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『健ちゃん、ウチに来て』

「何だろ・・・」

春休みの、とある日。

僕は、真理奈から呼び出された。


中学三年生を控えて、徐々に高校受験がチラ付き始め。

お互い、朝の登校以外では会う機会も減った、そんな日。


「そういや、いつ以来だろ・・・」

ドアtoドアで、ホンの数秒。紅世宅の鍵は、開いている。

僕が訪問する時は、真理奈が事前に開けてくれているんだけど。


「お邪魔、しまぁ・・・す」

開けっ放しにする訳には行かないので、直ぐにドアを開けて中に入る。

ここ数年、僕の家に真理奈が来ることはあっても、僕が行くことは無くなっていた。


幼馴染とは言え、思春期の女子の部屋に男子が入り込むのはどうなんだ、となった。

誰かに指摘された訳ではなく、僕が自主的にそう判断したのだ。


「・・・・・」

ここ最近、厚手の冬服の上からでさえ、真理奈の肉体は主張が激しくなっていた。

筋肉の凄さの印象が強いが、胸やお尻の発達具合も気になってしまう。


コンコン。


「入るよ?」

「はーい」

僕はエチケットでノックをし、了承を得て真理奈の自室に入る。


「これ、どう思う?」

「うぇぇっ!?」

部屋に入るなり、僕は度肝を抜かれた。


春先で外はまだ肌寒く、部屋は暖房が効いている。

ただ、真理奈はいつものTシャツと短パン・・・ではなく。


「それ、体操着?」

「うん」

真理奈は、学校指定の夏用体操着を着ていた。

半袖の上着に短パンなのは、普段着と変わらないと言えば、そうなんだけど。


「『Lサイズ』だったよね」

「・・・うん」

真理奈は言葉少なに、『うん』としか言わない。


「それ、動けるの・・・?」

「無理、かも・・・」

真理奈が『うん』以外の長めの言葉を発すると、全身から


ミチ、ミチッ・・・


と布地が引き伸ばされるような音がする。


人間は一生の内、中学生の三年間辺りが一番、成長するらしく。

僕も、入学時に大き目の『Lサイズ』の体操着を買って貰った。


僕は今着てもブカブカで、多分このまま卒業まで着られるだろう。

しかし、目の前の真理奈は、子供服を無理矢理着た大人みたいになっていた。


「むしろ、どうやって着たの・・・」

「あ、はは・・・」

真理奈が相槌代わりに苦笑いすると、その振動で布地にピシッと緊張が走る。


去年、何とか着れていたであろう体操着が、入らなくなっていた。

いや、真理奈は無理矢理に身体を入れたんだろうけど・・・。


袖は肩口で詰まって、二の腕を全く覆えておらず。

裾も、おっぱいと背筋の広がりに支えてしまい、腹筋が丸見え。

短パンも、太腿の付け根で引っ掛かり、パンツが見えそうになっている。


普段のTシャツ姿をボディスーツみたい、と思ったことはあったけれど。

これはもう、真理奈の身体全体に布地を当ててるだけにしか見えない。


「やっぱり、これで体育の授業するの、無理だよね?」

「あー、うん」

真理奈のその言葉は、確認ではなく。

諦めと、二年間頑張ってくれた体操着への最後通告だった。


「じゃあ、ん・・・ふぅんっ!」

真理奈は、お腹の前辺りで両手を握り込むと、一気に全身に力を籠める。


モリ、モリモリッ・・・モゴォッ!


「・・・うわっ!」

ビリビリビリッ、ビリビリリィッ!!!


肩や二の腕、腹筋に太腿。全身が一回りどころか、二回りは大きくなり。

筋肉の隆起だけで、『Lサイズ』の体操着はビリビリに破けてしまった。


「すご・・・」

伸縮性のある体操着を。女子中学生が、その身体の筋肉のみを以ってして破る。

そんな、テレビや動画ですらお目に掛かれないような離れ業。


「カッコいい・・・」

僕は“そんなこと”より、真理奈の身体そのものに目を奪われていた。


ボディビルダーのような脂肪を極限まで削り取ったガチガチな筋肉、ではなく。

プロレスラーのような脂肪で覆われた鈍重な肉体、でもなく。


程良く脂肪が載りつつも、どんな力を秘めているのか想像も付かないような大きな。

大型肉食獣・・・例えば、虎とかライオンのような。野性味溢れる荒々しい筋肉。


「カッコいいって、ホント? やったー♪」

真理奈お得意の、悦びのその場ジャンプ。


真理奈が跳ぶ度に、僕の目線辺りに“真理奈の足”が来て。

真理奈の頭はその都度、天井にぶつかりそうになっていた。


「最近、どんどん筋肉付いちゃって、心配だったの」

真理奈も、自分自身の成長が“やや異常”だという認識はあるらしい。


普通の食生活に、特別な運動は皆無。

ご両親もスポーツ経験はなく、普通の体格。


そんな何の変哲もない環境で育った真理奈が、凄まじい成長を遂げている。


「でも、健ちゃんに嫌われなくて良かった」

「・・・へ?」

他人が見て異常かどうかより、僕がどう思うか。

真理奈は、そこを気にしていた。


「僕が・・・」

僕自身、筋肉のある女性に特に思う所はない。

陸上選手とか水泳選手はむしろ、カッコいいと思う。


「真理奈の身体、僕は好きだよ」

「ホント? 嬉しいっ♪」

真理奈はガバァッと両手を広げる。


「え、ちょっ」

ビリビリに破けた半裸状態のまま、真理奈は僕に抱き付いて来る。


「お・・・」

むにょん、と大きなおっぱいが胸に圧し付けられたかと思いきや・・・


メキメキメキ・・・


「う、ぐあぁっ!?」

「あ、ごめん」

真理奈の剛腕が僕の背中に回った瞬間、全身が砕けるかという激痛。

僕の叫び声で、真理奈は直ぐに解放してくれて、大事には至らず。


「今日、呼んだのって・・・」

「見て欲しかったのもあるけど、測って欲しくて」

体操着を新調しないといけないのがほぼ確定的だったので。

前みたいに、僕に採寸して欲しかった、とのこと。


「え、でも。お店の人に測って貰った方が確実なんじゃ」

「だって・・・」

真理奈いわく、学校指定の業者は大手って訳じゃないので。

女子中学生を、まさかのオジサンの店員が採寸することもあるらしい。


「それ、ホントなの・・・」

今の時代、『SNS』で問題になりそうなもんだけど・・・。


「健ちゃん。私の胸のサイズ、知りたくないの?」

「・・・う」

真理奈は、ビリビリに破けた体操着の胸を張って、前面にドンッと突き出した。

布地が裂け捲っているので、ブラチラどころじゃないんだけど・・・。


「トップが・・・」

そこは、僕も慣れたもので。

中学生男子らしく、おっぱいの誘惑には勝てず、採寸タイム。


「・・・106!?」

アンダー83cmの『Fカップ』。

メートル超えで『Fカップ』なのは、逆に胸板とか背筋が凄い訳で・・・。


「ウェストが67で、ヒップが・・・103」

大きいとは思っていたけど、お尻も遂にメートル超え。


「折角だから、“これ”も測ってよ」

そう言って、真理奈は右腕を折り曲げ、力瘤を盛り上げる。


モゴゴォッ・・・ビリビリィッ!


「すご・・・っ」

体操着の残っていた袖は、ほぼ全て弾け飛んでしまった。


「・・・46」

僕の太腿(48cm)とほぼ、同じサイズの二の腕・・・。


「太腿は、69・・・」

僕のウェスト(68cm)より少し小さかった筈の、真理奈の太腿。

いつの間にか、僕の胴体より真理奈の太腿の方が太くなっていた。


「じゃあ、これに身長と体重を書き込んで」

「うん」

僕が書いたメモに、真理奈が残りの項目を書き込む。



「・・・う、ん?」

握力、・・・170kg!?


「何、これ・・・」

「へへーん。“それ”、買って貰っちゃった」

真理奈は、床に無造作に置かれている握力計を指差した。


「デジタルの最新式だよ」

『200kg』まで計測出来る優れモノ、らしい。


「・・・んっ」

試しに、握ってみる。


「・・・39」

こんなもの、なんだろうか。

僕のことだから多分、平均値ぐらいだろう。


「・・・ん」

「もう、しょうがないなぁ」

僕から渡されると、真理奈は渋々といった感じで握力計を握り込む。


「んぅっ!」

「・・・・・」

デジタルの数値は、確かに『170kg』を表示していた。


結局、何度か試して。


僕は、左右共に『39kg』。

真理奈は、右が『170kg』、左が『169kg』だった。


「平均して、『169.5kg』って書かなきゃダメかな?」

「い、いや・・・」

そういう、問題じゃない。


「でも、何で握力計なんて・・・」

「お医者さんが、練習しなさい、って」

僕が疑問に思うことは、真理奈のご両親も心配に思う訳で。

春休み入って直ぐに、真理奈は大きな病院で診て貰ったらしい。


診断結果は、至って健康。

病気どころか、ホルモン異常なども無く。


「じゃあ、その“身体”は・・・」

「うん。自然な成長の範囲内で、発育が良いだけらしいよ」

本当に、そうなんだろうか。

いや、僕みたいなイチ中学生より、大病院の先生の方が正しいんだろうけど・・・。


確かに、中学三年生でも180cm超えのバレー部女子は居るし。

肥満気味で100kg超えの男子も居たりはするけど・・・。


「最近、やっと慣れて来たよ」

そう言って、真理奈はリンゴを普通に持って見せた。


「“こう”して・・・」

真理奈は右手にリンゴ、左手に握力計を持ち。


「ん・・・」

徐々に、両手に力を加えて行く。

僕に“それがわかる”のは、握力計の数値がどんどん上がって行くからだ。


ミシ、ミシッ


「・・・ん、っと」

バゴ、とリンゴが割れたところで、真理奈は手を止めた。


「潰しちゃうとボタボタになっちゃうから」

「・・・・・」

それはまるで、潰さないように力を加減した、と聞こえる。

いや、実際にそうなんだろう。


握力計は、『87kg』を表示していた。

さっき見せた、真理奈のマックスは、『170kg』。


約半分の力でリンゴを潰せてしまうのだ。


「鍵とかペンとか、色々と潰しちゃって大変だった」

今年入った辺りから、身の回りの品々を潰してしまうようになっていたらしい。

ちょっとでも力を入れてしまうと、プラスチックは割れ、鉄はひん曲がる。


「でも、やっと。また、“これ”出来るようになったよ」

「大丈夫なの?」

真理奈は半裸のまま、良く遊んだゲーム機を取り出した。

コントローラ潰しの一件以来、僕らの中で自然とやらなくなってしまったのだ。


「今年は受験で忙しくなるし、今の内しかやれないと思って」

僕も真理奈も推薦が取れる程、頭の出来は宜しくない。

普通に受験しないといけないのだ。


「良ぉし。久々だし、手加減しないよ」

「こっちこそ」

やるのは、いつもやってた対戦型アクションゲーム。


「ん、はっ」

カチャカチャ。


「えいっ、えい」

ガチャガチャ。


ミシ。


「えいや」

カチャカチャ。


「あ、あ、あ・・・」

ガチャ、ガチャチャ。


「良しっ! やったー」

「あ、あ~~っ」

バギャッ!


「え・・・?」

「・・・あ」

舌の根の乾かぬ内、とはこの事か。


「あ、あーー・・・」

負けた時は違う意味での、落胆。

真理奈の手の中で、コントローラは完全に潰れていた。


小学生の時みたいに、少し潰れたとかではなくて。

今の真理奈の大きな手によって、完全にバッキバキに潰されていた。


「ま、まあ・・・仕方ないよ」

恐らく、今思えば小学生の時も握力が強かったんだろうけど。

今、明確に『170kg』という数値を見た後だと、さもありなん。


握力の加減が完璧になるまで、アクション系のゲームは禁止になった。



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Comments

sunagimo7

Wよりも太い太腿、いいですなぁ… 今後の成長も期待しています!

デアカルテ

感想、ありがとうございます。 今までと違うテイストを入れて行ければ良いと思っていますので、是非ご期待ください。