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今回は個人でご依頼いただいたイラストのメイキングです。


キャラクターはご依頼主様の子をアレンジしています。

「夜間のサイバーパンクの都市」というご指定をいただいたのですが、

なんだかんだでこれまで自分でも避けてきたお題だったのでいい機会でした。


また、メイキング記事としてもフォトバッシュを利用した内容をアップできていなかったので、これを機会に軽く解説を交えていきたいと思います。

0.3Dでのラフ

まずはじめにBlenderを使用して構想を練っていきます。

頭の中になんとなく形はできていたのでそれをより現実的におこしていく工程です。

イメージではこんな感じでした。

立ち並ぶ構想ビルを上空からかなりの俯瞰で見下ろしていて、空中にキャラクター

が浮いてポーズをとっているようなイメージです。

絵からは全く伝わらないと思いますが文字で説明するとそんな感じ。


パースをとって全て手描きやフォトバッシュにすることも考えていたのですが、

ちょっと今月は時間がほとんどとれそうになかったため、大部分は3Dで形を用意し

ディテールをフォトバッシュでつけながらキャラクターを手描きするという流れで

仕上げることにしました。

まずはじめにこんな感じのビルを用意します。

「ビル 3D 購入」などで検索すれば沢山でてきますので、自分の中でイメージに

近いもので商用利用可能なものがあればそれを購入するか、複雑でなければ

自分でモデリングするでも勿論良いです。

tmtは時短のために3Dを使用していますので、基本的には購入して済ませています。

今回、建物のディテールはフォトバッシュで整える予定でしたので、

それこそプリミティブに近いような状態でも問題ありませんし、テクスチャがついていないような場合でも問題なかったと思います。

素材が用意できたらひたすら並べていきます。(左図)

右画面でカメラアングルから完成図をイメージしつつひたすら並べていきます。

いくつかのビルのパターンを用意して適度に並べた後複製して隙間を埋めています。

手前にあるような謎の柱は適当なオブジェクトを組み合わせて用意しました。

要素がつまってきたらレンダリングしてみます。

tmtは細かい設定、特にライティングまわりの操作をほとんど理解していないため

かなりおおざっぱに出力しています。

下地だけ用意してあとは上から描けばよい精神でいきます。


これで最初にイメージしていた構図でつめることができました。

・・・が、今更ながらにキャラクターのポージングやシチュエーションがピンと来ず

うまく進行できる気がしなくなってきました。

そんなわけで方向転換です。

当初はほぼ真上くらいの俯瞰で考えていたのですが、もう少しカメラ位置をさげて

キャラクターを多少正面気味に捉え、オーソドックスに立っているポージングに

しようと考えなおしました。


パーツ類はそのままに、ほとんどカメラをいじっただけの状態に

アセットの中にサイバーパンクな看板類を見つけたのでそれらを追加配置しました。

そんな感じで再出力したものがこちら。

この段階でほとんど形はできていますね。

空気感やシルエットはほとんどとれているので、画面上部の構造物をアレンジしつつ

ネオン看板を追加したりビルの窓が光っている様子や、ホログラムを追加して色を

いじっていけばどうにかなりそう!と感じました。

最後にざっくりと遠景~近景のパーツをわけて出力します。

これで下準備は完了です。

1.背景

まずは背景から手を付けていきます。

ざっくりと、以下のような順番で手を付けることが多いです。

 1.背景(空や地面)

 2.遠景

 3.中景

 4.近景

 5.1~4ループ

 6.キャラ

遠景部分はかなりディテールを省けるのですぐに完成に近いイメージがつくれます。

それらしくなることでウンウンと納得できるので、モチベーションの維持のためというところも大きいですね。

オブジェクトの配置されていない背景部分が透明なので、そこを埋めていきます。

超遠景にもビルが並んでいて、暗く人口的な灯りしかない想定で隙間を無くします。

画面左中央より下のビルの隙間には謎の配管のようなものを足しました。

右下部分の明度が不自然なため、より発光しているように光源を追加します。

絵の中には様々な光源や大気を表現する必要があるわけですが、その時の判断基準

として気を付けないといけないのがこの"明度"という要素です。

Photoshopの場合であれば、白か黒に塗りつぶしたレイヤーを「彩度」などのモード

に変換し、一番うえに置いてあげると白黒の明度情報で絵を見ることができます。

勘違いだったらすみません。


簡単な比較を用意してみました。


上がオリジナル、下が遠景の稜線を暗くしたものです。

いかがでしょうか。

建物よりもより遠くにあるはずの山の稜線が手前部分より暗くなっているため、

建物のライティングが合っておらず不自然に浮いているように見えないでしょうか。

このように、背景がある場合には各要素の明度を合わせないと途端に不自然に見えて

しまうため、遠近感の演出を行う際には気を配る必要があります。

特にフォトバッシュでは、様々なシチュエーションの素材を使用することになるため

当然パースや明度などの情報がものによってばらばらになっています。

それを絵にまとめる時に、各情報をその環境に合わせて加工する必要があります。

それらの諸注意事項を頭におきつつ、ビルの窓の光などを追加していきます。

なじませていく過程で、少しでも浮いているなーと思ったらその時々で細かく調整

して、素材がなじむように気を付けます。

やってしまいがちなミスとして、ボケ幅のあるブラシを使って輪郭線を消して

なんとなく合成されているように見せてしまうことがあるのですが、厳禁です!

煙などを表現する時には問題ありませんが、世の中に輪郭線がぼけている物体という

ものは存在しないので、フォトバッシュなどの手法をとる際にはできるだけ輪郭を

くっきりとしたまま、光源・明度・色などを合わせてなじませるようにすると

よりよい結果が得られるように感じます。

※独学ですので全てを鵜呑みにはしない方がいいかもです...!

中景にも手をつけていきます。

左上の建物はとりあえず配置しただけだったので、上から加工を施していきます。

看板もそれらしいものを参考にしつつ、文字を変更してよくある意味不明な

サイバーパンク感を強めてみました。

円形の情報量に負けないように中景をつめていきます。

右上部分と下部分のディテールを追加しました。

素材としては、こんな感じの色も向きも違う素材を張り付けています。

Photoshopの場合、レベル補正の下部にある「出力レベル」のスライダーを

いじると比較的簡単に合わせられる気がしてます。

問答無用で全体の明度を調整するようなイメージです。

大体の暗さを合わせて、レイヤーモードを「カラー比較(明)」などにすると

なんとなくそれっぽくなります。

近景のようにディテールがはっきりする場合には浮いてしまいやすいかもしれないので、あくまで中・遠景などに使用するか、近景の場合は加筆して調整するなどして

自然に見えるように工夫する必要があります。

更に遠景にディテールを追加しつつ、ネオンの発光を足していきます。

遠景にディテールを追加したら中景に戻ってディテールを追加する、の繰り返し。

更に全体の色味を整えつつ、オブジェクトの間に空気の演出として明るい層を追加

するなどして、更に遠近感を出していきます。

最後に更に細かいオブジェクトを追加していきます。

ホログラムでできた巨大な鯉が浮いていたり、謎の美女のドアップが浮いていたり

サイバーパンクの街並みにありがちなディテールを追加して背景は完了です。


簡易ホログラムの作り方

例としてキリンの写真を用意しました。

レイヤーを複製してモノクロ化し、被写体を切り取ります。

更にレイヤーを複製し、諧調を反転させます。

下のレイヤーにクリッピングし、レイヤーモードを覆い焼きに変更します。

レイヤーをぼかして、良い感じにディテールが見えるように調整します。

レイヤーを統合し、再度諧調を反転します。

カラーバランスなどで好みのネオンカラーに変更します。

レイヤーモードを覆い焼きにし、好みの発光具合になるようにトーンカーブなどで

調整したら完成です。

フィルターギャラリーから「荒いパステル画」などを適用するとよりデジタル感が増すので、お好みでエフェクトを追加するといいかもしれません!



2.キャラ

今回キャラクターはかなり小さいので、あまりディテールを詰め過ぎず

手数を減らしてしあげていこうと思います。

パースにあわせて素体を用意。

今回は元イメージがあるため、それにそって清書を済ませたら塗っていきます。

ここでようやく足元の配管に手を付けていなかったことに気づきました...。

軽くレタッチしつつ、落ち影をつけて仕上げます。

3.完成


最後にキャラクターにエフェクトをつけて全体に調整レイヤーをかけたら完成です。


メイキングとフォトバッシュの解説を同時にやろうと思ったのですが、

どちらの要素も入れてしまうと記事内容が数倍に膨れ上がってしまいそうだったので

今回はメイキングを中心にしつつ、気を付けているポイントや工程を挟んだ回として

記事にしてみました。

また、今回は途中で解説したような明度をあわせる工程以外では特別に解説する要素

もなかったので、誰でも取り組みやすい内容になっているかと思っています!


ここまで見てくださってありがとうございました。

いつになったらできるのかという状態ですが、そのうちフォトバッシュ用記事など

あげる予定ですので、また見ていただけると嬉しく思います...。




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