百鬼モブ▽/メイキング(20枚) (Pixiv Fanbox)
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それではまずラフからですね。
とにかく今回は、立ち絵の絶妙なシワによって描き出されるボディラインに感銘を受けてしまったので、着物越しのお腹を描いていこうという意思の元でラフを切っていきます。
そして丈の短い着物から垣間見える純白の三角地帯。そんなロマンを追い求めました。
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ラフ2を切ります。いつもならこの段階で線画にするのですが、今回少し試したことがあったので2段ラフです。
この時点では無邪気な性格を考えていたので、ちょっと口を尖らせて恥じらっています。あと、お腹に手を当てるってなんかエロいなーと思っているので当てました。両手を下ろしているのも芸が無いですしね。
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線画ります。
はい。これがやりたかったことですね。線画をめちゃくちゃ細く描く。これです。
線画を細くすると完成度にどこまで影響するのかなと思ってやりました。
それ以外に特筆するべき部分はないですね。お腹を押さえている部分のシワを凹んでる風に描いたくらいでしょうか。
ここまでは大きめのキャンバスで描いており、ここから30%くらいに縮小します。
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塗り分けていきます。今回目がないので楽かなーと思っていたのですが、あとあとそのせいで沼にハマることになります。
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まず光を描いていきます。
今回、いつもと手順を変えました。全体に焼き込みリニアで影を落とした後、オーバーレイと投げ縄塗りによってハイライトを描き出していくというスタイルです。結構早いらしいと聞いたので。
実際、結構いい感じになっていませんか?投げ縄塗り、思ったより便利かもです。
何気におへその描写もしているのですが、シワに紛れちゃってますかね。
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1影を落としていきます。
普段と変わりません。ハイライトの部分を避けていくくらいでしょうか。
右袖は奥まっていて欲しいので、影を入れた後、あとで空気遠近的な手法を用いてあげようと考えながら塗っています。
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オクルージョンシャドウと光の表現を行います。
まずは乗算&エアブラシで入り組んだ場所にオクルージョンシャドウ。
そして、後ろ髪やツインテに空気遠近的表現をすることで顔のラインや前髪の形を浮き立たせます。小顔効果が期待できるのでオススメの手法ですね。
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ここから塗って行きます。
いつも通り、グラデーションマップで軽く色を着けたのちに色調補正でそれぞれの色を作っていきます。相変わらずこの段階は絶望的な色合いですね。
えっちなイラストでグリザイユ画法をするには、やはり色々と工夫が必要になってしまいます。どうしても単に基本的な手法で塗っただけでは色がくすんでしまいますからね。
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背景の色が変わっているせいでくすんで見えますが、結構きれいな桃色に変わっています。本当、どうして背景の色を変えてしまったんでしょうね。謎です。
全体的に赤やマゼンダを強調しつつ、ピンク系でまとめていきます。
某フレッシュピーチさんみたいな色合いに。
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原作立ち絵を見ながらああでもないこうでもないと試行錯誤していきます。
ピンク髪むずい。
実は髪が結構赤よりなのに気がつき、そちらに寄せました。そして顔の周りの情報量が少ないことに首を傾げながら、髪の透けが必要なのかなーと足しています。答えはもっと単純なところにあるんですけどね。
めちゃくちゃ色々と試行錯誤を繰り返しながら、色合いを納得できるものに近づけていきます。このへん、もう少し一発で行けるようになりたい。
注意点としては、眠いときは寝た方がいいです(n敗)。色彩感覚おかしくなるんですよね。
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だいぶまとまってきました。
顔は目がないため情報量が少ないんですよね。このモブ、髪が分かれてて少しでもなびくと目が見えるはずなのに、それが見えていなかったのが敗因です。
普段は目を描いているため必要のない顔の凹凸を描写し、情報量を補っています。
また、レイヤーマスクを使用して影の部分だけ色を濃くする、ベースのモノクロ部分で影の色を灰色から少し青っぽく変更する、など色々と新しい技法を編み出しながら調整していきました。
全体的にコントラストをはっきりさせることで、逆光と投げ縄塗りのハイライトを活かす方向に方針がまとまったようです。
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ゆがみツールで少し太ももとお腹を強調しています。
これ、後から思えば失敗だったかもしれません。特にお腹をいじったことで、少し寸胴な体型になってしまった気がします。まあ、元の立ち絵を考えればこちらの方が正解かもしれませんが。
また、お腹から下のパースが強調されたことで遠近感が強まり、相対的に頭が大きく見えるようになってしまったのも失敗です。
ぷにまんも少し手を加えてぷにっとさせます。このあたりは得意分野なのでお手の物ですね。
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そろそろ仕上げに入っています。
まずは全体的に赤っぽくなる原因だった前髪の透けをなくします。目がある場合はそこを強調できるので透かすのはいい手段なのですが、メカクレの場合は前髪の存在感が薄れるのでやめた方がいいかもしれません。
そして後ろの髪に青を入れることで空気感を出していきます。空間が出来て顔を強調できるので好きな手法です。
肌もコントラストを強めて綺麗に光らせていきます。ぷにぷにさせたいね。
追加の髪を描写して繊細さを出し、さらに少しゆがみツールで相対的に大きくなってしまっていた顔を小さくしました。
さらに、「情報量が増えるペン」で要所要所に色を加え、情報量をかさ増ししていきます。
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最後にヘイローや模様、液体を描き加え完成!!
さあ差分作るぜ!!!!
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ってな感じでパンツを描いていました。
形自体はほぼぷにまんと一緒ですが、細かい部分に描写を加えて布感を出しています。いいシミをしている……。
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表情差分も作り、少し物足りなかったので影の境界部分の彩度を引き上げるよくある加工を行いました(髪の辺りが分かりやすい)。
で、まあここで完成にしようかなと思い挿入差分とかも描いていたのですが。
一晩寝てから改めて見直すと、なんか顔の周りの情報量が少ないなぁと。
なんだろうなこれ、と。
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その結果、こうなりました。
まず、前髪にもう一段階影が入っています。これだけで情報量が段違い。どうしてこんな単純なことに気がつかなかったのか。
さらに、これ気づいた方いらっしゃいますかね。ラフからラフ2に行くとき、口を尖らせているような表情にしましたよね? これで結構口を歪めたのですが、それをずっと見続けていたせいで顔の真ん中の線がおかしくなっていました。
尖らせるためにずらしていた口の位置を、真ん中のラインだと勘違いしちゃってたってことですね。マンガ的技法を安易に絵に持ち込むとこうなります。
なので顔の位置を調整しました。
さらに、空間を演出するため前髪の影を少し伸ばすことで髪と肌の距離を離します。
髪の線画を2重に重ねることで色を濃くし、こちらもはっきりとさせて情報量を増やします。
その他、グラデーションマップをソフトライトで乗せることで色調を整えるなど、細かな調整を色々と加えた結果こうなりました。
この差にすげぇ!!ってなった方は、作業の進捗が思わしくないときは眠るクセをつけてください。切り替え、マジ大事。
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で、だいぶ良くなったんだけどやっぱり何か足りない。
そう考えたときに、「……あ、目か」となったわけですね。
いやぁ、目が不足しているとは盲点でした。目だけに。
なんかこう、無害そうなモブに見えるけど目を見たら異形、みたいなのを目指してみました。百鬼夜行のモブですしね。
瞳も猫目にしてみました。中心を白くして異形感をマシマシにします。
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そして表情差分や挿入差分を描き……。
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最後にフォトショでフィルターをかけ、過剰になっていた赤みを抜いて完成です!
お疲れさまでしたっ!!