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 町のところどころに田んぼや畑が点々と広がる日本の一角。普段から事件が起きるような土地柄でもない、そんな片田舎の黄瀬高校の裏山にある日、隕石が降り注いだ。

 幸いにも、高校の校舎や周辺の民家には被害がなかったものの、その日からマスコミや、SNSでバズることを目的とした輩などがいっせいに押し寄せ、しばらくの間は騒がしい日々が続いた。


 それから一ヶ月ほど経った今、ようやく人々の話題性は落ち着いてきたところだろうか。有名な大学の研究者などが調査に来たはずなのに、結局飛来した隕石の細かな分析結果などは明らかにされることなく、マスメディアで取り上げられることはめっきりとなくなってしまった。町興しだなどと息巻いていた町民たちも一時は肩を落としていたものの、それも少しの間だけで、いまやすっかりいつもの生活を取り戻している。それは、黄瀬高校の生徒たちや教職員も同じだった。



***


「今日は定食にするか、それともこってり系のラーメンでも食っちまうか~? でもなあ……」


 黄瀬高校の体育教師、村田浩一(むらたこういち)は校舎の玄関を押し開いて外に出ると、夕飯に食べるものを何にしようかと腕組みをしてしばし思案したあと、ほんの少し突き出た腹を撫でまわした。

 元ラガーマンで、齢二十七の彼。鍛え抜かれた体はがっちりとした分厚い筋肉で覆われ、肌にも張りがあって若々しい。衣服に身を包んだ状態だと、いかにも健康的にしか見えない彼だったが、数日前の健康診断でコレステロール値が高めだと言われてしまったのだ。まだそれほど気にするレベルではないものの、食べ物にはより一層の注意を払わなければと決心しながらも、昼休みに大盛りのカツ丼を食べたばかりだった。


「野菜炒めでも作って食うか……」


 悲壮感たっぷりに言葉を漏らすと、駐車場のある方角へと足を向ける。今日は雲で月が隠れているせいで、辺りは真っ暗に近いが、駐車場付近には街灯が立っている。その明かりを頼りに、車のキーをポケットから取り出そうとしたときだった。


「……ん?」


 ふと、何かが聞こえたような気がした。浩一の耳がピクリと動き、周囲を見回す。しかし、何も変わったところはない。気のせいかと再び車へと向き直ったところで、今度ははっきりと聞こえた。それは、男性の呻き声のようだった。急いで校舎のほうへと駆け出す。キョロキョロと辺りを見渡すが、誰かが倒れているわけでも、怪しい影がうごめくわけでもない。だが、間違いなく呻き声は聞こえてくる。


「どこからだ……?」


 訝しみながら校庭のほうへと足を向けたところで、再び声がした。今度は、よりはっきりと聞こえるようになった。体育会系の部室が連なる辺りからだ。部室棟へと駆け込むと、一番奥の野球部の部室からうっすらと明かりが漏れているのが目に入った。


「誰か……いるのか?」


 浩一は生唾を飲み込むと、そっとドアノブに手をかけた。ゆっくりと捻ると、キィという音を残して扉は簡単に開く。扉の隙間からは若者たちの汗の匂いが凝縮されたような、鼻の奥を突く男臭い空気が溢れてきた。


「誰かいるのかっ……?!」


 もう一度大声で問いかけたが、やはり返事はない。ただ微かな呻き声のようなものが聞こえるだけだ。不審に思いながらもそっと室内を覗き込んだところで、浩一は息をのんだ。


「な……なんだこりゃあ……」


 そこはさながら地獄絵図だった。床や壁一面には白濁した液が飛び散り、独特の青臭さが充満している。精液と汗の匂いだ。そしてその真ん中にいたのは、真っ黒な人型をした物体の中にずぶずぶと飲み込まれていく、全裸の野球部員だった。


「や、やめてっ……。あっ、せんせ、たすけてェ……!」


 全裸の部員が苦しそうに助けを乞うが、黒い物体は聞く耳を持たずに、彼を否応なしに飲み込んでいく。


「ひいっ……」


 浩一は、その場で腰を抜かしてしまった。ぶるぶると震えながら後退りをするが、壁に突き当たってしまってそれ以上動くことができない。頭の片隅に辛うじて残った理性が、『情けない』と彼を罵るが、それでも恐怖には打ち勝つことができなかった。


「たすけっ……おっ、おぶっ……!」


 部員の声がくぐもったものに変わったのを最後に、彼は黒い物体の中に肉体すべてを飲み込まれてしまった。残されたのは、表面をテカテカと光らせる黒い塊。その大きさは、吸収されてしまった野球部員とほぼ同じくらいだ。黒い塊は何度かもぞもぞとうごめくと、やがてその表面の色を変化させ始めた。肌色──、それも日焼けしたような小麦色の肌の色に。


 色が変わると、次はその形も、先ほど吸収されてしまった野球部員の姿に近づいていく。年齢の割には大人びた、彫りの深い四角い顔。過酷なトレーニングによって、成人男性を上回るほどに筋肉が発達した肩幅に、たくましい胸板。腰回りやデカい尻は引き締まりつつもがっしりとした肉付きで、股の間からぶら下がるイチモツは萎えた状態から一瞬にして反り返った。


「はあぁ……。あ゛、あぁ゛〜。あーいーうーえーお。この肉体の持ち主の名は……いや、オレの名前は野球部主将の宮永大智(みやながだいち)。キャッチャーで四番バッター……。キャッチャーってのはなんだ? ふむふむ、なるほど。んあー、おう! へへ、大丈夫だ。もう完璧だぜ」


 浩一は困惑するしかなかった。さっきは、あまりにもその顔が苦痛に歪んでいたため、誰なのかわからなかったが、目の前で微笑んでいる彼には見覚えがあった。野球部主将の宮永大智だ。

 部活動に全力を注ぎながらも、勉学も怠らない。そのおかげで、成績は常にトップクラス。性格は真面目で実直、そして人情味に溢れているという非の打ち所のない彼は、同級生の間からも信頼と好感を寄せられている存在である。


「み、宮永。大丈夫か、お前? さっきのは俺の見間違いだよな? なんだか気味の悪い黒い塊に、お前の身体が飲み込まれたような気がしてな……」


 浩一がおずおずと声をかける。大智は、一瞬きょとんとした顔をしたあと、すぐに破顔して大笑いを始めた。


「あっはっはっは! 先生ってば、なーにわけのわかんないこと言ってるんすか? 黒い塊? そんなもんここには無いですし、飲み込まれちゃったりなんてしないすよ」


「……そ、そうだよな、ハハハ」


「先生、働きすぎなんじゃないですか? 休んだほうがいいっすよ。そのかっこいい身体、オレたちに譲って、永遠にね……」


 まずい……! 精悍な顔つきの大智の口元が吊り上がった瞬間、浩一は部室の入り口へと向かおうとしたが、突如として現れた人影に、容易く羽交い締めにされてしまった。


「おいおい、村田先生。帰ってもらっちゃあ困るよ。あんたのそのエロイボディーは、俺らの中では結構な人気なんだぜ? 誰がその身体の持ち主になるのかって、仲間の間でいつも揉めてたんだ。なあ……、みんな?」


「ご、合田先生……?! それに、お前らは……!」


 暗闇の中から現れたのは、浩一の同僚の体育教師である合田寛(ごうだひろし)や、体育会系の部活に所属する男子生徒たちの中でも、特にガタイのいい面々だ。部活動の時間などとうに終わっているというのに、いまだ汚れたユニフォームに身を包んだままの彼らは、ニヤニヤと笑みを浮かべつつ浩一の周りを囲んだ。


「あ、あの……これはどういうことですか、合田先生? こいつらは、どうしてしまったんですか? それに先生も……」


 突然のことに理解が追いつかない浩一は、オロオロと周囲を見回しながらすがるような視線を彼らに送るが、誰も彼もがクスクスと笑うだけ。そんな状況に、浩一は目眩を覚えた。彼ら全員、どこからどう見ても人間の姿をしているというのに、その笑顔はあまりにも人間離れしている。


「村田先生、教えてやるよ」


 浩一の身動きを取れなくしている合田が、浩一の股間をグッと握り締めた。そして耳元で囁くように告げる。


「ここにいる俺ら全員、人じゃあないんだ。ちょっと前に、隕石がこの学校の裏山に落ちただろう? 俺らはそのとき、この地球に降り立った生命体で、一人また一人ってな具合に人間の肉体を乗っ取ってきたんだ。さっきあんたが見たみたいに、極薄の膜に身体の形状を変えて、乗っ取る相手を自分の身体の中に取り込んでな」


 浩一を引きずり、部室内の姿見の前まで連れて行くと、合田の体や顔がぐにゃりと歪み、またたく間に浩一そっくりになっていく。柔道部の顧問で、体重はゆうに100キロは超えていた体が、一瞬のうちにラガーマン体型に様変わりする。

 筋肉質なボディーだけでなく、毛深さや肌に残る古傷まで同じ。さらには髪型どころか、顔かたちまで不気味なくらいに浩一と瓜二つだ。


 鏡には眉の太さ、目の大きさ、鼻筋、耳たぶの形までもまったく同じで、股間にぶら下がる萎えた竿の太ささえも見分けがつかないほどの、双子のような男二人が映っている。おまけに、漂ってくる体臭までもそっくりである。


「お、俺……? 嘘……だろ? そんなことが……」


 浩一は合田から離れようとしたが、がっしりとした腕に身体を掴まれたままのせいで、捕獲された蟹のようにその場でガサガサと足を動かすことしかできない。わけはわからないが、体が同じになったいま、逃げ出そうと思えばきっと逃げられるはずだ。

 だというのに、彼は合田の腕の中から抜け出すことができなかった。同僚の教師である合田の肉体が、自分そっくりに変化したことによる恐怖感からか、それとも彼から感じる言いようのない威圧感のためか、浩一は蛇に睨まれた蛙のように動くことができなかった。


「ハハハ! そんなに怖がるなって。俺たちの種族はこうして他者に擬態するのは得意なんだが、真似ができるのは姿かたちや声だけでな。どうだ? 見た目や声だけなら、あんたそっくりだろう? 俺は村田浩一、ケツにチンポをハメてもらうのが大好きな変態高校教師ですっ、てな……。ガハハハハッ!」


 背後から聞こえてくる自分と同じ声。だが、合田らしさを感じさせる下品な物言いに合わせて、生温い吐息が首筋に吹き付けられる。その感覚にゾクリと背筋を震わせた刹那、浩一の唇を押し開いて、唾液にまみれた舌が口内へと侵入してきた。


「ふむっ、むぐっ!」


 慌てて口を閉じようとするも、しっかりと顎を抑えこまれてしまった。歯肉を舌先でなぞられる感触は最初こそ不快だったが、次第にそれは快感へと変わっていく。


「んふっ……。むちゅ……、あむっ♥♥」


 抵抗しようと強張っていた腕からは力が抜け、逆に合田の太い腕に絡みつかせ、掌を繋ぎ合うようになっていた。そして、その股間では萎えていたイチモツがムクムクと鎌首をもたげていった。


「ぷはっ! あ゛っ……あぁ……」


 たっぷり一分は行われていた口づけから解放されると、浩一は名残惜しそうな、切なげな声を洩らした。口の端からはだらしなく舌をはみ出させ、唾液が地面に向かって糸を引いている。その顔をニヤニヤと見ながら、合田は手慣れた様子で浩一の衣服を剥ぎ取り始めた。


「村田先生よぉ……。あんたさっきから、ずっと乳首がビンビンに勃起してやがるぞ? そんなムッツリスケベが体育教師なんざ、よく務まるなぁ〜? これから起こることが楽しみで仕方がないって顔してるぜ。うへへ、まあそれも俺たちの能力のせいなんだがな。そんでもって──」


「ん゛っ! んお゛っ♥ おぉ゛♥♥」


 不意に尻に異物感が走り、情けない声が出てしまう。鏡には、合田が彼自身のアナルに指を挿入している姿が映っている。なのに、なぜ自分の口から喘ぎ声が聞こえてくるのだろう?


「んあ゛っ♥ あ゛〜……。へへ、あんたも気持ちいいか? 俺がこんなにも気持ち良くなってるんだから、聞くまでもねえよなあ。俺たちはな、粘膜と粘膜を交えたことで、お互いに考えていることや感じていることを共有できるようになったんだ。つまりだ……」


 合田はさらに、グリグリと円を描くように指を動かしていく。ゴツい指がケツ穴の中で蠢く感触がするたびに、浩一は腰をくねらせて悶えた。


「あ゛ぁ……やめろぉ! んひっ♥ あ゛ッ♥♥」


「な〜に言ってんだ、村田先生。お楽しみはこれからだっての。いまから、このチンポをそのいやらしい穴の中に挿れてやるからよ」


 合田は自分の尻の穴から指を引き抜くと、勃起して血管が浮き出た男根を、ひくひくと震える浩一の肛門にあてがった。我慢汁で濡れたチンポの先が触れる感触。その初めて味わう熱さに、思わず浩一が吐息を漏らす。太い亀頭部分がズブゥッと肛門を押し広げていく感覚に、彼は背筋を震わせた。


「おああ゛っ……♥ や、やめッ! 尻にそんなもん俺はっ……、お゛ッ♥♥ あ゛ぁ~っ♥♥」


 グチュリという卑猥な音とともに、尻の穴に熱い肉の塊が侵入してくる。ケツの穴なんて、糞をするときぐらいにしか使ったことがないというのに、その穴は好物を目の前にした獣のような勢いで、極太の肉棒にむしゃぶりついていく。


「ん゛ぉっ♥ お゛っ♥♥ い゛ッ……ああぁっ! おっきぃのが……おひりにぃぃぃっ♥♥ チンポどうなって……、チンポも熱いぃおぉ♥♥♥」


 浩一は白目を剥いて、舌を突き出した。尻の穴を限界まで押し広げながら侵入してくる、肉の幹の熱さと圧迫感。同時に、浩一の生温かな腸壁にチンポを締め付けられている合田の多幸感までもが、彼に襲い掛かる。もう限界寸前だ。しかし、合田はガチガチに硬くなったチンポをこれでもかというくらいに、ゴリゴリと直腸の壁に押し付け、前立腺までをも激しくノックする。


「さすが同じ肉体同士なだけあって、チンポとケツ穴の相性が抜群だな♥ はぁ~、最高だぜ【俺】ェ。ほらどうだ? お前も気持ちいいだろ?」


 合田は余裕たっぷりの声で言いながら、腰を振ることを止めない。その動きに合わせて浩一はみっともなく声を上げながら、肛門をギュウゥッと締め付けた。


「あ゛ひぃっ♥ ああぁっ♥♥ 頭、変になっぢゃうっ……♥♥ もう、ひゃめて……ぐれぇっ♥♥」


 あまりの快感に呂律も回らず、浩一は涙を流しながら哀願した。それでも合田はお構いなしに、さらに激しく腰を打ち付けてくる。浩一の尻の肉と合田の股がぶつかり合い、パァンッと乾いた音を立てた瞬間だった。


「ん゛ほおぉッ?! イイ゛ッ!! イッグゥゥッ♥♥♥」


「んおっ♥ やっべぇ、村田先生の感情が伝わってきて……あ゛~、俺もイクぞっ! 村田……せんせっ……。うお゛っ……お゛ッ♥」


 合田の熱い精液が中に出されたのを合図に、体育教師らしく男前だと校内の女子生徒たちからも黄色い声援を浴びるその顔を情けなく歪めて、浩一は嬌声をあげた。足がピンと伸び切り、彼のパンパンに腫れた亀頭の先から濃ゆい精液がほとばしる。一度、二度、三度……。

 出せば出すほどに、頭の中では快楽物質が分泌され続ける。自分の分と合田の分。二人分のドーパミンが脳内で乱れ狂い、これまでに経験してきたオナニーや女性とのセックスなどまるで比べ物にならない心地好さによって、鍛え上げた肉体をいとも容易く骨抜きにされてしまう。チンポと尻を同時に犯される悦びに、浩一はイッたばかりだというのに、再び肉欲を漲らせ始めていた。


 浩一の直腸にたっぷりと種付けした合田は、満足げに腰を震わせた。ゆっくりと彼がチンポを引き抜くと、ぽっかりと開いたままの肛門から、煮詰められたような精液がどろりと溢れ出る。その感触でまた軽く達したのか、浩一は「おほぉっ♥♥」と間抜けな声を上げたあと、合田のほうへと身を預けるように倒れ込んだ。


「ん? もう終わりか、村田先生? じゃあ、そろそろあんたの身体、もらっちまうぞ?」


 合田が人差し指をクイッと動かすと、ひときわ真っ黒な塊が浩一の筋肉質な肩回りに飛びついて、覆い被さった。そしてそのまま彼の全身をコーティングしていく。太い幹のような腕や足に薄い膜が広がり、ごつごつとした指先を覆うと、精子のたっぷりと詰まった玉袋やいまだ反り返ったままのチンポを侵食し、すっかりガバガバになってしまった尻の穴の中へと、じゅぷじゅぷと入り込んでいった。内臓が犯される。狭い尿道を強引に広げ、異物がこれでもかというくらいに浩一の体内に侵入し、肉体の隅々までを真っ黒に染め上げていく──。





「あ゛っ♥ あ゛ぁぁ~♥♥ んぉ……、おぉお♥♥♥」


 体内を蠢く得体の知れない異物感に、浩一は身体を強張らせながらも恍惚とした表情で喘いだ。全身を内と外から攻められ、愛撫されながら肉体を乗っ取られていく感触は、奇妙なほどに心地好く、得も言われぬ快感を脳髄に刻み付けていく。

 とうとう首元までを黒い膜に覆われ、涎を垂れ流していた口の中へと侵入を許してしまった瞬間、彼はガニ股になって背中を仰け反らせた。そしてチンポを包んだコンドームのような薄い膜の中で、何度も何度も射精する。


「んぼぉっ! ん゛っ! んんん゛っ!!!」


 鼻腔を通って上り詰めた何かが、己の脳味噌を包み込んでいくのを感じる。不快感などいっさい感じない。優しくも力強いその抱擁によって、とうとう浩一はその【何か】へと自分の肉体の主導権を譲り渡した。



「うぉぉ……っ! あはぁ~、遂に乗っ取ったぜ、人間の身体を♥」


 高々と両腕を挙げながらそう宣言する声は、当然のことながら浩一のものと寸分違わない。さっきまで彼の全身を覆いつくしていた黒い膜は、完全に彼の皮膚に擬態し、以前と一ミリも変わらない【村田浩一】がここにいる。彼が嬉しさで口元に笑みを浮かべると、膜の下の【彼】の口も自然と笑みの形に歪んだ。


「ん゛っ♥ お、おおぉ~♥♥」


 念願の人間の肉体を乗っ取った【浩一】はガニ股で立ち尽くしたまま、全身を駆け巡る快感に酔い痴れる。ひとりでにチンポがモッコリと膨らみ、その硬さが増せば増すほどに快感の波も強くなっていく。


「あ゛ぁ……最高だぜぇ! これが人間の身体かぁ〜。うへへっ! チンポってやつぁ、こんなにも気持ちのいいもんだったんだなぁ、兄貴ィ! 教師とかいう、ガキどもを教える立場になったっつーのに、自分の身体に欲情してザーメン垂れ流しちまってるのも、すけべな感じがしてたまらなく興奮しちまうぜぇ♥」


 そう笑いながらチンポを両手で包むと、浩一はそれをグニグニと揉みしだくように乱暴に刺激し始めた。人間の肉体を乗っ取ったばかりの彼は、我慢汁といっしょにジョロジョロと小便を撒き散らしながら、合田に向かって屈託のない笑顔を見せた。


「おあ゛ぁっ♥ ん゛お゛ぉっ♥♥ 母星ではっ、はぁん♥ 一、二を争うほどの戦士だったこの俺が、こんな……うひっ♥ こんな下品な格好で性器をシコるなんてぇ……、んぎもぢいいぃ~♥♥ あ゛ぁ! ザー汁出すの止まんねぇよぉ〜♥♥」


 オナニーを覚えたての猿のよう、といったところだろうか。浩一は大股を開き、腰をカクカクと前後に揺すりながら、際限なく溢れ出る我慢汁を手のひらで塗り拡げるようにしてチンポを擦り上げていく。


「お゛〜♥ 出るっ! 精子出るっ!! あ゛~……すっげぇ……、気持ちいいぃ♥♥」


 野太い嬌声を響かせながら果てると、彼は勃起したままの竿から粘ついた糸を垂れ流しながら、合田に抱き着いた。いまだ硬く反り返ったままの彼のチンポに、浩一のチンポが勢いよくぶつかって透明の汁が飛び散る。二人はしばらくの間、言葉を交わすことなく同じ大きさ、同じ熱を持った肉棒をネチネチと擦り合わせた。乗っ取ったばかりの人間の肉体。感度があまりにも良すぎるせいで、チンポが触れ合うだけでも浩一は下品な声を上げ、腰をくねらせて悦んだ。


「んあ゛っ! あぁ~、最高だぁ……。もうチンポなしじゃあ、生きていけそうにねえや。……なあ兄貴ィ、さっきのチンポをケツにハメるやつ、もう一回やってくれよ。もっと味わいてえんだ、人間のチンポの気持ちよさってやつをよぉ!」


「おう、いいぞ。だけどなあ、いまのお前はもう【村田浩一】なんだ。そんでもって俺は、同僚の【合田寛】。人前では『兄貴』じゃなくて、『合田先生』って呼べよな?」


 眉根を顰め、たしなめるように合田がそう言うと、浩一は反省したように肩を落としたあと、【村田浩一】の脳内を隅から隅まで探り始めた。ひとりの男の二十七年間の人生。そのすべてが彼の脳内で、まるで映画でも観るかのように展開されていく。幼少期の初恋の記憶や、中学生で初めてオナニーをしたときの感覚。高校での初めてのセックス、大学受験に失敗して浪人生活を過ごしたこと、そして教師になって初めて受け持ったクラスの生徒たちの顔と名前──。


 さすがは優秀な戦士といったところか。そのすべてを凄まじいスピードで吸収した彼は、新しい知識を得た喜びに口元をほころばせ、ぶるりとチンポを震わせた。


「……すみませんでした、合田先生。この肉体に関しての学習は滞りなく完了したので、これからは体育教師らしく振舞えると思います。ですから、合田先生……。先生のその硬くなったおチンポを、俺の中にハメさせてください♥♥」


 そう言って、浩一はガニ股のまま両手で尻の肉を押し広げた。ついさっきまで合田の肉棒が入っていたそこはすっかりほぐれきっており、男のモノを受け入れるための器官と化している。

 舌なめずりをした合田は、ねっとりとした腸液が糸を引きながら漏れ出てくるそこにチンポをあてがうと、デコボコになった肉の壁をわざと擦るようにして挿入していった。




***


 そろそろ日付も変わろうかという頃。黄瀬高校の体育館には大勢の男たちが集まり、くんずほぐれつ絡み合っていた。


「ん゛お゛っ♥ おほっ、いぐっ……イグぅ♥♥」


 ひとりの生徒が体育館の床に寝転ぶガタイのいい男の上に跨がり、その身体を上下に跳ねさせている。もう何度も絶頂を迎えているようで、透明な液体しか出ていない彼のチンポはぐったりとしている。しかしそれでもなお腰を振ることをやめないあたり、すっかりセックス中毒になっているのだろう。それは、この場にいる他の面々にも言えることだった。


 体育館内には、黄瀬高校の教師や生徒の中でも特に肉体的に優れたものだけが集っていた。それも全員が全裸の状態で、だ。彼らの中には、もう身動きもろくに取れないほど疲弊している者も少なくなかったが、それでもなお彼らは快楽を求めて、男同士で身体を繋げ続けていた。


「んお゛っ♥ おひっ、ひぎぃっ♥♥」


 そんな声とともにまたひとりが絶頂に達して、そのチンポから精液を垂れ流してその場に倒れ伏す。するとそれに続いて別の生徒が立ち上がり、まだ満足していない様子の相手のケツマンコに己の肉棒を挿入する。

 生徒たちが音を上げれば、それ以外の者たちの出番だ。警察官や消防士、土方親父やスポーツインストラクターなどの筋肉自慢の男たちが群がって、運動不足気味の肥満体で中年の教師や、すっかり好色な顔つきになった体育教師を犯していく。そんな光景がもはや、黄瀬高校では日常と化していた。



「兄貴ィ、俺のケツマンコも兄貴のチンポであいつらみたいに、もっともっと気持ちよくしてくれよぉ♥♥」


 すっかり発情しきっている浩一は、周りの彼らと一緒になってホモセックスに励んでいた合田のたくましい背中の上に圧し掛かった。人間の肉体を乗っ取ってからというもの、毎日のように男同士で盛っていたせいか、彼のチンポももう何発目か分からないほど射精しているというのにまだ硬く勃起しており、その先端からは糸のように我慢汁が滴り落ちている。


「何回言わせんだ、お前は? 俺のことは『兄貴』じゃなくて、『合田先生』って呼べって……、っとそういや今は俺が【村田浩一】だったか」


 合田はしまったとでも言わんばかりに頭を掻いて、自分の上に跨って笑みを浮かべている浩一を見上げた。数日前に気分転換にと、【合田寛】と【村田浩一】の肉体を交換したのをすっかり忘れていたようだ。


「んふっ♥ そうだぜ兄貴ィ! 今は俺は村田浩一じゃなくて、合田寛でしたぁ♥♥」


 そうわざとらしく笑うと、浩一は汗に濡れた分厚い胸板を合田の肌に擦り付け、そのまま唇を重ね合わせた。貪るような濃厚なキスのあと、今度は唾液の交換でもするかのように互いの口の中へと舌を伸ばしていく。弾力のある肉体同士が触れ合い、潰れ合う。その感触だけで、浩一の興奮度は上限近くまで上がってしまった。


「んっ……ぷはぁ~♥♥ あぁ~……、やっぱり人間の身体って最高だなぁ。しかもこうやって身体を乗り換えるたびに、新鮮な快感が得られるんだからよぉ♥」


「しかもお子さんが三人もいて、こんなデカマラ持ってるのに、ケツの穴は雄チンポハメられまくってガバガバになってますもんね♥」


「おいおい村田先生、そりゃお互い様だろ。雄の身体でケツ掘られて、ザーメンぶっ放す快感を覚えちまったら、癖になるに決まってらあな。おまけに嫁と子供がいるってのに、同僚の教師のチンポで犯されまくるのが背徳的すぎて、やめらんなくなっちまうんだよな♥ だからほら、子持ち親父の淫乱ケツマンコ、もっとガン掘りしてくれよ、村田先生♥♥」


 浩一は四つん這いになると片手で尻肉を掴み、合田がチンポを挿入しやすくなるように尻穴を広げた。


「まったく、合田先生は本当にアナルセックスが好きですねえ♥ しょうがないなあ、俺のぶっといチンポで、先生の汚いケツ穴にご奉仕してあげますね♥♥」


 口角を歪めると、合田は浩一の腰を鷲づかみし、彼の中にその巨大な肉棒を一気に押し込んだ。


「お゛っほぉぉぉ~♥♥」


 獣のような咆哮を上げて、浩一は身体を弓なりに仰け反らせた。床にぺたりと寝そべった極太チンポからはビュルッと勢いよく精液が飛び出して、磨き上げられた体育館の床を白く汚していく。


「お~お~、またイったんですかぁ、合田せんせぇ? もう何発出したと思ってるんです」


「あひっ♥ あひぃっ♥ だってよぉ、村田先生のチンポが気持ちよすぎるからぁ♥♥」


「まったく、とんだ淫乱体育教師がいたもんだ。でもまあ、そんな先生をもっと気持ちよくしてあげられるよう、俺も頑張りますね♥」


 合田はそう言うと腰を大きく引き、勢いよく浩一のケツマンコへと股間を叩き付けた。


「あ゛っひぃぃぃ~♥♥」



 深夜のだだっ広い体育館内に、屈強な男の悲鳴じみた喘ぎ声が響き渡る。だが、その声に目を向ける者など誰もいない。皆、自分が気持ちよくなることしか考えていないからだ。


 故郷の星では、戦闘にばかり時間を費やしていた異星人たち。そんなかつての屈強な戦士たちは、平和な国でチンポとケツの穴を有した地球人の肉体を乗っ取ったことで、すっかり男狂いの淫乱戦士──、いやただのゲイへと変わり果ててしまった。人間の中でも特に大柄でがっしりとした雄の肉体を乗っ取った彼らはもはや、同じようなたくましい肉体の同士たちと、毎日ホモセックスをすることだけに生きがいを見出していた。


「あ゛ぁ~っ♥♥ たまらん! チンポ、チンポもっと欲しいぃ♥」


「オレのケツにもチンポッ、チンポォォ♥♥」


「イグッ♥ イクイク~~~♥♥♥」


 野太い嬌声が辺り一面から聞こえてくる中、ひとりの男の肉棒から、もう何日も貯めていたかのように濃く重たいザーメンが撒き散らされ、ムワッとするような雄の匂いが体育館内に充満していく。その香りを嗅いだ周りの屈強な雄たちは、さらに興奮し、己の股間に手を伸ばして激しくしごき、あるいは近くにいる男にその身を寄せて快楽にふけるのだった。


(了)

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