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 現代日本社会。


 数少なくなった若者が、彼らの数倍に膨れ上がった高齢者たちを養っていかなければならない、地獄のような社会である。

 高齢者を支えようと奮闘する若者も少なからずいるものの、大半の若者は働くことを諦め、資産を有した両親や祖父母の脛をかじりながら毎日をだらだらと過ごしている。


 社会現象として、若者が生きにくい世の中になったと言われている。それもそのはずで、かつてであれば大学や専門学校にまで進み、新卒の労働力になっていた若者たちは、今や労働しても搾取されるばかり。やりがいは見出せず、かといって身を粉にして働かなければ日々の暮らしすらままならない。したがって、消費やレジャーにお金など回るはずもない。そうなれば、まともに労働することなど馬鹿らしい。就職をし、上を目指そうなどという者たちもいなくなる。

 そうして今の日本の若者たちは、努力することも効率よく働くこともやめ、生き抜く気力を失い怠惰にふけるようになり、つまりは腐ってしまったのだ。


 今や日本の若者たちの半分以上が無職やニートであり、他国からは一億総下流化社会と揶揄されている。そんな不名誉な肩書きを払拭するために、ある秘密兵器が開発された。


『人体交換装置』──、である。


 簡単に説明すれば、機械で接続した二人の魂が入れ替わるという装置だ。最初こそ恐ろしい人体実験装置だと数多の否定的意見が飛び交ったものの、その装置の効果が限定的なもので、ごく近しい血縁関係間のみでしか発揮されないということが世間一般に知れ渡ると、すぐに非難の声は止んだ。


 そして今、日本ではその装置は社会学習の一環として使用されている。ある種、インターンシップのようなものだと言っていいだろう。小学生や中学生のような、まだ将来を悲観していない若者たちにこの装置を使用してもらい、両親や祖父母、その他近しい親戚の肉体と彼らの肉体を一時的に交換させる。そうして若者たちは、自分の肉親の苦労をその身で体験し、自分が今までいかに保護者の庇護の下でぬくぬくと過ごしてきたのかということを自覚する。

 その効果は絶大で、若年層の学力低下が叫ばれる日本では、子供たちの学習意欲にも繋がった。なによりも重要なのは、未来のある若者たちに働くことの意味を学ばせることができたということだ。


 つまりこれは、擬似的な社会参加の方法の一種なのだ。社会が抱える問題点を頭で理解するようになる前に、労働によって対価を得ることを覚えさせる。それを担う存在になったのが、『人体交換装置』だった。



***


「豊、大丈夫か? 何か分からないことがあったら、副士長の濱野になんでも聞けよな?」


 今年、小学六年生になった阿部豊(あべゆたか)は、父で消防士長である実(みのる)に両肩をがっしりと摑まれながら、消防署の事務所内で『人体交換装置』の付いたヘッドギアを頭から取り外した。彼は身体中にじっとりと汗をかきながら、不安そうに実の顔を見下ろすと蚊の鳴くような声を漏らした。


「う、うん。大丈夫だよ、パパ……」


 戸惑うのも無理はない。平均的な小学生の体型だった彼の身体が、数分の内に大人の──、しかもゴリゴリのマッチョな肉体になってしまったのだから。

 すると、実は腰を屈めて差し出された豊の頭を愛おしそうに撫でた。


「無理はするなよ。豊はまだ小学六年生なんだ。俺が言うのもなんだが、消防士なんていう大変な仕事、いきなりやれって言われてもできるわけがない。でもな、パパもママも豊の頑張りたいっていう気持ちを応援してる。だから、分からないことや困ったことがあったら、躊躇わずに大人に相談するんだ。いいか? 分かったな?」


「うん、分かった」


「よしよし、偉いぞ。さすがは俺の息子だ!」


 実は満足げにうなずくと、そのまま豊の頭から手を離して名残惜しげに家へと戻っていった。そんな父の後姿を見届けた豊は、これから勤めることになる消防署内部へと足を踏み入れた。




「お父さんの身体で、これから消防士の仕事をするわけだけど大丈夫そうかい、豊くん?」


 消防副士長の濱野健人(はまのけんと)が、豊に問いかける。日に焼けた浅黒い肌、父である実にも負けないほど鍛え抜かれた肉体は、彼の消防士としての仕事ぶりを象徴しているかのようだった。


「はい、大変そうですけど、頑張ります!」


「いい返事だ。豊くんは頼もしいな! お父さんによく似てる……。何か分からないことがあったら、僕や皆に遠慮なく聞くんだよ?」


 そう言って豊の肩を軽く叩きながら笑いかけると、濱野は他の隊員への指示出しに戻っていった。


(これから一週間、僕は消防士として働くんだ……、ちゃんと務まるかな? それにしても濱野さんの体、すっごくかっこよかったなあ。僕もあんな消防士になりたい!)


 室内を見回すと、濱野に負けず劣らず屈強な男たちが真剣な眼差しで仕事に励んでいる。豊はその光景を目にして、ギュッと拳を握った。


(今日から僕は、パパの代わりに消防士として働くんだ! 肉体労働でもなんでもやってやるぞ!)


 ──と意気込んではみたものの、火災が起こらなければ彼らが出動することもない。

 今日も一度、近隣で発生したボヤを処理しただけの豊は、特に活躍することもできずに消防士としての初日を終えた。そのあとは、消防署内に設営されたトレーニングジムで汗を流すのが彼らの日常だ。

 おぼつかない手つきで豊がジムの扉を開けると、ムッとするような熱気が身体を包み込んだ。筋肉質な男たちのかいた汗の匂いが、彼の鼻を刺激する。


(ふあぁ、パパの匂いと一緒だ……)


 豊は今日一日の出来事を思い返していた。緊張で疲れきった身体とは裏腹に、気分は高揚している。憧れていた父親の姿となり、消防士になった喜びと興奮で胸がいっぱいだった。そんな尊敬する父に似た体躯を持つ男たち。彼らの若くたくましい肉体と、自分の父に共通する匂いを嗅いだ豊は、下半身をキュンと疼かせた。


「おっ? 豊くんもトレーニングしに来たのかい?」


 見知った濱野に声を掛けられ、豊は嬉しくなって顔を赤らめながら返事をした。


「はい、お疲れ様です!」


「ハハハ、そんなに緊張しなくてもいいよ。うちの管内で、大きな事件があることなんて滅多にないからね」


 濱野の柔和な笑みを見て、豊はまた恥ずかしさを覚えたが、彼は構わず話を続けた。


「豊くんはもしかして、男性に興味があるのかな?」


「え!?」


 突然そんなことを聞かれ、否定しようかと豊は迷ったが、正直に答えた。


「えっと……、はい、たぶん……」


「やっぱりそうか」


 濱野は予想どおりと言わんばかりに、何度もうなずきながら腕を組んだ。そして豊に顔を近づけると、周囲の誰にも聞こえないような小さな声で話し始めた。


「実はね、内緒だけど消防署員の中には同性に興味がある人間ってのは結構いるんだよ。特に、僕たちの所属する分隊はゲイやバイが多くてね。士長──、豊くんのお父さんはノンケだからずっと彼には内緒でいたせいで、僕たちみんな性欲がいつも有り余ってて困っちゃってるんだよ」


「そ、そうなんですか?」


 豊は生唾をゴクリと呑み込んだ。ゲイというのがなんなのかは分かるが、バイやノンケという言葉はどういう意味なのだろう? ただでさえ緊張しているのにそんなことを打ち明けられ、豊の心臓は今にも爆発しそうだった。そんな彼の動揺を知ってか知らずか、濱野はさらに話を続ける。


「それでだ、もしよかったら僕たちに協力してくれないかな? ここにいるみんなの前で、士長の身体でオナニーをしてみて欲しいんだ。豊くんは、オナニーって分かるかな?」


 話しながら下着を下ろした彼は、反り返った自分のチンポを右手で握りしめ、シコシコと上下に動かして豊に見せつけた。小学生の豊にとっては、大人の男の象徴ともいえるそれはあまりに刺激的でグロテスクだった。


「あ……、えっ!?」


 さらに濱野は上着とシャツを脱ぎ捨てるなり、上半身裸になった。褐色の肌、鍛え抜かれた分厚い胸、その両端でツンと立った両乳首を見た瞬間、豊の大人の下半身はズキズキと疼いた。


「……お父さんの身体で、勝手にそんなことできません!」


 豊がどうにかこうにか言葉をつむぎ出すと、濱野は自分の乳首を指差しながら低い声で囁いた。


「さすがは士長の息子さんだ。ダメなことにダメと言えるのは、立派なことだよ。でも、これも社会学習の一環なんだ。ほら、僕の乳首を触ってごらん」


 おそるおそる手を伸ばしてみると、彼の勃起した小さな突起はプックリと柔らかく、少し汗で湿っていた。指先を触れるか触れないかぐらいの位置で何度も往復させると、それだけでくすぐったかったのか濱野は鼻から息を吐いた。精悍な消防士の顔が快楽に歪んだ表情は、豊の心を動揺させるのに十分だった。


「大人の男の体を触るのは気持ちいいだろう、豊くん?」


 濱野の熱い吐息が首筋に当たって、目の前がクラクラとしてくる。ズボンの下で硬くなった【阿部実】のチンポが、早く解放してくれと悲鳴を上げているようだ。そんな彼のズボンと下着を、濱野が勢いよく押し下げた。


 ブルンッと音を立てそうな勢いで飛び出したそれは見事に剥けきっていて、度重なる女性との性交で真っ黒に淫水焼けした立派な肉棒だった。パンパンに膨らんだ亀頭は淫靡なテカリを帯び、熟れた果実のように真っ赤になっている。ジム内で彼らのことを遠巻きに眺めていた男たちも、驚いた顔で一斉に豊の股間に目を遣ってざわついた。


 驚いたのは豊も同様だった。幼い頃に父の局部を見たことはあったものの、その記憶は朧気だ。しかし、父の肉体で大人のペニスを目にした瞬間、まるでフラッシュバックするかのようにそのときの記憶──、父と一緒に風呂に入ったときやトイレで連れションしたときの記憶が蘇った。


「んあっ!」


 思わず声が漏れてしまった豊に周囲の視線が注がれる。急いで口を噤んだがもう遅い。実の同僚たちは、ニヤニヤと笑みを浮かべながら豊に近寄ってきた。


「お父さんのチンポは、体格のいい俺たちと比べても立派だろう? 豊くんも普段から自分のモノを弄っているかもしれんが、お父さんの身体でおチンポシコシコすると、きっともっと気持ちよくなれるはずだぞ」


 消防士の一人が、いやらしい手つきで豊の尻を撫で回しながら、肩をポンポンと叩いた。その言葉が頭のなかに刷り込まれていくと、わずかに残っていた理性が崩れ落ちていくのが分かった。隣ではすでに豊の──、【阿部実】の筋肉モリモリの全裸姿に興奮しきった部下が、鼻の下をだらしなく伸ばし、勃起した己のチンポを豊の腰に擦りつけてくる。


「興奮してるんでしょ、士長? 遠慮しないでください。俺たちももう我慢できないっス」


 他の消防士たちも豊の元へと集まり、興味津々といった表情で彼の肉体に手を伸ばした。豊の腹や胸の肉を揉む者、乳首に触れる者やペニスを握ろうとする者までいる。


「ふあ゛っ……、あんっ……!」


 他人の手で触れられたことのない場所をまさぐられ、最初はくすぐったかっただけなのに徐々に気持ちよさが勝っていく。無骨な手で乳首とイチモツをいっぺんに弄られると、豊は抗えなかった。人差し指と親指でくりくりと捏ねくり回されるたびに乳首が固くなり、中年親父の肉棒はみるみるうちに勃起していく。その様子を見ていた周りの雄たちは、熱い吐息を漏らした。


(すごい……。他人に体を弄られるのが、こんなに気持ちいいなんて……)


 真っ黒なチンポは矢を引いた弓のように反り返り、先端からは透明な汁がとめどなく溢れている。頭の中はぐちゃぐちゃに搔き回されたようになり、もはやまともに物事を考えることもできない。腹の奥深くで、何かが出ようと準備し始めているのを感じる。自分が自分ではなくなる。そんな、異様な感覚だった。


「もう出そうっすよ、士長。士長のザーメン……♥」


 豊のチンポを握りしめていた男はそう呟くと、豊の鈴口を押し開くようにぐりぐりと指先をあてがった。


(ダメっ……! チンポから、なにかが出ちゃう!!)


 そう思ったときにはもう遅かった。すべての毛穴から汗が噴き出し、全身が硬直したかと思うと、次の瞬間には目の前に白い花火が上がったかのような快感と、解放感が体内を駆け巡っていた。

 豊は大勢の大人たち──、しかも父の部下たちに見られながら、父の姿でみっともなく射精してしまったのだ。少し黄色味を帯びた粘度の高い精液が、ビュウビュウと放物線を描いて同僚の体や床に着弾する。


「すっげえ、士長のザーメン……。めちゃくちゃドロドロで雄臭くてたまらねえ……」


 【阿部実】の反り返った極太チンポから放たれる雄汁を目の当たりにした消防士たちは、うっとりとした面持ちで感嘆の声を洩らした。虚ろな意識の中で、男たちの恍惚の声を耳にした豊の心は幸福感でいっぱいだった。胸の辺りがじわりと温かくなり、チンポが切なげにヒクヒクと脈動する。

 自分は大人の男として認められたのだ。そう実感した瞬間、豊の頭の中に父の記憶が走馬灯のように駆け巡った。


「んっ!! あっ、あぁぁあ゛あぁぁぁ!!!」


 射精したばかりだというのに、金玉はぐりんぐりんと忙しなく蠢き、弓なりになったイチモツからはドクドクと辺りかまわずに、大量の精液が撒き散らされる。


「パパっ……! パパァッ!! 僕……、【俺】、親父になっちまうぅぅぅ!!!」


 豊の叫び声が響き渡ると、トレーニングジムは異様な雰囲気に包まれた。汗にまみれた男たちの視線が一心に注がれる中、【阿部実】は性を放ったばかりのチンポを天井へと向けて、かつての自分では知り得なかった性の喜びに打ち震えていた。


「ふうっ、ふぅ……。ハアァァ……♥♥」


 豊──、いや【阿部実】は汗の光る髪をワシャワシャと搔き乱し、大きく息を吐いた。だらしなく開いた彼の口元からよだれが垂れるのを見るや、同僚たちはニタリと笑った。


「豊くん……、いえ士長」


 濱野が呼びかけると、【実】はゆっくりとその声のほうを向いた。その表情は性を知ったばかりの青臭い少年のものではない。鋭い目つきを卑猥に歪め、舌なめずりをするその姿は──、まさに性の欲望に飢えた中年男そのものだった。


「ハアァ……、生まれ変わった気分だ……。いいか、お前ら? 俺をこんなふうにしたお前らには、その体で責任をたっぷりとってもらうからな。覚悟しておけよ?」


 【実】のその言葉に消防士たちは目を輝かせながら、一人、また一人とチンポを屹立させていくのであった。




 『人体交換装置』を使用し、豊が消防士として勤めることになってから一週間。俺は息子がどれだけ成長したのかワクワクしながら、勤務先へと足を運んだ。今日まで息子と会うことは許されなかったが、これまでの豊の様子は経過報告でチェックしている。とはいえ、親として不安は拭えない。


「あいつ、上司や同僚とうまくやっていけてるかな……」


 というのも、豊は子供のころからとても泣き虫で大人しく、どちらかと言うといじめられっ子体質だった。そんな息子が社会学習の一環とはいえ、いきなり俺の代わりに消防士として働き始めることになったのだ。しかも、消防士なんていう荒くれ者たちに囲まれてだ。いったいどんな過酷な労働を強いられているのだろうかと考えると、気が気じゃいられなかった。そんな日々も今日でようやく終わるのだ。


 俺は固くなった表情をどうにか緩めると、勢いよく扉を開いて部屋の中へ足を踏み入れた。


「おう、みんな! お疲れさんっ!!」


 そう口を開いた瞬間、俺の全身にサウナにでも入ったかのような熱気と、ねっとりとしたような濃い雄の匂いがまとわりついた。一歩足を踏み出すと、靴底にぬるりとした感触があって滑りそうになった。驚いて足元を見ると、床一面に大量の白い液体が散乱していた。ドロドロとしていて、生臭いこの匂いは……、精液だ。


「な、なんだこれ……!?」


 思わず目を見張ると、男たちの視線が一斉に俺に注がれるのが分かった。見知った顔の男たち皆が皆、獲物を求めるようなギラギラとした目つきをしている。異様な雰囲気に気圧されそうになった瞬間、彼らはニヤニヤとした表情を浮かべながら口を開いた。


「おおっ! 士長! 息子さんが来ましたよ!!」


「待ってました!」


 誰もかれもが衣服など身に着けず、ブラブラとチンポを丸出しにしている。股間で揺れる男の証はどれも限界寸前にまで勃起し、天に向かって反り返っていた。そして、彼らが見つめる視線の先には──。


「よう、豊! 久しぶりだなぁ、元気だったか?!」


 自分が長年育てた息子の面影など微塵も感じられないような、只々たくましい肉体をした男──、【阿部実】が声を張り上げて俺のほうへとノシノシと向かってきた。『人体交換装置』を使用して肉体が入れ替わっている状態なので、目の前にいる息子が【俺】の姿をしているのはなんらおかしいことではないのだが、その一挙手一投足はつい一週間前まで小学生だったとは思えないようなものだった。


「お、お前どうしちまったんだ……? 豊はお前だろうがっ?!」


 気付かぬうちに、俺は目の前の大男から後退りしてしまっていた。何かにドンと突き当たって後ろを振り返ると、部下の濱野があられもない姿で俺のことを見下ろしていた。もはや俺のことなど尊敬すべき上司として認識していないようで、どこか欲情した雄の目で、かつての【俺】の肉体を見つめている。


「豊くん……。士長の身体は本当に素晴らしいよな。こんなに僕を興奮させるんだから……」


 濱野が俺の身体を撫で回すように触ったり揉んだりする行為に、俺は思わず顔をしかめた。そして彼は俺の──、【阿部豊】の皮被りのイチモツを掴むと、躊躇うことなくしごき始めたのだ。しごかれたそれはみるみると体積を増し、大きくなるにつれてチンポの先から透明な汁が溢れ出てくる。


「んあっ……、濱野……。お前の上司は俺なんだ! 正気に戻ってくれ!!」


 そんな俺の悲痛な叫びもむなしく、濱野はいっさい手を止めようとしない。それどころか、彼の息遣いがどんどん荒くなっていく。おそらくこれまで射精したことがないであろう【豊】のチンポは、思った以上に敏感だった。


「だ、ダメだっ……! イクッ!! 豊のチンポで、俺……」


 情けなくも俺は、かつての【俺】の姿をした息子の目の前で、荒い呼吸を繰り返しながらビュクビュクと射精してしまった。【阿部豊】としての精通。全身が打ち震えるような初めての快感に、頭が真っ白になる。


「はあ、はあ……、ああっ……♥」


 しかし、【豊】の肉体はまだ満足できないようだ。射精したばかりなのにもかかわらず、射精する前よりもむしろガチガチに勃起している。しかも、白濁液で濡れそぼったチンポの先っぽは上を向き、小刻みに揺れながら我慢汁を垂らし続けている始末だ。そんな惨めな姿になった俺を見下ろしながら、濱野が喜々とした表情で言った。


「士長の息子さん……。さすが、現役の消防士のご長男だけあってご立派ですねぇ♥」


 そんな濱野に首肯すると、豊は彼の唇を奪った。二人の舌が絡み合う様子を、周りの同僚たちもニヤニヤしながら熱い視線を送っている。豊は口を離すと、頬を赤らめながら濱野の肉体をまじまじと見つめていた。そしておもむろに彼の腰をガッシリと掴んで後ろを振り向かせると──、彼の肛門の中にいきり立った自分の肉棒を挿入したのだ。


「う、嘘だろ……!? 俺の身体でなにやってんだ、豊っ!!」


 俺は目に涙を浮かべながら、息子に向かって叫んだ。しかし、豊は俺のことなど気にも留めず腰を動かし続ける。


「ああっ! 士長っ……!! 士長の極太チンポ……最高です!!」


(俺の息子が、俺の身体で……。くそっ……! なんでこんなことになってるんだ!?)


 自分の肉体が男とのセックスに溺れる姿を見て、俺は怒りや悔しさよりもなぜか興奮していた。これまでの人生で男に欲情したことなど、一度たりともない。なのに、今は息子の豊が【俺】の姿で屈強な消防士とセックスをする光景を見て、心の底からムズムズとした興奮が湧きあがってくるのだ。


「んっ……♥ ああ、たまりませんっ……! もっと激しく突いてください、士長ッ!!」


 床に両手を付いて顔を真っ赤にし、尻を突き出した濱野が、腰を振りながら喘ぎ声を漏らした。豊は精悍な顔を恍惚の色に染め上げると、獣のような声を上げて一層激しく腰を振りはじめる。豊のチンポが出入りするたびに、濱野の尻からは【俺】が出した我慢汁と彼の腸液がぐちゃぐちゃと音を立てて飛び散っている。その光景にますます俺の興奮は高まっていった。


「うぐっ! くっ……、あああっ!!」


 濱野が浅ましい叫び声を上げながら、首を垂れた。部下としてしか見たことがなかった男の、強者に屈服したかのような態度が、俺の興奮を加速させる。しかし豊はそんな濱野には目もくれず、無我夢中で腰を振り続けた。そしてひときわ大きく腰を叩き付けたかと思うと、ブルッと身震いをし──。


「ウグゥッ……、濱野ぉ、イクぞっ! イクイクイクゥッ!!!」


 野太い声が豊の口から漏れた瞬間、濱野のアナルからドボドボと大量のザーメンが流れ出した。同時に種馬のように太い彼の竿も狂ったように暴れ回り、先端からは放水のようにザーメンが迸る。濱野は床に膝をつきながら、恍惚とした表情で豊のほうを振り返ると、愛撫するように【阿部実】の精液まみれの肉棒を口いっぱいに含んだ。


「ふうっ、はぁ……♥ 士長のDNAたっぷりの雄汁……、最高です……♥♥」


 そう言いながら濱野がちゅぱちゅぱと音を立てて豊の竿に吸い付いているのを見て、俺も自分の──、息子のムスコをしごき始めた。ガチムチの男二人が、汗臭い濃厚セックスの果てに放出されたドロドロの精液で互いの肉体を汚し合う。あまりにも倒錯的なその一コマに、俺は精子が金玉からせり上がってくるのを感じた。


「ああっ……♥ 出るっ……♥♥」


 ひときわ高い少年の艶声を上げると、俺は精巣から運ばれてきたザーメンを勢いよく解き放った。開放感と背徳感が脳内を埋め尽くし、それがひどく気持ちいい。豊の身体でする射精は、自分の身体でするオナニーなど比にならないほどの、性的快感を俺に与えてくれた。そして、俺が絶頂に達したのとほぼ同時に、豊も絶頂を迎えたようだ。濱野の口からチンポを離すと、彼は部屋中に轟くほどの大声を放ちながら体を弓なりに反らせた。


「あぁ……♥ イクッ……!! イクイクイグゥゥゥゥ!!!!」


 巨大な男根の鈴口から噴き上がった、まるで噴水を想起させるほどのザーメン。その光景を目にした俺は、息子に自分の存在すべてを奪われてしまったことを痛感した。同時にこの肉体に閉じ込められ、かつての自分の姿をした息子がむくつけき益荒男たちと乱交セックスをするさまを見ることこそが、俺を最も興奮させる材料になったのだという事実に気付いてしまった。

 もう戻れない──、いや戻りたくない。そう考えながら、俺は精液まみれになった身体で、目の前の【父】の肉体を抱きしめたのだった。



***


「あぁ、あなたっ……、いいわぁ♥」


「おぉッ! お前のマンコも最高だぞっ♥♥」


「ああんっ……♥ あなたの精子、私の子宮がいっぱいになるまで注いでぇ♥♥」


 薄暗い部屋の中では、俺の愛する妻とのセックスに溺れる息子の艶めかしい喘ぎ声が響き渡っている。もはや見た目も中身も俺そのもの──、何もかもが【阿部実】になってしまった豊が、俺の妻と愛し合っている光景をこっそりと眺めつつ、俺は【豊】の肉体でチンポをしごく。すると全身に甘い快感が走り回り、あっという間に射精へと導かれてしまう。もともとゲイで男しか愛せなかったうえに、父である俺のことを好ましく思っていた豊。そんな豊の肉体に宿ってしまった俺の魂に、【かつての自分の肉体に興奮する】という性癖が、呪いのように焼き付いてしまった。



 息子の社会学習、最終日。入れ替わっていた俺たち親子の肉体が、元に戻るはずだった日──。


 その日に、俺と豊の肉体が再び交換されることはなかった。俺よりも、【俺】の姿をした息子のことを、同僚の消防士たちみんなが愛してしまったからだ。俺がこれまで面倒を見てきた部下たちは、心の底から彼らを信頼していた俺を捨て、淫乱になってしまった俺の息子を上司として選んだのだ。

 そして、『人体交換装置』を操作する資格を持った部下によって、俺と豊の肉体は永遠に元に戻らないように細工されてしまった。かくして俺たち二人は、このさき一生を入れ替わった状態で生きていくことになったのである。


「ああんっ♥ あなたっ、あなたッ、あなたぁぁぁ! 私の子宮の中にたくさん出して! 私を孕ませてぇっ!!」


「くうっ……! イクぞっ、お前ッ! おおおぉッ!!!」


 妻の声に導かれるように、豊はドプッと音を立てながらチンポを震わせ、大量のザーメンを解き放った。妻が息子によって種付けされる様を目にした俺は、豊の部屋へと猛ダッシュすると、ズボンと下着を脱ぎ捨ててベッドにダイブした。


「豊っ……♥ 俺の愛する息子が俺の嫁と……ッ♥♥ 豊が俺の──、【僕】のパパに……♥ パパ、パパ、パパァッ♥♥♥」


 僕はベッドの上で身を捩らせながら、シーツにチンポを激しく擦り付けた。自分の肉体を奪った息子が妻とセックスをする光景が──、最愛の妻を寝取られたという状況が、僕に異常なまでの興奮を与えてくれる。パパの顔、パパの体、パパのチンポ、そしてパパのザーメン。そのすべてがつい先日まで僕のものだったという事実が、無上の快楽となって僕の全身に襲い掛かってくる。


「んああっ♥ イクッ! 息子のチンポでイっちゃううぅっ♥♥」


 カリ首まで皮に覆われたチンポを激しく上下にしごくと、僕はもう一方の手でシーツを強く握りしめながら、大量のザーメンをベッドの上にぶち撒けた。射精による凄まじい快感が僕の脳みそを支配し、視界がチカチカと明滅する。もはやこの肉体は、【俺】の魂と完全に混ざり合ってしまったのだと感じる。もう記憶の糸を手繰っても、自分が消防士として働いていた頃のこともほとんど思い出せない。

 そんなことをぼんやりと考えていると、扉が開いた。目に映ったのは筋骨隆々のたくましい裸体。そして、見せつけるようにチンポをぶらつかせながら部屋へと入ってくる豊。シーツの上が精液で濡れているのを目にした彼は、満足げな笑みを浮かべながら歩み寄ってくると、まるで恋人にするかのように僕の身体を抱きしめた。


「あっ、パパ……♥」


 嬉しさのあまり、僕は自分の肉体を奪った相手をそう呼んでしまった。その言葉を聞いた豊の呼吸音が、徐々に荒々しいものへと変わっていく。そして【パパ】は、僕の体をそのままベッドに押し倒した。


「えっ……? あ、ああっ……!」


「パパとママのセックスを盗み見るなんて、悪い子だ。おまけにベッドをこんなに汚すなんて、どうやらオナニーもまともにできなくなっちまったみたいだなぁ、豊は♥ いいか? 今から【パパ】がお前に、オナニーのやり方を教えてやるからな♥」


 困惑の声を上げる僕に向かって、有無を言わせぬ口調で告げるパパ。【俺】の姿をした男──、しかも息子にオナニーの指南をされるだなんて……。だが僕は、野太い声で発せられたパパのその言葉に従順に従った。【パパ】が皮を被った僕のチンポを丁寧に剥いていく様を、僕はただ黙って見ていることしかできなかった。目の前にさらされた【僕】の包茎チンポを見て、パパが照れくさそうな笑みを浮かべる。


「【僕】のチンポ、こんなに小さかったんだな。なんだか小っ恥ずかしいが……、今となっては愛おしくてたまらんッ♥」


 そう呟くと、パパは躊躇うことなく僕のチンポを口に含んだ。そのあまりの気持ちよさに、思わず僕は腰を震わせる。これまでに女性にチンポを咥えてもらったことは何度かあったはずだが、まるで初めて体験するような刺激だ。パパはそんな僕を嘲笑うかのように激しく舌を動かし始めたかと思うと、僕の金玉を揉みしだきながらフェラチオを始めた。その巧みな舌使いに、僕は腰を浮かせて悶えた。


「んああっ……♥ パパっ! パパァ……♥♥」


 パパは僕の尻穴をゴツゴツとした指で掻き回し、僕が決して自分では触ったことのなかった場所を責め続ける。大人だったときにも感じたことのなかった強烈な快楽。愛する妻の前でもこんなに乱れたことはないというくらいに激しく身を捩らせると──、やがて僕は勃起したチンポを震わせた。


「パパッ! 僕っ……♥ もうイクッ……!」


 そう叫ぶと同時に、僕はパパの口からチンポを引き抜くと、背中を反らせながら勢いよく射精した。中学生のチンポはまだ柔らかく、粘り気の少ないザーメンが噴水のように飛び散るのに合わせて、暴れ回る。すべてを出し終えると、パパは最後の一滴まで絞り出すかのように、鈴口の中まで舌を這わせながら僕のチンポを優しく舐め回した。そしてゴクンと音を立ててザーメンを飲み下すと、満面の笑顔で口を開いた。


「ふぅ……、いっぱい出たなぁ、豊♥」


「あぁ、パパ……♥」


 僕の顔が本能の命じるままに、パパの股間に近づいていく。そしてそこにぶら下がっている巨大な金玉を口に含むと、飴玉をしゃぶるかのように舌で舐め回し始めた。愛するパパのために、今度は僕がパパのチンポをしゃぶってやろうと思ったのだ。妻とのセックスで汗だくになり、ろくにザーメンも拭っていないパパの臭いが僕の鼻腔を激しく刺激する。加齢臭とイカ臭さの入り混じったその臭いが、僕をどうしようもなく昂らせた。蒸れた肉棒は、玉をねぶられたことですぐにガチガチに硬くなる。その長さと太さたるや、いま僕が目にしているこれが本来の自分の身体の一部だったことに驚いてしまうほどだった。


(すっごくエロイチンポだ……♥ こんなチンポが、この前までは僕の股間に生えてたなんて……)


 現役消防士の極太チンポ。屈強な同僚たちの誰よりも大きいその竿は、ひときわ強い匂いを放ち、そしてエグいほどにグロテスクだった。

 僕の顔が発情しきった表情になっていくのを見てか、【俺】の姿をしたパパがニヤッと笑ったかと思うと──。


「ほらっ……、懐かしいか豊? この汗臭くてマッチョな体。男らしい顔。それに女とセックスしまくって真っ黒になった、このいやらしいチンポ♥ このチンポはなあ、さっきまでママのおマンコに突っ込んでたんだぞぉ」


 パパはそう言って、己の股間からそびえ立つ立派なイチモツをぶらつかせ始めた。肉体を奪われたことに興奮している僕と同様に、パパも僕の肉体を奪ってママとセックスをしたという倒錯的シチュエーションに興奮しているようだ。精液と愛液がべっとりと付着した黒い性器が、窓から差し込む月明かりでヌラヌラと淫猥に濡れ光る。

 もう我慢できない! ゴクリと唾を飲み込んだ僕は、欲求に抗うことができずに巨大な肉棒を咥え込んだ。青臭い味が口内いっぱいに広がり、雄臭さが鼻を突き抜けてくる。その強烈な臭いは僕の脳天までをも貫き、理性を吹き飛ばすのには十分だった。


「豊ッ! お前はこれからもずっと俺の息子だ。そしてこの肉体は……、永遠に【僕】のモノだッッ♥♥♥」


「んぐぅっ! ううっ♥♥」


 僕の頭を両手で掴むと、パパは激しく腰を振り始めた。喉奥までデカマラを突き入れられて嗚咽が漏れるが、その苦痛すら気持ちいい。唾液を垂れ流しながら口マンコでチンポをしゃぶると、どんどん口の中でサイズが膨らんでいくのを感じる。顎が外れるくらい大きく口を広げてチンポを咥えながら、僕は惚けた顔で腰をくねらせた。甘い吐息を漏らしながら、再び僕のアナルをパパが掻き回す。太い指の腹が僕の前立腺を擦るたび、僕は身体を跳ねさせて悶絶した。


「イクぞッ! おらっ!! 豊、ゆたかっ! ユタカァァァッ♥♥♥」


──ドピュッ!! ドビュルルルルーーーッ!!!


 口腔内に濃厚なザーメンがぶち撒けられた瞬間、僕もまた尻穴への刺激だけで絶頂を迎えた。雄チンポほどもあるパパのごつい指を咥え込んだ僕の肛門が、激しく収縮と弛緩を繰り返す。そんな淫猥な穴になってしまった場所から指をズボリと引き抜くと、パパは満足そうに微笑んだ。そして射精してもなお硬さを失わないチンポをビンビンに勃起させたまま、僕を再びベッドへと押し倒した。


(了)

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Comments

黒竜Leo

やはり若い子の経験は簡単に中年男の記憶に飲み込まれたんだね。 親しい人しか使えないのはちょっと残念な気持ちになります!

ムチユキ

大好きなパパの膨大な記憶に、豊くんは屈服してしまいました 😭 ちなみに『人体交換装置』は、裏社会で違法改造されて、誰とでも肉体交換できるようになっているかもしれません…… 🍌💦