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「エンデヴァー目撃情報@○○市」

日課のネットサーフィンをしていると、「激サイ.comヒーロー目撃情報板」でかの有名なナンバーワンヒーローの情報が目についた。


ヒーローが大物になればなるほど、インターネット掲示板での目撃情報は真偽が怪しくなる。

アンチもガチ勢が多いエンデヴァーとなればなおさらだ、だが、今回はどうも少しばかり様子が違った。


○○市、スーパー銭湯「緋色の湯」

『閉店2時間前、仕事帰りのエンデヴァーに遭遇しました! タオルが子供用に見えるくらいデカくってわろた』

『横幅デカすぎwサウナ独り占めしてて迷惑すぎてさすがに草w』

『子沢山ヒーローだけあって やっぱチ○コのサイズも マトモじゃない あれはほんとに入るのか?』


書き込みは日を跨いで何件かあった。それぞれ別の文体だが、どれも妙に生々しく彼の存在感を語っていた。

○○市はエンデヴァー事務所の所在地からそう遠くない。行ってみる価値はあるかもしれない。


書き込みを執拗に何件かまとめてみると、彼の行動パターンが少しだけ推察できた。

どうもエンデヴァーは雨の日の翌日、湿度と気温が一定以上の日に銭湯に現れている。もしもこれが真実であれば、最高の『条件』だ。

俺は雨の日を待った。予報を毎朝確認し、エンデヴァーのニュースにも目を通す日々が続いた。

ついにその日は訪れた。




「ムゥ……ぬぅ………」

サウナの扉を開くと、そこにヒーローはいた。

無個性の人間と同じ骨格でありながら、全身余すところなく鍛え上げた屈強な戦士としての巨体。二人分は横幅を取っている彼は、彼は低い唸り声を上げ、眉間にシワを寄せ、百キロをゆうに超える体をサウナにぐったりと預けていた。


フレイムヒーローにサウナ程度の熱など意味があるのかと思ったが、彼の表情と全身に噴き出している汗を見ればその効果は明白だった。

まるで罪を裁かれているかのような表情で、エンデヴァーは体中の汗を絞り出している。

時折鍛え上げた腕を持ち上げ、毛で覆われたいかにも臭い立ちそうな脇を晒しているのは、いったいどういうことだろうか。


すみません、横失礼しますよ。

「……うむ」

こうも湿度が高いと、サウナで汗を流すのが気持ちいいですね。

「――ム、まぁ……そうだな」


話しかけながら横に腰掛けると、彼は遠い目をしながらも律儀に返事をよこした。不器用ながらも、ヒーローとしてのファンサービスは心がけているという話は本当のようだ。


しかし、臭いますね。

「ぬ――!?」

一言だけ、ネットの書き込みから推察した言葉を口にしてみると、その反応は驚くほどハッキリと目に見えた。

それまで生返事だったエンデヴァーは、声を跳ねさせ、晒していた脇を締めて、ほんの少しだけ尻を持ち上げ俺から離れた。


いえね、雨が続くと……木々が臭いますねって。そう言ったんです。

「あ――、ああ、そうだな……。湿度が高いと、どうしても――その、臭気というものが空中に残りやすくなる。そうだな……」


エンデヴァーは汗だくの髭面をこちらに向けて、鼻息荒く、やけに口数を増やして話しかけてきた。


『勘弁して欲しいよなあ、臭くてたまらねえよ』

サウナの奥からした声に、エンデヴァーは再び肩を強張らせた。

『汗で全身ベタベタにさせて、恥ずかしくないのかね』


『大人のエチケットってもんがないよな』


『ガタイがデカイとそれだけ臭うってわかりそうなもんなのになあ』


サウナのそこかしこから突如噴出した不満の声に、エンデヴァーは目を見開いたまま、身じろぎもせず耳を傾けている。


「ま、まさか――俺のこと、だろうか」

そして、恐れながら呟いた。


ええ、そりゃあそうですよ。


俺は間髪を入れずに頷いた。


いや、やばかったですよ。サウナ中、木の臭いやアロマなんかの臭いより、男の脇臭さでいっぱいでびっくりしましたよ。どうやったらこんなに臭くなるんですかねえ。

「ぬぅ……そんな、そ、そこまで――俺は……」


エンデヴァーは傷ついた顔で、自ら脇を持ち上げてブルブルと震えた。


「俺は、臭いんだろうか……」

うまくいった。

俺は内心で飛び跳ねるほどの達成感を味わっていた。


これだけの条件は必要だったが、あのナンバーワンヒーローが、俺の『個性』にハマっている


そう、このサウナには、エンデヴァーを責める人間などいやしない。この密室に作り上げた霧の幻だ。

広い場所での使用は不可能。対象の情報が必要。オマケに大量に霧を吸い込ませなければいけないなどと、まともに使えたことなど今の今までなかった。だが、今日は違う。

エンデヴァーのコンプレックスを刺激し、同時に霧を吸わせられる場所。

このサウナは、完璧に条件が重なった。


「俺……俺の……脇は、臭いん、だろうか……」

寝言のようなおずおずとした声がサウナ内に響く。


否定待ちの言葉なのか、自虐的な確認なのか、エンデヴァーは再度自分の体臭を尋ねてきた。


『ええ、まあハイ』

『濃い上に臭いですね』

『爽やかな汗臭さとも違って、なんかこう焦げたような、発酵したみたいな』

『暑い場所に放置した肉みたいな、臭くて、凄え臭いです』

『息子さんはどう思うんでしょうね』

『子どもや女性ウケは最悪ですね』


次々と幻がエンデヴァーに、笑いながら話しかける。


「ム――むぅ……ぬっぅぅぅ………」

エンデヴァーは、そのたびにサウナの中でバカでかい体をぐねぐねと揺らして、ブルブルと脇を持ち上げる。


どうやら、よほど気にしていたらしい。


雨の日。高湿度。事務所にシャワールームでもサウナでもいくらでもあるだろうエンデヴァーが、わざわざ公共のサウナ施設を使う理由。

きっと自分の体臭が、今になって気になり始めたのだ。その汗を流し、臭いを消すために一人忍んでここに来ている。

その推測は見事的中したようだった。


「ハァハァ……」

『ああ、臭くてたまらないですよ』

『そんなニオイをわざわざこんな密室で振りまいて、何考えてるんだか』

『まさか男たちに嗅がせくるのが、エンデヴァーのファンサービスですか?』

『へえ~ナンバーワンヒーローはとんだ変態だったってことだ』

「ム! お、俺はそのようなことは――そんなッ……ち、違うんだ、俺は……!」


エンデヴァーは護るべき人々から自分の悪臭や変態性を指摘され、まともに反論もできずにただただた狼狽していた。

【ヒーローがコンプレックスを集団の前で晒され、笑われ、そして味わわれる】

裏ビデオなどではすっかりお決まりのポルノ展開に、ナンバーワンヒーローは驚くほどあっけなく絡め取られていた。


子持ちのくせに、卑猥なことにまるで慣れていないのだろう。すこし言葉で責めて、視線の幻を送ってやっただけなのに――彼の股の間からは、驚くほどの巨根がぐんぐんと昇っていく。

仕事終わり、正義で蒸れた脇に首筋、足裏、性器……男の体がその存在を主張する。


いやーほんと臭いってもんじゃないですね いくらヒーローとはいえ加減っていうか……許せる範囲ってありまうわクッッサァッ。


幻だけではなく、耳元で現実に囁いてやる。そうしようとしたが、実際近づいて語りかけると本当にすごいニオイがして、思わず声を上げてしまった。

「ぬ、あぁ……、す、スマン――俺は、俺は今までそんな……まったく知らなかった……!」

いやおかしいでしょう。これだけの臭い、ご家族とかが指摘したりって、普通は、ねえ?

「お、俺は、おれは…………家族……指摘……されてこなかった、俺は、これまで……ぬぅぅ……」


彼の体が赤熱するのがわかった。

体の奥底から込み上げた羞恥と悔恨、そして興奮が汗と精液になってエンデヴァーの体から溢れ出る。

高温のサウナでぼんやりとした頭に叩き込まれる辱めは、彼の脳を強制的に興奮させる。

切ない大黒柱の煩悶が渦を巻いて腰を熱くする。普段なら言われたくないであろうその指摘も、今は射精まで上り詰める文句に過ぎないわけだ。


『ああ臭い臭い』

『悪いヒーローだなあ』

『いやひでえオヤジだ、こんな臭いで何十年も生きてきたなんて』

「ああ、すまん……すまない、俺は――俺は」


エンデヴァーは股間をビンビンに勃起させながら、いもしないオーディエンスに謝罪を繰り返した。

そして何を思ったのか、自分の脇に鼻を近づけ驚くほどの勢いで吸い始めた。


「スゥゥウゥ―――ッ、ゆ、許してくれ、吸う。俺は全部、責任を持って――全部ッ」


なんと、彼は自分の脇や足からでてくる臭いを、必死になって全て自分で吸引しようとしはじめたのだ。

なんとも健気というか、愚かなことだ。これが幻で虚ろな頭になったエンデヴァーなりの解決策のようだ。



だが、そうして激しく吸引したことで、俺の個性がより強くエンデヴァーの中で、それこそ暴走のように激しく作用し始めた。


「ぬ――ぬぅぅう!?!?」

エンデヴァーは扉に顔を向けて、驚愕に目を見開いた。

扉が開いた。


臭い、臭い、エンデヴァーは臭い。加齢臭。男臭い。ワキが臭い。チンポが臭い。ケツが臭い。足が臭い。スーツが臭い。


サウナになだれ込んでくる男たちが、次々にエンデヴァーを責め立てる。指差し、笑い、顔を向け、鼻を摘み、次から次へとナンバーワンヒーローを追い立てる。


「ああ、すまん、すまないッ、頼む、ど、どうにか、どうにかしてくれ――!」

エンデヴァーはもう耐えきれなくなったのか、隣の俺に助けを求めるように絡みついてきた。

男らしい巨体にがっしりと捕まれながら、俺は一言……トドメのアドバイスをしてあげた。


もっともっと臭いものを浴びれば、体臭なんて消えちゃいますよ。


その瞬間、エンデヴァーの見ている幻が変わった。


男たちが一斉に勃起し、大量に肉棒がエンデヴァーを取り囲んだ。

体臭を上回るもの。男の股間から溢れ出る、イカ臭いと呼ばれる濃い体液が溢れ出る部位がエンデヴァーに向かっていた。


「ああ………」


エンデヴァーは男臭い渋い顔を歪めて、それを受け入れた。


脇にめがけて、胸板を狙って、足に向かって、大量の精液が飛び散った。

「ぬぅぅ……く、臭い……ああぁあ……くさすぎる、………うぅぅ」


エンデヴァーはぐったりと壁に背を掛けながら、虚ろな表情で何度も何度も呟いていた。


あれからどれだけ時間が経っただろうか。

ガチガチに勃起した太く長い肉棒からは、既に十回近い精液が噴き上がった。

彼の中では、大勢の男達にぶちまけられた精液だが、実際は全て自分の体液だ。

なんとも滑稽だ。臭いを隠すつもりが、それ以上に自分自身でヒーローを臭くしたのだから。


とはいえ、エンデヴァーの表情に苦痛や悲しみはあまりなかった。


これで体臭がニオわなくなったと安心しているのか。

それとも、自分の罪が裁かれて安堵しているのか。


彼の瞳からは、その心の詳細はわからない。

しかし、顔の遥か下。

バカでかい肉棒は、ずっとガチガチに勃起し快感と歓びを表していた。



よかったですね、エンデヴァー。この脇、もう精液の臭いしかしませんよ


「ああ……そ、そうか、あ、ありがとう……ありがとう……」

エンデヴァーは自分にザーメンまみれになった脇を嗅ぎながら、どこへともなくなんども礼を繰り返した。


炎司サウナf

EnMs_ENGver

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