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あの遊園地デートの日から数えて、半年くらい経ちました。 あれから私たちは大小さまざまなお出かけをして、もっともっと仲良くなっていっています。 彼のこれまで知らなかった一面を知れましたし、それはきっと向こうも同じだと思います。 たぶん私たちは、そうそう滅多なことでは別れない。そんな自信がこの半年の間で培われていき…… 「……………………」 そして今 私はすごく迷っています。彼とのLINEを開いたスマホを手に、迷っています。 半年前のあの日から、密かに記録し続けているもの。 私のスマホに眠る、いくつものいけない記録。 『4月4日 10時間』 『4月14日 11時間』 『5月7日 8時間』 日付と時間だけが記された簡素な名前の、録音記録。 これらをはじめとしていくつもいくつも記録してある、秘密の記録。 この記録を再生すると、流れてくるのです。 その日の私が、そこに書かれている時間だけ溜めて、溜めて 我慢して我慢して出した「それ」の音。 ぶしゅうーって、ものすごい音が出ちゃってるそれの記録。 ……わたしの、おしっこ記録。 あれから私は、何度となく我慢するようになりました。 観覧車の中でした時の感覚。我慢限界まで耐えて耐えて、ようやく出せたあの感覚が忘れられなくて。 いっぱいいっぱい我慢して、お腹がぱんぱんになっておしっこで頭いっぱいになってあそこがじんじんするくらいにまで我慢して出すのが、とっても気持ちよくて。その時と同じ感覚を味わいたくて、何度も。 でも最近、それだけじゃ足りなくなってきたんです。 なんて言うのか、自分で我慢するのだとどうしてもこう、手を抜いてしまうところがあって。 漏れちゃう!ってなると怖くなって駆け込んでしまうけれど、後になって考えてみたらまだ余裕があったと言いますか…… その、つまり……物足りなく、なってしまって。 だから私、迷っているんです。 あの時のように、彼の目があったら。 彼の目があって、そう簡単におトイレへ行けない状態だったら。 彼に嫌われてしまうから、絶対にそれができない状態だったら。 ……そしていざその時を迎えたとしても、彼がすぐそばにいて、私の恥ずかしい音を聞かれてしまったら。 彼に私の、我慢を重ねたおしっこの音。ぶしゃーって、すごい大きさがするおしっこの音を、聞かれてしまったら。 「……ん……」 ああ、私、今。 今すごく、どきどきしています。 聞いてほしい。彼に、私の音を。 私の音、我慢して我慢してやっとできた私の、恥ずかしい音。 嫌われてしまうかもしれない。変態だって思われるかもしれない。 でも、それでも、聞いてほしい。わかって欲しい。それに彼なら、こんな私でも大丈夫って、きっと言ってくれる。 半年前と違って、今ならそう信じられる。 だから、だから……! あのね 勇くん ファイル 4月14日 11時間 これ なんの音かわかる?

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