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※拙作の独自設定がございます。苦手な方はご注意ください。 ◆ 「――――――んぅ、ぁ、あれ……?」  背中に感じる妙な冷たさと肌寒さ。そしてやけに薄暗い視界。  妖精騎士トリスタン――――吸血妖精バーヴァン・シーは、そんな中でゆっくりと意識を覚醒させた。  カルデアから与えられた私室ではなく、母であるモルガンやマスターの部屋でもなく。  切れかけの蛍光灯が不気味に明滅するその部屋は、さながら牢獄や手術室のようで、どうやら自分はそこに仰向けに寝かされているらしい。 「私、なんで…………」 「――――目が覚めましたか」  状況が把握しきれず掠れた声を響かせる。  すると、さっきまではその場になかった筈の気配が、静かな言葉をバーヴァン・シーへと返した。  声が聞こえた方を見れば、そこには髑髏の半仮面を被った華奢な体格の少女――――"静謐のハサン"が、ただ静かにバーヴァン・シーを見下ろしていた。 「流石はキャスターの霊薬です。  妖精にも効果を発揮するほどの睡眠薬など、彼ほどの魔術師にしか作成できないでしょう」 「……よくわからないけど、お前がこの状況を仕込んだってわけ?  ふざけてるつもりなら今すぐやめろ。今解放したら半殺しで済ませてやるよ、この根暗女」 「……粋がるのも結構ですが、まずはご自身の状況を正確に把握した方が良いのではないですか?」  短気な者なら激昂してもおかしくない悪辣な罵倒を意にも介さずに、凪いだ口調で静謐は告げる。  その言葉に、バーヴァン・シーは自分自身の状況へと意識をやって――――そして、あまりの羞恥と屈辱に甲高い声で大きく悲鳴を響かせた。 「ひ……っ!や、きゃぁぁあああぁぁぁぁああっ!!」  冷たい金属の台の上。一糸まとわぬ姿にされている自分自身。  バーヴァン・シーが寝かされているのは硬い金属の台の上。その台の上で、彼女の身は解剖を待つ蛙のように大の字で拘束されていた。 「こ、この……っ!テメエ!ふざけんのも大概にしろよ!?  こんな事をして、お母様が黙ってるとでも思ってんのか!?ああ!?」 「ええ、女王モルガンの目をいつまでも遠ざけておくのは不可能でしょう。  …………ですので、私は早々に目的を果たさせていただく事にします」  静謐は、その名に謳われるような静かで冷えたトーンのまま、台上に拘束されたバーヴァン・シーの上へと覆い被さり、その表情を見下ろす。  気丈な睨む目は、しかし僅かな怯えによって震えている。いつもであれば僅かに情が生まれそうなその表情にも静謐は冷酷な調子を崩すことなく、ただ躊躇いなく眼下の唇へと自らの唇を落とした。 「や、やめ――――っ!ふ、ぅぅうぅっ!?  んぅっ!んぅぅぅぅっ!んっ!ん――――――っっ!!」  唇を割られ、その内側の舌や歯列をなぞり上げられる深いキス。  唾液と唾液を強制的に交換させられる羞恥と恐怖の中で、バーヴァン・シーは必死で藻掻き暴れるけれど、彼女を台上に縛める強固な拘束は緩む気配すらない。  殺される。理由は分からないけれど殺される。  口内を埋め尽くすような深いキスの中で、バーヴァン・シーはそう直感した。  カルデアに召喚されてから、その戦力となるサーヴァントたちの情報は一通り調査した。  ”静謐のハサン”というアサシンはその中でも特殊な事例だったから、バーヴァン・シーもよく覚えている。 「んっ!ふ、ぅぅぅぅっ!んぐっ!んぁっ!んん――――っ!!」  肌も、汗も、唾液も、その全てが"毒"と化す暗殺者。闇に舞う毒の華。  理由もわからずにその唾液を流し込まれて、宝具としてすら昇華された致命のキスを施されて、バーヴァン・シーは唐突な恐怖に震えあがりながら、それでも深いキスを受けるしかない。 「――――ぷは……っ」  そうして、どれだけの時間そうして唇を寄せ合っていただろうか。  口端から垂れる唾液の糸をバーヴァン・シーの口元と結んだまま、静謐はようやく口づけを終わらせて、どことなく妖艶に口端の唾液を舐め取った。 「あ、あぁぁ、あぁ……!うそ、うそ、やだ……!  や、やだ、死にたくない、死にたくないよぉ……!お母様、おかあさまぁ……!」 「……安心してください。命を奪うまでの事はしません」  目を見開いて恐怖に震えるバーヴァン・シーに、静謐はあくまでも冷淡にそう言った。  僅かな蛍光灯の明かりが明滅する。ジジ、と古びた音が微かに響き、そして次の瞬間、バーヴァン・シーの内側で霊核がびくりと大きく跳ねた。 「は……っ!!え……!?ぁ、あ、ぁ、あぁぁ……っ!!  な、なに!?なに、これぇ……っ!か、カラダが、熱い…………っ!」  じんわりと溶けていくように、身体が汗ばむほどの熱に浸されていく。  バーヴァン・シーはその感覚を知っている。娯楽として何度も"味わわされた"その感覚――――性的刺激による興奮が、バーヴァン・シーの全身を唐突に震えさせる。 「な、なにを、何をしやがった!?テメエ……!  っっ、ひぅぐ……っ!!ぁ、ぁ、なんの、ために、こんな事ぉ……!」 「…………貴女の作ったチョコレートのせいで、私たちのチョコレートは台無しになりました」  白い肌を紅潮させ、ビクビクと全身を痙攣させ、隠しようもなく晒された乳首を急速にそそり立たせる。  そうして少しずつ――――しかし、一般的な身体反応としては急速に秘部と大きな目を潤ませていくバーヴァン・シーの姿。  それを眺めながら、常の気弱さを押しやった冷酷さ――――暗殺教団の頭目として君臨した非情さを口調から滲ませて、僅かな怒りと共に静謐はその理由を語っていく。 「死者の影法師である私たちの思慕に、報いが与えられることなどあり得ない。  …………そして、そうだとしても。その想いを伝える手段と努力を奪い去ったことは許されない」  髑髏の仮面の下から、冷酷な青紫の目がバーヴァン・シーを見下ろす。  静謐には珍しい明確な怒り。それに射竦められてバーヴァン・シーの表情が引きつり、そして同時に全身に及んだ媚毒が、彼女の内側に耐えがたい性感をこみ上げさせる。 「っう……!知る、かよ、そんなの……!  思慕だのなんだの、鬱陶しいったらねえっての……!っ、は、ぁ……!」 「……そうですか。反省の色は無いと。  残念です。反省の意を示したなら解放してもよかったのに」  平板なトーンで吐き捨てた静謐の全身から、毒々しい赤紫の煙が立ち上る。  あえて可視化する形にした、唾液に混ぜてバーヴァン・シーに呑ませたのと同じ媚毒の成分。二人しかいないその空間に、薄霧のような赤紫の色彩が血煙のように満ちていく。 「や、やめろ……!」 「これから貴女のチョコレートが破壊した贈り物の数だけ、貴女を絶頂させます。  貴女は自らの呼吸によって媚毒を吸い、その効果で触れられもせずに責められる。反省するまで延々と、延々と。――――ゆっくりと身体を蝕む甘い快楽の毒、精々堪能してください」  冷酷に、怒りと憎しみを押し込めて淡々と静謐は言った。  バーヴァン・シーの喉が恐怖に大きく鳴り、その鼻腔と口に赤紫の霧が吸い込まれて、拘束された華奢な身体が一度ビクリと跳ねて痙攣する。 「ふざ、けんな、くそっ……!  ぁ、はなせ!はなして……っ!!ひ、うぁぁぁ……っ!!」  拘束を解こうと悶えるたびに、彼女の内側に媚毒の霧が吸い込まれていく。  赤紫色の薄霧が吸い込まれるたびに、その色味が映るように少女妖精の肌が汗ばみながら紅潮して、微かに痙攣するようにひくひくと跳ねようとする。  それは抵抗の身悶えなのか、それとも快感に体が震えているだけなのか。スレンダーな体躯にしては大きめな白い胸がふるふると揺れて、けれど静謐はあくまで冷酷な姿勢を崩さない。 「悔いて猛省しなさい、吸血妖精バーヴァン・シー。  これが乙女の純情を踏み躙った事への、然るべき罰というものです」  静謐が言い、薄くなってきた霧を補充するように赤紫色の煙をゆっくりと立ち昇らせた。  僅かな甘い匂いと、どうしようもなく淫靡に歪んでいくバーヴァン・シーの声。ガチャガチャと金属の拘束を軋ませる音が、時間を経るごとに必死さを帯びていく。  斯くして、乙女たちの怒りを乗せた秘密裏の懲罰が始まった。  屈辱と恐怖と性感にバーヴァン・シーは身悶える。悪の華として振る舞ったその報い――――許容限度を超えた悪果の報いが終わるときは、まだどこまでも遠い。 ◆ 「は、ぁ……っ!!っうぅ!ふぐっ、ん……っ!ぁ、あ、あぁ……っ!」  触れられもせず、ただ媚毒の霧の中で冷たい目に見降ろされて三十分。  すでに拘束を破ろうとする抵抗の音は弱まり、バーヴァン・シーはただ全身を襲う異様な性感によって、喘ぎを必死で噛み殺そうとするまでに至り果ててしまっていた。 「こ、のぉ……っ!この程度で、私が……!  は、あぁぁっ……!っう、んっ!はぁっ、は、はぁ…………っ!」  静謐はバーヴァン・シーを見下ろす位置に立ったまま、時折媚毒の霧を部屋を満たすように噴霧するばかりで何も言わず、表情も変えず、バーヴァン・シーに触れようともしない。 (マズい、これマズい……!体が熱くて頭が回らない!  ずっとイきそうなのにイけない!最後の一押しが全然足りてない……!)  ”破壊した贈り物の数だけ貴女を絶頂させる”と、静謐のハサンはそう宣った。  けれどその責めの内実は"絶頂"そのものではなく、むしろそこに至るまでの”責め”にあったのだと、バーヴァン・シーは悟ってしまう。  かつての妖精國で、娯楽として何度も辱めを受けてきた。  何度も何度も強制的に絶頂させられ、その有様を嘲笑されて、そんな状態で淫らな言葉で懇願させられて、あろうことか幸福そうに笑いながら男たちの欲望を受け止める事まで強要されてきた。  でもだからこそ経験則によって、絶頂に耐えることくらいはできる筈だった。  辛くて苦しくて恥ずかしくても、耐えることはできるはずだったのに。なのに与えられる責めは真逆で、絶頂の寸前で体を留められた時の耐え方なんて知る由もない。 「ふ、うぅうぅぅぅ……っ!!っあ!は、はぁん……っ!  ぁ、あぁぁぁ……!!っ、くそぉ……!この、なんで、こんなにぃ……っ!」  身体の奥底から、耐えきれないほどの性感が湧いてくる。  胸が疼き、乳首が痛痒いほどに屹立して、秘部が濡れそぼって呼吸が浅くなっていく。  呼吸の度に媚毒の霧を吸い込んでいる事が視覚的に分かってしまうのも、バーヴァン・シーの焦りと屈辱感を加速させて、その精神をゆっくりと追い詰める。  縛めの中で腰が跳ねてしまう。触れられていない乳首とクリトリスが熱を持つ。  指で乳首を縊れば、クリトリスを弾けば、あるいは膣口を掻き回せば。そうすれば間違いなく絶頂出来る程に身体が疼いているのに、その一押しがどう足掻いても得られない。 「お、おい!なんだよ、これぇ……っ!  こんな霧で……私を……っ!イ、イかせられると思って……!」 「いいえ、貴女を絶頂させられるとは最初から思っていません。  けれど、絶頂寸前で体を留められる方が、何度も絶頂させられるより余程苦しいでしょう?」  快感の中で必死に強気を寄せ集めた言葉に、静謐は冷淡にそう返した。  薄くなった霧がまた濃くなる。バーヴァン・シーの口と鼻に呼吸と共に吸い込まれていくそれは、美しい悪の華の霊基をゆっくりと内側から犯していく。 「くそ、悪趣味な事、しやがってぇ……っ!!  ひ、ぅうぅぅっ……!ぁ、あ、ぁ、ぁぐ……っ!は、ぁあぁぁ…………!」  ゆっくりとじっくりと、侵食する毒のようにバーヴァン・シーの身体が変えられていく。  "絶頂したくない"と考えていたはずの思考が、段々と"絶頂したい"という真逆の方向へと捻じ曲げられて、そうして意識される性感が彼女の心身を縛り付ける。 「っっうぅぅ!!は、ぁあぁ……!くそ、くそ、くそぉ……っ!!  なんで、なんで、イけないっ……!なんで、こんなに、イけないのよぉ……!」  悪辣な気丈さが快楽に侵食されて蕩け落ち、少女の口調がバーヴァン・シーの口をついた。  痛みと痒みを訴える乳首とクリトリスは、内側からこれ以上ない程充血して勃起しきり、身じろぎの度に空気に擦られて耐えがたい性感を叫び続ける。  秘部は数時間にわたって丁寧に解されたようにとろとろに蕩け、貞淑な一本線からじっとりと粘つく愛液が滴る度に、その滴に肌が撫でられて華奢な身体がビクリと跳ねる。  イきたい。イきたい。体はもう絶頂を眼前に控えて、最後の一歩を心待ちにしている。  絶頂することを考えただけで愛液が秘部から数滴噴出する。その反応だけで膣肉が蠢いてひくひくと震える。  乳首やクリトリスが歓喜するように熱を叫び、その先の最後の一押しを心待ちにしてしまう。 「っっ~~~~!!――――ぁ、は、ぅうぅぅぅ……!!  イ、けない……っ!なんで、どうして、どうしてよぉ……!イきたい、イきたいのにぃ!」  恥も外聞もなく、ただ身体が求める絶頂に浸ろうとする。  ひくひくと蠢く膣口を晒すように、大きく腰を持ち上げて反るように腰を振る姿。  媚びるようなその有様は、妖精の無垢さも騎士の矜持も感じられない、どうしようもなく惨めで淫らな有様だった。 「惨めですね、バーヴァン・シー。  コヤンスカヤやBBであれば、その有様を映像に収めて横流しでもしただろう淫らさです」 「っっ!!う、うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいっ!  お前、こんな事して、本当にタダで済むと思っ――――っぐ、は、ぁあん……っ!やめ……っ!!」  心底から冷淡な口調――――この舞台を整えるのに協力関係を結んだメルトリリスの口調を参考にして静謐は言い、それからバーヴァン・シーの太ももに微かに指を這わせる。  身の内から湧き上がる快楽によって、しっとりと汗ばみ紅潮した肌。  臨界まで高められた快楽を逃がさないように気をつけながら、静謐はくすぐるように柔らかな太ももを撫でまわして、更に絶頂を求めるほどの快楽を強めていく。 「やっ、やっ、やっ……!!ぁぁぁ……くぅうぅぅぅっ……!  この……っ!くそ、撫でんな……!ぉ、あ、あぁぁ、やっ、やめて…………!」  どこに触れられても絶頂してしまいそうなほどに、バーヴァン・シーの身体は性感を高められている。  あとはもう最後の一押し――――意図をもって性感帯のどこかに触れられさえすればいいだけなのに、静謐の手はただ汗ばんだ太ももをくすぐるように撫でるだけだ。  性感を高めるだけ高められて、なのにそれを発散させることを許されない。  絶頂への恐怖も陵辱への恐怖も薄れて、その代わりのように"絶頂出来ない事"への恐怖が勝っていく。 「は、あぁぁ……!イ、けないぃぃ……っ!  イけない、イけない、イけない……っ!こんなの、ダメ……!おかしくなる……っ!」  そしてとうとう、彼女自身の心情に根付く"弱音"がその口から零れ落ちた。  悪辣で強気な恫喝や挑発ではなく、『イきたい』と事実を口にする逃避でもない。『おかしくなる』という絶対的な恐怖が妖精少女の口を割り、身の内の恐怖をさらけ出させる。  全身が熱を持ったまま、小刻みに震え続けている。  乳首が痛くて痒い。クリトリスが疼き続けて脈打つ。膣口が蠢いたまま戻らない。  膣口から噴出する愛液の雫が肌を伝うだけで、その場所が耐えがたいほどに疼いてしまう。 「ふ、うぅぅぅぅ……!ぁ、あぁぁ、もう、やだ、やだぁ……!  い、いやっ、ぁ、もう、これやだ、吸いたくない……っ!うぅうぅぅぅ……!」  恐怖が呼吸を浅くさせて、そのせいで一層媚毒を吸い込んでしまう。  全身の疼きが際限なく高められて、絶頂するほどの快感の奔流がゆっくりと近づいてくるのに。  なのにどうしようもなく"絶頂"にまでは至れず、宙ぶらりんに放置されたまま、バーヴァン・シーは恐怖にすすり泣くしかない。 「少しは自分が壊したものの重さを思い知りましたか?」  だが啜り泣きにすらあくまでも冷淡なままで、静謐はそう問いかけるだけだ。  怒りの感情など暗殺には不要なものだ。けれど、そんな"暗殺者"としての矜持すら上書きするほどに、静謐の中に湧いた怒りは、それこそ生前にすらなかった程に常軌を逸していた。  彼女自身のチョコレートが無駄にされただけであれば、それはまだ許すことが出来た。  けれど、ニトクリスや三蔵のような心優しい者たちのプレゼントや、勇気を振り絞ったのだろうエレシュキガルやアビゲイルのプレゼントを台無しにされたことだけは我慢ならなかった。 「ぁ、ひぅっ、うぅぅ……っ!わ、わかった、わかった、からぁ……っ!  も、もうむり、むりなの!たえられない……っ!おねがいだから、イ、イかせて、イかせてぇ……!」  怒りを内包した静かな言葉に、バーヴァン・シーは何度も頷きつつ懇願する。  どうしようもない寸止めを施された状態で、僅かに突き付けられた光明。認めれば終わる、反省を見せれば終わるという光明は、バーヴァン・シーをどうしようもなく短絡的な結論に誘導した。 「…………そうですか。では一度絶頂させてあげます」  口調の冷淡さはそのままに、静謐はバーヴァン・シーの望む言葉を吐いた。  けれど責め苦は終わらない。静謐は床に転がしておいた"それ"を手に取って、眼下の少女の眼前へと突きつける。 「え、ぁ、え…………?それ、それ…………っ!」 「ええ、見覚えがあるでしょう。"貴女が作ったチョコレートの杭"です」  静謐が頷いて、バーヴァン・シーの表情が恐怖に引き攣る。  "踊るレッドパイル"――――バーヴァン・シーのバレンタインチョコ。  数多の英霊たちの純真や心を踏み躙ったそれの一本。全てを穿ち砕く巨大な”杭”の形を取った、静謐にとっては何よりも悍ましい悪意の具現。 「じょ、冗談…………冗談、でしょう!?  だって、だってそれ、杭なのよ!?そんなの挿れたらどうなるか……!」 「心配せずとも、殺傷力のある部分は魔術でコーティングしています。  …………ああ、でもその分、杭の先端部分はすさまじい振動を起こすように改造してありますが」  バーヴァン・シーの秘部を穿ち抜くように、杭の先端が濡れそぼったクレバスに触れる。  丸く成形された先端は殺傷能力こそなくなっているけれど、その代わりのように振動音が虫の羽音のように響き渡って、バーヴァン・シーの精神をどうしようもなく陵辱してしまう。 「や、や、や、やだやだやだお願い、お願い……!  こんなの、こんなのダメ、壊れる……!こ、こわれちゃうでしょ!?ねえ!わかってんの!?」 「イかせてと言ったのは貴女です。吐いた唾は呑めませんよ」  懇願の言葉を無慈悲に切り捨てて、静謐は薔薇のモチーフがあしらわれた杭頭に手を触れさせる。  引きつる少女妖精の表情。必死に跳ねる身体。杭の先端を僅かに咥えて、ひくひくと蠢きながら愛液を滴らせる、締まりを失った膣口。  静謐はそこに狙いを定めて、そしてそのまま勢いよく―――――― 「や、やだ!!あああ助けて!おねがい、おねがいしますっ!!  あ、あ、あ、おかあさま!おかあさまぁぁぁっ!!やだ、やだぁぁあああああぁぁぁああああ!!!!」  何の容赦も慈悲もなく、優しさゆえの怒りの籠った一撃が妖精少女の最奥を穿った。  切り裂かれる痛みはなく、穿たれる痛みすらなく。  ただ膣壁を圧し広げる圧迫感と炸裂する快楽に悲鳴を上げて、バーヴァン・シーは大きく腰を持ち上げてのけ反りながら絶頂する。 「あ゛っ…………!!!は、はぁっ、はぁっ、はぁ……っ!!  っうぅぅぅ!!あ、待って!待って!あ、あ、あ、やだやだやだ奥当たって――――っ!!!!」  そしてそのまま、絶頂の中に続けざまの絶頂が重なる。  凄まじい振動を帯びた切っ先が、子宮口の小さな弱点を正面から深々と穿ち、押し拉ぐようにしながら振動を加えて、敏感な場所を陵辱していく。  媚毒によって溜め込まれた性感を炸裂させられて、バーヴァン・シーは悪罵も懇願も思考すらもできぬままに、絶頂に絶頂を重ねられてビクリと跳ねまわった。 「~~~~っっあああああああぁぁああ!!  やっ、やだ!ぁ、あぁぁぁたすけて、あ、イってる!イってるの!!や、やだやだやだああああムリ、ムリ!!イけないっ!今イけないぃいいいいっっ!!!!」  喚くように叫んで絶頂し続けるバーヴァン・シー。  深くチョコレートの杭を咥えこんだ膣口からは、壊れたスプリンクラーのように潮の飛沫が何度も噴出して、簡素な実験台の上を淫らなにおいの液で満たしていく。  その上に体温で溶け始めたチョコレートが落ちていく様は、どうしようもなく倒錯的だった。 「…………困りました。これでは絶頂の切れ間がありません。  壊した分の絶頂とは、どの程度までと考えればいいのでしょうか…………」  けれど、淫らに悶えて狂ったように叫ぶバーヴァン・シーとは対照的に、静謐はあくまで冷淡に呟いた。  どこまでも生真面目な暗殺者。当初の宣言をなぞる方法を考える中で、バーヴァン・シーはカウントされない絶頂に浸されて、悶え苦しみ潮を噴き続ける。 「あ、あ、あぁぁぁぁっ!!し、死ぬっ!!ひ、ぃぎぐっ!ぃうぅううぅぅぅっ!!  あ、あぁぁぅぐっ!!お゛っ!!ぁ、あぁお゛ぉおおぉぉぉっ!!ひ、ぃぐっ!ぃぎぅううぅぅ!!」  狂ったように無様に叫び、バーヴァン・シーは絶頂に悶え狂う。  美しい薔薇の意匠をあしらった甘い杭に穿たれて悶えるその姿は、吸血妖精に誂えたたように悍ましく、美しい悪の華に準えたように倒錯的で淫靡だった。  湧き出す愛液にチョコレートが落ちていく。深くを抉る甘い杭がゆっくりと蕩けていく。  何度も何度も絶頂して、目を向いて叫んで、正気を消失するほどに悶え苦しむ。誰に助けを求めようと、BBやキアラまでもが協力した異空間には、モルガンの目すら容易くは届かない。 「や、や、や、やら゛っっ!!ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃいいいぃううぅぅっ!!  は、ぁ、あぁぁやだやだやだもうやだイきたくないイきたくないぃいいっ!!やだ、やだやだやだおかぁさま!たすけ、や、もうやだ、もうやだぁああぁぁぁあっっっ!!」  バーヴァン・シーは果て続ける。果てて果てて、罰せられて、悪意も心も滅茶苦茶に乱される。  悪の性質は快楽の中で崩れ落ち、元来の無垢さのままに懇願をしようとも、バーヴァン・シーの本質を知らない静謐のハサンに懇願は届かない。  乙女の純情や努力を嗤った――――本心からそうでなくとも、そんな結果を残してしまった美しい”悪の華”は、甘さと淫靡にその身を包まれて、ただ果て狂う事しかできなかった。 ≪了≫ お読みいただきありがとうございました! "いいね"やコメントなど頂けると励みになりますので、お気軽にお寄せいただけると嬉しいです! 次回は"3月5日"に更新を予定しています。 内容は今の時点では未定ですが、『原神』より雷電将軍か珊瑚宮心海で何か書ければと思ってます。 よろしければ楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

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