巨大温泉ホテル湯~とぴあ 3話「大浴場 白濁の湯」 (Pixiv Fanbox)
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プールでの体験は衝撃的だった。大山さんたちの暴走に付き合って売店やウォータースライダーを行き来するうち、気がつけばすっかり疲れ切ってしまっていた。
何度も謝る逞しい中年男性二人に、いえいえ気にしないでくださいとこれまた日本人的に受け答えて自室に戻って、柔らかい高級ベッドに寝転がると、気がつけばあっという間に寝落ちしてしまった。
目覚めたとき、窓の外はすっかり暗くなっていた。慌てて携帯を取り出した。今は何時だ。
「あぁ、良かった、まだ大丈夫だ……」
ビュッフェ形式のディナーを逃してしまったかと思ったが、今がちょうど指定の時間だった。
終了は夜9時、現在時刻は8時。大食漢ではない人間にとっては十分な時間だが、なにせ豪華で大量でモリモリ……だとかなんだと聞いていたので、時間を惜しんで急いで支度をした。
身支度を整え部屋を出て、エレベーターのボタンを押す。
時間が合えば夕食も大山さんを誘おうかと思っていたのだが、この時間ではもう済ませてしまった後かもしれない。なにより、昼間の出来事の直後ではお互い少々気まずいだろうし、今日のところは一人でビュッフェを堪能しよう。
レストランはかなり広さで、写真以上に料理の種類も豊富だった。
腹一杯に食べることができたが、もう三十分くらいあれば腹心地を落ち着かせてデザートをもう一周できたかもしれない。
そんな気分になるくらいには、素晴らしいディナーだった。
しかし、みんなすごい量を食べる。あれだけの体格を維持するには、やはりそれだけエネルギーを摂取しないといけないのだろう。
……もはや体格の良い男性ばかりなことに、あまり違和感もなくなってきた。
そう思っていた頃だった。
しかし、その中でも特に際立って目立つ一人の男性に目が止まった。
逞しい、という言葉では控えめだ。
派手な色のコンプレッションウェアを身につけ、白く輝くような筋肉。磨き上げられたパーツは一つ一つがカッティングされたジェムのようで、アスリートとボディビルダーの美しさを両立したような、そんな見事な白人男性だった。
ついじっくりと観察のようなものをしているこちらに気が付き、男性がこちらに目を向けた。きっとこんな体験は慣れたものなのだろう、不快な顔や恥ずかしい表情など少しもなく、彼はサムズアップでこちらに返してきてくれた。
立ち振舞までどこかヒロイックで、なんというか……眩しい人だった。
湯~とぴあホテルの大浴場は24時間いつでも入浴可能らしい。
大山さんの話では、そこが売りの一つでもあるらしい。夜中に風呂に入りたがる人がそんなにいるのかと疑問に思ったが、フィットネスジムで汗を掻いた後なんかに入ると最高だよ、とこれまたわからない答えが返ってきた。
ホテルに宿泊しに来ているのに、体を鍛える気分になる……というのはどういうことなのだろうか。
そんな事を思い出しながら興味のないテレビ番組を見ていた。気がつけばだいぶ腹具合も落ち着いた、きっとお腹も出ていないだろう。
風呂場まで大山さんのような体型の人ばかりがいるとしたら、……楽しみであり同時に少しばかり恥ずかしくもある。しかし、ホテル自慢の大浴場に浸かりに行かない理由はない。
テレビを消し、風呂セットを片手に抱え、エレベーターへと向かう。――そういえば大山さんは寝た頃だろうか、それともフィットネスとやらをしているのだろうか。
夕飯の話でもすれば、プールの恥ずかしい思い出を語らずに済むかもしれない。そう思って呼びベルを押してみたが、残念ながら大山さんは部屋にはいないようだった。
結局一人でエレベーターの前にいくと、見覚えのある背中がそこにあった。
肌の色と広背筋、輝くような三角筋で、すぐにあのレストランの男性だとわかった。
近くで見ると、肌の色だけでなく輪郭や髪色もどこかツヤツヤと輝いているのがわかった。人種の差以上に、この男性がそもそも自己鍛錬や手入れを怠っていない、というのがわかった。
「やあ」
だから、気さくに日本語で話しかけられた時には、正直狼狽した。
「また会ったね」
「こ、こんばんは。部屋、同じ階だったんですね」
手荷物の様子からして彼も大浴場へ向かう最中だったようだ。
「君も今からかい? 一人で?」
「え、ああ、はい」
「ご家族は一緒じゃないのかい? 日本は安全な国だが、少年一人で旅行をするというのはあまり聞かないのだけれど」
「あの……少年って」
さっきのサムズアップの気さくさの謎が解けた。どうやら、この屈強な白人男性の目には、家族に連れてこられるような子供くらいに思えてしまったようだ。
「それはすまない、いやあ失礼」
「お言葉は堪能なのに、不思議ですね」
「いや、昔からこうなんだよ、このサイズだからね、ついつい実際の年齢より子供扱いしてしまうんだ」
男性は朗らかに笑いながら、大きな手で握手を求めてきた。彼はデュオ・ラルクサムという、有名なスポーツインストラクターらしい。
その筋ではかなりの知名度らしく、世界をあちこち回って教えているため、相当数の語学を習得しているらしい。
「ジムでこちらを紹介されてね、実は――オンセンというものは初めてなんだ。シャワーやバスタブとはなにもかも違う、だとか」
「ちょっと大げさに伝わっているかもしれないですが、楽しい文化ですよ。まあいくつか守らなければいけないこともありますが」
「よければ一緒に来て私にマナーを教えてはくれないかな?」
そんな提案に、ついうっかり「はい」と答えてしまった。大浴場とは言え、初対面の男性と一緒に入浴とは、一日で随分積極的になってしまった。
大山さんのお節介が少しうつったのかもしれない。
地下一階 湯~とぴあ大浴場。
パンフレットは見ていたがその想像を超える面積だった。
各国の風呂を再現した異国風呂がコンセプトで、浴槽などにもこだわった本格的なものが多数揃っており……というのは大山さんの受け売りだ。
「まずは掛け湯ですね、ここのお湯は掛け湯用のもので、桶を使ってひとまずお湯を浴びるのがマナーなんです」
「はーん、なるほど。湯を共有するのだから、穢れは持ち込んではいけないわけだね」
「あ、あとその……タオルをですね……」
「タオル? この小さいものだね」
たいして教えることなどないと思っていたが、存外そういうことにはならなかった。
デュオさんは一糸まとわぬ姿で浴場へと進んでいこうとしたのだが、少しも隠すことなく堂々と駆けるように突き進んでしまった。
走るのはもちろん禁止だが、そのことによって豪快に……下のものが左右に揺れるのが気になってしまった。
外国では当たり前と聞いたことはあるが、デュオさんは下の毛を全て剃っている。右へ左へ揺れる巨大なイチモツは、無毛となるとかなりの迫力だ。別に絶対に隠す必要はないのだけれど、諸々の人のためにも隠しておいたほうがイイと感じ、マナーであると教えた。
タオルをお湯にはつけない。シャワーやかけ湯をする。温泉にはゆっくりと入る。
当たり前、と思っていたことだがこうして一つ一つ説明してみると、なかなかに細かな決まり事があるものだ。当たり前という言葉の難しさを改めて感じる体験だった。
本人が積極的にこの国の作法に則りたいという姿勢だったので、少々細かいことも含めて教えてあげた。せっかくの初めての温泉体験、なんとなく良い思い出にしてほしいという感情があった。
大山さんもこんな気持ちで人に親切にするのかもしれない。
その他マナーを説明しながら、最初に目についたのはギリシャ風呂だった。
円形の大理石でできた見事な浴槽で、照明により雰囲気もばっちりだ。
「まずはこれ入ってみましょうか」
近づいてみると濁り風呂のようだった。
「あ、タオルは湯に」
「入れない、だろう。大丈夫大丈夫」
「ふうぅぅ……んー、いいね 体の芯からふつふつと……、こう、湧き上がってくるようで、とてもいい気持ちだよ、ふぅ……」
レジャー系の風呂ということもあってか、温度はかなり抑えめだった。長くいろいろな種類に入れることのできるように設定されているのだろう。
デュオさんの言う通り、じわじわと温まっていく感覚が心地よい。下腹部のあたりがふわふわとしてくる。
「ゴクラクゴクラク、っと、こうかな」
「ははは、上手です上手。気に入ってもらえてよかったです、なんかホテルの人みたいな言い方ですけど」
「いやー実を言うと一人で少し心細かったんだよ 部屋の風呂で済ませようとも思ったのだけれど……、体験しないまま終わらせてしまうのはもったいないとも思ってね、勇気を出して良かったよ」
「たしかに、これは入らないと勿体ないですねー」
デュオさんは風呂に浸かりながら、色々な体験の話をしてくれた。
元軍人であるとか、自分の大学の話や、トレーニングの効率的な方法をどう教えているか。いずれも異世界の話のようなスケールで、何事にも勇気を持って挑戦してきた人だからこそ持ち得る体験談なのだと感じた。
そんな会話が心地よく、他の風呂に移ることなく随分と話し込んでしまった。
気がつけば、デュオさんの言葉数は少しづつ減っていた。
喋ることがなくなるということではなく、なんだかリラックスしているような顔だった。
湯気の向こう側から、あぁ……だとか、はぁ………だとか、ため息のような声が聞こえる。どうやら日本の温泉は特別相性がよかったようだ。
「他にも色々あるようですが、どうしますか? ここが気に入ったのなら――」
そう声をかけて、少しだけデュオさんに近づいた。
気持ちよさそうなところを邪魔するのも申し訳ないが、これだけ種類があるのに一つばかり味わうのも勿体ない。そう説明しようと、顔と顔を近づけた。
ぎょっとした。
気持ちよさそうだ、とは思っていた。
だが、風呂に浸かるデュオさんの顔は、日本語で表現するならば……そう、恍惚だ。恍惚の顔を浮かべてて、とろけきっていた。
「え、だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫さ……気持ち良い、気持ち良いからな こんなに気持ち良いんだから……」
デュオさんはうわ言のようにつぶやいて、頭をゆっくりと回していた。まさかのぼせてはいないだろうか、そう思って更に近づいた。
ちゃぽ
そんな小さな水面の揺らめきを感じた。
ここには二人しか浸かっていないのに。
そう思って振り返った。
そこには、デュオさんの亀頭がガチガチになって湯から顔を覗かせていた。
「あっ……!」
「ああ、風呂……は気持ち良いなぁ……これを、これまで知らなかったとは……はぁ、気持ち良い、ふぅぅ、うぅっ おっ おぉ!」
気持ちよさそうな声、というのはもう控えめな表現だ。
デュオさんの出している声は、もはや完全に喘ぎ声だった。
毛の一本も生えていないバキバキのデカマラ。白人のディックがゆるいゆるりと温泉の中で揺らめいている。
「おぉぉお…… おぉぉお ふぉぉお」
動いているのは肉棒だけではない。腰が動いている。前後にゆっくりと、しかし確実に動いている。亀頭が赤く染まり、血管がバキバキに浮かんでくる。
さっきまでマナーを重んじ、文化を愛し、頼もしげに笑っていた人間とは思えないような下品な動きだ。
「ぁぁ~気持ちいい……とっても、あぁ……温泉は、気持ちぃいい~……」
一体どうしてしまったんだ。
呆けたように気持ちがいいと語りながら、デュオさんは腰を振り続けている。
「ああぁ、もっとキモいちょく、なってきたぁ………」
ついには、水音がジャプジャプと音が激しくなってきた。
亀頭のカリ首が水面と水中を行き来している。その瞬間が特別に気持ちいいようで、デュオさんはブルブルと激しく震えていた。
湯気に混じって、男の濃い臭いがこちらに届いてくる。
開いた口からよだれが垂れて、美しく輝いていた髭がテラテラといやらしく光っている。
水面に出るたびに亀頭の赤みは増して、鈴口が上の口と同じように開いていく。
「み、皆おんせんが、大好き、に、なるわけだねえ、これは……あぁぁ……」
「あの、温泉っていうのは、そういう場所じゃ――」
「ハァ、ハァ、あぁぁリラックスゥ……するぅ………」
止めなければいけない。しかしなんと言えばいいのだろうか。
そもそもデュオさんは今正気なのだろうか。
極めて短い付き合いだが、まさかこんな趣味をしているとは思えない人だった。
このお湯か、あの食事か、それとも初温泉で変な興奮をしてしまっているのか。
いずれにせよ、どうすれば恥をかかせることなく止めさせることができるかわからない。
「おぅぅぅぅっぅう………、おっっほぅ」
ついにデュオさんは腰を突き出したまま、ブルブルと小刻みに痙攣しだした。
男ならばわかる。いまなにが起きているのか。
湯気に混じって、青臭い強烈な臭気が漂ってきた。
白人もアジア人も関係のない、男のタネの濃い臭い。
デュオさんは剥き出しの肉棒から、だらだらと精液を垂らしていた。
「溶けてしまい、そうだぁぁ………あっはぁ……も、もうずっと、ここに、いたいぃい……あぁぁあ………ゴクラクゥゥ………」
そんな自分の状態がわからないはずないのに、デュオさんは止まることなく腰を振っている。
雄汁まみれになった亀頭が、ジャポンとお湯に沈んでいく。
白く濁った湯に、デュオさんの種汁が溶け込んで白くなっていく。ちょうど同じ色で、あっという間に見えなくなってしまった。まるでこのお湯全てが、この一人の男の精液でできたもののようにさえ感じる。
「おぉ、おぉぉ、い、いい香り、だねぇ、ああ、あ、ったかいぃい、あたたかいぃぃい……はぁぁ、き、気持ちよさが、どんどん、どんどん強くなってき、たぁあ――」
デュオさんは再び腰を、コレまで以上に激しく動かしだした。
もはや水泳のようだ。腰だけで泳ぐようにバシャバシャと激しい音を立てている。誰かに見られてしまう。誰かに気づかれてしまう。そうなったら、この立派なインストラクターの面目は丸つぶれだ。
慌ててあたりを見回した。
――しかし、こちらに目を向けている人はいなかった。
みんな気持ちよさそうにお風呂に入り、幸せそうに唸っている。耳をすませば、男の低い濁った声が聞こえてきた。
…………。
「ああぁぁ……Ah……」
結局、止めることはできなかった。
デュオさんは腰を激しく突き上げたまま、コレまで以上に官能的な声を上げた。
「オンセン……ゴクラクゥゥ――――」
そんな雄叫びを上げて、デュオさんの肉棒から激しく精液を噴き上げた。
「いやあ、のぼせ――というやつなのかな。こんなところまで運んでもらって申し訳ないね、やはりキミに協力してもらってよかったよ」
脱衣所で水を飲みながら、デュオさんは会ったときと同じようにサムズアップで語りかけていた。
「お礼というには小さいけれど、なんでも好きな飲み物をご馳走するよ。私としてはおすすめはやはりミルクだな、これは栄養満点だからね」
デュオさんは牛乳を片手に持って、白い歯を見せて笑ってきた。
ついさっき、自分の股間からダラダラと白濁液を吐き出したことなど、これっぽっちも覚えていないようにだ。
実際、覚えていないのではないだろうか。
あの姿は明らかに異質だった。ディナー会場で会った時、エレベーターで話した時、こうして脱衣場で話した時、その印象と風呂場での痴態が別人のようだ。
まるでこちらが白昼夢を見ていたような錯覚さえ覚えた。
「しかし一種類でダウンとは、いやあ慣れないっていうのはこういうことなんだね。いやしかし、このホテルに泊まっている間に、もっと色々な温泉に挑戦できるよう頑張ってみるよ」
「は、はい」
「その時はまた是非付き合ってくれると嬉しいな、ああ私の部屋番号は――」
しかし、あの光景も、いまの光景も、どちらも間違いではない。ありえない。
あの凄まじい光景は実際にあったのだ。
なぜなら今笑っているデュオさんの股間から、水とは明らかに違う汁が垂れているのだから。
デュオ温泉f
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