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 塩素臭の漂うプールの更衣室。窓が閉じられているため、ムッとするような熱気と臭気がこもっている。

 扉も付いていない収納棚の各所からは、乱雑に放り込まれた夏用の制服や下着がはみ出していた。米沢和貴(よねざわかずたか)はそれらには目もくれず、誰もいない更衣室内を息を殺し、足音を忍ばせて目的の場所へとそそくさと向かう。これからすることは良からぬことだという自覚が彼にはあるため、自然と息をひそめてしまう。


 和貴は更衣室の入り口から一番離れた棚に辿り着くと、その中に畳んで置かれていた衣服に手を伸ばした。真っ白なポロシャツにソックス、朱色のジャージズボン、それにケツワレ。それは、体育教師の沢渡丈雄(さわたりたけお)のものだった。彼は一度振り返り、入り口付近に人気がないのを確認すると、プールのほうから聞こえてくる生徒たちの笑い声や沢渡が吹いているであろう笛の音をBGMに、そそくさと着替えを始めた。


 沢渡の体温がいまだ残ったケツワレに足を通し、湿り気を帯びたポロシャツを頭から被る。布の肌触りや臭いからして、沢渡が日常的に着用しているものだとわかる。このポロシャツは彼の汗を存分に吸い込んでいるのだと思うと、興奮してたまらない。和貴は鼻息を荒くしながらジャージズボンを穿き、最後に薄汚れたソックスに足を通した。沢渡の足によって蒸らされたソックスやズボンに包み込まれているいまの自分の光景を想像すると、どうしようもなく胸が高鳴った。

 ほどなくして、彼の全身がびくりと大きく痙攣した。そして、みるみるうちに彼の身には変化が起こった。


 首筋からつま先に至るまでが、褐色の肌色に一気に染まる。無毛に近かった皮膚の毛穴からは黒い体毛が生え、肩幅や胸板も急速に厚みを増していき、体中の筋肉を発達させながら骨格もメキメキと音をたてて変形していく。手と足のサイズも大きくなり、着ている衣服にピッタリのサイズになった。ズボンの下に隠れている尻もまた大きく膨らみ、下半身のボリューム感が増すと肉体の変化は終わりを告げた。

 和貴は頬を赤く染めると、ズボンとケツワレをぐいっと下ろした。その瞬間、窮屈な布地から解放された彼の男根がボロンとまろび出て、透明な汁を飛び散らせながら天井に向かって反り返った。


「うはっ♥」


 途端に汗と雄の臭いが立ち込めて、和貴の鼻腔を刺激的にくすぐった。生まれ変わった股間のモノが放つ濃密なフェロモンを存分に嗅ぎながら、和貴は身に着けていた衣服をロッカーの中に詰め込み直すと、眼下に広がる毛深くたくましい肉体を見下ろした。頭一つ分は高くなった目線。分厚い筋肉に脂肪がバランスよくついた浅黒い肌。骨太で屈強な四肢、大きく膨らんではちきれんばかりの胸筋に割れた腹筋。すべてが和貴の望んだとおりのものに変わってしまえば、興奮しないわけがない。


「はぁ……はぁっ……。沢渡先生……♥」


 和貴は熱い吐息を漏らしながら呟くと、巨根となった自らのイチモツを右手で握り込んだ。更衣室の壁に備え付けられた鏡には、顔は【米沢和貴】で首から下は【沢渡丈雄】の見た目をした、奇妙な肉体の男が映っている。その異様な光景に、彼は高揚感を抑えきれなくなってしまった。


「んあぁっ♥」


 力を込めてひと擦りすると、彼はびくびくと巨体を痙攣させながら快楽に悶えた。筋肉の形を浮き立たせるほどに盛り上がった無骨な腕には血管が浮かび上がり、手指はごつごつとした形をしていて、体毛の薄かった彼の指とはまったく別物だ。まるで沢渡によって手淫されているような、それでいて自分が沢渡の肉体を慰めているかのような、そんな倒錯感と快感が頭の中を支配し、彼の男根は一気に張りつめた。


「イクゥッ♥♥」


 次の瞬間、屈強な肉体の股間から生えた男根は限界を迎えた。生臭い匂いを放つ白濁液が鏡に飛び散り、鏡の中にいた沢渡の肉体をした和貴の顔を淫らな表情へと変えていく。肩で息をしながら恍惚とした表情を浮かべる自分自身の姿を見るともない眼差しでじっと見つめながら、彼はこれから先のことを考えて期待に心を躍らせた。



***


 僕が初めて自分の能力に気付いたのは二年前、中学一年生の頃だった。成長期にも入り、大人の体つきになり始めたばかりの僕はブリーフを卒業し、ボクサーパンツへと下着を履き替えることにした。そのせいである日、似たようなのを履いていた父さんのパンツを間違えて履いてしまったのだ。

 体が成長することを考慮に入れて大きいサイズのものを買っていたので、履き間違いにすぐには気付かなかったのだが、なんだか股間がムズムズと疼き始めたことで変だなと思い、脱いでみてすぐに異変に気付いた。僕のチンポは小さく縮こまっていて、毛もほとんど生えていない子供のようなものだったはずなのに、目に入ってきたのは明らかに大人の男の人のグロテスクなチンポだったからだ。おかしいのはそれだけじゃなかった。お尻も僕の体格には不自然なほどにでかくなり、肛門の周りを撫でると指に絡むほどの濃い毛がたくさん生えていた。


 あからさまに体の一部が別人のモノに変わり、僕は訳がわからないまましばらく茫然自失するしかなかった。

 クラスメイトたちに指摘されないかビクビクとしながら学生生活を続ける日々の中、タオルで隠すこともなく風呂から一糸纏わぬ姿で出てきた父さんの股間を見て、僕は自分の身に何が起きたのか理解した。土方仕事に従事している父さんの体は筋肉隆々で、チンポも僕のとは比べ物にならないくらいにデカい──、はずだった。なのに、そこにぶら下がっていたのは真っ黒に日焼けした肌とはかけ離れたくらい白くて綺麗なチンポだった。しかも小さくてチンポの先まで皮が被り、その周りには申し訳程度の産毛しか生えていない。


 僕は混乱した。だがすぐに、理解してしまった。僕と父さんのチンポは入れ替わったのだと。



 その日から僕は、実験を開始した。父さんが仕事に行っている隙に父さんの部屋にこっそりと侵入し、床に脱ぎ捨てられたままになっていた靴下を履き、使い古しのサイズの大きな軍手を手に嵌めた。すると変化はすぐに訪れた。軍手を嵌めた手がその下で膨れ上がり、指先がグネグネと蠢き始めて大きくなっていったのだ。並行して靴下の中でも変化が起こり、フィットするように履いている足がデカくなるのを感じた。変化が終わるのを見届け、すぐさま軍手と靴下を脱ぐと、そこにあったのは指毛の生えたごつごつとした掌と足だった。


 これはもう間違いない。他人の身に着けていたものを、僕が身に着けると、その箇所がその所有者と入れ替わるのだ。父さんと僕のチンポが入れ替わったように、である。


 それからというもの僕は様々な父さんの衣服を試し、そのたびに父さんの体と自分の体のパーツを交換していった。洗濯籠に入っていた父さんの汗にまみれたコンプレッションインナーに手足を通すことで、僕の肉体はたくましく分厚い筋肉に覆われたものへと変わった。そして最後の仕上げに、父さんの唾液がたっぷりとしみ込んだマスクで口を覆い、使い古して今はもう使っていない安全帽をすっぽりと頭に乗せた僕は、自分の部屋の鏡を覗いた。果たしてそこにいたのは、僕の父さん──、米沢義貴(よねざわよしたか)だった。


「すごいや……!」


 ぽっこりと飛び出した喉仏を上下に震わせて野太い声で小さく歓声を上げると、僕は姿見の前でいろんなポーズを取った。全身の筋肉を強調するような、ボディービルダーのようなポージングを裸のまま何度も繰り返していると、不意に僕の背筋に感じたことのないゾクゾクとした震えが走った。恐る恐る下を向くと、鏡に映った父さんの股間がムクムクと大きくなり始めているのが見えた。


「な、なんだこれ?! どうしちゃったの、僕のチンチン……っ?」


 チンポが大きくなるという初めての体験に驚く僕の思考とは反対に、それが自然なことであるかのように太い父さんの腕は勝手に動き、大きな掌がチンポを握りしめると上下に擦り上げ始めた。


「んお゛っ!! んお゛おぉおぉ!!!」


 僕の口から、今までに一度も耳にしたことのないような、喜びとも戸惑いとも判別できないような父さんの野太い喘ぎ声が漏れ出た。僕の意思で動かしているはずなのに、自分の体ではないみたいに手が勝手に動いてしまっている。頭のてっぺんからつま先までを、未知の感覚による快感と恐怖がごちゃまぜになって何度も往復し、僕の思考回路はショート寸前だ。


「んはぁっ♥♥」


 いつしか鏡の中では、父さんの顔をした僕が、だらしない顔で快楽に蕩けきった表情を浮かべていた。普段は厳しく、僕を叱ってばかりの父さんが、目を潤ませて欲望にまみれたアヘ顔を晒している。そのギャップにたまらなく興奮してしまって、僕はさらに力強くチンポをしごいた。こうすれば何が起きるのか僕には見当もつかなかったが、父さんの体は気持ちよくなるためにこの行為をしているのだということは理解できた。きっと父さんは、日常的にこんな変態親父みたいなことをしているのだ。太い眉尻をだらしなく下げ、鼻の下を伸ばして鼻水を垂らし、鷹のように力強い目は媚びるようにとろんとしてしまっている。これが父さんの本当の姿なんだと思うと、なぜか僕の胸は熱く高鳴った。


「んほぉお゛ぉっ♥♥ 僕の顔♥ こんなスケベな顔が【俺】の……んっはぁあ゛ぁあ゛ッ♥♥」


 鏡に映る自分自身に、僕はどうしようもなく欲情していた。むさ苦しい無精ひげを蓄えた中年男性になってしまった僕の顔が、快楽を求めていやらしく歪んでいる──。そう思うだけで、体がカアッと熱くなり、頭の中がドロドロとした粘液で満たされていくような快感で溶けそうだった。


──気持ちいい。気持ちよすぎて、もう何も考えられん……!!


 そう感じた瞬間、何かが自分の体から飛び出す予感がした。腹の奥をキュッと締め付けられるような切なさが湧き起こり、全身の筋肉がぶるっと大きく痙攣する。そして僕は、ありったけの力でチンポを握り締めた。


「イクッ♥♥ イッグ~~~ッ♥♥♥」


 意味不明な唸り声を上げ、頭の中が真っ白になるほどの強い快楽の波に呑まれながら、僕の体は勢いよく跳ねて固まった。鼓膜を叩く野太い咆哮は、まるで自分の口から発せられたものではないようだった。チンポの根元から何かが迫り上がってくる。背筋を仰け反らせ、股間を前に突き出し、全身をガクガクと痙攣させながら、僕はこみ上げてくる【何か】を放出した。おしっことはまったく違う、ドロドロで白く濁った液体。それが脈打つチンポから何度も何度も飛び出し、びちゃびちゃ音を立てながら床と目の前の鏡を白く染めていく。


 そうして僕は、父さんの身体で初めての精通を迎えた。




 それから僕の人生が大きく変わる──、ということはなかった。中学生の華奢な僕の身体と入れ替わってしまった父さんが、土方仕事なんて到底できるはずがないからだ。名残惜しみながらも僕は父さんの肉体を捨て、元の身体へと戻った。

 だが、それほどがっかりすることもなかった。どうやら一度でも入れ替えたことのある肉体の一部は、頭の中で念じれば好きなときに交換ができるらしいとわかったおかげだ。それを知ってからは、父さんが寝ているときや、休日の日に父さんの肉体を奪ってはチンポをしごきまくった。どういうことか父さんの体を自由に使えたときよりも、制限を課されたときのほうがオナニーの快感が増すことに気付いたのは、それからしばらくしてからだった。


 自分の能力に気付いてから二年。オレは中学三年生になっていた。頻繁に父さんの身体と自分の身体を入れ替えていたせいか、どちらかといえばおとなしめだったオレの性格は、いつの間にかがさつな父さんに近いものになってしまっていた。とは言えガキってやつは順応性が高いもんで、小さいころから仲の良かったダチどもは、オレが昔と変わったところで特に何かを言ってくることはなかった。

 しかし、中学一年の頃から担任である沢渡先生だけは、急激に変化してしまったオレに疑いの目を向けるようになっていた。家庭で何かあったのかだとか、進路で悩みでもあるのかだとか、やたらと家庭訪問や進路指導の予定を入れては親身になってオレの話を聞こうとしてくれる先生。最初こそうんざりしていたものの、いつしかオレは、そんなふうに親身になってくれる先生のことを恋愛の対象として見るようになっていた。


 ガタイはいいが無駄な脂肪の付いていない父さんと違って、ムチムチとした体に大人の色気が漂う整った顔立ち。まだ三十手前だというのに、先生の鍛えられた肉体は日に日に脂が乗っていっているような気がする。そんな沢渡先生が近くにいるというだけでもオレのチンポはすぐに硬くなってしまい、ふとしたときに露になる先生の胸元や、ズボン越しにもっこりと大きく膨らんだ股間を毎日食い入るように見つめては、むしゃぶりつきたくなるような欲求を抱くようになっていた。



 そして今日──、俺は先生の肉体を手に入れた。血管の浮き出た太い首、パンパンに筋肉の詰まった肩から腕、骨太な手や足の指先、がっちりとした腰回りやデカいケツまで。俺の脳から全身に感覚が伝わり、先生の肉体を思い通りに動かすことができちまう。その感覚は今まで体感したことのないような、圧倒的な快楽だった。父さんと全身を入れ替えたときよりも一層強く感じる幸福感。おっぱいのように突き出たデカい胸を揉みしだくと、先生の体が喜んだようにビクンと跳ねた。ああ、もっと揉みしだいてやりたい……!


 オレは先生の肉体を手に入れて学校から帰ると、そのまま一直線に自室の鏡の前に陣取った。そして教室の先生の机からくすねたマスクを身に着け、顔には更衣室で新品のものと入れ替えた先生のパンツを被った。


 呼吸が苦しい──。


 だが、スーハースーハーと必死に息を吸うたびに、オレを包む先生の口臭とチンポ臭が鼻腔を通って頭の中に充満していく。脳味噌が先生に犯されている。奪い取ってオレのモノになった先生の肉体が、自分の強烈な匂いに反応してチンポをギンギンに硬くしている。


「んっ♥ お゛っ♥ おあぁ……♥♥」


 今まで聞いたことのないような艶めかしい声が、オレの口から溢れ出る。頭がトロけてしまいそうになるような甘い感覚に酔いしれながら、オレは腰を前に突き出した。ガニ股になって上を向いたチンポが、痛いくらいに大きく膨らんでいる。沢渡先生のチンポが、オレの股間でこんなにも荒々しく勃起している。そう思っただけで、オレの心と先生の体が一層熱くなっていくのがわかった。


 脳の奥底が甘く痺れるような感覚に全身を包まれながら、オレは狂ったように何度もチンポをしごき続けた。


 先生、沢渡先生。オレの大好きな先生──。


 オレの心臓がバクバクと早鐘のように鳴り続けている。オレの肉体すべてが、これから沢渡先生のモノと入れ替わっちまうんだ──!


「オ゛ッ♥♥♥ おあ゛ぁあっ♥♥」


 チンポから込み上げてくる熱い感覚に、オレは濁った悲鳴を上げた。目の前に火花が散って、視界が真っ白になる。頭の中で快感の波が大きく膨らんで、気が変になっちまいそうだ。体全体が性感帯になったみたいで、吹き出す汗や口から垂れる唾液が肌の上を滑り落ちるだけで、全身を揉まれているような快感が沸き起こる。

 呼吸困難になりそうになったオレは、呻き声を上げながら、マスクとパンツを剥ぎ取った。荒く乱れていたオレの呼吸が少しずつ落ち着いていく。それに合わせて顔が熱くなり、何者かに頭蓋骨をこねくり回され、揉みくちゃにされているかのような感覚に襲われながらオレの顔は変わっていった。


「はぁ……っ♥ んはぁ……っ♥♥」


 そして鏡に映ったオレの顔は──、沢渡先生になっていた。真面目で端整な顔立ちをした、ラグビー部の顧問である体育教師。先生の顔をしたオレはニヤリと笑みを浮かべると、自分の肉体を確かめるように全身を隈なく触り始めた。肩幅が広く筋肉質で、二の腕や太腿はむっちりとした男らしい体型。ゴツゴツとした手の感触を確かめながら腕を曲げて力こぶを作ったり、弾力のある分厚い大胸筋を揉みしだきながら勃起した乳首をクリクリと弄り倒すと、腹の奥が熱くなってチンポの先からヌルヌルとした先走りがとめどなく溢れ始めた。


「先生、沢渡先生──♥♥♥」


 鏡に映った沢渡先生が、チンポを反り返らせながら熱っぽい顔でオレを見つめている。先生とオレしか知らないいやらしい顔。いや、これからはオレだけが知る顔になるのだ。オレはほくそ笑むと、鏡に映ったこれから使用する新しい自分の肉体を見つめながら、沢渡先生の精液をチンポから吐き出した。




「米沢、こうしてお前を呼び出すのは久しぶりだが、家庭のほうはどうなんだ?」


 普段使用されることが極端に少ないため、カビの臭いが充満している進路指導室で、沢渡先生は切り出した。


「相変わらずですよ、先生」


 オレが笑みを浮かべながらそう返すと、彼は困ったように眉を曲げて頭をかいた。短く刈り揃えた髪に太い眉でゴツい体つきをした、三十歳を目前にして熟れだした肉体であったはずの体育教師の沢渡先生。しかしその彼の肉体はすべてオレによって奪われ、傍目には体育教師だなどと到底思えないような貧弱な少年の体になってしまっていた。


「お前の以前の成績なら、県内のどの進学校でも狙えると俺は踏んでいたんだが……」


「いいんです、先生。オレ、将来の夢を見つけたから。実は体育教師になりたいんです、先生みたいな……。いや、沢渡先生そのものになりたかったんで、先生の身体全部もらっちゃいました」


「お、お前が体育教師?! そりゃまた……、俺みたいになりたいだなんて。……って、俺の身体をもらったってどういうことだ? 待て、嘘だろ? 待て待て待てッ!! お、お前、その体は俺の……、それにその顔はお前の親父さんのモノじゃないか?!」


 オレの顔と体を壊れた機械のように交互に指差しながら、先生はガクガクと肩を震わせた。予想通りの反応に堪えきれずに、オレはくすくすと笑い声を上げていた。先生の身体はすべて奪ってしまったが、今日は肉体の一部を奪う瞬間を先生の目の前で実演して見せるために、顔だけは父さんのモノと交換している。父さんの顔と先生の体の見た目の相性が良かったせいもあるが……。


 まあともかく、先生に見せてやろうか。オレの顔が、先生の顔になっていく様を──。


 ズボンを脱いでソファーから立ち上がったオレはテーブルの上に飛び乗り、先生の唇を奪った。突然のことに抵抗しようとする先生の口内に舌を差し込み、歯茎をなぞったり舌同士を絡めたりする濃厚な口づけを交わしながら、オレは強引に彼の後頭部を掴んで唇を重ね続けた。


「んっ?!! んむぅ……っ♥♥」


 最初は抵抗していた沢渡先生だったが、オレの舌が口内を蹂躙していくうちに少しずつ力が抜けていき、やがて先生は自らオレの口に吸い付くようになっていた。お互いのヨダレが混ざり合う卑猥な水音を響かせながら、オレは思う存分先生と濃厚な口づけを交わした……。そして唇を離したとき、オレと先生の顔が不自然に歪み始めた。オレの顔は【沢渡丈雄】の顔に、そして先生の顔は【米沢和貴】の顔に変化していく──。



「はぁ……っ♥ こ、これは……?」


 呆けたように口を開いて舌を突き出したまま、沢渡先生は目の前で腕を組んでニヤつくオレの顔を、情けないツラで見つめていた。体だけでなく、顔までオレに奪われてしまった哀れな先生。


「くっくっくっ……、先生、今のキス最高に気持ち良かったでしょ? もうオレの顔になっちゃってるんだから、そのツラでそんな顔されたら笑いを堪えるのが大変ですよ」


「ど、どういうことなんだ米沢?! か、返してくれッ! 俺の顔……、俺の体をッ!!!」


 自分の顔を確かめるように両手でペタペタと触りながら戸惑う先生に近付くと、オレは下着を脱ぎ始めた。


「いいですよ。返します、先生の全部。でも、肉体すべてを元に戻すには、オレとセックスする必要があるんです」


 ケツワレをずり下ろして現れたオレのチンポを見た先生が、ゴクリと生唾を飲み込むのがわかった。勢いよく飛び出たオレの勃起チンポは血管を浮き上がらせながら激しく脈打ち、刺激を欲して透明な汁を垂らしていた。バキバキに硬くなったチンポは、沢渡先生に見られているだけで今にも射精してしまいそうなくらいだ。だが、どうにかこうにかそれを我慢し、オレは鞄から取り出したディルドを自分のケツの穴に押し当てた。ディルドが触れた瞬間、肛門がクパァッと口を開いたあと、ズボズボとそれを吞み込み始める。


「んはぁっ、沢渡先生っ♥ こんなデカマラ咥えこむなんて、どれだけ淫乱なおマンコしてるんですかぁッ♥♥」


 太いディルドが内壁を擦り上げる快感に、オレは甘い嬌声を上げた。


「俺の尻で、そ、そんなデカいモノをお前……ッ!!」


 オレがケツの穴で感じているのを見ながら、沢渡先生はまた喉を鳴らした。先生からしてみれば自分の肉体を奪った男が、勝手にそのケツに玩具をぶち込んで悦んでいることに怒りしか湧かないだろう。だがオレにしてみれば、先生の肉体を奪って自分のモノにしていると実感できるこの瞬間が一番興奮する瞬間だった。


「さあ先生、準備ができましたよ……♥」


 そう呟くと、オレはゆっくりと自分のケツからディルドを引き抜いた。ヌルヌルと腸液が糸を引きながらディルドの先端の亀頭部がヌポンッと飛び出すと、まだ物足りなさそうにヒクつく【沢渡丈雄】のケツの穴は、ローションや腸液で濡れ光りながらさらに刺激を求めていやらしく蠢いている。


 そんなヌラヌラと妖しく光るケツの穴を指で広げて、先生に見せつけてやった。先生のチンポも興奮してギンギンに勃起している。これまでに何人もの女性とセックスしてきた【沢渡丈雄】のモノとは違う、【米沢和貴】の童貞チンポをおっ勃てた先生の情けない姿を見ていると、優越感でおかしくなってしまいそうだ。ついこないだまではオレを導く存在だった先生を、オレが新しい世界へと導こうとしている──。


 屈辱のあまり顔を歪めながらも、先生はオレのケツから目が離せなくなっているようだ。ああ、先生……。早くオレで童貞を卒業したいんでしょう? 早く入れたくて仕方ないんでしょう?


 そんなの丸わかりですよ……。


 力ずくで先生を抱き寄せると、オレは自分のケツの穴に先生のチンポを押し当てた。ズブズブと音を立てて、オレのケツの中へと吸い込まれていく先生のチンポ……。最初は苦悶の声を漏らしていた先生も、そのすぐ後にはとても嬉しそうな喘ぎ声を上げ始めていた。オレの腰を掴むと必死になってピストン運動を繰り返し始める先生は、まるでオレがオナホにでもなったかのような錯覚を与えてくれる。


「ハァッ……♥ 先生のチンポ、オレのケツに全部入っちまった♥♥」


 直腸を押し拡げられる快感に顔を歪ませながらそう呟いても、先生はハァハァと息を荒げるだけだった。ふと顔を見上げると、快感でうっとりとした沢渡先生の顔は、蕩けて崩れてしまっていた。

 以前のオレなら、下品な笑顔が貼り付いたその顔が自分の姿だと思うと、恥ずかしさのあまり死にたくなっていただろう。しかしそんな思いも今では遠い彼方へと消え去っていった。オレはもう【米沢和貴】じゃなくなるからだ。これからは【沢渡丈雄】として、先生として【俺】が愛する生徒たちを導いていくんだ──。


「さあ、そろそろ仕上げの時間だぞ、【米沢】」


 快感で朦朧としている先生の耳元で囁くと、俺は上体を屈めて腰を落とした。一気に俺のケツの奥まで、【米沢和貴】のチンポがぶち込まれていく。そして──、


「イけッ、【米沢】ァァッ♥♥♥」


 俺がそう叫ぶと同時に、【米沢和貴】のチンポから若くみずみずしい大量の精液が発射された。硬くなったガキチンポが、俺の体内を凌辱するように刺激する。生徒にケツ穴を掘られてよがる体育教師……、それが今日からの俺だ。


「あぁ……ッ♥♥♥」


 俺のケツの穴が締まり、それに呼応するかのように米沢が情けない声を上げた瞬間、俺の脳みそに【沢渡丈雄】としての記憶がすべて流れ込んできた。【俺】がどこで生まれ、どんな子供時代を送り、大学生活を経て教師になったのか。愛する妻との馴れ初めも、彼女との度重なるセックスの情景も、娘が生まれたときの感動も、幾度となく経験してきた教師としての喜びも、そして、こうして他人に肉体を乗っ取られるという恐怖さえも──。

 すべてが鮮明に頭の中を駆け巡る。【沢渡丈雄】がこれまでの人生で味わってきたすべての思い出が、洪水のように俺の脳に押し寄せてきた。この幸せがひとつ残らず俺のモノになるんだ。


「ぐひひ……っ♥」


 激しいピストン運動によって体内に放出された熱いザーメンがケツの中で弾けるのを感じながら、俺は天井を仰ぎ見つつ精悍な顔を下品に歪めた。脱力した俺のケツから、ずるりと萎えたチンポが抜けていく。俺は立ったままの姿勢でぐったりとした米沢に近付くと、その肩を抱いて囁いた。


「いや〜、この身体をもらえて最高の気分だぜ……♥ ありがとな、米沢♥ お返しに、今度は俺がお前の中に【オレ】のすべてを注ぎ込んでやるからな……♥」



***


 【米沢和貴】の頬に口付けをすると、俺はいまだ快感でぼんやりしている彼の唇を奪った。己の口と彼の口をピッタリと隙間なく重ね合わせると、そのまま唾液と一緒に【米沢和貴】の記憶を目の前の男の中へと流し込んでいく。


「んんぅ……っ♥♥」


 ゴクゴクと音を立てて喉を鳴らす和貴の目からは、涙が流れ落ちていた。



──肉体の一部の交換。


 それが交換相手の衣服を身に着けなくても起こることに気付いたのは、ひょんなことからだった。


 このコンビニの新商品旨いから味わってみろと言われ、手渡された菓子パンを口に含んだ瞬間、オレの顔はパンを手渡してきた友人のモノと入れ替わっていた。そのとき、自分のこの能力は衣服を介してだけではなく、DNAを摂取することでも発揮することができることに気付いてしまった。


 その日を境に、オレは入れ替わりの能力をフル活用して生活してきた。好みのガチムチ野郎のあとを付け、捨てたガムやタバコにこびり付いた遺伝子を密かにゲットしては、他の人間と入れ替わって楽しんだ。遺伝子が濃く滞留したモノを摂取するほどに、入れ替わる部分は拡大していく。体だけでなく顔、それに記憶すら一瞬にして。遺伝子情報がたっぷりと含まれた、ザーメン入りのコンドームの中身をすすったときは、肉体すべてどころか存在までもが一気に入れ替わり、あまりの快感に気が狂うかと思ったくらいだ。

 他人の肉体や存在を乗っ取り、その人物に成りきって射精するときの快感といったら──。もはや、普通の生活になど戻れるはずがなかった。



 その快感を一緒に味わってくれ、沢渡先生──、いや米沢。


 すでにディルドで何度も何度も掘り倒していた【米沢和貴】のケツマンコは、俺の極太チンポに吸い付かんばかりだった。その期待に応えるように、俺は和貴のケツマンコに、チンポの根元までを一気にハメてやった。いやらしい水音を立てて吞み込んだそれを逃がさぬよう、ギチギチと強い締め付けを繰り返す腸壁。欲望に従順な肉体とは裏腹に、和貴はケツを掘られ、処女を奪われる感覚に情けない声で泣き喚いた。


「へへっ、身体を乗っ取られた相手に処女を奪われてそんなに嬉しいのか、先生……?」


「ちがっ! お、れは……ッ! 【俺】はぁっ!!」


「違う? そうだよな……、お前はもう先生じゃないよなあ、米沢ァ♥ そんなこと、お前はとっくにもう受け入れてる。その上で、俺の肉便器にしてくれって言いたいんだよな?」


「そ、そんなわけ……っ。おれは……、おれがせんせいなのにぃっ! んああぁぁっ♥♥」


 自分でも驚くくらいにデカくなった竿を、グリグリと体内の奥深くまでねじ込んでやると、和貴は叫び声を上げて上体を仰け反らせた。その姿を見ていると、ウヒウヒと自然と笑みがこぼれる。きっと俺の──、熱血漢な体育教師【沢渡丈雄】の精悍な顔は、愉悦でだらしない表情を浮かべていることだろう。


「お前は、もう先生じゃない……。今日からこの【沢渡丈雄】の肉体の新しい主人は俺だッ♥♥♥」


──ドクンッ!! ビュル! ビュルルル! ドプドプドプゥーーーッ!!!


 そう耳元で囁いてやると、背徳感に溢れた快感に、全身がぶるっと震えた。体の芯を溶かしていくようなゾクゾクする感覚に興奮しながら、俺は和貴の中に熱い精液をたっぷりと流し込んだ。


 面と向かっての【顔】と【存在】の強奪。


 これまでの入れ替わりでは味わうことのできなかった征服感、支配感が、俺の股間にぶら下がった金玉の中に大量の精子を産み出させる。【沢渡丈雄】のすべてが俺のモノになったことを自覚して、それがなんともたまらなかった。ザーメンを互いに体内に吸収した俺たちの存在は、すでに交換済みだ。


「さあ米沢、俺を【沢渡丈雄】にしてくれたお礼に、もう一発ぶち込んでやろうな……♥」


 【沢渡丈雄】の太い声でそう呟くと、俺は和貴の中に埋め込んだチンポを、ズボボッと音を立てて引き抜いた。一気に抜き取ったせいで、和貴はブルッと体を震わせる。そんな姿を眺めながらほくそ笑むと、俺のチンポの形にぽっかりと大きく開いたままになっているケツマンコの中に、再びガチガチになったデカマラを乱暴にねじ込んでいった──。


(了)

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Comments

黒竜Leo

強奪されて堕ちたガチムチ教師がとても美味い! その能力も色んな組み合わせで楽しめますね。 近日FANBOXの規制はまた強まったそうで、ムチユキさんの作品も心配です...

ムチユキ

Leoさん、コメントありがとうございます! Fanboxの規制、本当に嫌になっちゃいますね 😤 今のところ僕の作品はどれも削除対象になっていませんが、ハッシュタグにNGワードが入っていたら警告が来るらしいので、とりあえずタグは全部消しました。 いずれ、「入れ替わり」とか「乗っ取り」とかの単語も、NGワードになるかもしれませんしね。 運営からコソコソと逃れながら、これからも細々とやっていきます 🤭👍

ちはや

顔は和貴体は丈雄のイラストも見てみたいですね 挿げ替えものも面白そう

ムチユキ

和貴は平凡な顔のイメージで話を書いたので、顔を描く気にならなかったのですが、平凡な少年な顔にマッチョな大人の体の組み合わせもギャップがあって良さそうですね~

ヒトシ

お疲れ様です!差分イラスト含めて最高でした!