警官Bルート【VHS謎のビデオテープ】 (Pixiv Fanbox)
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俺はビデオテープを手にとった。
懐かしいこの厚み、この重量。俺としてはまだこっちも馴染みがあるのだが、後輩の年齢からするとたしかにこれは変わり種だ。
唯一の情報であるシール部分はどちらも乱暴に剥がされた跡だけが残っている。得体がしれない。しかし、だからこそ興奮と期待を煽られる。
俺はデッキにテープをぶちこむと、汗ばんだ手で再生ボタンを押した。最初に砂嵐。ザーザーと静かな音がした。早送りする間もなく、粗い音質の声が聞こえた。
「こんにちは しちょうしゃの みなさん」
男とも女とも判断つかぬ声だった。舌っ足らずのようにも聞こえる。
気がつけば砂嵐の姿も変わっていた。点がくるくると渦を巻き円のようになっていた。白と黒とが混ざり合って点滅し、男とも女ともわからない声が聞こえてくる。
「このびでおを みるさいは てきどな きゅうけいをいれ たいちょうがわるくなったばあいは……」
退屈な説明だ。俺は早送りのボタンを押し込もうとした。
「せっかちな だめですよ」
不気味だ、まるでこちらの行動を見透かしたように声がした。
俺はなんとなく気まずくなって、角刈り頭をガリガリと掻いてリモコンを投げ置いた。
「では はじめます はじめましょう」
そう言うと同時に円が極彩色の輝きを放ち始めた。渦の回転が早まっていく。
暗い部屋のなかがまるごとスクリーンになったように、光に照らされて強く輝く。まるで画面の中に俺ごと収まってしまったかのようだ。
強烈な映像だ。いつまでも女優も男優も背景も写らない。
だが、やめる気にもならなかった。
「この えいぞうを えいぞうと とらえず かたちだけを みてください」
まだ始まらない。画面にあるのは渦巻きだけだ。
――しかし不思議なことに股間に流れている血流は収まっていない。ガチガチの勃起が収まっていない。くるくると回るだけの映像だ。ただそれだけだ。だのに股間は勃起したままだ。
「あーー…………あっ……?」
気がつけば、手にじんわりと熱いものが掛かっていた。指で触れると股間から少し精液が漏れていた。
なんだ、この映像はなんだ。変だ。
俺はようやく、この得体の知れない映像へ恐怖を感じ始めた。しかし目線が動かせない。瞳が固形化してしまったように、ぴたりと画面に吸い付いている。
映像の円の形が歪み、形を失っていく
自分の視界がおかしくなっているのか、映像がそのように変わっているのか判別することができない。
股間は絶えず熱くなり続け、漏らしている気持ちよさと、勢いよく射精していないもどかしさが同時にこみ上げていた。
次第に胸から大きく頭にかけて温かいものが鼓動を打つように広がっていく感覚を覚えた。
「あなたがいちばん きもちいいとかんじた きおくを さいせいしましょう」
その言葉が聞こえると、今までの俺の人生の記憶が走馬灯のように頭の中を流れていった。
小さい頃の思い出、学校への入学、成人し就職し、子供が産まれ、大きく育っていく。
人生の大きな奔流の中から、性的な思い出だけが膨れ上がっていく。
精通。学校でのセンズリ。成人後の童貞喪失。子作り種付け。子供に隠れてのセンズリ。
性的な思い出のみが、ピンで止めたように、固定、されていく
登り棒、精通、、む、むせい、、、、セックス、初めてのセックス、セックスセックス、妊娠させた子作りセックス、射精、セックス、、、射精。
一気にきた。
耐えられない、股間の熱さは尋常ではない、小便が出るように、精液がでてる、で、もれる、ぜんぶでてしまう
「 」
映像の声を声として認識できない、これは人間が感じていいものではない
快感とも、幸せともわからない 大きな白い、白いものが身体中に広がる
「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
抑揚のない、低い声が出る
くちが すぴーかーになったようだ 出る 出る
全部が出る 勝手に出る 押し出される
「ーーーーーー」
永遠とも思えた怒涛の快楽は俺が気絶するまで続いた。
夢ではないことは、まるで寝小便に濡れそぼったような布団が物語っていた。
ものすごい青臭さが鼻を刺激する。まだクラクラしていた。
「どうした、もんか……」
覚めきらない頭を抱えながらも、俺はリモコンでビデオの巻き戻しをはじめた。そうしなければならないと、考える間もなく思っていた。
「――ん!?」
ボタンを押した、その瞬間だった。
俺の股間に、気絶前に感じたような熱が再び戻っていた。
出し尽くしたはずの股間がグングンと盛り上がってくる。
「ぼぁっ……がっ!! ぐぉお、おおおおお!!」
じっくりと味わっていた快感が、凄まじいスピードで戻ってくる。
まはや脳で受け止められない量が、突き刺すように俺の脳天にこみ上げてくる。俺は角刈り頭を仰け反らせて叫んだ。腕も脚も投げ出して、頭とつま先だけでブリッジ状態になる。
ただ右手の親指だけが、巻き戻しのボタンをギリギリと押しつぶしている。
「だ、ずっ げぇ ぐぉぇあ、あ、ああ」
多きな声を出すこともできず、俺はビデオが完全に巻き戻されるまで待つ他なかった。
一生分の快感を味わった一晩。その一晩分の快感が十数秒で俺を狂わせてくる。
精液も出ていない。ただ気持ちよさだけが戻ってくる。
待て。待て。待ってくれ。まだ。まだだめだ。ああ。早く。はやく。ああ。おおお。
―――
――俺は息も絶え絶えになりながら、デッキから飛び出してきたテープを見つめていた。
危ないところだった。
取り出しボタンに気が付かなければ、本物の射精狂いになっていたかもしれない。
それほどの気持ちよさだった。
今も股間にはあの甘い快感が残って、ズキズキと俺を刺激している。
一体、これはなんなのだ? 後輩のヤツはいったいぜんたい、どうやってこんなものを手に入れた?
いや、しかし、そんなことはどうでもよい。
俺は狂わなかった。
俺は正気を保っている。
つまり、また味わえる。
あの狂うほどの快感をもう一度。いや……何度も、何度も何度もだ。
そうだ、やることは一つだ。
こんな最高のビデオ、一本だけではもったいない。ダビングだ。世の男性諸君にもこの快感を味わってもらうべきなのだ。
そうしたらケチな性犯罪など、起こるべくもない。
これは、世界の平和に必要なビデオだ。警察官として、俺は最高の仕事を手に入れた。
俺は制服を身に着け、交番から飛び出した。
家電量販店に行ったが、ダビング用のテープなどはもう流通していないらしい。
自宅に帰る。
大急ぎで押入れを開け、長く開けていなかったダンボールをぶちまけた。
学生の頃優勝した剣道大会のビデオテープ、警官として表彰を受けたTVでのインタビュー映像、俺たち夫婦の結婚式のビデオテープ。
すごいすごいすごいすごい、素晴らしい、こんなにもテープがある。
全て、あのテープをダビングしよう。
そう考えたとき、もう一度あの快感を得られる喜び、そしてこれを伝播させて世界の男性に同じ快感が得られるという正義感に包まれて俺の股間は精液を噴射した。
おわり
コスチューム差分は以下zipファイルに入っています。