Xencelabsペンタブレット+クイッキーズリモートのレビュー ※追記しました (Pixiv Fanbox)
Content
更新が滞ってしまい申し訳ありません。
また、イラストをご期待いただいていた方には大変申し訳ありませんが、今回はイラストの投稿ではなく新しく買ったお絵かきツールのレビューです。
レビューというより問題点の羅列です。
Intuos Proの新型が長いこと発売されないので、繋ぎのために巷で話題になっていたXencelabsペンタブレット+クイッキーズリモートを買ってみました。
3ヶ月ほど使用してみて気づいたこと、発生したトラブルなど箇条書きにしていきます。
※ARMアーキテクチャに切り替わったばかりのMac環境でのレビューとなります。
発生した問題がシステム、ソフトウェア、ハードウェア、いずれがその要因となっているのか、また、他の環境でも同様の挙動が起こるのかは不明です。
このレビューは2021年11月ドライバーバージョン:1.1.0-3時点のものです。
・使用環境
Mac mini M1 (2020)
メモリ:16GB
SSD:256GB
OS:macOS Bigsur 11.6
ドライバーバージョン:1.1.0-3
マルチディスプレイ環境
使用ソフト:CLIP STUDIO PAINT EX ver.1.11.0
以下の感想は主にクリスタを使用した際のものです。
ソフトウェア面の問題点
・各ボタンを操作するたびに0.2秒ほど操作不能になる
タブレットやクイッキーズ、ペンのボタンを操作すると一瞬カーソルがフリーズし、その間操作を受け付けなくなる。
あらゆるボタンを操作するたびにラグが発生するので非常に煩わしい。
クリスタの設定で現在使用しているツールのカーソル形状を「点」などに変更するとなぜか避けることができるが、「ブラシサイズ」のカーソル形状が使用できなくなるためものすごく不便。
・各ボタンを押して離した後の挙動がおかしい
各ボタンを離した直後のわずかな時間にペン入力が重なるとペンが入力されなかったり、そのボタンが押されたままの状態になったりする。
また、ボタンを離した直後にペンを離すとカクつきながら数秒間ペン入力が維持され線が跳ねたり繋がったりする。
この画像だと右上から線を描き始め青丸の時点でペンをタブレットから離している。
赤い部分はペンを離したあと勝手に引かれた線でありペンを離した後の数秒間は入力が維持される。
入力が維持された状態で次のペン入力をすると線が繋がり一回の入力として扱われる。
これはかなりの頻度で発生する。
上記の現象と関係している気がする。
・ペンタブレットの作業エリアの限界付近の挙動がおかしい
①ペンでドラッグしたまま作業エリアの右側及び下側にはみ出ると操作が不能になり、一度ドラッグを解除するか数秒待たないと操作を受け付けなくなる。
クリスタで発生。
②ペンでウィンドウの端を掴んでサイズ変更を行う際、ドラッグしたままカーソルが作業エリアの右側及び下側にはみ出ると、ドラッグを解除してもカーソルがウィンドウの端を掴んだまま離さなくなる。
クリスタで発生。
③作業エリア上部の外側でカーソルの位置が勝手にズレる。
Intuosであればペンがタブレットの作業エリア外にはみ出てしまってもカーソルは画面の最も近い位置で追従するが、こちらはカーソルが大きくズレてドラッグも解除される。
④右側及び下側の作業エリアの外側(画面端)をペンで掴むと最前面のウィンドウの端を選択できず、その裏にあるウィンドウを選択してしまう。
また、右側及び下側にDockが存在する場合Dockアイコンを選択できず裏にあるウィンドウを選択してしまう。
(画面表示の1ピクセル外側を掴んでいる?ような挙動)
※ ①、②の問題はタブレットのマッピング設定のポーション定義で回避できるかもしれないと考え、作業エリア端を操作範囲から除外してみたが、その場合少しでも作業エリアをはみ出るとペンの位置を一切認識しなくなり、作業エリアの外側でのカーソルの追従もドラッグの維持もされなくなったので解決しなかった。
これらの仕様のせいで画面端をペンで操作する際はかなり気を使って操作を行わないといけない。
・ペンタブレットのマッピングが勝手に初期化される
コンピューターがスリープするたびに、ドライバーソフトウェアのマッピングが初期化され、ディスプレイ1、2(すべての表示)が操作エリアとして設定されてしまう。
スリープのたびに設定し直すのはやや億劫。
これはMac特有(あるいはディスプレイポート特有)の仕様のせいかもしれない。
スリープのたびにディスプレイ環境設定が読み込まれ環境を構築し直すのでその影響かもしれない。
スリープ以外でもディスプレイを接続し直したり入力を切り替えるだけでも発生する。
(直接関係はないがマルチディスプレイ環境でのマッピングのポーション定義もほぼ使用できない。X、Y、W、Hにそれぞれ数字を入力するたびにそれ以外の数値に勝手に数字が入力されズレて、永久に任意の数値を設定できない。マウス、ペン操作で範囲を指定する機能もあるがそんな精密な操作を人間にできるはずがない。そもそも小さすぎて操作できない)
・各ボタンが操作不能になる
Xencelabsペンタブレットドライバーにはアプリケーションごとにタブレットやクイッキーズ、ペンボタンのボタン割り当てとLEDカラーを個別に設定できる便利な機能がついているが、この機能を使用していると各ボタンが全て操作不能になることがある。
発生条件は不明だがこうなるとドライバーを再起動するしかなくなる。
まあまあの頻度で発生し対策に気付くまで毎日ドライバーを再起動していた。
アプリケーションごとの設定を使用せず共通設定のみ使用していれば発生しない。
・ドライバーの筆圧設定を操作するとペン入力の一回目が無視されるようになる
ドライバーソフトウェアの筆圧設定を操作すると発生する。
これが発生するとボタン操作など、ペン以外の操作をしたあとの最初の1回目のペンの入力が無視され2回目以降からしか認識されない。
この入力の無視は各ボタンを押すたびに発生する。
この場合もドライバーを再起動すれば治る。
ハードウェア面で気になったこと
ハードウェア面に関してはかなりクオリティが高くこれまで大きなトラブルは発生していません。
デザインも品質もよく外観そのものには全く不満はありません。
ペンケースやカラフルなLEDがオシャレ。
ですのでほぼ「こうだったらいいな」とか「これはよくない」みたいな感想です。
・ペンについて
3ボタンペンを使用していた際にペンが入力されたままの状態になることがあった。
発生しなくなった?のでペン先の個体差?
ブラシなどで線を描く際、線の始まりで余計な線が出来やすい。
・クイッキーズについて
割り当てられた機能を表示する液晶画面がついているが、作業するときは作業画面しか見ていないし手元は手で隠れて見えない。
液晶画面が存在するせいでボタン間に距離ができ、縦のレイアウトで使用する場合は指を大きく開く必要がある。
もう少し液晶の幅が狭ければよかった。いや、どうせ見えないし無くてもよかったかも。
ダイヤルはスルスルと回り、一切引っ掛かりがなくどれだけ回せば入力が行われるのかが非常にわかりづらい。
ダイヤルを操作する際ボタンの面に対して出っ張って段差になっているのでやや操作しづらい。
総じて液晶画面も回転させる形状のダイヤルもデザイン以上のメリットが無いように思える。ダイヤルじゃなくてトラックパッドでいいのでは?
・ペンタブレットについて
使用してみるまでは考えもしなかった点。
タブレットの作業エリアの外側、左右の余白の部分が少なすぎるため画面右端をペンで操作しようとすると手がはみ出てしまう。
特に自分はタブレットを傾けて使用しているためずり落ちないように小指の先で手を支えるような格好になる。
Intuosが余白をかなり大きく取っているのはこのためだったのかあ…。
これは明確によくない点。
タブレット表面のシートがペンの認識範囲より大きい。
ペンが認識範囲からはみ出てドラッグが解除されたりカーソルが操作不能になってしまう。
シートをペンの認識範囲より小さくすればシートの端のふちでペン先が引っ掛かかり認識範囲からはみ出るということはなくなるでしょう。
画像は公式サイトから拝借。
緑枠のシートのサイズに対して赤枠のペンの認識範囲の方が上下が狭く、ペン先が引っかかるふちの部分が無いため、ドラッグしているとペンが認識範囲の限界を超えてしまう。
なお便宜上「シート」と表現したが構造上交換できるような類のものではないようだ。
・ワイヤレス機能について
タブレットのワイヤレス機能ってこれ使わない人は全く使わないかも…。
特にこの機種はファンクションキーが3つしかないため、結局左手ツールが必須になりデスクから離れられない。
作業中ケーブルを外せるということ以上のメリットはなさそうだがデスクで作業するならケーブル繋ぎっぱなしでいいし…。
結局タブレット単体で使えないとデスクから離れた場所じゃ使えないし…。
そこまでしっかり使っていませんが遅延も妙な引っかかりもなく有線と同じように使える印象です。
まとめ
ARM Mac環境の方は素直にWacomを使ったほうがいいかもしれません。
まだこの環境に乗り換えてからWacom製品を使っていないので、これらと同様のバグがWacom製品にも発生する可能性も0ではないですが…。
近いうちIntuosに買い換えることになるでしょう。
気が向いたらWindows機引っ張り出してそっちでも試してみるかもしれません。
結局何が言いたいかというと、Intuos3最高ってことです。
ファンクションキーの配置もトラックパッドの形状も最高。
ドライバーが現在の環境にも対応していれば今もそれを使い続けていたことでしょう。
それでは最後にこんなのがあったらいいなというペンタブ+左手ツールを描いて〆とします。
取り留めのない駄文でしたがお読みいただきありがとうございました。
11/22追記
Intuos Pro Medium買いました
というわけでIntuos Proとの比較やクイッキーズと併用した際の使い心地などを追記します。
まずIntuosと併用することで一番の不満点だったボタンを押した際に発生するバグが発生しなくなりました。
もちろんブラシのカーソルを『ブラシサイズ』にしてもバグが発生しませんし、ボタン操作後に妙な挙動をするということも無くなりました。
純正品であるXencelabsタブレットよりIntuosの方が相性がいいってどういうことなんでしょうか…?
AmazonのレビューなどではIntuosとの併用時にバグが起きるという報告がされていましたが、自分の環境では起こらなかったようです。
Xencelabsタブレットドライバーへの不満はタブレットにまつわるものがほぼ全てだったので、Xencelabsタブレットを使用しないことででほぼ全ての不満点が解消できました。
あとは細かな使用感など。
まずペンの感触が断然Intuosの方が良いです。
インクの出方や線の質感がよく、記事本文中の余計な線が出やすいということも全くありません。
Wacomに一日の長ありといった感じです。
ただ本文中のシートのサイズと認識範囲の問題はIntuos Proでも同様でした。
Intuos3時代にはできてたことなのですがもしかしてこんなこと気にしてるのは自分だけなのでしょうか…?
そしてファンクションキーとトラックパッドについてですが、Intuos付属のキー+パッドは非常に使いづらいです。
本文中で散々クイッキーズに不満を言っていましたがIntuosのそれに比べればはるかに使いやすいと思います。
まずトラックパッドの位置と形状が良くない。
ファンクションキーと同じ列にトラックパッドがあるため頻繁に手が触れて誤動作をしてしまうし、また丸型のパッドは直感的に操作しづらく精密な操作もしづらい。
縦一列に配置されたファンクションキーは表面に識別用の突起はあるものの、形状が同一で今自分がどのキーに触っているのかわかりづらい。
ファンクションキーとトラックパッドが離れているため操作するたびに大きな動作が必要になり遅く、疲れる。
Intuos3の配置なら指だけの動作でファンクションキーもトラックパッドも全ての操作ができ、キーの配置と形状によって今どのキーに触っているのか視認せずとも理解できた。
ですがクイッキーズとの併用でそれらの問題点は全て無視できるようになりました。
頻繁に行う操作はクイッキーズに、たまにしか行わない操作はファンクションキーに設定すればパッドの誤操作も発生しませんし、いろんな操作をキーボード無しでできるので非常に使いやすいです。
クイッキーズのダイヤルもIntuosのトラックパッドに比べればはるかに操作感がいいです。
なぜこのトラックパッドはこんなに指が滑りにくい材質なんだろう…。
ドライバーの設定項目の細かさと安定性は流石のWacomです。
バグに遭遇することなんてまず起こらないだろうなという安心感があります。
あとペンの替え芯を他のもので代用させまいと変な形状にするのとか、標準でペン先が減りやすいざらざらのシートをつけるのはどうかなと思います。
フェルト芯使ったら1本が2日で無くなりました…。
総論としましては、Intuosとの併用でかつバグが発生しない環境であればクイッキーズはかなり使える良い物だと思います。
Xencelabs板タブの方はIntuosが壊れた時用のピンチヒッターとしてしまっておこうと思います。
追記は以上となります。
お読みいただきありがとうございました。