くなくくびれていたウエストのシルエットは、今やデリバリーのジャンクフードばかり食べて運動をしていなかったのもあり、二段重ねの皮下脂肪で膨らんでいる。湿っぽくも冷たい脇腹の肉を前方に寄せれば、へそが潰れるほどにみっちり蓄えられた腹肉の塊がドップリと姿を現す。

とはいえ邪ンヌから見れば、腹部と同様に成長した豪勢なおっぱいの山が、下を向く視界の1/3を占めているため、実際に溜め込まれた脂肪の山をまるごと目の当たりにすることはないのだが。

「っ…ぐぅ…!や、痩せなければ…!!こんな姿、アイツにもクジラ女にも見せるわけには、いかないっ…!」

数ある霊衣の中から「楽だから」と言う理由でバスターTシャツや水着ばかり着て怠惰を極めていた邪ンヌが、息を荒げながらに誓いを立てる。

薄着ゆえにムッチムチとなったボディラインが余計に目立つその格好で、太ももの肉をぶるぶると震わせながら、残り一つとなったハンバーガーを手に取り、邪ンヌは真夜中にも関わらずカルデアの廊下へと歩んでいく。


「はぐっ、あむっ…!…ごっくん。痩せるにはまずウォーキングよ!アイツらに見つかる前に、はむっ、やへれやうんらから(痩せてやるんだから)!……げぶぅ」

二段の分厚いパティに何重にも積まれたチーズを挟んだハイカロリーなハンバーガーに思い切りかぶり付き、頬に付いたケチャップを指で拭いながら、不意にこみ上げたげっぷをしつつも進む。

胃袋にまた栄養をぶちこんだ彼女・邪ンヌは、果たしてマスターや宿敵ジャンヌ・ダルクに気づかれる前に痩せることができるのか…!!


―――――――――――――――――

ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕

初期

Height:159.1cm

Weight:44.2kg→82.9kg

B:108.1

W:93.4

H:103.2



§§§



ドスッ…ドスッドスッ

「はふぅ…ぜぇ…!ぜぇ…!!きゅ、休憩よ…

だはぁ…!!ごくっごくっごく…ぷはぁ、生き返るわ…ぐぷっ」

日差しを木々が遮り、木葉の間から漏れ出た光がうっすらと地面を照らす日本の某所。ダイエットを決意してからかれこれ1年弱、邪ンヌはこの日もウォーキングに精を出していた。

日中はマスターである藤丸や厄介なジャンヌらサーヴァントに見つからないように、こっそりと設備をいじり単独でレイシフト。ニューヨークなどで運動する日々を過ごしていたがここ最近は日本のある都市が気に入っている。一方、夜中は人目に付くこともないと考え、カルデアの廊下にてウォーキングを続けていた。

…はずだが。

「ふぅ…あむっ、にひへも…ごくんっ、最近服が縮んで仕方ないわね…はむっ、んぐっ…これじゃ、いくら新調しても埒が明かないわ…!ああもう!この服もキツ過ぎよ!」

ウォーキングを続けていくうちに、季節が夏となってからはバスターTシャツでさえも「暑いし鬱陶しい」と言って秘密裏にスポーツウェアを購入していた邪ンヌだった。だが、初めのうちは「痩せればブカブカになる」と言って意気込んでいたのはどこへやら、今ではウェアがキツくなればまた一回りサイズの大きいものを購入するに至っていた。

運動しているはずなのに、なぜ?

邪ンヌ自身も目を背けている事実だが、その原因は一目瞭然と言ってもいいだろう。


ズズ…ドスッドスッ

「はぁ…!はぁ…!ふぅ…ぜぇ、はぁ…!なんでこの前買ったばっかのコレまで縮んでんのよ!

はぐっ、あむ、んぐぅ…うおけば、ごくっ、動くほどお腹も空くし…!

はぐっ!んぐ、あむっ!…ああ!もっと食べたい!」




運動しながらのカロリー補給。消費カロリーが微々たるものに対して、かき込むようにケーキを口に詰め込んでは頬にクリームをつけているだけで得られるカロリーは数百ほど。

…こんな矛盾した運動(食)習慣のサイクルを半年以上続けていた。

1日の運動時間は休憩を抜けば約6時間以上。ひたすらにウォーキングを繰り返すタフさは流石、英霊となるだけのものである。だが、10分のウォーキングあたりに1個は何かしら高カロリーなものを摂取していないと気が済まない。

昼時になればハンバーガー、おやつやストレスで狂いそうになれば糖分を求めてケーキやクレープなどなど。

10分ごとに毎度ハンバーガーを食べていたとしても、その数は優に30個を超えている。

おまけに、朝食はガッツリ、夕食は疲れとストレスからのドカ食い。

邪ンヌ本人は何時ごろからか考えないようにしているようだが、客観的に見れば、明らかなカロリーオーバー。

そして…太りすぎだった。


ビリッ…!

「はぁ、ほふぅ…!も、もう休憩!げぷっ、ぐるじい…!」

10分ごとの食事によって二段腹ながらに大きく膨らんだ上の段の腹肉。普段は皮下脂肪でみっちりと覆われている為に柔らかくぶよっとしているのだろうが、ここまで食べてきた量もあって、運動しているにもかかわらずパンパンに張っており、ボールのような膨らみの腹がそこにはあった。

その反面、ジャンキーな食事ばかりを摂っていた彼女の胸は、健康的な膨らみというよりかは若干垂れ気味で、大きいとは言えども形はあまり宜しくない。ぎりぎりサイズの小さいスポーツウェアで寄せて固定しているので形をとどめていると言ってもいい。

一歩踏みだすと、ぼよん!どぷっ!っと上下にひと揺れする胸と同じリズムで、スポーツウェアによって輪郭が強調された尻から下の下半身の肉もまた、凄まじい事になっている。

ぶりん!ぶりん!と大きすぎるが故に一挙手一投足で揺れ動く尻の肉。そして行き場をなくした脂肪分が太ももに付いたことで分厚い贅肉の段が形成されており、今にも張り裂けそうなほど、ウェアを内側から押し広げていた。


ビリッ、ビリビリッ…!

「ぜぇ…!げぷっ、お腹も重い…はぁ、ふぅ!もう、運動したくないわ!ぶふぅ…お、お腹も空くし疲れるし…!はぁ!ふぅ!」

重力に負けて垂れ下がった特盛の腹肉が、足の動きに連動して持ち上がったかと思えば再び重力に負けてドスッと落ちて全身に重みを感じさせる。中身が詰まっていながらもブヨブヨと動くその巨腹は邪ンヌ本人とは別の生物のよう。

だがそのはずもなく、目測200kgオーバーのその図体は数分動くだけで発汗し、一般女性の太もも以上の太さがある二の腕に食い込むように巻かれたバンドによってせき止められた汗が滞留した脇や、空気に一瞬しか触れる事のない腹肉の段や内腿からは邪ンヌ独特のジャンキーな汗の匂いが混み上げる。

そして。


「なっ!?なによ!?…って、うあぁ!?」

ビチビチィ!ビチビチィッ!!!ドッシィィィィン!!

パンパンに張り詰めた下半身のスポーツウェアが許容量を圧倒的にオーバーしている尻・太ももの肉に耐えかね一繊維の断裂を境に驚異の勢いで引き裂かれていく。

おまけに内腿の肉と肉のぶつかり合いで摩擦が生じていた事もあり、尻・太もものラインとは別に、内腿側もまたビリビリと破れていく。

更に更に、悪循環は止まらない。

急な下半身のウェアの断裂に戸惑った彼女は、足元への不注意と元々その重量に負けてほとんどズリ歩きをしていたのもあって、小石に躓き重心が前へ。その変化に太りきった身体が追い付けるはずもなく、そのまま転倒してしまっていた。

下半身はほぼ素肌丸見え、上半身は元々半裸に近いような着こみ具合だったがそれに加えてスポーツウェアから零れた片胸が局部を晒してしまっていた。


「うぅ…何なのよもう…!最悪!もうやっていられませんね!運動なんて今日こっきりでおしまいよ!お・し・ま・い!…さっさと帰っ…ぅぐっ、起き上がれ、ない…!?」

身体中汗だくだったこともあって、転んだ拍子に全身土や砂まみれの竜の魔女。太りきった挙句にこの有様でもはや一国の一時代を彩ったと思えない転落ぶりだ。

また、これによってストレスメーターが振りきれ、ウォーキングの習慣も辞めにしよう、帰って好き勝手にデリバリーでジャンクフードを取ってたらふく食べまくろう、そう思っていた邪ンヌに、あろうことか自身の育てた巨腹や贅肉の山々が立ちふさがる。

上体起こしの要領で腹筋を使って起き上がろうとするが、歩いてばかり食べてばかりの彼女には、200kgオーバーの身体を起き上がらせるだけの筋力はない。あったとしても、パンパンに膨らんだ腹肉のへそ上の段が物理的にそれを許さない。

「うぐっ!なん、でよ…!腹が邪魔…!こんな!こと!ふんっ!!」

ブヨヨヨヨッ!どぷんっ!

息を止め、一気に身体を起こそうとしても、贅肉をため込んだ腹はへこまない。ただひたすらに顔を真っ赤に染めて身体を起こそうとしている肉団子がそこにいるだけだ。

そんな事を繰り返すうちに邪ンヌ自身も自分の身体が明らかに以前から一回り、二回り、いやもっとそれ以上に巨体化している事に気づき始める。

「ぜぇぜぇ!!そんな、こと!私は…!太ってなんて…ぐぅぅ!」

上体起こしが不可能ならゴロンと寝返って腕と脚の力で立ち上がればいいと思いつく。これならば腹肉は邪魔もしない。薄々自分が痩せるどころか太っていた事に気づき始めていた彼女だが、これなら…そう、これなら…。

だが、またしても筋トレというものを一切していなかった邪ンヌの腕や脚は、脚はまだしも、腕については太いだけでその内側にあるのは9割が贅肉。筋肉によって太くなった逞しい剛腕なのではなく、逆に贅肉と怠惰によってコーティングされた脂ギッシュな堕落の塊。パンパン、ぶよんぶよんの腕に自重を支える力などなく。

「んぐぐぐぐぐ!!!ぶはぁ!!そんな!!ぜぇ、ぶふぅ…これじゃ、私…」

立ち上がろうと地面に手をついても、肘を伸ばすまでが遠く、力を入れても二の腕の肉塊がぷるぷると震え続けるだけで一向に身体は腹肉を中心に地に着いたままだ。

起き上がろうと奮起しても地に寝転がってゴロゴロしているだけにしか見えない、もはや邪ンヌ自身も己の無残な有様を把握していた。

これではまるで…。


「ぶふぅ…!ぜぇ、もう、無理!…私、これじゃ、鯨と変わらないじゃない…ううう!んな事考えたらまたお腹空いてきたじゃないのよ!!…もうどうにでもなれ!早く助けに来なさいよ、マスター!!」

でぷんっと重力に負けた全身の肉が地面に垂れる。腹肉こそ胃袋内の食べ物に押されて硬くなっているが、他の肉は柔らかく、彼女にはもはやどうしようもなかった。

これまでマスターや本来のジャンヌ・ダルクにバレないようにとダイエットを試みてきたが、その日々もこれで終わりとなる。これで、ブクブクと太りきった醜態をアイツらに晒すことになる…。だがそれ以上に、今この瞬間の窮地から抜け出したい、ストレス解消に何かを食べたいという欲求が勝り、異常な魔力放出を意図的に行う事でカルデアに自身の存在を感知させ、マスターの助けを待つこととなった。

……邪ンヌの約1年弱に渡る、ダイエット(?)生活が終わった。

その後の事は当然…


―――――――――――――――――

ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕

1年弱後

Height:159.6cm

Weight:44.2kg → 82.9kg → 247.7kg

B:108.1 → 193.9

W:93.4 → 230.7

H:103.2 → 200.2



§§§



某年冬、レイシフト先で太りに太った邪ンヌを、人類最後のマスター・藤丸立香が見つけ、なんとかカルデアまで救出できた日から約2年。カルデア内の職員やサーヴァントたちの大半は、姿を見ないうちに別人のように肥えた彼女の存在を聞き驚いていたというが、2年という歳月がもはやその驚きを日常へと風化させた。

当初は隠す必要もなくなったと言って、四六時中キッチンに来てはデカ盛りの料理をたらふく平らげてはパンパンに膨らんだ腹を衆目に晒していた邪ンヌだが、そんな呪縛を振り切った様子のまま食に耽っていた後に、デブ症ならぬ出不精となり、結局のところ、彼女の自室までマスターがせかせかと食べ物のデリバリーをすることとなっていた。

もはや邪ンヌを止めるものは何もない。恥じらいやプライドなど、とうの昔、あの日に置いてきたのだ。

…無論、運動習慣も。


「邪ンヌさ~ん、入るよ~。食べ物のお届けに参りました…なんつって」

邪ンヌ用に改修工事がされ、他の部屋の2倍の広さとなったドアから藤丸が彼女の部屋へ入る。かつての彼女であれば鍵をかけてあまり人を中にはいれなかっただろうが、最近では鍵をかけるのも面倒で入退室自由な状態になっている。

走って配達に来た藤丸の額には汗が浮かんでいたが、マスターは自身の袖でそれを拭う。

両手には、つい先日マイケルことコンスタンティノス11世が怪しい老紳士を経営顧問に雇い、更にその経営顧問の企てという噂もあるが嫌な顔を浮かべていたブーディカを買収する事で設立したマイケルバーガーの「M」の文字の入った紙袋を5つほどぶら下げている。

中身は様々なハンバーガーやフライドポテト、ミルクシェイクなどなど多彩なバリエーションを備えているが、それらは全て彼女の胃袋の中へと収められるものだった。


「ふぅ…遅いわよ…!ぜぇ…ふぅ…アンタ、私を飢え死にさせる気?危うく空腹で退去するところでしたよ…?ふぅ…いいから早く食べさせなさい!」

藤丸が部屋に入り数歩進むと、ベッドの手前、床にその巨尻を着けた巨体の彼女が座っていた。大きな大きなぬいぐるみかと一瞬思うほど、そのシルエットは常人離れしており、まったくもって締りがない。

「邪ンヌ、また太った…よね?」

「はぁ!?今さら何言ってんのアンタ?運動してないから当然でしょ!…良いのよ私はこれで!デ、デブでも別に困ってませんし!」




脳内で「自称デブってことにめっちゃ恥じらい持ってそう」と思った藤丸をよそに、一瞬顔を赤らめた彼女は手の届く範囲に置かれたMマークの紙袋に、プクプクに膨らんだ手を伸ばして中を漁り始める。

300cmを超えそうなほど盛大に、とてつもなく膨らんだ腹は、へそに手が吸い込まれそうなほど分厚い肉の段を形成しており、叩くだけで大きく波打つ。以前ウォーキングしていた頃は若干日に焼けて健康そうな色をしていた肌は、すっかり日焼けも落ちて、雪のように白い。柔らかさと色だけみれば大福のような身体をしている。

おまけに、太りきった巨体という事や息苦しさも相まって、全身汗で湿っている為、脂肪がテカテカと輝き、ローションを塗ったかのようなヴィジュアルだ。大きな腹肉に持ち上げられた爆弾のような胸も、たわわに実っている事もあって、正面から見たら彼女の顔は胸の肉で半分隠されている。上から見れば、分厚い二重顎が首を埋め、パンパンに膨らんだ頬の輪郭が口に詰められていく食べ物で更に膨らむ様子が見られるのだが。

下半身に至っては腹肉が覆っている為見えない部分も多いが、かろうじて見える太ももらしき部分は、これでもかと贅肉が付いたことでチョココロネのようにドーナツ状の贅肉の段が形成されており、太っているというレベルでは済まないほどに肉が付いていた。当然、こんな図体の者が自力でシャワーを浴びられるわけもなく、自室のシャワールームはもう暫く使われていない。彼女の身体はマスターである藤丸がタオルで拭くのが日課となっていた。


ゴソゴソ…じゅるっ…い、いただくわ…!

あむっ、んぐっ、ごくっ…!んんん~!やはりジャンクフードは至高ね!

んむっ、ふごっ、はむっ…!ああ、止まらないわ!もっと…!

あむっ、ごくっ、じゅぼぼぼぼぼ!!はぁ…!堪らないっ…!

げぶふぅ…!ぶふぅ!まだまだ食べたくて…とめられないぃ…!

ぐぷっ、あむっはぐっ、じゅぼぼぼぼぼ!ごくり、んぐっ…ぶはぁ…


両手にハンバーガーを持っては交互に口に運び、一つ食べ終わるとフライドポテトやミルクシェイクに手を伸ばす。一瞬も止まることなくひたすら食べ続けるその姿は飢えた獣のよう。だが藤丸にとってはこの光景も既に日常となっており、何も驚くことはなかった。

しいて言えば、彼女の世話をするうちに藤丸自身の中で「太った女性への関心」が高まっていたくらいだ。

「よ、よく食べるね…毎度の事ながら」

「んぐっ、ほうへんでひょ!ごくっ…当然!食べなきゃやってられないわ!それに、こんなにおいしい物を食べないなんて損ですからね…!あむっ、ぐぷっ、ごくん」

脂でコーティングされた指先でポテトをまた摘みながら、感心する藤丸に邪ンヌは持論を展開する。ここまで太った彼女にとっては、もはや食が生活の中心に来ており、これ以上太る事や既に太った自分などという事はおおむね蚊帳の外というわけである。

「そっか…あっ、今日も身体拭くね」

「んぐっ、え、ええ…どうぞ?ですけど、あんまり身体揉まないでってのは…もう分かってるわよね?」

「う、うん、大丈夫…!あくまでタオルで拭くだけだから!優しく丁寧に…」

「そ、そう…じゃあ、どうぞ…」


食べるペースを落としながら、邪ンヌはのそのそともたれ掛かっていたベッドから背中を離し始める。そしてその間に藤丸は洗濯したばかりのフワフワのタオルを濡らし、彼女の傍へ寄りそう。

「じゃあ、背中から…拭くね…」

あむっ、んっ。

無言で食べながら頷く彼女を視界に捉え、藤丸は絞りたてのタオルを広げて背中に触れる。タオルの生地越しにも分かる圧倒的弾力。200kgはおろか300kgを優に超えた彼女の背中は、何重にも肉の段が重なっており、特に水着霊衣でいることもあって胸元から横一線に伸びたビキニの紐が肉と肉の間に食い込んでいる。一段一段の感触がぶよぶよと柔らかい上に、山と谷があって触れているだけでも快感を得る。

更には汗が溜まって匂いがキツくならないように、段と段の間は入念に手入れしなければならない。つまり、片方の素手で上の肉段を持ち上げながら、もう片方の手で握ったタオルでその間に溜まった汗を拭きとっていく必要があった。これは背中に限っただけの話ではない。

「ふぅ…よいしょっ…はぁ!背中、あと少しだからね…」

「んんっ///// わ、分かってるわよ…あんまり擦んないことね…んはぁ…あむっ…」

言葉にはしないが、邪ンヌがいつの日からか自身の巨体を誰かに触れられることに快感を抱くようになっていた事を藤丸は悟っていた。明らかに食べるペースが落ちている。顔も紅潮ぎみだ。息も荒い。

だが藤丸にはそれよりまずは彼女の巨体を綺麗にすることが優先されていた。


「ふぅ…次は…脇…だね」

「ごくっ、ぷはぁ…ア、アンタが持ち上げて…。私には、少し腕を挙げる事しかできませんから…」

ムスっと睨むような眼をしながらも、彼女は振袖のように太く肉の巻き付き垂れた腕を上げ、脇を拭く事を許可する。とはいえ、腕はまですら上げられておらず、ほんの少しだけ上がっただけだ。これでは自力でシャンプーができないのも仕方がない。振袖のような二の腕の肉が重すぎて、筋力の弱い彼女の腕では上げられないのだ。ちなみに、シャンプーもまた、藤丸が週に2~3回、邪ンヌの身に支障を来さない頻度で行っている。

「じゃ…右脇から…持ち上げるね…」

ぶにゅん、どぷんっ!

そう言って藤丸が右の二の腕に触れると、明らかに視覚的には底にあるはずの巨大な肉が、まるで水風船のように柔らかく、そしてスライムのような固形とは思えない感触を伴って持ち上げられる。重い、だが触り心地はこれに勝るものはない。片手でがっしりと掴んでは極太の腕ごとぐっと持ち上げる。すると脂肪に埋もれた脇が空気に触れた。

ツンと鼻を刺すような汗の匂い。男性のそれとは違って捉えようによっては良い匂いにも感じられない事はない…?毎日タオルで拭いているのに、こうして手入れをする時以外は一切隠れている為か、いつも脇からは彼女特有の汗の匂いがする。

「んんっ、んはぁ//////…ちょっと…!あんまり、見ないでもらえる…?それに…も、揉みすぎよ…」

恥部を凝視されていた彼女が我慢しきれずに口を開く。その言葉で我に返った藤丸は自身が思いの外、強く彼女の二の腕を掴んで揉んでいたのを自覚し、力を抜く。

「あっ…ご、ごめん、ちょっとだけ……いや、何でもない。次は左だね…」

手を放すと右腕の肉塊がだるんっ!と一瞬で垂れ下がる。その様子を他所に、次は左腕へと手を伸ばした。

先程と同じぶよっとした感触と圧倒的なまでの肉量を備えた二の腕。

同じ作業を繰り返すだけだ。だが…。

「ア、アンタ…く、臭いとか思わないの…?こんな、デブった私の腋なんか見せられて…拭かされて…」

二重顎を震わせながら邪ンヌは小さな声で問う。水着霊衣なだけあってか、霊基は普段のアヴェンジャーからバーサーカーに近くなっており、刺々しさは和らいでいるようだった。顔を真っ赤に染めて、彼女はマスターに問うている。

「ぜ、全然…!だって、邪ンヌは大事な仲間だからね、それに……それに…邪ンヌの事、好きだし」

今度はあまり腋を凝視しないようにして素早く手入れを済ませる。藤丸の返事に対して邪ンヌはすぐには何も言い返しては来なかった。


だるんっ、どぷっ!

手を離すと左腕の肉が零れ落ちる。何度見ても圧巻だ。脇の次は腹、それがいつもの流れだった。

だが、この日はそうはいかなかった。

「じゃ…次はお腹を…」

「ま、待ちなさい…!先にこっちから…拭かせて」

いつの間にかマスターが運んできた食べ物を全て平らげた邪ンヌがタオルを寄越すように催促する。彼女の腹は藤丸がここに来た時よりも明らかに膨らんでいた。そして、彼女がタオルを手に取ると、指先の油を拭い始めて言う。

「べ、別に…大意はありませんからっ…少しばかり、気が向いただけ…」

そう言って徐に両手を胸元へと向かせ始める。重たい大福のような胸をムチムチとしたソーセージのような指とクリームパンのような手で持ち上げ、下乳にタオルを通す。水着を脱がない自堕落さは、彼女の胸の恥部がマスターに丸見えになろうとも気にさせない。乳を持ち上げていた手を離すとぶるんっ!どぷんっ!とおっぱいが腹肉にバウンドし乳首が水着から零れる。

藤丸はこの光景に絶句しながらも心拍の上昇を抑えられない。一方の邪ンヌ自身もまた、眉間にしわを寄せながら、ただただ無言で、荒い鼻息と吐息だけを漏らしながら、また片方の胸を持ち上げ、下乳にタオルを通す。再び肉に波を打たせ、水着から零れた乳首を太い指で隠すように水着に抑え戻し、彼女は胸を拭き終えたばかりの生温かいタオルをマスターへと返した。

「ジャ、邪ンヌ…えっと…あの…」

「ふぅ…ぜぇ…!い、今は何も言わないで!いいから早く、お腹…拭きなさい…お、重いでしょうけど…」

あえて目を反らすように顔をマスターの方へと向けないサーヴァントに、マスターはそれ以上の問いかけはしなかった。ただ渡されたタオルから彼女の体温を手の平で感じるだけだ。そうしていると、邪ンヌはゆっくりと呼吸を整えてパンパンに膨れた手で大きな二段腹の上の段を持ち上げる。

白い雪のような肌もあって、弾力や形状を込みで考えてもまるでパンの生地。へそを谷にするように分厚く育った巨大な二段腹は、一段を持ち上げるだけでも彼女の腕を振るわせる。筋力が弱いとはいえ、邪ンヌ自身の中でももっとも贅肉が付いている部位だから、数十kg以上はあるに違いない。下手をしたら一段の腹肉だけで50㎏なんてことも…。

そう藤丸が思っていると、邪ンヌはマスターが自身の肉体にまたもや目を奪われている事に気づく。

「んぐ…ふぅ…ちょっと…早く、拭いて…」

肉段に埋もれていた臍から濃い汗の香りが放たれる。汗臭く、かといって身体が受け付けないようなものでもない。藤丸はただただ、片方の素手で大きな彼女の腹に触れながら、もう片手のタオルで腹肉やその段の間を拭く。マスターは何も言葉を発しなかった。

「んっ…///////…はぁ…!ふぅ…あっ///////」

マスターの指先、手が触れる度に腹肉へと沈みこみ、マスターには弾力による快感を、サーヴァントにはだらしのない巨躯に他者の手で触れられることの辱めと快感を与え刺激する。

胃袋に近い部位ではパンパンに張った腹、一方で下腹部やへそ下となれば逆にだるんだるんに皮下脂肪が柔らかく、餅のような感触でギャップを提供してくる。はたまた、脇腹ともなると、背中に近い何重もの肉の段や、脇腹なのか腰なのか分からないほど肉の付いた部位に食い込む水着が、その規格外の身体のサイズを訴えてくる。

そして、どこに触れようとも、もはや邪ンヌの顔は紅潮したままであり、息はひたすらに荒い。

「はぁ…///////はぁ…!もっと…もっと…!私のだらしない身体に触れなさいっ…///////」

下半身はどこよりも柔らかい肉に覆われており、特に内腿はボディクリームを塗らなければ肉と肉が擦れて炎症を起こしてしまう。手にクリームを取って、マスターはただただ念入りに彼女の内腿に手を入れ、クリームを肌になじませていく。その過程で肉を揉みこみのは不可抗力だ。

陰部から立ち込める香りに刺激されつつも、二人は蒸気の立ち込めるような湿度と温度の高い時間を過ごす。

「ぜぇ…ぶふぅ…こ、こんなに…」

汗を拭いたばかりなのに、彼女の身体はまた濡れていた。これではまた拭かなくてはいけない。

だがそれも満更でもなかった。

ぐぅ、ぎゅるるるるぅ…

「うっ…お、お腹が空いただけよ…仕方ないでしょう?食欲を抑えられないのだから…。は、早くおかわりを持ってきて…。そしたら…また、続き…しなさい…」

パンパンに膨らんだ手で巨腹を撫で回す。先ほど2000kcal以上は摂取したばかりだというのに、興奮と微々たる筋トレもあってか、たったの1時間弱でまたしても空腹を感じてしまう。

ジャンクフードに憑りつかれて激太りした身体は、常にわがままで飢えている。

部屋を後にした藤丸が再び戻ってくるまでの数十分、彼女は何を思うのだろうか。

その答えは、後に数時間と夜を共にした彼女たちのみが知っている。

肉を触られる快感を知った邪ンヌの激太りは、暫く止まりそうにない。



――――――――――――――――――

ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕

3年後

Height:159.9cm

Weight:44.2kg → 82.9kg → 247.7kg → 349.9kg

B:108.1 → 193.9 → 222.8

W:93.4 → 230.7 → 300.2

H:103.2 → 200.2 → 278.1


(了)


―――――――――――――――――

English ver.


文字なし ver.


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