巨大温泉ホテル湯~とぴあ 9話「肉体の洞」 (Pixiv Fanbox)
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巨大温泉ホテル 湯~とぴあ地下3階 洞窟風呂
おぉおぉ……うぉおおお……っ。
肌が震えるような雄叫びが、洞窟の壁に反響していた。
柔らかい偽の岩壁と、膝丈ほどの暖かな湯で満たされたファミリー層向けの洞窟温泉だというのに、それを忘れてしまうような低い轟だ。
後ろからも前からも、絶えず低く濁った声が聞こえる。
ケダモノと化した男たちの、いやらしい低い雄喘ぎが。
大山さんとレオさんが交わっているのを見ている間に、洞窟風呂の様子は一変してしまった。
肉棒をガチガチに勃起させた男たちが徘徊し、男同士、父同士、その屈強な体をくっつけ合い、温め合い、そして慰めあっていた。
その姿に戸惑いはなく、誰もが恍惚とした表情を浮かべていた。ゲイの集まる場所でも、これほど明け透けに、そして卑猥に絡み合うところなど見たことがない。彼らは明らかに異常だった。
それは、歩くことさえ困難になるほどだった。
彼らは絡まりながらも、少しでも近づくとこちらにも手を伸ばし、求め、そして誘ってくるのだ。屈強な腕に絡まれると、大型獣用の罠のようにガッチリと動けなくなってしまう。そのたびにレオさんに助けられ進路を変えることになり、いつまで経っても洞窟風呂から出られなかった。
広大な風呂とはいえ、そこは温泉施設のいちスペースだ。最奥部からであっても、本来入り口までは2分もかからないはずなのに……まるで本物の迷宮に迷い込んだかのように閉じ込められていた。
「ふぅ……仮説は合ってた やはり『伝播』しているな。しかしここまでとは」
熱と運動とで汗を掻いたレオさんが、額を拭いながら言った。その言葉はすっと納得がいった。
妄想の伝播。それは自分もまた仮説を立てていた考えだったからだ。
「一度発散すれば大抵妄想のチカラは弱まるものなんだが、これは想定外だな……、むしろ増大している」
これまでずっと性交までは至らなかった男たちが、堰を切ったように本番行為に及んでいる。それも、大山さんがセックスの快感を味わってしまったのと同時にだ。非現実的だが、しかし因果関係がないとは思えなかった。
雄叫び、喘ぎ、嬌声に混じって男たちの言葉が聞こえる。
尻が疼く…。こんなことしてはいけないのに…。体がとまらねえ……。チンポが勝手にぃ……。
彼ら甘い背徳感を味わいながら、男同士の快感をに酔いしれている。
「これはやはり、さっきのセックスが原因で……? だ、だとすると――うわっ!」
入り口が見えると、そこにあったのは出口の光などではなかった。
それは、まるで壁だった。
逞しい肩幅の立派な男たちがまるで波のようになだれこんでくるのが見えた。目は虚ろで、ひたすらこの洞窟に入ることだけを目的に脚を動かしているようだ。
きっと、ここでならば性交ができる。開放できる。射精できる。その情報だけが伝わって、ホテル中からここに集まってきているのだ。
「と、通してくだっ……うわ、ちょ、やめっ!」
自分より上背も横幅もある男たちが、求めるように手を伸ばされて、あっという間にレオさんと引き離されてしまった。
おまけに再び洞窟の中へ。これはまるで巨大生物の体内のようだ。男の体液という体液が絡まり合い、自分も大群のひとつとなってしまう。
「設備層の扉の前で落ち合おう! 場所は、道なりに進んだ最奥だ!」
かなり引き離されてしまったようで、奥のほうからレオさんの声が聞こえてきた。
正気を残している彼と、なんとかしてコンタクトを取ってこの状況を解決しなければいけない。そうは思いながらも、返事一つすることもできずに男の波にのまれ、深い穴へと引きずり込まれていった。
―――。
なんとか自分の意志で動けるようになったのは、それから数分程経ってからだった。
波が収まったのではなくその逆で、数と要求はむしろ増えていた。
だが、彼らの『症状』を理解さえすれば、なんとかこの波を泳ぐことが出来た。
男たちは無秩序に動いているのではなく、手を握り、腕を引っ張り、明確にあるものを求めていた。
下半身。特に尻だ。
膨れ上がった大殿筋、その谷間に向かって指先を持っていかれる。ここがほしい。これが疼く。そんな声を上げながら、尻への刺激を求めてくる。
そこで力での抵抗をやめて、たったひとつの動作をするようにした。
簡単な答えだった。
彼らの尻の穴を少しコリコリと触ってやる。そうすると、男たちの体は文字通り『骨抜き』になり、力をなくし、されるがままになる。
その瞬間にさっと腕を抜いて逃れると、暫くの間は自由になれた。
彼らは根っからの同性愛者というわけではない。唐突に尻で感じたくなってしまった、犯されたくなった男たちだ。未知の疼き、僅かな刺激だけでも驚き、それで力が抜けてしまうのだろう。
彼らの『穴』を少しだけ突く。それで十分。そんなゲームの攻略のようなことをしながら、少しづつ出口に近づいていった。
このぶんなら難しくない。
ちょっとした優越感もあり、不謹慎ながら楽しくさえあった。
――しかし、それもまた長く続かなかった。
仮初の支配者気分は、やはり力でもって打ち崩された。
特に大きな尻の弾力を、右にも左にも感じたときのことだった。
ものすごい腕力と欲望が、唐突に、それも2つ同時に襲いかかってきた。
「お、おぉお、この指っ、いた、いたなっ、やっと見つけたぞっ! お前、おまえだッ、お前の……チンポォ」
「あぁあ……キミは……た、頼むぅはやくぅ入れてくれなんでもいいからはやくぅう、いれてくれぇえ」
「隈谷さんと、デュオさん……!?」
立派な口ひげを蓄えた、筋骨隆々の男が二人。
ホテルで何度か顔を合わせた彼らがまるで待ちわびた恋人にでもするかのように、顔を近づけ、息を吹きかけ、手のひらをギュッと握りしめてきた。
「ん――す、すごい力だ……っ」
「あ、当たり前だろ、どうだこの腕の太さ、男らしいだろっ、なあ、なあ」
「ハァハァ……すまない、痛くはしないよ、いやむしろ私は少しくらい痛いのは平気だから、ハァ……ハァ……」
それまでの相手は、誰でも良かったからすぐに解き放たれた。しかし、彼らは明確に知性と欲望をこちらにむけていた。
簡単には解放してくれそうにない。いやそもそも、この二人から逃げたいという感情が湧いてこない。
顔が熱くなる。洞窟内の湯のせいだけではない体の火照りを感じる。
「な、なぁ駄目か、俺ぁ……お前なら初めてでもいいって思ってるんだぜ、だからよぉ、なあはやくヤろうぜ……っ」
「あぁぁ……何を言うんだ、私のほうがはやく彼に気がついたのだから、その権利は私にある……!」
二人は尻を擦りつけ、安っぽいストリップのように腰をグラインドさせた。
生唾がドッと湧く。ずくずくと肉棒が疼く。これだけの男に求められると、たとえそれが彼らの正常ではないとわかっていても欲望に負けそうになる。
入れたい、この穴に、入れたい。
抗えないほどの欲情が体を襲う。
「あぁ……この、奥の部分を、掻き出してくれッ! なにか、なにか入ってねえと、足りねえんだッ! 俺のほうが切実だッ……! 頭がおかしくなっちまう、このままじゃ!」
「な、何を言うのだ! 私は、純粋な気持ちだ……! その……肉で激しく犯されたい……! そ、そうだ、犯されたいのだ、私は、ア、アナルセックスが……したいのだ…………っ、どうだ、正直な者のほうが、キミに相応しい……!」
二人はまるで言い争うかのように激しくまくし立てた。
妄想の伝播、ないし大山さんのしたいという願望の伝播。
彼ら二人に興奮すると同時に、大山さんのことを思っていた。これほどセックス中毒になるなんて、レオさんとのセックスはそれほどに良かったのだろうか。嫉妬にも似た感情が胸の中で渦巻いていることに気がついた。
「こ、こうですか……?」
「アァァ!?」
「ふぅ、うぐぅぅうう!?」
指を深く突き入れる。
二人は言い争うのをやめて、同時に大きくのけぞった。
「そ、そうだァ、やりゃあできるじゃねえか、それでこそ……お、お、男ってもんだ……なァ!」
「あぁぁ……す、すごいぞ、良い大胆さだっ、あぁぁ……、大丈夫だ、トレーニングの苦しみに比べればこんな異物感ーーんんッッ」
二人は膝を付き、手のひらを床につけ、いやらしく四つん這いで尻を突き出した。
広く逞しい広背筋と、そこより更に盛り上がった大腿筋。
頼もしい背中。そんな言葉がそのまま現実になったような光景だ。それほどの男が二人、尻同士をヌルヌルと擦り合わせて刺激を求めている。髭面のマッチョ二人が、まるで幼い兄弟が頬擦りするかのように重ね合っている。
なんてはしたない尻だろうか。
お仕置きでもするかのように、指に勝手に力が入った。
「――!! ああ、激し、すげ、ぬっぁあ、こ、この野郎、意外とだ、大胆なーーぬぅぅう、ケツ、ケツがッ……くふぅぅうぉおおお♥」
「あっぁあ! こ、ここは鍛えようがない、ということか、体から力が抜けていく、ああ、こ、この指に、手に……っ、屈してしまいそうだ、ぁあぁぁこれ尻の……快感なのかッッ……♥」
「あ―――やべえ、手マン。手マンかこれがッ。男の中の男の、この俺が、手マンされてんのかぁ……あぁぁちくしょうぅう♥」
「て、手マ……なにを、あ、あっぁっ♥ そ、そんなことを言うんじゃあないッ、こ、これはマッサージ、マッサージを受けているだけだ、そうでないと、まるで私は、犯されたがりの変質者ということに……あっ、あっ♥」
「犯されたがり、だとッ、そ、そっちのほうがやべえじゃねえか。この俺が、男が……犯されたがるなんて、そ、そんな、く……ふぅぅぉぉお♥♥」
ほんの少し指を深くに入れたり、曲げたり、力を込めるだけで、2つの巨大な丸い尻がビクビクと痙攣する。
お互いのセリフが互いのツボを刺激するようで、ほとんどなんの労もなく彼らは激しい興奮と快感に襲われていた。
それがよくわかる。尻と一緒に余裕の笑みもヒクヒクと痙攣するのが見えたからだ。
「指だけでもこんなに感じちまう、なんて……こ、コレが……これがチンポだったらどうなっちまうんだっ……」
「それは――それはいけないっ、ペニスをこんなところに入れて激しく出し入れすることなんて、そんなサービスは要求すべきことではないっ♥ 確かに、ここに入れたら気持ちよくって、とろけてしまうかもしれないが、そ、それは♥ いけないことだ、絶対にいけないっ♥」
「な、なんだぁビビってやがるのか、俺だったら、その程度平気だぜっ、所詮、チンポを穴に入れるってそれだけのことだろっ、俺だったら全然平気だ、平気なんだがなぁ、なぁ!?」
「な、なにを、抜け駆けをーーじゃないっ、私も、私もキミを受け入れ入れるくらい、わけない事さっ、も、勿論合意の上でという前提だが! この鍛え抜かれた肛門括約筋を味わってみたいという……そんな欲望はないかなっ……う、おぉぉ……尻が疼くなぁ……」
男性的で、威圧的で、だからこそ浅ましい懇願が耳にずくずくと入ってくる。
尻がますます高く突き上がるのが見えた。
片方が上がると、もう片方も負けじと上がる。2つの穴が右も左も、ぶりぶりといやらしい生物のように蠢いている。
こんなものを見て、犯さずにいられるだろうか。
どちらにしようか、肉棒をツンと二人の尻の重なり合う場所に置いてやる。
「お! お!!おおお! 熱いぞ、お前のチンポ、なかなかデカくて立派で頼もしいじゃねえかッ、こ、コイツはやべえな、やべえッ、やべえッ♥ おまえのチンポチンポ♥ チンポチンポ♥」
「おぉぉおおこのガチガチっぷり! ペニスからも興奮しているのが伝わってくる。キミの魂が、この尻に伝わってくる。とてもいいぞ、いいエナジーが込められている、も、もっとっ、もっとこのペニスを奥で感じられたらっ、ど、どんなにぃい♥♥」
選び放題の逞しい尻。どちらを犯すも自由で悩ましい。
「おぉぉお!?」
「むふうぅぅぅう♥」
しばらくの間チンポを右に左にずらし、嬌声が大きくなるのを楽しんだ。
しかしいつまでも焦らすわけにもいかない。決め手は、おねだりの順番だった。最初におねだりができた隈谷さんの尻からたっぷりと味わわせてあげることにした。
「おぉぉおごおお♥ チンポッチンポぉ♥ ケツに、俺のケチにチンポが入ってやがるッ、すげえ、押し広げられる、犯されるってき、気持ちいいじゃねえかぁあ♥ この俺が蛸みてぇにオホッっちまうぅぅ♥」
「あぁ……あぁ……!! た、頼む、頼む、私にも!!」
尻を犯された隈谷さんは、それはもう激しく、いやらしく、これまでの偉そうな態度を反転させるように喘いだ。
厳格な父のような男が、尻の快感ひとつで完全に屈している光景に、チンポの硬度と腰の勢いはどんどんエスカレートする。
「ほぉぉお……ほぉぉッ♥ すげ、すげえ……♥」
「ハァハァ、頼む、私も犯してくれッ! そのペニスが欲しいんだ、頼むなんでもするっ犯してくれええ♥♥」
間近で見ていたデュオさんは辛坊たまらない様子で、それまで残っていた理性的な振る舞いをかなぐり捨てて誘ってきた。
隈谷さんからチンポを引き抜くと、すぐ隣のデュオさんにグイとつき入れた。
「ぬおぉぉお♥ こ、これはすごいぃぃい♥ 想像以上ッ、聞いていた以上っ、ペニスが尻を犯してくぅぅう♥ チンポッ、チンポ素晴らしい、キミのチンポは素晴らしいぃぃい♥♥」
「んおごぉお指マンされるのもやっぱすげえッ、チンポ思い出して興奮しちまうぅぅ♥♥」
隈谷さんとデュオさん。二人の逞しい男を代わる代わる、チンポと指で犯し続けた。
二人の表情は完全に崩れ、同じように口をすぼめ、眉を歪め、尻の快感のままに雄叫びを上げていた。
「頼むぅぅ、そのチンポ汁は俺にくれぇえ♥ 奥に種付け、仕込んでくれえ♥ 仕込まれたくってたまんねえよおぉぉ♥♥」
「なにをいうんだッァつ♥ 私のほうが14回も多くピストンを受けているのだッ、そ、その権利は私にあるっ、私だ、私にザーメンを注いでくれぇ♥♥」
射精寸前だということを察したのだろう。二人はコレまで以上に激しくいやらしく一本の肉棒を求めた。
尻同士で相撲でもするかのように、二人はドスンドスンと大殿筋で争った。
その浅ましい光景は、欲望の中からお仕置きとご褒美両方を引き出した。
「だしますよぉ、二人のその、いやらしい尻の、その部分に……!」
バチン。
二人の尻の境目に、マーキングするかのように平手を打った。激しい音を立てて、白色と褐色の肌が赤く染まった。
「「おぉぉおぉおッッ!!」」
隈谷とデュオの二人が喜び咽び泣くと同時に、肉棒をその境目につき入れた。
尻の弾力。肉の圧。そして、いやらしい絡み合い。尻の穴以上に卑猥ともいえるその境目を、肉棒がぐにゅりと押し広げた。
「おぉぉぉお、入ってくるぅううッ男のチンポぉぉお♥♥」
「ザーメンが、ザーメンが、ああぁぁぶっかけられて、塗りたくられるうぅぅう♥♥」
溜め込まれた精液が大量に飛び出したと同時に、二人もチンポからいやらしい雄汁を吐き出した。
――気がつけば、完全に飲み込まれていた。
欲望の中の一部になっていた。
あれからどれほど犯したかもわからないが、腰がまるで立たなくなっていた。
そして、身動きはまるで取れなくなっていた。
隈谷さんとデュオさんの喘ぎ声を聞きつけた男たちが、洞窟風呂中から集まってきていた。
尻を疼かせた逞しい男たちがずらりと並ぶ。
とても力でなんとかできる光景ではない。
のまれる。
完全にこの異様に呑み込まれてしまう。
うねった壁の洞窟風呂は、まるで生物の体内のように深く深く男たちを飲み込んでいく。
射精の疲労か、異常現象の影響下、意識が薄らいでいくのを感じた。
大山さんは今どうしているのだろうか。
彼らが『こう』なってしまった以上、あのひとも既にマトモではないかもしれない。
望んでこのようなことをしているわけでもない。
大山さん。
気を失う瞬間は視界が白くなると言うが、その時見えたのは青い閃光だった。