死がふたりを分かつまで (Pixiv Fanbox)
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空気の澄み切った真冬の空に、温かな日差しをもたらそうと、太陽が力いっぱいに輝いている。それはまるで、これから幸せな人生を送ることになるであろう二人を祝福するかのようだった。
二人は結婚を祝う温かい拍手を受けながら、嬉しそうに笑顔を浮かべている。そんな彼らに、『おめでとう』という声が次々と向けられた。
ゲストたちに温かく見守られるなか、バージンロードを歩く二人の姿が見えてくる。たくましい姿の新郎はタキシード姿、見目麗しい新婦はウェディングドレスに身を包んでいる。彼らは真っ白な道を進み、牧師のもとへと辿り着くとその歩みを止めた。
「新郎、明石拓真(あかしたくま)さん。あなたはここにいる鈴川杏奈(すずかわあんな)さんを、病めるときも、健やかなるときも、富めるときも、貧しきときも、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「新婦、鈴川杏奈さん。あなたはここにいる明石拓真さんを、病めるときも、健やかなるときも、富めるときも、貧しきときも、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい、誓います」
「──私はお二人の結婚が成立したことを宣言致します。お二人がいま私たち一同の前で交わされた誓約を神が固めてくださり、祝福で満たしてくださいますように」
牧師は聖書の教えを口にしたあと、高らかに結婚の宣言を終えると、二人に指輪の交換を促した。拓真と杏奈は互いに向き合い、交互に左手を差し出し、手にしていた指輪を緊張した面持ちで交換する。二人の手にはめられたリングは、これから夫婦となる証になるのだ。
「それでは誓いの口づけを」
二人が厳かに目を瞑り、幸せなキスを交わした瞬間、彼らの鼓膜を震わすほどの大きな鐘の音が教会内に鳴り響いた。気味の悪いほどにゴォンゴォンと響く鐘の音をよそに、二人は熱いキスに集中した。やがて、鐘の音が鳴り止んだころ、拓真は杏奈の唇の感触がわずかに変わっていることに気付いた。
潤っていた彼女のモノとは違う、どこかかさついた唇。違和感を覚えた彼が目を開けると、目の前にいたのは誰しもが称えるような美女ではなく、がっちりとした筋肉に覆われた中年男性だった。
「……え? お、お義父さん……?」
拓真の口から、無意識に声が漏れ出した。驚くのも無理はない。ほんの数秒前まで自分の隣に立っていた、これから妻になるはずだった女性が、筋肉隆々の男性に変わってしまっていたのだから。しかもその男性というのは、杏奈の父である鈴川将吾(すずかわしょうご)であった。
「どうしたの、拓真! 私、杏奈だよ……って、なんなのこの声?!」
色気を感じさせるような、独特のバリトンボイス。自らが発した声に驚きの声を上げる、将吾の姿をした男。彼は無骨で大きな掌を広げて喉仏をさすると、困惑したような表情を浮かべた。義父であるはずの彼の口調は、明らかに杏奈のものになっている。彼と同様に戸惑いつつも参列席に目をやった拓真の目に映ったのは、目元をハンカチで拭う燕尾服に身を纏った、【鈴川杏奈】の姿だった。
***
「どうにか結婚式は終わらせられたね……」
「あぁ、一時はどうなるかと思ったけどな」
結婚式と披露宴のすべてが済み、式の行われたホテルの一室でくつろぐ拓真と杏奈。彼──、いや彼女はいまだに拓真の義父である将吾の姿のままだった。何が原因かはわからないが、どうやら杏奈と彼女の父の肉体は入れ替わった状態になっているらしかった。ただその事実を認識しているのは彼ら夫婦だけで、参列者はおろか、肉体が入れ替わってしまった当事者である将吾すら気が付いていなかった。
「杏奈、大丈夫か?」
「うん、どうにか……。でも、身体がパパだからなんか変な感じ……」
困ったように太い眉を八の字に歪め、彼女が低い声でぼそりと呟いた。ホテルの部屋に備え付けのバスローブに身を包んだ彼女の姿は、もはやどこからどう見ても、ガタイのいい中年男性にしか見えない。意図せず露わにされたそんな彼女の胸元を目にした拓真は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
いま目の前にいるのだ、彼の本当の初恋の相手が──。
拓真は大学のラグビー部に所属していたとき、マネージャーとして入ってきた二つ年下の杏奈と出会った。バイセクシャルである拓真が本気で女性と恋に落ちたのは、彼女が初めてだった。美しくありながら、どこか男性的な面を持つ彼女に惹かれた拓真は、積極的に彼女にアタックした。そうして交際がスタートした二人は、大学卒業と同時に結婚することを約束していた。そして彼は、初めて彼女の両親に挨拶をしたとき、鈴川将吾という男に恋をしてしまったのであった。
ラガーマンとして鍛え抜いてきた大きな体の持ち主の拓真よりも、さらに一回り近くでかい体躯と厳つい顔立ち、そして男らしく野太い響く声色。将吾は、まさに拓真の好みドンピシャの人物だった。彼女の父に対して恋心を抱きつつも、拓真はその想いを押し殺そうとした。妻になる相手の父に恋心を抱く行為が、ひどくけがらわしく思えたからだ。しかしそれでも将吾への想いを断ち切ることはできず、密かに想うだけなら許されるだろうと幾度となく自分に言い聞かせた。
なのにいま、目の前の杏奈が拓真の恋心を揺さぶりかける。筋肉質で雄々しい身体つきをした、男の姿になった彼女が。見た目が将吾そのものになってしまった彼女が醸し出す雰囲気と声が、彼の中に眠っていた欲望を掻き立てていく。彼女はバスローブを着ているものの、入浴はまだ済ましていない。将吾は汗っかきなのか、額や胸元に垂れた汗の滴でしっとりと湿った彼女のたくましい肉体が、拓真の雄としての本能に訴えかける。離れていても漂ってくる、汗と男物の香水が混ざり合った匂い。『男の姿で女物の下着を履いているのが恥ずかしい』と言ってパンティーを脱いだため、いま彼女はバスローブの下には何も身に着けていない。そのためバスローブの股間部分は、男性器によってふっくらと膨らんでいる。
「どうしたの……、拓真?」
ぎらついた瞳で見つめてくる彼に気付き、訝しんだ様子の杏奈が上目遣いで問いかけた。その仕草のひとつひとつにすらドギマギしながら、拓真は喉を鳴らした。彼女の声は、やはりどこか色気を感じさせる野太い声だ。それに伴った女性特有の艶めかしさを感じさせる仕草も、拓真を興奮させる要因になっていた。
「なあ、杏奈……」
「なに?」
「キス、してもいいか?」
思わずそんな言葉が口を突いて出た。突然起きた、父娘間での入れ替わり。彼女にとっては不可抗力とはいえ、拓真にとっては望みがないだろうと諦めていた、初恋の人と結ばれることができる絶好の機会である。その昂りからか、彼は自分の欲望を抑えることができなかった。それにいつ彼女の肉体が元に戻ってしまうかわからないいま、このチャンスを逃すと、二度と【鈴川将吾】と肉体を交えるときは来ないかもしれない。
「えっ?!」
彼の突然の申し出に、杏奈は驚いた様子で目を丸くした。夫が、自分の肉体が彼女の父親になっている状態で、あろうことかキスをすると言ってきたのだ。愛する夫と口づけを交わすのは、当然の行為と言える。だがしかし、それはあくまで彼女が杏奈の姿のときであれば──、である。
「ちょ、ちょっと待って……っ! そんなこと、いきなり言われても……、私いまパパの身体なんだよ?」
「わかってる。でも、なんだかいますごく……、ものすごく杏奈とキスしたいんだ……っ!」
戸惑う杏奈をよそに、拓真は彼女ににじり寄った。その瞳には興奮の色が滲んでおり、彼が本気で自分とキスしたがっていることがよくわかる。深く考えようとしても、カーッと身体が熱くなってきて、上手く思考が回らない。ごくりと喉を鳴らした彼女は覚悟を決めると、彼の願いを聞き入れることにした。
「……わかった。いいよ、拓真」
「杏奈……、好きだ!」
自分を受け入れてくれた彼女の優しい言葉に、拓真は感極まって声を上げた。目の前の、鈴川将吾の姿をした彼女が愛おしい。バスローブを纏った彼女の筋肉質な身体にそっと触れた瞬間、ぞくりと背筋が震えるのを感じた。硬く締まった筋肉の感触を掌に感じながら、拓真はゆっくりと顔を近付けていく。互いの唇が触れ合うまであと少しというところで瞼を閉じた彼は、彼女と唇を重ね合わせた──。
*
背中に両腕を回され、体を抱きしめられたかと思うと、杏奈の唇が強引に塞がれた。荒々しく重ね合わされる唇。舌は差し込まれてこず、ただ重ね合わせるだけのキスだったが、それだけでも拓真の昂りが伝わってくるようだった。なぜ拓真が男になってしまった自分とキスをしているのか、不思議でならない。だがしかし、それ以上に彼とキスをしているという事実に興奮を覚えてしまう自分がいる。父である将吾に許可も取らずに、彼の唇を使ってする熱い口づけは背徳的で、それでいてひどく甘美なものだった。
「んっ……、んふぅっ……♥」
艶めかしい吐息を吐き出しながら、杏奈は拓真の唇を受け入れた。少し乾燥した彼の唇から伝わってくる熱が心地好くて仕方がない。ねっとりと絡みつくようなディープキスを想像していた彼女にとっては意外な展開だったが、それでも彼とのキスに快感を覚えている自分がいることに気づく。
男の身体になって性的な興奮を抱くなんて、なんだか気持ち悪い──。
頭ではそう思っていても、一度火のついた感情は徐々に肉体を蝕み、身体はドンドンと熱を帯びていく。股間に感じる初めての違和感。何かが、バスローブを押し上げて自己主張をしている。その正体がなんなのか、杏奈には見当もつかなかった。
「くちゅっ……、んぅっ……♥♥」
息継ぎのために少し唇が離れると、間髪を容れずに再び唇を重ねられる。彼女の上唇と下唇を交互に啄むような口づけを何度も繰り返されたのち、その間隔は徐々に短くなっていく。どうやら彼の昂りは限界のようだった。しかし、そんな焦らすような彼のキスに先に音を上げたのは杏奈のほうだった。もっと……、もっと情熱的なキスを交わしたい。舌をねっとりと絡み合わせたい……。杏奈は自ら舌を突き出すと、強引に拓真の歯をこじ開け、口内へと侵入させた。
「んちゅっ……♥♥」
突然の彼女の行動に一瞬驚いた様子の拓真だったが、彼もまた負けじと舌を突き出し、杏奈の口内を舐め回す。少しざらついた感触の舌が絡み合うたび、ゾクゾクとした快感が彼女の背筋を駆け上った。女だったときとは、また違った高揚感を感じる。その快感をもっと味わいたいとばかりに互いの舌は蠢き続ける。いつもとはまるで違う、舌が交わる感触。自分がしているとは思えないような雄々しくて野性的な口づけに、杏奈はすっかり陶酔しきっていた。
口元から漏れる淫猥な水音が、否応なしに脳を痺れさせる。次第に頭がぼーっとして、何も考えられなくなってきた。杏奈は無意識のうちにバスローブの胸元に手を突っ込むと、自らの乳首を弄り始めた。それに気付いた拓真が、彼女のバスローブを脱がしてもう一方の乳首の周りを撫で回し、刺激し始める。
「んぅっ♥ ん゛ぉっ、あふぅぅっ♥♥」
どうやら将吾は、乳首が性感帯だったようだ。弱点である乳首を弄られ、思わず杏奈が甘い声で呻く。それを見た拓真は彼女の耳元に顔を寄せると、吐息混じりの低い声で囁いた。
「はぁ……っ♥ はぁ……っ♥♥ もう、我慢できないんだ……っ! 杏奈、君とひとつになりたい……」
艶のある太い声でそんなことを言われれば断れるはずもなく──、杏奈は無言でこくりと頷いた。ベッドの上に仰向けになり、拓真の顔が彼女の股間へと近づいた瞬間、これまでに経験したことのない感覚に杏奈は襲われた。
「んぉ゛っ♥ ぬお゛ぉぉっ♥♥」
彼が、彼女の勃起した肉棒を舐めたのだ。ざらついた舌がカリ首に触れた瞬間、激しい快感が身体中を駆け巡った。ビクンッと跳ねた身体を押さえつけるようにして、拓真は彼女の秘部にしゃぶりつく。溢れ出る愛液を一滴も逃すまいとするかのように激しく舐め回す舌の動きに、杏奈は堪えきれず腰をがくつかせた。女性であったときのセックスでも、これほどまでに感じたことがあっただろうか──?
「杏奈、気持ちいいんだな? チンポから雄汁がめちゃくちゃ出てる。いまの君、すっごくエロいよ……♥ ジュルルッ……ジュポッジュポッ」
「た、たく……まぁ♥ あ゛ぉっ♥ ん゛おっ♥ おほぉぉお゛ぉぉおっ♥♥」
拓真の巧みな手練手管に、彼女はもはや声を抑えることなどできなかった。雄々しく野太い声で喘ぐ杏奈。そんな彼女の様子に興奮した様子の拓真が、さらに激しく彼女の肉棒をしゃぶり上げる。ぐぽっ、ぐぽっと喉の奥までチンポを飲み込む彼のテクニックに、とうとう彼女は身を仰け反らせ──、初めての射精を迎えた。
「んお゛ぉぉぉぉっ♥♥ イグッ、イグッ、イグゥウウゥゥゥゥッ♥♥♥」
気が狂いそうになるほどのエクスタシー。
男としての絶頂が、杏奈の身体を駆け巡る。血管を浮きだたせた太マラからは、次から次へと匂い立つ精液が飛び出し、拓真の顔面を白く染め上げていく。ガニ股の状態で腰を突き上げながら、杏奈は初めての感覚に酔いしれた。射精という行為がこれほどまでに凄まじい快感をもたらすとは思ってもみなかった。油断すれば意識すら失いそうになるほどの、強烈な快楽と喪失感──。
だがしかし、それでもまだ物足りなさを感じずにはいられない。もしも、この肉体で男女とのセックスと同様に、愛する男性のイチモツを自分の体内に受け入れればどうなるのだろう?そんな疑問が杏奈の頭に浮かぶ。いつの間にか彼女は無意識の内に、固く窄まった肛門をごつい指で円を描くように撫で回し、アナルでの性交に思いを馳せていた。
「杏奈……♥」
勃起したチンポをピクピクと震わせながら我慢汁を垂れ流す拓真は、荒い呼吸を繰り返しながら杏奈のほうを見やった。彼女は初めての快感にまだ頭がぼんやりとしているのか、どこか夢見心地な様子でぼぉっとしている。それでも彼女は自分から足をM字開脚させるように開くと、両手で自らの肛門を指で広げてみせた。
「来て……、拓真♥♥」
性欲たっぷりの中年親父がザーメンを撒き散らした室内に漂う、むせ返るような雄の匂い。そして、寝室をそんな有様にした彼女のあまりの色っぽさに、ゴクリと生唾を呑み込む拓真。男になったことで得た彼女の巨大な男根は、萎える気配など微塵も見せずに脈打ち、今か今かとそのときを待ちわびている。辛抱の限界に達した彼は、仰向けで股を開いて待つ杏奈の上に覆い被さった。
「いくぞ……っ!」
覚悟を決めるように呟いた彼が亀頭の先端を彼女のアナルに当てると、ヒクついた肛門が亀頭を包み込んだ。解すことも、ローションを使用することも忘れていたというのに、彼女のアナルはまるで待ちわびていたかのように愛する夫の肉棒を難なく受け入れた。これも肉体が入れ替わったことによる不思議な現象の一部なのか? そんなことを考える暇すらなかった。
「ふんぐ……、んお゛っ! おお゛ぉっ♥♥」
彼の亀頭の先端を少し呑み込んだだけで、杏奈の口から雄叫びのような嬌声が漏れた。夫の勃起したチンポで、自分のアナルが拡がっていく。
女であったときですら、彼の太くて長い男根を受け入れるのには相当な圧迫感があったというのに、肛門でそれを受け入れ、腸内を擦るように押し込まれていく未知の感触は、彼女に得も言われぬ快感を与えてくれた。内臓を直接突かれているような感覚が、なんとも癖になりそうだ。もっと激しく突き上げてほしい。父の肉体を無断で使って性行為に及んでいる自分の浅ましさなど、もはや考える余裕がなかった。ただ、この快楽に酔いしれたい──。
その一心で彼女はきつく肛門を締めると、必死に腰を浮かせて肉棒を奥まで招き入れた。ズボズボといういやらしい音を奏でながら、彼女の処女アナルは彼の巨大な男根を根元まで咥え込んでいった。
「たくま……、拓真ぁぁぁっ♥♥♥」
彼の亀頭の先端が前立腺に勢いよく突き当たった瞬間、杏奈は口をパクつかせてのけぞった。親父臭いと毛嫌いしていた将吾の体臭。どこか苦手だった、彼の濃ゆい男物の香水の匂い。だが、それに愛する拓真の野性的な汗の匂いが混ざったことで、彼女の中で将吾に対するイメージが根底から覆された。拓真に愛される、この肉体が愛おしい。こんなにも強烈な快楽を得ることができる身体で、ずっといたい──。
目の前に火花が飛び散るほどの強烈な快感が、脳髄を駆け巡る。パンッパンッと下から突き上げられるたび、身体が宙に浮くような感覚に襲われる。脳みそを直接犯されているかのような暴力的なまでの快楽に、杏奈はもはや何も考えられなくなった。ケツの穴の一番奥。今まで感じたことのない部分。彼女の身体の芯が激しく疼いている。そこを突かれるたびに、意識ごと吹き飛ばされそうなほどの快楽が杏奈を襲った。
「んお゛ぉっ♥♥♥ 奥ぅっ! 拓真……きもぢっ、い゛ぃっ♥♥♥ おチンチンも、玉の中も……熱いよぉ……♥♥」
雄としての射精の快感を知ってしまった彼女は、チンポをぶるんぶるんと揺らしながらよがり狂う。濁流のような猛烈なオーガズムに呑み込まれた杏奈は、拓真の後頭部に手を回すと、ねっとりと濃厚なディープキスを彼にねだった。
その次の瞬間──。彼女のアナルの奥に熱い粘液の塊がドクンドクンと注がれたかと思うと、腸内を満たすように急速に何かが体内で広がっていくのがわかった。反射的にキュウッと肛門の締まりが強まる。彼女の肉体を、内側から塗り替えるように注ぎ込まれる精液の感覚。アナルセックスでしか感じられない強烈な刺激に、杏奈は白目を剥いて身を捩り、睾丸の中で煮詰められたザーメンを再び吐き出した。
*
「おかえり、拓真。ご飯にする? お風呂にする? それとも俺にするかぁ?」
玄関で腕組みをした私は、ニヤリと笑いながら、仕事から戻った拓真を裸エプロン姿で出迎えた。その下のチンポは、このあとのことを考えてギンギンにおっ勃ち、エプロンは堂々としたテントを張っている。そんな私に対し、拓真はほんの少し硬直したあと満足げに微笑むと、私の唇に軽く触れるだけのキスをした。
「そうだな……。とりあえず飯を食って、そのあとデザートの杏奈をお風呂に入りながらもらおうかな♥」
吐息を感じられるほどの距離で彼と向かい合っていると、心臓がバクバクと鳴って、自然と体温が上がるのを感じる。彼の妻になってから、拓真のことをさらに愛おしく感じるようになっていた。
パパの身体になった私。拓真の目を見ていればわかる。彼が私よりもパパのことのほうを、より愛しているということが……。でも、悲しくはなかった。彼にもっと愛して欲しい。そう願った私は、パパならどうするのか考え、パパの口調を真似るようになっていた。そして私は──、いや俺は、いまでは生まれたときから【鈴川将吾】だったのではないかと、ときおり勘違いしてしまうことがあるほどに、その喋り方や振る舞いがこの身に馴染んでしまっていた。
「はあぁ……、チンポ弄るのたまんねぇ……♥♥」
拓真が仕事に行くのを見送ると、俺はトイレへと駆け込み、毎日のように夫のことを考えてチンポをしごいた。男の状態でするオナニーが、こんなにも気持ちいいだなんて知らなかった。チンポをしごけばしごくほど、俺が【俺】らしくなっていく。拓真の前では、【鈴川将吾】の演技をしているように装っているが、俺の肉体にはもはや、雄としてのすべてが染みついていた。拓真とのセックスを想像するだけで、竿の先から我慢汁がダラダラと溢れ出して止まらなくなる。
俺はもう元柔道部で、現役体育教師の【鈴川将吾】だ! ケツを掘られるよりも、男として拓真のケツをチンポで犯したくてたまらない──。そんな欲望が日増しに強くなっていった。
「それじゃあローションでここをヌルヌルにして……と、ケツに入れるぞ杏奈」
そう言って、彼が俺の肛門に指を這わせる。ヒクつくアナルを指で拡げてやると、彼が自分のチンポの先端をピタッと当てた。仕事から帰ってきた彼を玄関で迎えてのプレイも、バリエーションはともかくすっかり定番となっていた。ただいまのキスと飯を終えて彼が俺を求めてくるのは、いつものことだ。だが今日、とうとうそれも我慢の限界に達してしまった。俺は拓真の肩を両手でガッチリと掴むと無理やり押し倒し、自分のチンポにローションをぶっかけて素早くしごくと、そのまま彼のアナルにぶち込んだ。
「お゛っ♥♥ あふぅん……あ、杏奈ァ……っ?!」
驚いた様子を見せた彼だったが、それも一瞬のことだった。目の焦点が合わなくなった拓真のケツマンコは、ガチガチに硬くなった俺のチンポをなんのためらいもなく吸い込んでいく。人肌の腸の生温さがめちゃくちゃに気持ちいい。愛する拓真の中に、俺のチンポがズボズボと入っていく──。俺はチンポを拓真の中に捻じ込みながら、鼻息を荒くして彼の唇を貪った。
ケツマンコにチンポをハメてのキスがたまらない。まるで獣になったかのように激しく腰を前後させ、俺は必死になって挿入を繰り返した。チンポの先のほうが腸壁に引っかかるたびに、ケツの穴がキュンとなる。
「むふぅ……、んむっ! 拓真、拓真……、おお゛ぉ♥ たくまぁあぁぁっ!!」
拓真にフェラチオをされてではなく、アナルを掘られてトコロテンでイクのではなく、俺は自らの意思で射精した。股間にぶら下がるデカいキンタマがギュッと縮んで、竿の中をザーメンが通り抜ける感覚が脳を刺激する。俺はいやらしい液体をチンポから何度も何度も吐き出し、グチョグチョという卑猥な水音を盛大に鳴らしながら、拓真を犯し続けていった。
「お゛あぁ……っ、杏……お義父さん……♥ もっと……、お義父さんもっとォッ!!」
自分からケツの穴を広げてみせる拓真。俺はそれに応えるようにチンポをアナルの奥深くまで突っ込むと、彼の言うとおりに激しくピストンを繰り返した。こんなにも心地好いセックスは初めてだ。チンポを抜き差しするたびに、親父である【鈴川将吾】の記憶が走馬灯のように蘇ってくるが、嫁とのセックスでも得られなかった圧倒的な快感の前には、もうどうでもよくなった。
「拓真くんっ、出すぞ……っ! 君にたっぷり種付けしてやるからな!!」
ガツンと腰を打ち付けたのと同時に、俺は再び絶頂を迎えた。ドクンドクンと拓真のアナルの中で脈打つチンポから大量の精液が飛び出し、彼の直腸を満たすように射精を繰り返す。ケツを掘って快感を得るだなんて、なんだかお漏らしをしているような気分がしたが、それが猛烈に気持ちいい。射精中も腰を振り続ける俺に対し、彼も下から腰を振って応えてきた。締まりのいいケツマンコに包まれながらする射精は最高だった。
「お義父さん、めちゃくちゃ気持ち良かったです……♥ もう一回、ここにお義父さんのおチンポもらえませんか?」
肛門からわざとらしくチンポを引き抜くと、拓真は恍惚とした表情で俺を見つめ、そう懇願してきた。ぽっかりと開いた彼のアナルからは、俺がたっぷりと中出ししたザーメンが溢れるようにこぼれ落ちている。四つん這いになって俺のほうに尻を向けた彼の姿を見て、俺はまた勃起していた。目の前でパクパクと口を開け閉めする拓真のいやらしいケツの穴を見ていると、チンポが疼いてしょうがない。親父の精力の強さに呆れたものの、いまは感謝する以外なかった。
「ほう? なかなか淫乱になったじゃないか、拓真くん。お義父さんのデカマラで、君を孕ませてやるとしようか♥♥」
俺は硬い筋肉で締まった彼の尻を両手で鷲掴みにしてそう囁くと、拓真のケツマンコに猛り狂ったチンポをぶち込んで、何発も何発も彼の中に精液を吐き出した──。
***
翌朝、俺は妻の隣で目を覚ました。昨日までは【母】と呼んでいた相手だ。寝起きでぼんやりする意識の中、瞬時に俺は理解した。【鈴川杏奈】と【鈴川将吾】は肉体だけでなく、存在そのものすら入れ替わってしまったのだと。段階を踏んで性格や癖まで父親そっくりになっていく過程で、いつかこんな日が来るのではないかと漠然と考えていたが、いざその日が来ると俺の頭は混乱をきたした。だが、もはやどうすることもできない。身も心も体育教師である【鈴川将吾】になった俺は、着古したジャージに手足を通すと、リビングへと向かった。
妻が作ってくれた朝飯を口にしながら新聞に目を通していると、勢いよく扉が開いて、拓真が息を切らして姿を現した。彼の両親がすでに鬼籍に入っていることもあって、明石家と鈴川家は分離型の二世帯住宅で同居の形をとっている。そのため、食事は基本的に同じ席でとるようにしているのだ。
「あら、拓真くんおはよう。パンと卵焼くわね」
俺たちの間に起きたことなど何も知らない妻の言葉に、拓真は戸惑った表情のまま、無言で軽く頭を下げた。テーブルを挟んで、無言で朝食をとる俺と拓真。ときおり彼と視線が合うたびに、俺は咳払いをしてそっと目を反らす。昨日までの自分との違いを妻に気づかれないように振る舞うのが大変で、食欲も失せていた。
「ねえ、拓真くん。今日は私と杏奈、買い物に出かけるから、旦那の面倒はお願いするわね」
その言葉に、俺は口に含んだコーヒーを盛大に吹き出すと、妻の顔をまじまじと見つめた。
「最近私、杏奈の相手を全然してあげられてなかったでしょ? 久しぶりに、母娘水入らずでお買い物に行きたくって。夕飯は二人で食べておいてね」
妻にそう言われると、俺はおとなしく頷くしかなかった。食卓でパンを頬張っていた杏奈──、かつての【鈴川将吾】は存在が入れ替わる前の記憶などすっかり無くしてしまっているようで、我々の様子がおかしいことになど気づく様子もなくよそ行きの服に着替えると、笑顔で妻と出かけていった。俺は彼女たちを玄関先で見送ると、扉が締まるのを見届けたあとに大きくため息をついた。
やたらと広く感じるリビングのソファーに拓真とふたり腰を掛けると、日曜の朝から垂れ流される気怠くなるような報道番組を、ぼんやりと眺めながらコーヒーの残りを口に含んだ。
「杏奈……。お義父さんは杏奈なんですよね……?」
「……正しくは、【杏奈】だった……だ。もう俺は、君の妻じゃあない。いまの俺は、【鈴川将吾】以外の何物でもないんだよ、拓真くん……」
俺は淡々と、彼にそう告げるしかなかった。愛する拓真の妻になれたのに。夫がもっとも愛する存在になれたというのに、彼との関係がこんな形で潰えてしまうなんて……。俺たちはもう二度と、愛し合うふたりには戻れないのだ。
顔を両手で覆うと、いまにも泣いてしまいそうになった。そんな俺の顎を、拓真はクイッと上げると、顔を近づけてそっと唇を重ねてきた。
「ンンッ?! むふぅっ……♥」
柔らかい彼の唇の感触に驚きながらも、俺は抵抗することなくキスを受け入れた。【鈴川将吾】として久々に感じる妻以外の唾液の味は甘美で、身体の芯がじんわりと熱くなるのを感じる。その気はまったくなかったが、チンポが反射的に勃起してしまった。それを誤魔化すために腰を引いたが、拓真はソファーから下りて床にひざまずくと、俺のジャージのズボンを脱がしにかかった。
「ちょ、ちょっと待て……拓真くん……! いきなり何を……っ! さっき俺が言ったことを聞いていなかったのか?! 俺はもう、君の義父になってしまったんだぞっ?!」
慌てふためく俺のことなど気にもせず、彼は俺の勃起したチンポを口に含んだ。アイスキャンディーを舐めるように、レロレロと動かしながら亀頭を刺激してくる彼の舌。根元を指で弄られると、頭の奥がジンと痺れたような感覚に陥った。拓真に上目遣いで見つめられると、ゾクゾクした興奮を覚えてたまらない。義父になってしまった俺の勃起チンポをしゃぶる彼の姿を見ていると、もう彼と俺は夫婦生活には戻れないのだという思いで、圧し潰されそうになっていたことを忘れてしまいそうになる。こんな事態に陥っても、俺の心はいまだに、彼のことを『愛する人』だと認識しているのだ。
「お義父さん、変態ですね。娘の婿に興奮するなんて……。でも、嬉しいっす。俺、ずっと我慢してたんですよ? お義父さんと、こういうことしたいなって」
彼の口内で、俺のチンポがさらに硬くなるのを感じた。昨日までは夫だった、愛する拓真。でもそれから一日経っただけで、彼は俺の夫から娘婿へと変わってしまった。妻として彼を愛することができなくなった悲しみ。しかしそれ以上に俺は、妻を裏切って男にチンポをしゃぶられている行為が──、そして娘婿にチンポをしゃぶらせているという事実が、背徳的な興奮をもたらしていることを感じた。
「うっ……、ああ……! 拓真くん……っ♥」
俺がそう呻くと、拓真はチンポを口から離した。顔を紅潮させた彼がパジャマとボクサーパンツを下すと、ブルンと大きいチンポが揺れる。完全に勃起した彼のそれを目の当たりにすると、俺のデカい喉仏が上下に動いて、喉が音を鳴らした。
「ねえ、お義父さん……。しゃぶってください……」
愛する男にそう言われると、もうどうしようもなかった。俺はふんすと鼻息を吐き出すと、彼をお姫様抱っこして寝室のベッドまで運び、彼の前にひざまずいて、眼前に突き付けられたチンポにしゃぶりついた。
彼の鈴口から糸を引いて垂れた先走り。それを舌先で舐めとる。【鈴川将吾】の肉体が男の味を覚えてしまったせいなのか、彼の先走りのねっとりとした舌触りや、しょっぱささえもひどく愛おしく感じた。
「あっ……あぁ……! お義父さん……♥♥」
口の中に頬張りながら舌で亀頭を舐め回すと、彼が快感に身悶える。彼の妻だったころにしたセックスよりも、いまのほうが身体の奥から沸き起こる快感の波が大きい。じっくりと味わっているからだろうか。それとも彼を娘婿として見ているせいなのか……。
「お義父さん! 俺、もう……っ!」
ぶるりと全身を震わせた彼は俺の頭を強引に掴むと、そのまま乱暴に前後に動かした。喉の奥に彼のチンポが何度も当たりえずきそうになるが、口内の粘膜を激しく擦られる感覚には逆らえない。
「イグッ、イ゛ッ……! お義父さ……ッ♥♥」
我慢できなくなった拓真はそう叫ぶと、俺の喉ちんこに向かって盛大に射精した。若い雄の粘っこい精液を、俺は喉を鳴らして飲み下す。愛しい拓真のザーメン、どうせなら尻の穴で受け止めたかった。そう考えたときだった。
「は……、はぁあ……♥ お義父さん……、今度は俺がお義父さんを気持ちよくさせる番です♥♥」
そう言うと、彼は俺を押し倒した。射精したばかりだというのに硬くそそり立ったチンポは萎える様子もなく、勢いよく弾んでいる。そして俺の上に覆い被さると、己の指を舐めて濡らしてから俺の肛門に指をねじ込んできた。昨日まで妻として散々掘られてきたケツの穴は、存在すべてが入れ替わってしまったせいで男のそれへと元通りになり、異物を受け入れまいとキュッと口を窄めている。そんな出入り口を、太い指がズブズブと出入りするたびに、俺の身体は快感を求めて肛門をヒクつかせた。
「お義父さんのケツ……、すごく締め付けてきますよ……!」
彼が指で腸壁を掻き回すたび、俺の脳みそは蕩けそうになった。尻の奥もカーッと燃えそうになるほど疼き、今すぐ指ではないものが欲しくなる。
「拓真くん……っ♥ もう我慢できない……! 早く来てくれ……♥♥」
自分でも驚くほどの猫撫で声でそう叫んだ俺は、彼を押し倒し返して、その上に跨がった。足を内股に開くと、熱い塊が尻の穴に押し当てられたのを感じた。それだけでも腰が砕けそうになってしまいそうなのに──。
「あ゛ぁあぁっ! 拓真くんのチンポがッ♥♥ 入ってくる……ぅ♥♥」
ズブズブとチンポを挿入されると、俺はたまらずに声を上げてよがった。腰を前後に振りながら欲望のままに奥を突いてくる彼の肉棒を受け止めていると、さらに激しく突いてほしくなる。もっと、もっと乱暴に扱われて、アナルを拓真専用のモノにされてしまいたかった。
「もっと……奥ッ……! 拓真くんのチンポで、突いてくれぇええぇええ♥♥♥」
俺がそう叫ぶと、彼はそれに応えて最奥まで一気に突き上げた。グリグリと抉るように腸壁を擦り上げる。腹の奥から鋭い快感が脳にまで駆け抜け、俺は身をよじってよがりまくった。
「イ゛イッ♥ お義父さんのケツマンコ……! すごく締まって……っ♥♥」
俺は彼の身体を押さえつけると、体重をかけて激しいピストンを繰り返した。肉と肉が激しくぶつかり合う音が寝室に響く。そして彼のチンポが俺の直腸の奥深くに到達した瞬間──、俺は今まで感じたことのないような絶頂感に頭の中が真っ白になり、ビクンビクンと身体を痙攣させた。直腸の奥で射精されるのを感じながら、俺は萎えかけたチンポからダラダラと情けなく、ザーメンを漏らして股間を汚していた。
「はあ……♥ お義父さんのケツ、すごく気持ちよかったです♥♥」
恍惚とした表情でそうつぶやくと、彼は俺の肛門から萎えたチンポをズルリと抜いた。尻の奥から吐き出されたザーメンが垂れてくる感触に身体を震わせていると、拓真が俺の頭をそっと撫でる。
「お義父さん……。いや──、将吾さん。これからもずっと一緒ですからね……♥」
拓真はそう言って笑みを浮かべると、再び俺に唇を重ねた。
『死がふたりを分かつまで──』
結婚式で告げられた牧師の誓いの言葉が、俺の脳裏にリフレインする。拓真と俺が夫婦として添い遂げることは、もう決してないだろう。だが、夫婦という形でなくとも、共に在ることはいくらでもできるのだと、この短い結婚生活を通して嫌と言うほどに思い知った。
未来永劫、俺は彼を愛していくことを誓おう。彼の義父として……。
あのときにした誓いのキスのように、俺たちのチンポの先が、優しく触れ合う。トロリとした透明の液体が、二本の雄の象徴の先で交わって、ひとつになった。
(あぁ、拓真くん……。愛してるよ、君のこと……。これからもずっと──)
(了)
以下、差分イラストです