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「大丈夫か、船木先生?」


「う、うう……。すみません、塩見先生……。先生にご迷惑をかけてしまって……」


「構わんよ。それより……、立てるか? ほら、そこに公園のトイレがあるから。吐いたら多少は楽になるぞ」


 Y高校の体育教師、船木勝和(ふなきまさかず)は、同僚で同じく体育教師の塩見宗隆(しおみむねたか)に肩を貸されながら、ようやく立ち上がった。

 勝和がY高校に赴任して、もうすぐ一年が経とうとしている。それを記念としてというほどではないが、塩見が彼を飲みに誘ったのだ。普段なら焼酎を三合飲んでも、ケロリとしているはずの勝和だったが、この日はなぜか調子が悪く、居酒屋でビールと日本酒をいくらか飲んだだけで、ぐでんぐでんに酔っぱらってしまった。そして今に至る。


「本当に申し訳ありません……。恥ずかしいです。恩師の塩見先生にこんな醜態をさらしてしまって……」


「ワハハ、そんなこと気にするな。誰だって調子の悪いときはある。私も昔は今の君みたいになったことなぞ、何度もあるよ」


 そう言って塩見は笑ったが、勝和はまだ自分の情けなさに落ち込んでいた。

 塩見は、勝和が高校三年生だったときの担任教師で、当時から可愛がってもらっている。剣道六段の腕前を持つ彼は、齢五十近いが体つきは若者に負けないほどにたくましい。勝和もラガーマンとして、中学高校大学とラグビーを続けながら肉体を鍛え上げてきたが、彼の肉体にはそれとは別の、威厳のようなものが備わっている。そして勝和はそんな彼の強さに憧れて、教職を目指したという経緯があった。


 その憧れの教師の前で醜態をさらしてしまったことに、勝和は頭を抱えたくなった。しかし、同時に尊敬すべき恩師である塩見にもたれかかってしまったことを嬉しく思う気持ちもあった。別にホモとかそういう意味ではなく、単純に男としての憧れだ。親子ほどに年齢の離れた彼に、ひっそりと父性を感じているのかもしれない。


「それにしても珍しいな。船木くんがこんなになるまで飲むなんて。それだけ、私に心を許してくれていると思っていいのかな? ハハハ……」


 塩見の言葉に、勝和の顔がカーッと熱くなる。それが羞恥心のせいなのか、酒によるものなのかはわからない。明日学校で彼と顔を合わせると、今晩のことを思い出して今以上に顔を赤くしてしまうことだろう。

 そんなことを考えながら、ようやく公園のトイレにたどり着くと、便器に抱きついて盛大に戻した。鼻の奥がツンとなって、目からは涙が溢れ出す。ここまで酷く酔っ払ったのは、大学生の頃に先輩に飲まされて以来だ。あのときは、胃の中のものを全部戻したせいで脱水症状になりかけてしまい、病院送りになってしまった。


「お゛えっ! うげぇ~~ッ!!!」


 広々としたトイレ内に勝和の呻き声だけが響くなか、隣では塩見が黙って背中を擦ってくれている。それが、とても心地好く感じられる。塩見に背中を擦られるたび、まるでそれを合図にするように、勝和の口から吐瀉物が溢れ出した。


 一度、二度、三度……、十度、二十度、三十度……。


 びっしょりと汗をかいた勝和の背中には、戦慄が走り始めていた。

 胃の内容物はすでに空っぽだというのに、それでも身体はまだ何かを吐き出そうとしている。気が付くと、勝和の肉体は骨と皮だけと言ってもいいほどにペラペラになっていた。

 いや、信じられないことだが、骨も無くなってしまっているかもしれない。そんな彼の姿を見て、塩見の厳つく男くさい顔がくしゃりと歪んだ。


「そろそろ、頃合いか? ……すまんな、船木くん……。お前さんの身体、私がもらうぞ!」


 皮になった勝和は、塩見の大きな掌でムンズと掴まれると、無造作にトイレの床に放り投げられた。ひんやりとした塩素臭いタイルに横たわった彼の目には、いつの間にか全裸になった塩見の姿が映っていた。筋肉質でガッチリとした体格をしている塩見だが、服を脱ぐと加齢に伴った脂肪で覆われていて、ムチムチとしている。そして、股間にぶら下がるイチモツも、大柄な身体に似合っていて大きく太い。血管が浮き出たグロテスクなソレに、勝和の目は釘付けになった。だが、すぐに後ろにひっくり返されると、背中に奇妙な感触が伝わってきた。


「あぁ、あふうぅ……」


 勝和の口から、言葉にならない声が漏れる。同時に、ジジジというジッパーが開くような音が聞こえてきた。

 彼が不思議に思って後ろを振り向いた瞬間、鏡に映っていたのは自身の背中に開いた、真っ黒な空洞だった。その空洞の中に、全裸の塩見が屈強な足を突っ込んでいる。次の瞬間、彼の左足は勝和の皮の中へと消えていった。


「んお゛お゛おぉぉっ!!」


 左足に異常なまでの快感が迸り、勝和は思わず野太い声で喘いだ。間髪入れずに、次は右足を挿入され、またも快楽が押し寄せる。


「あひぃっ! な、なんだこれは……、なんなんだよ、この感覚はぁ!? し、塩見先生っ、どうなってるんですか?!」


「ワハハハハッ! 船木くん、今日からは私が君の皮を着て、君の身体の新しい持ち主になるんだよ。安心してくれ、今までどおり【船木勝和】として、君らしく生きていってやるからな」


 理解不能な状況に混乱する勝和。だが、そうこうしているうちにも、左腕右腕にも異物が──、塩見の腕が無遠慮に侵入してくる。人体の内側に、生身の身体が押し入ってくるという異様な感覚。全身タイツのようになってしまった自分の足の指先、手の指先に、塩見のゴツイ手足の指先が内側から触れている。彼の肌と、自分の肌が擦れるたびに得も言われぬ刺激が生まれ、ペラペラになったイチモツがヒクヒクと痙攣してしまう。


「あっ、はああぁっ! お、お願いします。もう許してください……!! 元に戻してっ……! こ、これ以上されたら俺ェ、おかしくなる……ッ!!」


「何を言ってるんだ。まだまだ、これからだぞ。ほら、次はチンポだ!」


 ビッグサイズのコンドームのようになってしまった、勝和のズル剥けの男根に、巨根ながらカリ首まで皮に覆われた塩見のイチモツがあてがわれる。そしてためらいなく根元まで挿入されると、勝和の視界が真っ白に染まった。肉体を陵辱されているようなゾクゾク感。まるでオーガズムを体験したのではと勘違いしてしまうほどの心地好さに、彼の頭は一瞬にして沸騰してしまった。


「うっ! ううっ! お゛っ♥ お゛お゛お゛っ♥♥♥」


 勝和の口から、自然と獣のような嬌声が漏れ出した。体内を蹂躙される感覚。女性の膣にペニスを挿入したときとは比べものにならないほどの高揚感、そして同時に湧き上がる多幸感。勝和の人並み外れた長さと太さのチンポが、塩見によって支配されていく。


「うっ……、おおおっ! いいぞ、いい具合だよ君のチンポは!! 私のモノを締め付けてきて……、気持ちが良いぞ! 私の身体と、君の皮の相性は抜群だッ!!」


 塩見の言葉に答える余裕などない。勝和の頭の中は快楽一色で染まり、それ以外のことは考えられなくなっていた。そんな彼の身体は、塩見に着られたまま、鏡の前へと連れていかれた。すでに彼の中には、塩見の全身が収まっている。だが、その姿は不格好としか言いようがなかった。それは当然のことで、塩見は勝和よりも身長は五センチほど低く、体重も十キロ近く軽いのだ。ブカブカの服を着たようになってしまうのは仕方がない。しかし、その状況もすぐに終わりを迎えた。


 再びジジジという音がして、背中に開いていた大きな穴が閉じられていく。そして次の瞬間、勝和の肉体に変化が訪れた。内側で、塩見の肉体が膨れ上がっている。まず最初に変化があったのは胸だった。大胸筋がグンと盛り上がり、乳首がぷっくりと膨らんでいく。さらに、肩幅も広がっていき、腹筋も割れ始める。腕や足も丸太のように太くなっていき、尻もパンと張りのある音を立てて大きくなると、皮になった勝和と塩見の肉体の間にあったはずの隙間が、みるみるうちに無くなっていった。


「さあ、それじゃあお待ちかねの仕上げに入るぞ、船木先生♥」


 胸に密着していた頭部が両手で掴まれると、その中に塩見の頭がズブズブと入ってきた。顔面の内側から感じる塩見の荒々しい息遣いと、彼の体温が勝和の脳をドロリと融かしていく。二人の額が、鼻が、顎が、そして唇がピッタリと密着し、勝和の舌の中に塩見の舌が突き入れられ、絡みついてくる。まるで濃厚なキスをしているようだ。口内では唾液が溢れ返り、媚薬のように甘い味が勝和の思考を鈍らせる。


「んんん゛ん゛っっ♥♥ んんん゛ん゛ん゛ん~~~♥♥♥」


 勝和ひとり分の野太い喘ぎ声が、トイレの中に響き渡る。全身が中から犯されている。顔が、胴体が、手足が、そしてチンポが塩見と一体化していく。これまでに経験したことのないオーガズムに、勝和の身体は激しく痙攣し、股間のイチモツは天に向かって大きくそそり立ち、血管を浮き立たせている。肌には玉のような汗が浮かび上がり、張りのある若い肌の表面を流れ落ちていく。


 自分の肉体が、自分だけのモノではなくなってしまう。だが、その恐怖すら快楽に変わってしまう。頭の中がぐちゃぐちゃになるほど、肉体を乗っ取られることにどうしようもなくエクスタシーを感じてしまっている。自分と塩見の肉体が有り得ないほど密着したことで、全身から伝わってくる彼の鼓動に、勝和の心が満たされていく──。


 やがて身体の変化が治まった瞬間、股間にぶら下がった陰囊がギュッと縮こまり、その中身を一気に吐き出した。大量の精子が、一瞬で尿道を駆け上がり、勢いよく噴射される。その快感たるや凄まじく、勝和の精悍な顔は教師とは思えないほどに蕩けきっていた。


「あひぃ♥ おほっ♥ あへぇ……♥」


 あまりの絶頂に、全身が弛緩してしまう。ビクビクと痙攣する全身からは湯気が立ち上り、力が抜けた勝和の肉体は口の端から涎を垂れ流しながら、床にへたり込んでしまった。それでもなお、衰えないイチモツをごつごつとした掌で握り締めた彼の身体は、猿のようにシコシコとそれをしごいて最後の一滴まで精液を絞り出した。




 幅広の肩を揺らし、荒い息を吐いていた勝和は呼吸を整えると、おもむろに立ち上がった。そして、確かめるように両の掌をグーパーさせる。ポージングを決めて力こぶを隆起させると、二の腕の筋肉が大きく盛り上がった。


「ふぅ……。さすがは船木くんの身体だ。最高にエロい肉体だな」


 鏡に映った自身の姿を見ながら満足そうに呟いた勝和は、ナルシストのようにうっとりとした顔で、次々にポージングを決めていく。そして、最後に自分自身を数十秒間強く抱き締めると、辺りに散らばっていた自分の服を身に着け、塩見の衣服を彼の持っていた鞄に詰め込んだ。


「皮と肉体も馴染んだことだし、そろそろ船木くんの家に行くとするか。……っと、これからは私が【船木勝和】なんだから、彼らしくしないとな。……よしっと、それじゃあ帰るか、俺の家に」


 【船木勝和】に成り切ることで、先ほどの情景を思い出したのか、彼のジャージの股間部分はムクムクと膨らんでいく。それを愛おし気に撫でさすると、勝和はトイレの扉を開いて帰路へとついた。




「ふっ、ふっ、ふぅっ……!」


 規則正しい低い喘ぎ声で、俺は目を覚ました。意識を失う前は公園のトイレにいたはずだったが、どうやら今は自宅に戻ってきたらしい。塩見先生に皮にされてしまい、肉体を奪われてしまったが、意識は保てているようだ。それが幸か不幸かはわからないが──。

 今、自分の身に何が起こっているのか。ぼんやりとした意識のなか、得られる感覚に神経を集中してみた。その瞬間、尻の穴に異物が挿入されていることに気付いた。それは、極太のディルドだった。


(んん゛っ! あっ、はぁっ♥♥)


 巨大な異物が挿入されている衝撃に、思わず心の中で声が出てしまう。勝手に動く自分の腰の動きに合わせて、下半身から脳天へと突き抜けるような刺激がズシンと響いて、目が覚めたばかりだというのに気が狂いそうになった。


「おう、俺っ! どうやらっ、んくっ、目が覚めたみたいだなぁっ」


 グチュグチュと音を立てながら、ディルドでケツ穴を弄り倒している【俺】が、嬉しそうに独り言ちた。


(ふっ、はあぁ……♥ し、塩見先生、俺の身体でっ、何をしているんですか?!)


「いやなに、お前っ、のために新しい身体をっ、作ってやろうと思ってな……。お゛っ♥」


 訳のわからないセリフを口にしながら、【俺】は激しく腰を上下に振り続けている。


「おお゛ぉっ!! いいぞっ、イイッ♥ やっぱり、若い男の身体はっ、最高だっ!!」


 【俺】の口から、聞いたこともない下品な濁声が漏れ出る。あろうことか、【俺】は鏡が備え付けられた壁の面前に陣取っており、そこには床に固定した極太の張型をケツ穴に押し込んで悦に浸る、【俺】の姿が映っている。

 健康診断で医者に指を突っ込まれたときよりも、遥かに大きく拡げられたアナルは限界まで伸びきっており、巨大ディルドを咥え込もうと必死にピクピクと痙攣している。そんなウブな肛門を穿たれるたびに、頭の中では火花が散るような苦痛と快楽が生まれ、それに合わせるように【俺】は、口から声にならない声を漏らしながら、肉体を悶えさせていた。


「お゛っ♥ お゛っ♥ で、出るぞっ、お前の新しい身体がッッ!!!」


 低い唸り声を上げると、【俺】は身体を仰け反らせ、全身を痙攣させた。人生でこれほどまでに勃起したことがあっただろうかというほどに、ビンビンに猛り狂ったチンポの先端から、熱く濃いドロドロの精液が勢いよく飛び出していく。一度、二度、三度と脈打つように放たれた精液は壁一面に飛び散ると、鏡にもべったりと付着した。それはまるで、人の形のようだった。その白く濁った精液は、瞬く間に人間の肌の色を帯び、皮のような見た目へと変わってしまった。


(塩見先生、その気味の悪い皮みたいなやつはいったい……)


「はあっ……、はぁ……。だから言ってるだろ? これが今日からお前が入る、新しい身体だってな」


 壁にへばり付いたその皮を剥がすと、【俺】は嬉々としてその皮を両手で持って広げた。人間の皮膚のようなその皮の表面には、いつの間にか毛が生え揃っており、頭部らしき箇所には短く硬そうな、髪のような毛も生えている。


「ほら、見ろよ。なかなかの出来栄えだと思わないか?」


 鏡の前に立った【俺】は、自慢するようにその皮の顔の部分を俺に見せてきた。ペラペラで作り物のマスクのような顔の皮。だが、それは紛れもなく、【塩見宗孝】の顔だった。【俺】はおもむろにその唇部分に吸い付くと、浮き輪を膨らますように息を吹き込み始めた。ドンドンと膨らんでいく、塩見先生にそっくりの皮。あっという間に、その皮は【塩見宗孝】の輪郭を形成していく。


「んっ……♥ はぁ、はぁ……♥」


 どこか艶めかしさの漂う吐息を漏らした【俺】が唇を離すと、そこには塩見先生と瓜二つの肉体が横たわっていた。全裸のまま床に転がっている彼の肉体は、顔だけでなく首から下の胴体、腕、足、そして股間のイチモツに至るまで、先ほどトイレで見たばかりの肉体が再現されていた。


「ふぅ……、これで準備完了だな。あとはお前がこの皮の中に移動すれば、晴れてこの【船木勝和】の肉体は俺だけのモノになる。そして、お前は今日から塩見先生だ。嬉しいだろ? お前がずっと憧れていた、【塩見宗孝】になれるんだもんな」


(そ、そんな……。後生ですからやめてください、先生。お願いします、俺を元に戻してください……!)


 俺は鏡に映った【俺】に向かって懇願する。しかし、【俺】は薄笑いを浮かべたまま、何も答えようとはしなかった。そして鞄から取り出したローションを塩見先生のケツ穴に塗りたくると、【俺】のチンポをその中にズブリと挿入して、腰を振り始めた。


「さぁ、行くぞっ! うっ、ぐぅっ♥ んっ、お゛ぉっ♥♥♥」


 【俺】が腰を前後に動かすたびに、グチュグチュと卑猥な音が部屋に響き渡る。それに合わせて、中身の入っていない塩見先生の肉体に生えたチンポが、力なく前後に揺れている。


(嫌だっ、塩見先生……! やめてくれぇ!!)


「んん っ♥♥ ん゛ん゛んんんっ♥♥♥」


 俺の願いも空しく、【俺】は気持ち良さそうに腰を動かし続けている。【俺】の腰の動きに合わせて、【俺】の肉体からは絶えずハスキーな喘ぎ声が漏れ出ており、その姿はまるでオナホを使って自慰をしているかのようだ。【俺】の肉体が射精を行ってしまうと、きっとまずいことが起きる。だが、今の俺には何もすることができない。ただ、【俺】の痴態を、自分の目を通して眺めていることしかできないのだ。


「はあっ、はあっ♥♥ イイッ、イイッぞぉぉぉぉぉ、塩見先生のケツマンコはっ!!!」


 【俺】は一心不乱に腰を振って快感に耽り続ける。女性のマンコとは比べものにならないくらいに、男のケツ穴は締まりが良い。チンポが持っていかれるのではないかと錯覚するほどにキツキツなケツ穴に、【俺】は夢中になって肉棒を突き刺している。腸の襞が絡みつくような刺激は、今まで味わってきたどの女よりも心地好く、病みつきになってしまいそうだ。


「あぁっ、イクッ♥♥ 出るぞっ、出すぞっっ♥♥♥」


(ダメだっ、出さないでくれっ!!! ああ゙あ゙あぁぁ♥♥♥)


 俺の必死の叫びも虚しく、【俺】は身体を仰け反らせて絶頂を迎えた。ドクンドクンと脈打ちながら吐き出された大量の精液が、【塩見宗孝】の腹の中へと流し込まれていく。同時に、塩見先生のチンポからも白濁液が勢いよく飛び散り、彼の顔面へと降り注いだ。その光景を目にしたのを最後に、俺は自分の肉体から追い出された。三十年間慣れ親しんできた身体を離れ、精神が他人の肉体へと移っていく感覚。それは、オナニーやセックスをするときの快楽など遥かに上回るほどに、抗いようのない悦楽だった。




「……先生。塩見先生、起きてください……」


 肩を揺さぶられながら呼びかけられた声によって、塩見は意識を取り戻した。目の前にいたのは、微笑んで彼を見つめる勝和である。


「お、俺……? んん゙っ、この声は……?!」


 喉元を抑えた塩見は、両掌をまじまじと見つめると、フラフラと鏡の前へと歩み寄った。そこに映っていたのは、紛れもなく【塩見宗孝】の身体だった。彼は鏡に顔を近付けて食い入るように見入ると、ぼそりと呟いた。


「ほ、本当に俺が、塩見先生になっちまったのか……?」


 口に出した自分の言葉に、違和感が襲い掛かる。【船木勝和】の肉体から、強制的に【塩見宗孝】の肉体に移されてしまったというのに、まるで自分が勝和の話し方の真似をしているかのように感じられたからだ。塩見は思わず頭を抱えて、その場に座り込んだ。脳内はおかしくなってしまいそうなほどに、荒れ狂っている。だと言うのに、自分の口から発せられるしゃがれた渋い声を耳にすると、胸の奥底から多幸感が溢れ出し、鏡に映った骨太のガッチリとした肉体を眺めると、興奮を覚えてしまう。


「どうですか、塩見先生? その身体、気持ち良いでしょう? 俺の作った皮の中に入った人間はみんな、その気持ち良さの虜になってしまうんですよ」


「き、気持ち良い? これが? ……んふぅ♥」


 勝和の言葉を聞き、塩見は自分の股間が膨らんでいることに気が付いた。恐る恐る手を伸ばし、ガチガチになったイチモツに触れた瞬間、甘い痺れが電流のように全身を走り抜けた。


「ふうぅっ♥ こ、これが私のチンポ……♥」


 つい反射的に塩見らしく【私】と呟いてしまい、慌てて口を塞ぐ。だが、もう遅い。自分を塩見だと認めてしまった頭の中では、堰を切ったように快楽物質がドバドバと生成され、そのあまりの心地好さに彼は酔い痴れてしまった。確かに、【塩見宗孝】には憧れを抱いていた。しかしそれは教師としてであり、彼のような男になりたいと思ったことはあれど、本当に彼そのものになりたいなどと思ったことは一度たりともなかった。

 それなのに、この股間にぶら下がったイチモツを弄り回すたびに、脳天まで突き抜けるような快感が押し寄せてくる。嬉しい。【塩見宗孝】という存在になれたことが。深いシワが刻まれた強面な顔、ごつごつとした貫禄のある筋肉質な肉体、そしてギンギンに勃起した皮被りの極太巨根。どれもこれもが愛おしい。塩見は、夢中で己の肉体をまさぐり始めた。


「はぁ、はぁ……、はうああぁ♥ 気持ち良いっ、気持ち良すぎる。これが私の身体なのか……♥」


「えぇ、そうですよ。それがあなたの本当の姿なんです。さぁ、もっと気持ち良くなりましょうよ」


「あぁ、気持ち良くなるっ♥ 今日から、私は【塩見宗孝】なんだっ♥ んっ、あっ♥ 気持ち良すぎて止まらんよ、船木先生っ♥♥」


 塩見は右手で自らのチンポをしごきながら、左手を胸に這わせた。乳首を摘まむと、鋭い快感が走り抜けていく。堪らず両手で左右の乳首を引っ張ったり押し潰したりしてみるが、それでも物足りない。もっと感じたい……。それを助けるように、勝和の指が塩見の太い胴体に這い回り、腹筋の溝に沿って上下になぞっていく。臍の中に人差し指を突っ込みグリグリと動かすと、それだけで射精してしまいそうになるほどの快感に襲われた。


「あぁっ♥ そんなところっ♥ くすぐったいぃっ♥」


「もう、チンポがビンビンになってるじゃないですか。塩見先生はこんなに変態だったんですね。ほら、こうされるのもお好きなんじゃないですか?」


 勝和は塩見の腕を上げると、無防備になった腋に鼻を近付けてスンスンと匂いを嗅いだあと、ベロリと舐め上げた。汗でしっとりと濡れたジャングルのような腋毛を掻き分け、奥にある窪みに舌を差し入れると、塩見の肉体がビクンと跳ね上がる。


「ひああぁっ♥♥ そこはダメだっ♥ 汚いから止めてくれぇっ!! 」


 つい数分前までは自分のモノではなかった肉体。それなのに、他人にその身体をまさぐられ、もみくちゃにされるたびに、昔から自分のモノだったかのように恥ずかしさが込み上げてきてしまう。しかも、相手はかつての自分だ。自分の肉体を奪い取った男に身体を舐められ、汗で濡れた肌を擦り付けられ、唇を押し当てられる。そんな倒錯的状況に、塩見は興奮を抑えることができなかった。


「はははっ、塩見先生はやっぱり可愛いですね。俺のことが、好きすぎて仕方がないでしょう? なんてったって、この数日間、その姿で【船木勝和】のことを思いながら、毎日ケツ穴を弄り倒しましたからね」


「そ、そんなことを……、あうぅ♥」


 勝和の言葉に、塩見は反論することができなかった。それが事実だったからだ。目の前にいる、かつての自分が愛おしい。毎日のように目にしていた、自分の顔と体。これまでなんの感慨も抱いてこなかったその裸体を、【塩見宗孝】の肉体は狂おしいほどに求めている。今でも勝和のことを視界に入れただけで、塩見の肉棒からは大量の先走り汁が流れ出してしまっているのだ。


 短く刈り揃えられた頭髪に、整えられた顎ヒゲ。厳つさもあるが爽やかさも備えた、体育教師らしい精悍な顔立ち。ガッチリむっちりとした、元ラガーマンらしい筋肉隆々のガタイ。塩見は、先ほどまでの自分のすべてに見惚れていた。もちろん、そのたくましい肉体の股間にそびえ立っている立派な竿にもだ。このデカマラに犯されたい。ケツ穴をグチャグチャに掻き回してほしい。心底そう思うと、彼の手は自然と自身のアナルへと伸びていった。


「んふぅっ♥ あふぅぅっ♥ き、気持ち良いっ♥」


 ローションと精液で濡れそぼった尻の穴を、節くれだった太い指が出入りする。そのたびに、塩見の口からは甘い声が漏れ出てしまう。【船木勝和】の身体でオナニーをしていたときよりも、遥かに強い快感が襲ってくる。ニヤニヤとほくそ笑むかつての自分に見られながら、チンポを震わせて快楽を貪るその姿は、あまりにも惨めで滑稽なものだろう。だが、それがたまらない。ケツを掘られる快感を知っているこの肉体が、どうしようもなく雄のチンポを求めている。


「あぁっ♥ 来てくれッ、船木先生♥ 私の中に、君のチンポをぶち込んで欲しいんだっ♥ 頼むっ、早く入れてくれぇっ♥♥」


「まったく、塩見先生は本当に淫乱ですね。さっきまで自分のモノだったチンポを欲しがるなんて。わかりました、先生の大好きな俺のチンポ、プレゼントしますね!」


 からかうような口調だが、勝和もまた興奮しているのだろう。紅潮させた顔を蕩けさせ、ギンギンにいきり立てた肉棒からは、なみなみと透明な液体が溢れ出ている。彼はその男根に手を添えると、塩見の肛門にあてがい、ツプリと音を立てながら挿入していった。


「んおおぉっ♥ 入って来たぁっ♥ くうぅっ、気持ち良すぎるうぅっ♥♥」


 待ち焦がれていた快感に、塩見の表情が悦楽に染まっていく。太く長い勝和の剛直が、腸の襞を絡め取るように侵入してくると、全身に電気が走ったような衝撃が駆け巡った。そして最奥まで突き刺さると、今度はゆっくりと引き抜かれていく。まるで排泄をしているかのような感覚に、塩見の背筋がゾクゾクと震え上がる。カリ首が括約筋を引っ掻けるたびに、言いようのない快感が押し寄せてくる。堪らず塩見は勝和の首に手を回し、足で彼の腰をホールドした。


「おほっ♥ おほおぉっ♥ しゅごいっ、チンポすごすぎるうぅぅっ♥ ケツ穴がめくれるぅぅっ♥♥」


「うはははは! すげぇ締まりですよ、先生。本当に俺のことが大好きなんですね!!」


「おおっ♥ そうだっ♥ 私は、メロメロになるくらいに、船木先生が大好きだぁっ♥ 船木くんっ、もっと突いてくれぇっ♥」


 その言葉に応えるように、満面の笑みを浮かべた勝和のピストン運動が激しくなる。股間が尻にぶつかる乾いた音が室内に響き渡るたびに、塩見の鍛え抜かれた体が跳ね上がり、腹にくっつきそうなくらいに勃起した巨根からは、だらだらと我慢汁が垂れ流されていく。さっきまでの自分が、目の前で快楽に浸った顔で、汗にまみれながら必死に腰を振り続けている。そんな倒錯的な光景に、塩見の脳内ではドーパミンがドバドバと分泌され続けていた。


「あひぃっ♥ イクっ♥ イッてしまうっ♥ 私のケツ穴の中でイってくれっ♥ 船木くんと一緒に、私も君と一緒にイクからあぁぁっ♥♥」


 これまでにアナルオナニーすら一度も行ったことがないというのに、彼はすっかり男同士の肛門性交に骨抜きになっていた。もはや彼の心は【塩見宗孝】の身体に馴染み切り、完全に【塩見宗孝】のすべてを受け入れてしまっていたのである。


「イキますよ、塩見先生! 俺の玉ン中のめちゃくちゃ濃いやつ、全部先生の中にぶっ放します! 受け取ってくださいっ!!」


──ドピュルルッ!! ビュルッ、ビューッ、ブビューッ、ビュルルルルーーー!!!


「んお゛ぉっ♥ 熱いいいぃっ♥ 船木くん、船木くんんん゛っ♥ んはああぁぁぁっ♥♥」


 懐かしさを感じさせるザーメンを、大量に体内の奥深くに流し込まれ、塩見の身体が大きく反り返った。あまりの熱量にシーツに爪を立てながら、両足をピンッと突っ張らせた彼の全身の筋肉はビクビクと痙攣し、何度も肉体が波打っている。今まで味わってきたどんな絶頂よりも強烈な快感に、彼は頭の中を真っ白にしながら、天井に向けてドロドロの精をビュウビュウと吐き出した。



***


「よーし、それじゃあお前たち、授業が終わる十分前には後片付けをして着替えるんだぞ。先生たちは、体育祭についての打ち合わせがあるからな。サボるんじゃないぞ!」


 私はそう生徒たちに告げると、塩見先生に目配せして、彼とともにグラウンドをあとにした。


「くっ、ふうっ、ふうっ……。んん゛っ♥♥」


 体育倉庫に駆け込んだ私は、急いで履いていたジャージをずり下ろし、がっちりとイチモツにハマっていた貞操帯を取り外した。途端に尿道から精液が飛び出し、その下にハメられていたコンドームの中を満たしていく。あまりの心地好さに、両足がガクついてしまった。


「ははは、すごい射精だな。そんなに溜まってたのか、【俺】?」


 ガラリと倉庫の扉を開いて、【船木勝和】が入ってきた。そして、今の私も【船木勝和】だ。一卵性双生児のように瓜二つの人間が、同じ室内に二人存在している。その非現実的な状況に、私は興奮を抑えきれなかった。


「あぁ……、あぁぁ……。【俺】がいる……」



 私は彼の問いかけに答える余裕もなく、ただ呆然と立ち尽くしていた。猛り狂ったチンポからは、溜まりに溜まった濃厚な雄汁が、再び勢いよく吐き出される。コンドームの中を、かつての自分のザーメンで膨らませながら、それでもなお止まることのない激しい吐精に、私はうっとりと表情を蕩けさせてあの日からのことを思い出していた。



 あの日、私は【船木勝和】から【塩見宗孝】へと生まれ変わった。強引に、親子ほど年の離れた肉体へと入れ替えられ、始めこそ困惑したものの、意外にもすぐにその生活にも慣れることができた。それは、私の着せられた皮が【塩見宗孝】として生きてきた人生の記憶を、しっかりと持ち合わせていたからだ。突然できた妻にも、まったく中身が変わったことに気付かれず、私は【塩見宗孝】という男がこれまで愛してきた女性と、夜ごとまぐわい続けた。だが、私の心を最も昂らせてくれたのは、やはりかつての自分自身だった。


「んふぅっ♥ 気持ち良いっ♥ 妻のマンコにチンポをハメるよりっ、船木先生のチンポをケツ穴にハメられるほうが、気持ち良すぎるうぅぅっ♥♥」


 午前中、昼休み、放課後。私は、何度も船木先生にケツ穴を犯された。すでに尻穴には三回も中出しされ、肛門はジンジンとして、腹の奥が熱い。全身は汗まみれになり、男臭い匂いが職員用トイレの狭い個室内に立ち込めている。個室の壁に片足を掛けて踏ん張り、もはや船木先生のチンポの形に拡張されたケツマンコを見せつけるように突き出すと、彼がそこに硬くなった肉棒を挿入してくれる。


──最高だ……。


 こんなに幸せなことがあっていいのだろうか? 私は、かつての自分の姿をした男にケツ穴を穿たれながら、その快楽に浸り続けた。



「塩見先生。今日は久しぶりに元の身体に戻ってみませんか?」


 翌朝、そう言って、彼は【船木勝和】の皮を私に差し出した。皮の姿をした自分を客観的に見るのは、なんとも不思議な気分だった。ごくりと唾を飲み込んで、その皮の中に手足を通し、顔とチンポを重ね合わせていく。


「あぁっ、あぁぁっ♥ この身体っ♥ 私は、【俺】の身体に戻ったんだっ♥♥」


 【船木勝和】の身体に潜り込むと、私は歓喜の声を上げた。しかし、感じたのは元の自分に戻れた喜びではなかった。数日間しか離れていなかったというのに、もはや【船木勝和】の肉体は、私のものではないような気がしてしまっていたのだ。

 改めて感じる絶望。そしてそれを遥かに凌駕する、愛する男の皮を着ているという背徳感に、私の股間ははち切れそうなくらいに勃起してしまった。見慣れたチンポ。だが、他人のモノとなってしまったチンポ。頭の中が、かつての自分のチンポのことでいっぱいになってしまう。


「どうだ? 懐かしいだろう、【俺】。もうすっかり【塩見宗孝】の皮に馴染んでしまった今なら、他人の皮を着ている感覚がして最高の気分じゃないか?」


「はぁっ、はぁっ♥ 最高だっ♥ 【俺】の身体、大好きだっ♥ 早くオナニーしたいっ♥ シコシコしまくって、このチンポからザーメンぶち撒けたいよっ♥♥」


「お楽しみは取っておくもんだ。久しぶりにその姿で授業をして、気分を盛り上げてみたらいい」



 そうして私は、一日【船木勝和】として授業を行った。少しでも気を抜くと、今の自分の肉体に興奮して勃起してしまうために貞操帯を付け、我慢汁で下着とジャージがビショビショにならないようにコンドームを装着させられた。授業を行うたびに、生徒たちが私の顔を見て、私を【船木勝和】として認識している。その事実に、私は言いようのない快感を覚えていた。


(俺は今、【船木勝和】になっているんだ……♥)


 ついこないだまでは、それが当たり前のことだった。しかし、今はもう違う。今の私は【船木勝和】の皮を着て、チンポを勃てる変態体育教師なのだ。


 体育の授業中、もう私は我慢できなくなった。体育祭が近いことをいいことに、生徒たちに嘘をついて体育倉庫へと駆け込んだ。あとから追いかけてきた【俺】が、コンドームの中にドクドクと精を放っている私を見てニヤリと笑った。


「あぁっ、ああ゛ぁぁぁっ♥♥ イクッ、イグゥウウッ♥♥ 【俺】に見られながら、【俺】の姿でイッちゃうううぅぅっ♥♥」


 かつての自分の肉体の虜になった私。元ラガーマンの、がっちりとした筋肉質な体躯。毎日欠かすことなく鍛え上げてきた自慢の胸筋。鬱蒼と生えた腋毛に、毛深い下腹部。そこから伸びる太く長い巨根。そのすべてが愛おしい。

 激しい射精の余韻を感じながら両手で肉体をまさぐっていると、いつの間にか目の前にいた【俺】が精子でいっぱいになったコンドームを外し、同じ形に勃起した二本の竿を大きな掌で握り締めて上下にしごき始めた。同時に熱い吐息を漏らし、同じタイミングで同じ濃さの先走りが垂れ流れ始める。


 まるで鏡合わせのような光景に、私の心は高鳴った。同じ分厚さの唇が重なり合い、同じ感触の舌が絡み合う。二人の唾液が混ざり合って糸を引き、互いの口の端からダラダラと零れ落ちていく。そうして、二本の竿のカリ首と裏スジを擦り付けあい、亀頭を撫で回しながら、私たちは同時に身体を震わせた。


「「んん゛っ♥♥ イッグううぅぅっ♥♥♥」」


 私たちの口から、まったく同じ喘ぎ声が漏れる。二人分の白濁液が勢いよく鈴口から飛び出し、床に飛び散っていく。かつて自分が吐き出していたものと寸分違わぬザーメンの量と濃さに、私はうっとりと表情を蕩けさせると、これから起きるであろう【俺】とのセックスを想像して、再びチンポを硬くさせるのだった。


(了)



以下、差分イラストです










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Comments

黒竜Leo

皮モノからの入れ替えれらたオス、元の自分に戻ったじゃなくて彼になったって気持ちが最高だ! ムチユキさん、明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。

ムチユキ

Leoさん、明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします 🤗🐉