巨大温泉ホテル湯~とぴあ 12話「竜宮城」 (Pixiv Fanbox)
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大露天風呂は見渡す限り無人の貸し切り状態だった。
あれほど人でごった返し、男たちの汗や熱気や色々なものが立ち昇っていた光景が嘘のようだ。
平日昼間。地方にある年代物の温泉施設は本来こういうものなのだろう。今までが異常だったのだ。
異常。
終わってみれば、この旅行は異常ばかりだった。入浴も宿泊もサウナも食事も、ずっとずっと興奮し乱れた男たちのバイキングのようだった。
全て終わった。
事態が解決した翌日には、殆の客がチェックアウトしたらしい。ツアー最終日である今、ホテルに残っている人間は数えるほどだ。
無理もないことだ。レオさんが言うには、霧が立ち込めている時はホテル中の逞しい男が大乱交、といった状況だったらしい。男同士で肉棒を咥え、尻を弄り、愛し合う恋人同士のように唇と筋肉を絡め合っていたという。
大山さんが落ち着き、レオさんが土地?を収めた?と同時に、皆無事に正気を取り戻した。
幸い記憶も薄ぼんやりとしていたらしい。全ては夢の中の出来事。程度の差はあれ、皆そんなような認識になっている。
だが、たとえ夢の出来事であっても同性同士、他人同士でまぐわった感覚は残っている。そんな宿泊客と一緒にいるのは気まずかったからか、この一斉チェックアウトとなったらしい。
…………あるいは、そう見せかけて二人で落ち着ける場所に移動した……というケースもあるかもしれない。
本人の意志はともかく、濃密な時間を過ごしたのは事実なのだ。感情は残る。自分のように。
そういうわけで、こうしてだだっ広い露天風呂は見渡す限り誰もいない。
人がいないと見える景色も違ってくる。
殺風景だが遠くまで見渡せるのは気分がいい。風も心地よい。節々が老朽化していたが、それもまた味に見えてくる。不思議なもので、この施設が年代物だということすら、人がいるときにはまったく気が付かなかった。まるで時間までもが随分経ってしまったようだ。
竜宮城。
剥がれかけた看板に、そう書かれているのが見えた。
湯~とぴあという家族向けのふざけた名前の施設だが、ここの設立当初の名前は『竜宮城』であったらしい。確かに、過ぎ去ってみればあっという間の夢物語だ。
「…………やあ」
人のいない露天風呂のなかで、ただ一言だけ声がした。
振り返るとそこにいたのはこの数日ずっと一緒にいた人だった。
大山さん。
巨人のように逞しい体に、ゴツゴツとした顔立ち。
屈強な男そのものの見た目だが、背を丸め、股間をタオルで隠し、声を潜めている姿は、どこか不釣り合いなギャップもあって愛嬌があった。
そう感じるのは、いわゆる……惚れた欲目というやつなのだろうか。
「皆いなくなると、なんだか静かで……寂しげな雰囲気さえあるものだね、ははは」
まさに今思っていたことをなぞるようなことを言った。沈黙を避けるための会話なのがまるわかりだ。
大山さんは過剰に股間を隠しながら、音も立てずに大浴場に浸かった。コレまでであればすぐ触れそうな距離にきていただろうに、隣……というには遠く、離れた場所……というには近い場所に大山さんは腰を下ろした。。
微妙で、そして常識的な距離感だった。
「皆帰ってしまったようだね」
「そうなるとまるで貸し切りだね、なんだか申し訳ないとさえ思える豪華さだ」
「夕飯は……まあその、近くで提携している弁当屋さんがあるらしい。そこで買うのがいいらしいよ。良かったらおじさんが二人分買ってこようと思うのだが」
ぽつぽつと話をしながら二人で横に並び、同じ景色を眺めていた。
肝心の部分を避けながら、沈黙も避けながら、綱渡りのような緊張感が消えない日常会話が続く。
「キミは……」
切り出したのは大山さんだった。
「キミには、本当に苦労というか、迷惑をかけてしまったな」
そんなことない。
返答はすぐに口から出た。
それは大山さんを気遣った言葉でもあったが、同時に真実でもあった。
悪いのは彼ではない。
全てはこの施設が、創設者が仕組んでいたことだった。
あの日、レオさんからこの異常事態についての説明をしてくれた。
どうやら設備層の奥に研究ための書斎があり、そこにかつての経営者の手記が残されていたらしい。
湯~とぴあ。竜宮城。この旅館の経営者であったのは伊須一郎という男だった。
伊須は不動産業などで莫大な富を得た人物で、富と財を得た彼は、物語の悪役よろしく不老長寿に執心していたのだという。彼は巨万の富を利用し、健康食品から海外の新製品、果ては胡散臭い噂同様のものでもかき集めはじめた。
その中の一つが「積上山の白龍伝説」だった。
とある山奥の祠に存在する地底湖に不老不死の霊薬が眠っているというものだ。調査させてくれたら金は惜しまないといい、少々乱暴な手も使ったようだが「積上山を保全するための組織」からの妨害を受け叶わなかったらしい。
だが、その妨害が却って噂に真実味をもたせてしまった。
手に入らなければ、作ればいい。
伊須は彼なりの「積上山の再現」に人生を捧げることとなった。
とはいえ、山をイチから積み上げ、地底湖をゼロから掘り起こすことなどできない。伊須は日本の中から、よく似た場所を探し始めた。
同じような洞窟がある場所はないか。
命が集まる場所はないか。
そうして見つけたのが、竜宮城。ここ、湯~とぴあだった。
「健康になりたい」といった「生への渇望」が集まる施設。
地下には都合よく同形状の洞穴。
人工的ではあるが、再現はかなりの精度であった、と手記には書いてあったという。
彼が求める不老不死。健康で居続ける人生まで後少し。次第に狂気じみてくる老人の手記の最期は、こうあった。
いよいよ今日、私は実行する。
それが今から数十年前。
そう、彼は失敗したのだ。
足りなかったのだ。
残る一つのパーツが
「――つまり、私がここにやってきたから、このホテルはおかしくなったということだろう? 私が……その……」
「積上山の神主の血筋である、この私が」
大山さんは再び気落ちした顔でそう言った。
生気を捕らえるホテルは伊須の目論見どおり成立していた。
殆ど完璧だったとレオさんは語る。
だがしかし、足りなかったのだ。
山の再現に、この「大山さん」の存在。彼の血が。
神主の血。大山さんの一族には特殊な性質があり、その性質がこのホテルの「生気」を目覚めさせた。
本来であれば、生命エネルギーのみを抽出するはずだったが、儀式の中心に神主が据えられることで、様々な齟齬が生じた。
そうしてこのホテルは、命を集める場所ではなく、「大山さんの望み」「大山さんの欲望」が集まり、発散され、伝播する場所へと変わっていた。
不老長寿を求める老人の妄念は、露出願望のある中年の欲望にすり替わって実現されてしまったのだ。
「私の爛れた欲望が皆に、キミに迷惑をかけてしまった」
それは間違いではない。
だけれど、実際死者も怪我人も出なかったのだ。命を集める儀式などという物騒極まりないものが、ただの乱痴気騒ぎで収まったのは、かなり幸いなケースなのだとレオさんも言っていた。
神主の血がなくとも、何かのきっかけで誤作動していたかもしれないのだから。
「しかし……しかしだね」
大山さんはなおも食い下がった。慰められたくて言っている雰囲気ではない。彼は本当に悔いているのだ。
あれだけ欲に弱く、性欲が強く、いやらしい顔を晒す人であるが、この真面目さもまた大山さんの真実だ。
だからこそ辛いのだろう。
ヒーローになりたいなんて思うような人だからこそ、自分が皆を苦しめたというのが酷くのしかかっている。
「ああ、私の欲望があんなことに…………」
勿論被害者を代表することなどできない。できない、が……しかしそこまで悔いる必要はないと思えた。
欲望に取り込まれていく人々を見てきたが、あれはとても……気持ちよさそうだった。
それに、皆チェックアウトして家々に帰っていったのだ。被害は残っていない。まあ……多少性癖が変わった人はいるかもしれないが…………。
皆おおかれすくなかれ、気まずくなる程度には楽しんでしまったのだ。
「楽しんだ……、か」
そうやって責任感が強いところが好きだけれど、そう気にすることではない。
大山さんにそう伝えると、表情が変わるのがわかった。
安堵と、そして恥ずかしさの入り混じった顔だった。
自分の口が『好き』という言葉を発していたことに後から気がついた。おもわず溢れたというか、先日『繋がった』ときにもう知られてしまっているという油断もあった。
「そ、そうか、キミがそういうなら……なんだか私も救われるというか……その……」
大山さんはタオルで股間を隠しながら、どうしたものか迷うように首を右に左に傾けていた。
その姿を見て、明確に自分の方から意識して近づいた。
広い広い露天風呂の中で、遠くはないが近くはない半端な距離が縮まっていく。大山さんはわかっているが拒もうとはしていなかった。
風呂で温まっているからだろうか、大山さんの体は汗でぐっしょりと湿っていた。
「わ、私は、そのお」
目線が泳ぐ。だけど逞しい顎がはっきりと動いた。
「私も、キミのことばかり、考えてしまっている」
その言葉を言い終えると同時に唇を重ねた。
キスというには随分軽い。それ以上のことを何度もしてきたというのに、コレが一番緊張した。
心臓が痛い。
罪悪感と興奮。
大山さんには子供も居るということなのだから、当然男とのキスなんて応じられないと、拒否されるのが当たり前だ。
その当たり前が怖かった。
押し付けた唇から、分厚い感触が返ってきた。
大山さんの両腕ががっしりと自分の肩を掴んでいた。
「思えば、キミには何度も助けられてしまったな……」
「本来であれば、年上の私がキミを守り、頼られる立場だというのに……」
「キミは……とてもいい男、だ……う、うむ、男でも惚れるという言葉があるが、本当にそういう……」
「しかし…………ハハ、つくづく私という男は、だらしないというか、自分の欲望には抗えない人間なのだな…………」
「キミとのキスで、キミだからこそ……こんなになってしまった…………」
大山さんがしっかり握りしめたタオルが風に吹かれて退けられていた。
そこにあったのは限界までガチガチに勃起した肉棒だった。
射精寸前なくらいに硬くなっている。
何度も見てきたからわかる。
本気の興奮の大きさだった。
人などほとんどいなくなっているとはいえ、まだ宿泊客も居る大浴場での行為。とても褒められた行為ではない。
誰か来るかも。
貴方が犯されているところを見に来るかも。
そして軽蔑するかも。
そんな事を言うたび、大山さんの股間はヒクヒクと嬉しそうにしていた。
ある意味初めてのセックスだと言うのに、もうすっかり熟知しているような関係だ。
順番がめちゃくちゃだ。
おかしいことですね、などと言いながら照れ隠しに笑うと、大山さんは「だけど感じてしまうんだ……」と少し悔しそうに笑った。
大山さんは手近に縛るものもないからか、自分で自分の手を頭において、仰向けになって寝転がっていた。そして律儀にそこから動かさなかった。すべてを委ねるようなポーズで、股を開き、体を預けてきた。
いやに臭い足や、ずっしりと重たい太もも、すべてが思うままになってしまう。
そんなシチュエーションに興奮しているようだった。
貴方のそういうところが好きだ。
ちゃんとしようとする。
それなのに果たしきれないところ。
だけれど諦めるわけでもないところ。
往生際の悪いところが好きだ。
「お、往生際とは、ハハッ、なんとも手厳しい――いや」
「むぅ……いやしかし、そういう態度ではだめだな」
「わ、私もキミのことが好き、だよ」
大山さんの口からはっきりとその言葉が聞こえた。
「ああ、言ってしまった…………私が、こんな…………」
「し、しかし、キミにばかり言わせておくのは……男として、とても、卑怯なことだからな……。し、しかしなんというか、正面きって、こうするのは、なんともこそばゆい……な」
それはどっちの意味だろうか。
告白。
それとも尻をいじられることか。
そう尋ねると、大山さんは言葉のかわりに先走りを垂らした。どうやら両方のようだ。
耳に唇に、頬に口づけしながらゆっくりと尻を慣らしていく。
異変の際には脳内麻薬の影響か、それとも生命力の影響か、スムーズに広がっていた尻の穴だが、今はそうもいかない。子持ちの男の尻は固く締まっている。
「ああ、この私が……ほぐされている」
だからこそゆっくりと、何度も互いを確かめる時間があった。
「身も心も――なんて言葉があるけど、ま、まさにそういう……ああ……」
大山さんの前立腺を刺激しながら、ときおり前を刺激しながら、キスと愛撫を混じえ、本当に正真正銘恋人同士がする前戯をした。
おかしな話かもしれないが、それがまた興奮した。
「お、おかしくないかな、大の大人の、こんなおじさんがキミに組み敷かれているなんて、おかしく見えるんじゃないか」
そんなことない。たとえそうであっても、それがいい。
一言一言。
なにか答えるたびに口づけして、大山さんの羞恥心を解消してやったり、あるいは煽ってやったりした。
「き、キミは、ず、ずるいな……」
「そんなに魅力的なのに、セックスまでうまいときたら、まったく…………ああ、こんな……」
大山さんは少し悔しそうにしながら尻を突き上げた。
「一家の大黒柱も、か、型なしだ……。なにもかも、すべて捧げたくなってしまう、あぁ…………」
指の形に十分なれると同時にそんな事を言われた。
きっとわかったのだ。
もういい。
もう大丈夫だと。
「あぁ…………!!」
十分に慣らしたつもりだったが、それでも大山さんの中はキツかった。
尻を締め付ける筋肉の塊を、強引に奥へ奥へと割っていく。
「ハァーーッ……ハァーーッ、ぐ、押し広げられるッ……ああ、キミのもので、私が、ああ……!」
大山さんは切なげに呻いて、眉間にしわを寄せてあえいだ。歯を食いしばり、眉をひそめ、大きな体が左右に揺れる。
直ぐ側の大浴場がざぶざぶと波のように揺れて、静かに音を立てた。
もうすぐ入る。
全部入る。
そう言いながらゆっくりと腰を進める。
大山さんにとっては苦しみも快感ならば、恥ずかしさも快楽。頑丈な体に、卑猥な脳。そして尽きることないような精力。そのうえ犯される快感に目覚めてしまえば、これ以上犯しやすい人はなかなかいないだろう。
「ああっ、そんな……私は、私はそんな男にされてしまうのかあ……!」
褒めるような言葉責めに、大山さんの尻の穴がさらに『良く』なるのがわかった。
大山さんは声を抑えて、けれども叫ぶように言った。
「い、今の私は、キミだけのものになりかけている……! キミの、その、それに貫かれた、本当に、……忘れられなくなってしまう……! ああ、だから、だから最後まで、思い切りやってくれ……!」
大山さんならではの誘いの言葉に興奮は最高に達した。
「父としてではなく、一人の男として、キミの……チンポでイかせ……イ、いかせ、ぬほぉぉお!?」
大山さんも抑えきれず激しい声で叫んだ。それと同時に尻の穴の奥深くに肉棒が入り込んだ。
「お……おお!? おぉお、こ、コレがキミの、キミのチンポ、チンポっ、おぉおおお!?」
大山さんが全神経を犯される自分の尻に向けているのがわかった。
見てわかった。
大山さんの表情からは品性と呼べるものが一切なくなり、気持ちよさそうに口をすぼめて喘いでいた。威厳もへったくれもない。
「おぉぉおお~~~❤❤」
今この瞬間、大山さんの宣言を真に受けるならば……彼は一人の男のモノになってしまったのだ。
それまでずっと父やヒーローや歳上男性といったスタンスだけは守ってきた大山さんが、一本のチンポの虜になっているのだ。
「す、すごい、すごすぎるぅう…………おほお❤ す、好きにされるというのは、なんとも……こんな、むほぉお❤」
大山さんはヒクヒクと尻穴で求めながら、腰を自分から揺らした。いやらしいおねだりでもするような格好だが、体が大きすぎてまるで肉食獣が暴れているみたいだ。
その動きに乗りながらも制する。力を込めて暴れないように『調教』してやる。
「うぉおっ❤ す、すまないい❤ 気持ち良すぎてついっ、ああ……つい乱れてしまうんだぁあ❤ こ、このチンポが、す、好きすぎてええ❤」
大山さんの口から溢れてくる甘ったるい言葉に顔が緩む。
下品な顔、乱れただみ声、男臭いを通りこした体臭。そんな図体で甘えたことを言ってくるところがたまらない。
父親でいることを放棄しなければみせられない顔だ。だからいい。それが興奮する。
「そ、そんなっ、そんなっ、この私はそんな姿になってしまったのかあ❤ そんなふうにされてしまったのかあ❤ うほぉ、おぉぉ……おほぉお❤」
雄ゴリラのような声を上げながら大山さんはどくどくと先走りを垂らす。
一突きごとに、こちらを、そして自分を興奮させるような言葉と先走りが溢れてくる。この筋肉の塊の中には、溜め込んでいたいやらしい言葉がぎっしり詰まっているかのようだ。
「そ、そうだ、そのとおりだあ❤ 私の中は、こんな、こんなにもいっぱいいやらしいものが詰まっているん……だあああ❤❤」
その言葉通り、大山さんの肉棒から激しく精液が吹き上がった。
それでも大山さんの表情や興奮は変わらない。
射精が収まらない。
一撃一撃。大山さんが解放されていく。
肉棒から精液が。口から欲望が。全身から汗と臭気が溢れ出る。
「そこっ、そこっ、そこぉっ❤」
ねだるのは一番いい場所らしい。
ここがそんなに好きなんですか。
「ああ、そこがすきだ、私は、そこで…… イキたいいぃぃ……❤」
もうとっくに射精していることにきがついてないのか、それとも「これ以上」があるのか、大山さんは気持ちいい場所をおねだりしてきた。
「た、頼むぅ、キミのチンポで、私を、私を負かしてくれええッ❤ 全部全部吐き出させてくれえ❤ もっと、もっと吐き出さえて、吐き出させてくれええ❤❤」
大山さんの望む通り、一番奥に腰を打ち付けた。
吐き出せ。
命令のような一突きに、大山さんの目が見開いた。
「は、はいぃい❤ 出る出るでるぅうう❤ おごぉおおおお❤❤」
それはなんの影響も受けていない、大山さんの純粋な射精だった。
鍛え上げた筋肉。
溜め込んだ欲望。
太くりっぱな肉棒。
疼き続けた尻。
それがすべて果たされた、純度100%の大山さんの射精。
「あぁぁあ❤ おぉぉおお……❤ 出る、出ているぅううう❤❤」
どくどく吐き出される雄汁を大山さんはうっとりと見つめていた。
最高に気持ちよかったのだろうか。大山さんはブツブツと繰り返し繰り返し何度も何度も精液の余韻を味わっていた。
そうだと思った。
「……ああ……キミも❤」
「キミも私のなかで、出したんだね…………は、ははっぁ…………」
大山さんはそう言って、ギュッと尻を締め上げた。
そしてこっちを見て、恥ずかしそうに笑っていた。
「あぁ…………すっかり、出されてしまった、もう……こんな奥まで…………ああっ、これじゃあもう一生忘れられないな……私の身も心も、すっかり…………❤」
大山さんはずっと、中に出された精液のことを呟いていた。
大山さんの吹き上がる精液と同時に中出しした精液をずっとずっと味わっていたのだ。
「ああ……こ、こんな私でよかったら」
そして大山さんは、すこしいやらしい表情で、なんともロマンチックに語った。
「もっともっと、たっぷり……愛しあわないか」
それから二人で大浴場を抜けると、二人でコソコソ隠れるようにして同じ部屋に入っていった。
それから夜まで、朝まで、いや…………結局この長い旅の終わりは、
二人揃ってレイトチェックアウトなど使うまで延長してしまった。
一泊は同じベッドを使ったが、一睡もできなかった。
怪異や儀式など関係なく、大山さんの体力と精力はとんでもない無尽蔵なものだったようだ。
帰りの電車の中、精根尽き果てて半分眠りながら、連絡先を交換したスマートフォンを握りしめていた。
大山さんからの連絡が数分おきに 流れてきてしまったのには正直笑ってしまった。
まだまだ元気な様子なのは、添付された写真からもまるわかりだった。
これは不老不死の要にもなりますねと言ったら、大山さんはなぜかちょっと嬉しそうな返事をよこしてきた。
次の休みが今から待ちきれない。