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 さざ波の音にはとっくに慣れた。



 あの災害から数年、会社勤めの義弟もやっと休日は一緒に漁に出てくれるようになった。

「義兄さん、もう俺より魚の扱い上手くなってたんですね」義弟はあっと言いかけて苦笑した。「流石です」

 聡い子だ、と思う。

 

 婿入りした当初、漁師町の荒っぽさに水が合わずに愛想笑いしていた俺に、義弟は優しく一から仕事を教えてくれた。日によっては、妻の笑顔より癒されたこともある。

 学生の頃、クラスに一人はいたオカマ(今はLGBT…だっけか?)キャラの男子と雰囲気が似ていたので、俺に優しいのもそういうことなんだろうと解釈していたし、かなり顔も整っている弟は正直とても可愛かったのでまんざら悪い気もしなかった。


 義弟が本当は東京に出たかったことを知ったのは、あの災害の後だった。だから俺は、義弟を箱の中に閉じ込めることにしたのだ。


「あっ」

 ぐいっと海を眺めている義弟の腕を掴んで、俺のまたぐらに這わせた。まるで釣り糸を垂らして誘うように。

「義兄さん、外ですよ」

 焦って手を引っ込めようとした義弟は、意に反して顔を主に染めている。なんだよ、可愛いじゃねえか。お陰で褌の前が少し膨れた。

「船の上は俺達しかいねぇよ…ほら…」

 頭を掻きながら腰を突き出すと、観念した義弟は褌の隙間をめくりあげた。



 ボロンと飛び出した俺の息子は、身を隠すべき穴を欲してぺちぺちと愛しい義弟の頬にやんちゃする。洗っていないので潮でも掻き消せない程のツンとした雄臭さがあたりに漂った。

「口に入れさせてくれ…」



 俺の嘆願に応えた義弟が先端を銜え込んだ。

「お…うおっ…おっ」

 晴天の下での刺激に、俺は少し慄いた。びくびくと口の中で震えている。



 柔らかい肉の煽りに堪えかねて、俺は少し腰を揺すった。唾液と絡んだ舌に男の泣き所を責め立てられて尻の穴がきゅっと締まった。

「んあ…!」

 情けない声を漏らしてしまった俺は歯を噛みしめて堪える。だが身体は正直だ。重い玉が持ち上がって子種を注ぐことを脳に命じている。



「あっ…クる…出る出る出る…あっ」

 びゅっ、と聞こえるはずの無い音が聞こえた気がした。

 どぷ、どぷ、どぷ。

 浜に上げられた魚のように俺の息子は暴れ回った。

「うあ…うあ…っくぅ……!」



 散々のたうち回った暴れん坊をゆっくり吐き出すと、義弟はふーふーと肩で息をしている。相当無茶をさせてしまっただろうか。

「美味かったか…?」と冗談交じりで尋ねると「父さんの作った飯より不味い…」と返ってきた。

「こんにゃろ」

 義弟を抱きしめて押し倒すと船が少し揺れた。抱きしめた肌の熱さにじんじんと玉が疼いてくる。


 閉じ込められたのは俺の方なのか。

 ふと視界に入った網を見ない振りして、義弟の口へ舌を突っ込んだ。

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