【全体公開】光る美少女展京都 跋文 (Pixiv Fanbox)
Content
こんにちはやまもこです。
まずは、光る美少女展京都がトラブルもなく無事閉宴できたことは参加したイラストレーター様、いつも紳士的でとてもマナーの良い来場客の皆様、ネットで見守ってくださったファンの皆様の力添えあってのことでした。スタッフ一同心から感謝しています!
また、この場を借りまして、快く会場を提供くださっただけではなく、拙い運営にも関わらずずっと笑顔で最後の最後まで献身的に協力くださった顕本法華宗総本山妙満寺の僧侶の皆様には感謝の言葉もございません。ありがとうございました。
また、後援だけでなく、わざわざ来場いただき、たくさんの応援の言葉や温かいお言葉をかけてくださった京都市職員の皆様、イベント開催に関わったくださったたくさんの京都の皆様、後援の皆様、本当にありがとうございました。
多くの皆様の献身的な協力があって光る美少女展京都は開催できたことをまずは皆様にお伝えしたいと思います。
この記事ではずっと隠してきた「光る美少女展」とはなんなのか?について初めて公開したいと思います。「え!?いま!?」と思った方もいるかと思いますが、その理由も含めて説明させていただきたいと思います。
今日の記事は以下の3つ+おまけについてお話したいと思います。
1.光る美少女展とはなにか?
2.なぜ主旨を隠してきたのか?
3.次回開催について
おまけ 光る美少女展京都の結果について
1.光る美少女展とはなにか
多くの方のイメージや感想は、
LEDアートボード「HIKARUE」を使ったイラスト展示会
かな?と思います。これはこれで正解ですが、私達のコンセプトは少し違うところにあります。
私達のコンセプトは
メインコンセプト
「感情を動かすイラスト体験」
サブコンセプト
「伝統文化との核融合」
です。メインコンセプトは明確です。イラスト展示会は私達がやるまでもなく無数に存在しますがそれは「イベントに参加する」もので「イベントで感動する」ものは少なかったと思います。個々の作品においては絵師さんのチカラで結果的にそうなることはもちろんありますが、「感情を揺さぶるポイント」を綿密に設計した展示会はほとんど無かったというのが私達の感想でした。
わかりにくいぞ・・という方向けに、簡単に言うとイベントを「企業プレゼン」や「コマーシャル」ではなく「ミュージカル」や「映画」にしたかった、言い換えるとメッセージの伝え方を「正確で聞きやすいナレーション」ではなく「血の通った声優の演技」にしたかったというのがメインコンセプトです。
メインコンセプト「感情を動かすイラスト体験」
私達はオリジネイターたりたいと不遜にも考えていたわけではなく、単に「存在していいはずなのにないもの」があるのが気に入らなかっただけなのです。
感動の押し売りなんてダサいことはもちろんするつもりはありません。ただし「ここでこうゆう感情になってもらおう!」という設計だけは綿密にしてきました。ほんとうに些末な、「そんなところまで?」と言いたくなるような改善を粘り強く積み重ねていく中で、クリエイティブの質は次第にレベルアップしていきました。
例えば、ライトアップ会場にあった様々な重要文化財はそのまま残し、柱にかけてあった「掛け時計」を外しました。寒さ対策でイベント業者が複数設置したファンヒーターを隅っこに一つだけ残して撤去させました。HIKARUEの配線ケーブルを極力見えないようにしました。ライトアップ会場から運営スタッフは極力排除しました。会場に聞こえるあらゆる「音」を消しました。(ライトアップ中の敷地内への車の出入りも砂利音が出るため禁止にしました)。展示会場の売り子スタッフはあえてバラバラの私服としました。
それぞれの理由は皆さんでコメント欄でぜひ答え合わせしてみてくださいね。いつかまたお話したいと思います。全部正解したら何かプレゼントしたい気持ちです😊
閑話休題
「自然と涙がこぼれた」
「不手際が目について不愉快だった」
すべてが私達の設計によるものです。誤解を招かないように補足するとネガティブな気分になってもらう設計をあえてしました!ということではもちろんなく、もしそうなったとしたら「私達の想像力不足」「設計ミス」、つまり「私達の負け」ということです。今回もいくつかのポイントでそれがあったと反省しています。
さて
デジタルネイティブの現代、イラストレーター様の作品はSNSなどで高速に消費され、多くの方の需要を満たす「役に立つ」ものではありますが、「イラスト自体」は無尽蔵に溢れています。「ショタ絵が欲しい!」「銀髪のセクシーなケモミミのお姉さんの絵がほしい!」という要望は溢れていますが、「イラストが見たい!」というもっと原始的な欲求は、すでに現代では満たされています。
昭和の時代のように「我が家に初めて洗濯機が届きました」という原体験はもはや希少です。
「役に立つ」ものが溢れ、「意味がある」ものが少なくなってきている気がしています。
そこで私達はイラストを「性癖が満たされるイラスト」という価値だったものから「感情が動くイラスト体験」というものに再定義しました。
ストーリーも含めた「意味がある価値」をデザインしよう!というのが光る美少女展のメインコンセプトでした。
つまるところ「光る美少女展」は展示のかっこよさをどこかの誰かと競うものではなく、「個々の体験価値を高めるもの」ですから、それを発表した瞬間からイベントがすでに始まっています。
多くのお客様に「光る美少女展はイラストだけではなく、背景や景観も含めたあの空間全体が展示物なんですね」と評価いただいたことは冥利に尽きます。もちろんそれは大正解なのですが、一つ付け加えるとするならば「光る美少女展京都を発表した日から、私達の一挙手一投足すべてが展示物(体験)です」なのでした。
総本山妙満寺「雪の庭」を見た時に「ここしかない」と思ったのはあの空間から「外界」が一切見えなかったことでした。東京ディズニーランドは園内からその地域のビルや構造物などが一切見えないように建物を配置したり、植樹をするなどして外界を遮断することで非日常空間に包まれて、遊園地の楽しさに没頭できるようにしています。(TDLでは誰もが魔法がかかるといいますね)
最初は本堂につながる屋外の参道に展示する予定だったのですが、あの場所を振り返るとそこには「日本仏教の母山」比叡山延暦寺が一望できました。
平安京における「三大大社の結界」と「仏の結界」の「2つの結界」を用いて「完璧に京の鬼門を封じている」霊峰比叡山延暦寺を「展示物」です!というのはあまりにもおこがましく、罰当たりです。それは法華宗総本山の開祖である日蓮大聖人もさすがにドン引きでしょう。※これは笑い話ですよ。
結果的に雪の庭での開催となりました。
長くなりましたが・・
光る美少女展は「光る美少女展でなければならない」ものにしたい。
それがつまり「意味がある」ものだよね、というのが私達のメインコンセプトです。
サブコンセプト「伝統文化との核融合」
此処から先は少し辛口になるかもしれませんが、それぞれ大変な努力してやられていることを否定するつもりはまったくないことを先に伝えておきたいと思います。
私達は「萌えおこし」という言葉はあまり好きではありません。(私達は使いたくないと言っているだけでそれ自体は素晴らしいことで、否定はしていないことにご留意ください)萌えおこしは、コンテンツの影響力を使って集客し、一定の期間に売上利益を発生させることだと思っています。
様々な伝統文化との取り組みも短期的、スポット的には商業的に成功した事例もたくさんあります。多くの方々の献身によって長期的な取り組みが成功した事例もいくつかありますがそれはかなり少数派です。
私達は「イベント開催してキャラを描いて終わり」という取り組みはしません。それはただの「融合」です。私達が目指すのは「核融合」です。つまり1+1=2ではなく1+1=10000になるような「より大きなエネルギーを生み出す」ことです。
総本山妙満寺様は「安珍・清姫伝説」という強力なコンテンツを所有されていましたがその活用方法には苦心されていました。
そこで私達はまず、神社仏閣や伝統文化に卓越した知識と体験を持つ、望月しいな先生に現代版清姫のリデザインを相談しました。総本山妙満寺様監修による時代考証を綿密に行った上で、「デジタルネイティブの時代にもマッチするアレンジ」という難しいお仕事を、とても限られた時間の中で実現可能なのは望月先生しか考えられませんでした。
一定の時代考証は考慮しつつ、「誰からも愛されること無く非業の死を遂げた清姫を、多くの方に愛されるかわいらしい清姫として現代に蘇らせることが改めての供養になるのではないでしょうか」という総本山妙満寺様の願いが入ったとても難しい仕事を望月先生は見事にこなされ、可愛さの中にも秘めた憂いのある素晴らしい清姫が誕生した瞬間でした。
私達はこれを総本山妙満寺様に権利も含めてすべて寄進し、今後自由に活用していただくように奉納いたしました。
同じく奉納した等身大の清姫アクリルフィギュアは霊宝「安珍清姫の鐘」とともに、今後総本山妙満寺の宝物殿にて展示公開され続ける予定です。
※余談になりますが後日、望月先生リデザインの「安珍」も制作、展示予定です。
私達と総本山妙満寺様との「核融合」は実は「始まったばかり」です。今後の展開にもぜひご期待ください。
2.なぜ主旨を隠してきたのか?
この理由はシンプルです。光る美少女展という空間をアタマではなく、ハートで「感じて」楽しんでほしかったからです。「これはこうゆう理由があってね」という理屈はいらないどころか邪魔になると思いました。私達の「思い」などは犬にでも食わせておけばいい。イベントの評価を判断するのは私達でもマスコミでもプロ?でもなく、お客様なのです。
あまり好きな言葉ではありませんが、「古参」の方も、初心者様も、京都駅のポスターを見て来た一般のお客様も100人いたら100通りの解釈があっていいと思いました。見た人が解釈した「それぞれのなにか一つ」を持って返ってもらったら幸甚でした。
その邪魔になる「主旨」などという偉そうなものは100害あって一利なしだと思い、閉宴後に後日談として知ってもらう程度でいいだろうという判断でした。
3.次回開催について
次はどこでやるのですか?という声をたくさんいただき、私達の想像を超えたお客様の期待の高さにスタッフ一同引き締まる思いです。今言えることは「やります」ですが、開催地や会場についてはまだ白紙であることだけお伝えします。
そして、次回開催する場合コンセプトだけ維持した上で「全く違う光る美少女展」になっていることも踏まえていただきたいと思っています。大変恐縮ですが、厨二病の私達は「皆様の期待に応える」ことはあまりしません。「期待を凌駕(超えて)」して初めて成功だと思っています。皆様に予想ができる展開をしてしまったとしたらそれはすなわち私達の負けです。この私達の一方的で、子供じみた「お客様との大勝負」に呆れつつ、苦笑しながらでもお付き合いいただけると大変嬉しく思います。
おまけ 光る美少女展京都の結果について
光る美少女展京都は私達が事前に想像もしてないことがいくつか起こりました。
ひとつは、駅ばりポスターなどを見た完全新規のお客様の数が「チケットを持ったお客様よりはるかに多く来場された」ということです。
2つ目は、朝日新聞様に大々的に報道いただいたということです。
3つ目は後援もしてくださった「京都市」産業観光局の担当者様から
「今後京都でイベントをする際は私達が間に入ってお膳立てさせていただきます」
という身に余るお言葉を頂いたことです。これをおっしゃっていただいたときは本当に「無欲でがんばっててよかった・・」と脱力するような気分でした。
今回の後援を審査する際も「京扇子のクラファンで、とんでもない支援金を集めて話題になってた会社だ!」とすでに認知されていたとのことでした。
今回のイベントを開催するに際して多くの京都の方にご協力をいただきましたが、私達は只の一度も「閉鎖的な京都府民」という感想を持つことはなく、むしろ逆で、「何も言ってないのにそこまでしてくれるの!?」と恐縮するほど、どこへ言っても「客人」として手厚く饗されたことを京都の名誉のために申し伝えておきます。
最後に、今回の光る美少女展京都成功のキーマンがもうひとりいます。
その方は京都でも「大変名のある大神社」の現役神職の方で、普段京都にいない私達の代理人として京都中を飛び回っていただき、裏方として献身的に手伝っていただきました。
いつもにこやかで、穏やかに接していただき、「困ったら僕の名前を使っていいですよ」と言ってくださったこともあり、恥ずかしげもなく使わせていただいた結果、「ああ!あの方のお知り合いですか」ということ「だけ」で後援が次々と決定するなど、本当に名前だけでもとてつもない貢献をしていただいた方です。
お手伝い以外も顔を合わすたびに京都の名物銘菓を持参くださるなど本当に良くしていただきました。「あくまで個人としてのお手伝いですから」と固辞されたのでその名のある神社名はお出しできませんが、この方の協力なしには光る美少女展京都の開催は出来ませんでした。この場を借りて改めて感謝をいたします。本当にありがとうございました。
絵守未來の存在について
これまでは「絵守未來のイベント」として、「シンボル」となって活躍してきた絵守未來ですが、今後は「このイベント絵守未來がやってたんだ?」程度の脇役、裏方へと立場を変えていこうと思っています。いえ、5年もかかってしまいましたが・・遂にその時期が来たと言うべきでしょうか。
絵守未來「の」イベントに参加する・・という文脈から
「良さげなイベントに参加したら運営が絵守未來だった(あいつら嫌いだったのに騙されたわw)」という文脈に変えていくフェイズがいよいよやってきたと感じています。
トヨタ自動車が「レクサス」というブランドを作りましたが、いまでは「レクサスってトヨタだったんだ?」という世代がわずかづつ増加しています。
トヨタがレクサスを作った理由は、どれだけトヨタが高級車を作っても「壊れないが、あくまで安物の大衆車」というイメージが払拭できなかったからでした。それでは世界で確固たるブランドを築いていたBMWやメルセデス・ベンツに太刀打ちが出来ません。
絵守未來というキャラは今後も案内役、広報役、そして刺し身のツマとして、活躍しますが、「絵守未來のイベント」は今後
「光る美少女展」
「iw:TOKYOILLUSTRATIONWEEK」
を2軸として再構築し、信念は変えず、「これまでのファン」も「これからのファン」もより深く、楽しんでもらえるように努力していきたいと考えています。
最後に
改めまして、光る美少女展京都が成功できたことは私達の努力や才能などは一ミリも関係なく、ましてや運ではなく、支えてくださるファン、絵師さん、企業や自治体の皆様、家族。その他関わってくださったすべての方のおかげです。
「100万人に知られることより、目の前の100人を感動させよう」という基本理念を守りつつ、これからも活動してまいります。
引き続きご支援・ご高配をよろしくお願いいたします。
LiverCityグループ代表取締役会長
山本浩成 拝