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巨大温泉ホテル 湯~とぴあ地下3階



覚えているのは気を失う直前の青い閃光だった。

そして今、感じられるのは屈強な肉体のうねりだけだった。

前にも後ろにも、そこにあるのは逞しい屈強な肉体だけだ。


裸だ。

皆、裸だ。

汗と精液で濡れている。

筋肉、背中、裸、裸、男の裸。

同じ方向に向かって、喘ぎながら歩いている。

男たちの列。


すぐ後ろに勃起した肉棒を感じる。

ゴリゴリと先端が触れている。


「………お………き………」


すぐ前には、壁のように広い背中と大きな尻がある。

男から見ても逞しく背中だ。

こんな頼もしく、逞しく、立派な姿の男が犯されたらどれだけ恥ずかしいだろうか。

同じ男に犯されてしまったら、どれだけ背徳的で気持ちがいいだろうか。


「……お……聞っ――」


卑猥な妄想が頭の中を埋め尽くす。

ああ、男の肉棒がゴリゴリと体に触れている。自分のチンポもまた、前を歩く男の尻をグリグリと触れている。男は嫌がるどころか……気持ちよさそうにうめいている。

まずい……このままではホモセックスになってしまう……。


いや……。

待て……なんだ。


違う。

そもそも自分は同性愛者だったはずだ。

何故こんな背徳感や、違和感を……感じているんだ。

なにかがおかしい。


「おい、大丈夫かい!」

「え」

「私がわかるか、聞こえるか!?」

「え、え……」


大きな声に、頭の中のモヤが一気に晴れた。


気がつくと、眼の前に大山さんがいた。

彼がグイと手を引っ張ると、男たちの列からずるりと芋でも抜くように体が抜けた。


「うっ……ふぅ……あぁぁ……!」

「失礼、ちょっと返してもらいますよ」

前後を挟む男たちから引き離され、今度は大山さんの逞しい腕の中に引き寄せられた。

男たちは惜しむでもなく、ただ呆然とした目で変わらずあるき続けていた。


「おお、やまさん……?」

「ハァ……ハァ……よし、返事ができるようだね……よかった」

大山さんは安心したように笑って、子供にでもするように頭を撫でてきた。

あたりを見回すと、そこは洞窟だった。

最後の記憶は偽物の洞窟「風呂」だったのに、今いるこの場所は紛れもない本物の洞窟だ。蒸し暑いのは、周囲にいる屈強な男たちの汗だけが原因ではない。


「こ、ここは……」


ここまで自分の足で歩いていた筈なのに記憶が曖昧だ。


「一体、何が……」

「すまない、私にもわからないんだ。何故か皆ぞろぞろとこの……地下の設備層に歩いているようで、キミもまさかと思って追いかけて、ようやく見つけたところでね……」


目を向けると、先まで自分も参加していた一団がまるで操られたように、取り憑かれたように奥へ奥へ進んでいるのが見えた。

角刈りで色黒の男。ボディビルダーのような全身剃毛されたマッチョ。厳しい顔の髭面の男性。

皆同じ表情をしている。

特にあの二人。さっきまで前後を挟み込んでいた二人は、まったく同じ表情だった。顔立ちから肉付きまで一緒だ。そうだ、知っている。……確か、サウナで出会った……川田という名前の兄弟だ。瓜二つの顔でのそり……のそり……と進んでいっている。


気を失う前に見えた青い光。あれが原因なのだろうか。

――何かまた、超常的な現象があの瞬間発生したのだろうか。


「……そういえば、大山さんは……その……意識がはっきりしているんですね」

「あ、ああ……」


助かった。

それと同時に、やはり……という実感があった。

改めて、仮説が頭に浮かび上がる。

妄想の伝播。

大山さんがセックスの快感を知ってからこのホテルは急速におかしくなっていった。

『一度発散すれば大抵妄想のチカラは弱まるものなんだが、これは想定外だな……、むしろ増大している』

レオさんはそんなことを言っていた。

彼が原因だから、大山さんだけは正常でいられているということだろうか。


だが……そうなると妙だ。皆が地下に行くというのはどういうことだろうか。

これも大山さんの妄想の一環か? そうは思えない。大山さんの妄想や欲望だというのならば、失礼な話だがもっと外に向かって、恥ずかしい目にあいに行くようなことをするだろう。


そもそも、この洞窟の規模はなんだ。

このホテルは一体どれだけ地下深くまで施設があるのだ。地下から源泉を汲み上げているというのはわかるが、こんな生々しい洞窟をそのまま残しておくというのはもおかしい。


一体このホテル、誰がなんのために作ったんだ。


湯~とぴあ。

などという間の抜けた名前の表札が、やけにずっしりと重い印象に見えた。



皆が力なく、逞しい背中を丸めて原人にでも戻ったような姿勢で歩いている。

自分もまた、驚くほど力が入らない。

大山さんの体に支えられてなんとか歩いている。


大山さんだけが力強い足取りで、ペタ……ペタ……と裸足で濡れた足場を進んでいっている。

元気だ。

元気すぎるくらいだ。

全身の筋肉が厳しく怒張し、汗が噴き出し、雄の匂いがツンと込み上げてくる。

股間でぶら下がっている肉棒は、まるで一本の巨大な大蛇のように揺れている。

大きい。

今まで見てきたどんなチンポよりも大きい。

こんなにも大きかっただろうか。

鈴口からあふれる汁が、大粒のブドウくらいある。


やはりこの人は特別。

この人にすべて任せてなんとかしてもらう方がいいかもしれない。


………。

またなにか、自分の思考とは思えない事を考えていた。

おかしい。

随分と妙だ。


「…すみません、なんか、まだ頭が、ぼーっとするような……」

「それはいけない! さ、私に掴まるんだ。き、キミさえ嫌じゃなければ、おじさんが……優しく抱きかかえてもいいんだよ」

「え……それは」

「しかしこの先どんどん暗くなっているようだし、キミに怪我をされるよりそっちのほうが安心なんだがね」


そう言って大山さんは鍛え抜かれ丸く発達した上腕二頭筋を曲げて、両拳を腰に当てて胸を張った。

ボディビルダーのラットスプレッド・フロントのポーズのようで、なんとも勇ましい仁王立ちだ。

そんな自分に酔いしれているのか、恥ずかしいのか、その両方か、大山さんの巨根はヒクヒクと上下に揺れていた。一歩、進むたびにチンポが揺れる。そして大きくなる。重たげな亀頭がどんどん膨れ上がっていく。


一歩……?

進む……?


「………待ってください」

「む、なんだい?」

「な、なんでまだ、奥に進んでいるんですか」


そこで気がついた。

足が勝手に地下に向かっている。奥へ、地下へ。

「そう……いえば……」

確かにこの異常事態の原因を知りたくはあるが、身の安全を捨ててまでの探究心はない。

むしろ脱出して、警察なり、管理人なりにこのコトを伝えるほうがよほど大切なはずだ。


「何故我々は……」


大山さんが言いかけたちょうどそのとき、目の前の暗闇が開けた。


関係者以外立入禁止。

やけに機械的な扉で封鎖された扉があった。

その中に男たちが入っていく。


ここだ。

おそらく全ては、ここに集約される。

目前に答えがある。

しかしそれは、何十人もの男性がおかしくなるほどの怪異の根源がここにあるということでもある。

恐怖と期待。

欲望が全身を熱くしている。

見てみたい。入りたい。中に混じりたい。


そんな迷いを消し飛ばすように、すぐ横の大山さんが肩を抱いてきた。


「なあに大丈夫さ、私が原因を解明して、皆らを助け出してみせるよ」

そういった大山さんは白い歯を見せて笑った。


その一言で、なぜだかすっと脚が動いた。





「……んぉお……ぉぉおう……」


扉の先にあったのは、巨大な化け物でも、儀式めいた魔法陣でもない。ただただ広々とした円形の洞窟があった。


人工的といえば人工的だが、自然物にも見える。

その中で、男たちの喘ぎ声が何重にも折り重なっていた。このホテルでは何度と無く聞いた男の唸り声だ。絡み合っている、というのも少し違う。セックスをしているわけではない。男同士触れ合って、物欲しそうに腰を振っている。物足りないような顔と声だ。


「ええっと、皆さん聞こえますか」

そんな彼らに大山さんは少し気まずそうに声を掛けた。

一瞥もくれることなく絡み合う男たちに、大山さんは顔を赤くしながらも続けた。

「む、ええと、私が来たからにはもう安心です。――そのぉ、どういった理由でここにお集まりなのでしょうか?」

狂乱の中でただ一人、まともな口調での質問はやはり答える人は一人もいない。


「すみません、まずはお話を聞いていただけますか」

大山さんは中心に歩いて、教師が生徒にでもするように両手を叩いて注目を集めた。

パン。

大きな掌がぶつかりあって、これまた大きな破裂音がした。

視線が集まるのがわかった。


「む――」

その視線に、大山さんは甘ったるい声を出した。

彼の肉棒は気がつけばさらに大きく膨れ上がっていた。触ってもいないのに勃起し、汁が常に溢れている。

男たちの口が開く。

「おぉ………」

感嘆の声と喘ぎ声が混じったようなものだ。

「やべえ……す、すげえ」

「オレ、ああ……チンポから、目ぇ話せねえ」


男たちが一歩前に進む。大山さんを中心に、渦のようなものが出来ていた。


「な、なにを」


大山さんは戸惑いながらも、姿勢を崩すことも拒むこともなく今もチンポをヒクヒクとさせていた。

つばを飲む音。股間を弄る音。声にならない声。


「あぁ……すげえ」

彼らは口々に感嘆の声を上げていた。


中でも二人の男が、いち早く大山さんの足元に近づいた。

二つの顔、一つの表情。

川田さんの兄弟だ。

どちらが兄でどちらが弟かもわからい。二人に顔を歪め、大山さんの肉棒に顔を近づけていた。二人は舌を口からはみ出させて、餌に飢えた獣のように大山さんにすがりついた。


「は、話を聞いてもらわないと……おぉっ、そ、ソコは」

大山さんの戸惑う声に混じって、二人のベロが肉棒を舐める音がした。

「ああ、チンポ舐めてぇ……これ、舐めてぇ」

「まずい……このままじゃああぁ止まらね……」

「ム……うぅぅっ、しょ、しょうがない、その姿勢のままでいいから、聞いてくれ……あぅ」

奇妙なことに、大山さんはその状態のまま声を張り上げた。


「わ、私はキミたちを助けに来たのだ……な、なぜこんなところにやってきたのかわからないが、こんな……は、裸で、男同士が集まるのは、け、健全では、健全とは、言えなっあっ……あっ」


「やべえ口に入りっこねえ、こんなでけえの……」

「ハァハァ、臭え、雄臭え、なのに、口が止まらねえ……ああぁ……」


「もっと、もっと欲しくなっちまう……ぅ」

「あぁ……男汁が、たまらん……たまらん……」


二人は男としての屈辱と快感にむせびながら腰を振り続けている。

自分たちのやっていることを恥ずかしがりながら止まらない。癖の強いチーズを味わうかのように、巨根と化した大山さんの肉棒を舌で唇で顔面で味わっている。


「あああぁコラ、そ、そんな口いっぱいに私の……ち、ち、チンポ、を……味わってはいけない、そんな、逞しい男が、男相手に快楽を貪るなど、み、見苦しい、ぞ……」

そういって大山さんはこちらをチラリと見た。

その視線が熱を帯びたものだとすぐに察したのだろう、大山さんは「あぁ……」と呻いて更にチンポを大きくさせていた。



「あぁでもとまらねえ……わかっちゃいるのに」

「ハァハァ、なんでだ、ああ、こ、このでけえのに、屈しちまう」


二人はまるで愛し合う恋人のように舌を絡めながら、大山さんへの奉仕を続けている。

なんて姿だ。

間違いなくそんな関係ではなかっただろう。

なにかに取り憑かれているようにチンポを求めている。いや、チンポではない、大山さんを求めている。


「ま、まいったな、こんなつもりじゃ……あ、あぁっ、ハァ……♥」

大山さんはいわゆる「困ったフリ」ではなく、本当に困惑しながら勃起していた。短い付き合いだが、彼の性癖や戸惑いは明確なのでよくわかる。恥ずかしさや屈辱で興奮する性質だが、同性相手に支配的な男ではない。

それなのに、男たちはまるでそう定められたかのように大山さんに集まり、そして平伏していっている。

体を小さく屈めて、眉を弱らせて、鍛え上げた筋肉を脱力している。


「あぁ……我慢できねえ、もう、オレ、もう……」

二人のうち、口ひげだけを蓄えた方が先に叫んだ。

彼は目を見開いたまま、ガクガクと痙攣するのが見えた。

「ど、どうしたんですか、大丈夫ですか!」

そう言いながらも、大山さんはその姿勢のまま肉棒をガチガチにさせている。

「もうオレ……オレ、あぁあ……全部、全部捧げたくなっちまうぅ♥ ……ああ、もういい、もうぜんぶいい、あぁこのチンポ、この雄、この……あぁあ♥」

彼はそういうと、ひとりでに射精した。

腰のチンポから、まるで抑える力までも消え失せてしまったように、精液が溢れて出ている。

「あぁぁ……あぁぁああ♥ 出る、全部出る、全部吸われる……♥」

一切の刺激もなしに、ただ巨大なチンポをしゃぶるだけでの射精。これ以上に屈辱的なものがあるだろうか。だが、口髭の川田さんは幸せそうにとろけている。

「おめえ、な、なんて面晒して……ああ……ああ♥」

「い、いったいなにが、ムッ!?」

川田さんが射精すると同時に、大山さんにも変化が起きた。

肉体がより逞しく強く汗ばむと同時に、その股間にぶら下がった肉棒がグイ……と一回り膨れ上がった。


「こ、これは……」

「ふごぉぉおお♥」

たまらなかったのは、それに口をつけていた顔中に髭をはやした川田さんだ。


「やべコレッこれいじょうデカく、むぅぉぉおお♥♥」

その巨大さを直に味わった瞬間、一瞬で耐えきれなかったかのように咆哮して川田さんは射精した。

「はぁぁああ♥ すげえ捧げるぅ……俺の雄汁捧げちまうぅぅう♥♥」

彼はそう叫びながら、全身から絞り出すように精液を吐き出した。

二人の兄弟の雄々しい喘ぎ声に混じって、大山さんの呻くような声がした。

「ぬぅうう、あ、あ、こ、これは一体!?」


竿が太く、ガチガチに大きくなっていく。

こちらにまで先走りの臭いが香ってくる。ありえるだろうか。今しがた射精したばかりの精液よりも、大山さんの先走りや体臭のほうがはるかに濃い。

そのにおいに充てられたのか、渦を巻いて大山さんを囲んでいた男たちからも次々に射精と喘ぎ声が上がった。


「あぁ」「すげえ」「もうむりぃ」「はぁぁあ」「でけえでけえ」「俺もいれてくれえ」


次々と声がする、それと同時に大山さんのチンポが大きくなっていく。


「あ……あああ♥」

もはや大山さんにもどうしようもないのか、彼はこちらを見ながら、笑みのような、困惑のような、卑猥な表情で笑っている。


「み、み……」


そして――


「み、見ちゃ駄目だ、こ、こんな私の……あぁぁああ♥」

やはり、見られることに興奮を覚えて、彼は射精した。


「あぁああ、こ、こんな、どうして、私のペニスが、こんな下品なデカペニスにぃぃいい♥♥ あぁぁああきもちよすぎるぅうう♥♥」

ソレは今まで見たこともないような光景だった。

巨大なチンポから、そのサイズを更に超えるような大量の雄汁が噴き出すのが見えた。


男100人、いや200人分……それ以上の量の精液だ。


まるで、大山さんにすべてが集まっていくように。喘ぎ声が集まっていく。


集まる。吸われる。


……今まで、なにか勘違いをしていたのかもしれない。


大山さんの妄想が、すべての人に感染していっている……これがそもそも間違っているのではないのか。


もし、その逆だとしたら……?


彼らは与えられているのではなくて、奪われているとしたら。

本来の性癖を、性指向を、そして男性性を、すべて奪われているとしたら。


この施設の、ホテルの、温泉の仕組みがわかってきたような気がする。


だが、その真偽は確かめようない。

それどころか、ここからの脱出すら叶わない……そんな予感がした。


「あぁぁあ、ぬうぃぃいい♥♥」

大山さんの精液はとどまることなく、洞窟内に満ちていく。

力が抜けていく。

そうだ、わかる。

ナニかが吸われていくのがわかる。

とまらない。

この儀式の中心に「なってしまった」大山さんに、全てが集まっていく。


意識が再び白くなっていく。

青く、白く、どこまでも………。





つづく



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