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こんにちは、tmtです。

今回は「NNN2」のイラスト作業工程について記事にしてみようと思います。


0.インスピレーションまで

今回はウォーキングをしていた時に通りかかった公園を見てモチーフを決めました。

普段はPinterestやTwitterなどで様々なイラストを見ながら、

興味を惹かれた作品から想像を膨らませたり、または映画・漫画・小説・写真など

インプットを増やしながらイメージを決定しています。


※途中で撮った公園の写真ですがモザイクをかけています


何度も通りかかっていましたので、その間に

・どんな構図にするのか

・どんなシチュエーションなのか

・キャラクターをどのように配置するのか

・ライティングやカラーリングをどう見せるのか

etc

など完成図をイメージできるかどうかを検討しています。

ある程度の完成図を想像できない場合、途中で悩んで中だるみしてしまい

飽きてやめることが多いので、個人差はあると思いますが重要視しています。


夜の公園、暗いモールの商品棚、コインランドリーなどといったモチーフは

エモいシチュエーションとしてよく見かけるので、

どこかで消化したいという気持ちもあったことと、

また、前回猫を主題にしたイラストを描いていたので

続き物として関連性も感じやすいというのも決め手になりました。

1.構図(3Dでのセットアップ)

背景を制作する際には、

簡易なものを除いて3Dやフォトバッシュを多様しています。

(それに至る経緯や、どのように勉強したのかといった内容はまたの機会に個別に記事を用意しようと思っています)

今回は良い感じのアセットをいくつか持っていたので、それを使用して手早く3Dで背景イメージを固めていくことにしました。


※3Dの場合も写真素材を使用する場合も、アセットなどを利用する場合は個人・商用利用が可能なのかどうかにご注意ください

 tmtはArtStationなどといった素材購入ができる場所で、商用利用可能なものに限定して有料のコンテンツを購入し利用しています。


3Dの制作にはBlenderを利用しています


今回は撮影した写真を元に見せたいパーツを画面に配置していきました。

写真の段階でなんとなくの構成は頭にあったので、

イメージに近くなるように何度か配置・出力を繰り返します。

3Dの知識や技術がほとんどないのと、最終的には加筆していくため

ライティングなどは適当です。


何度か繰り返した後、ラフにキャラクター要素を描いてみて

気に入ったのでペイントにうつります。


2.キャラクター線画

使用するソフトはPhotoshopです。

途中集中しすぎていたので1枚撮影できていなかったのですが、

この前にもう少し詳細なラフをはさみます。

最初にかなりラフに棒人間を描いたあと、

頭身などを整えつつ顔をある程度描きこんでテンションをあげつつ

服と髪をおおまかに描いて清書をスムーズに進められるようにします。

その中間イメージを削って整えながら清書の線画として利用しました。


ブラシはデフォルトの丸ブラシを2pixにして描いています。

サイズは不変、不透明度のみ筆圧で可変するようにしています。

このあたりについてはどうするのが理想に近づけるのかずっと悩んでいるので、

今後も頻繁に変わる可能性があります。


線画が完了したらパーツ毎にレイヤーを分けて下塗りを行い、

キャラクターについては一旦完了とします。

3.背景

キャラクターの形状が決まったら次に背景を完成させます。

こういった1枚絵の場合、キャラクターのライティングやカラーリングは

周囲の環境によって変動するためまずは背景を完成させて

シチュエーションに応じてキャラクターを描きこむ、という流れをとっています。


ご依頼やお仕事の場合、途中提出などをはさむことが多いため

ほとんど場合においてカラーラフを作成しています。

そのような場合はキャラクターから仕上げることも可能かもしれません。


流れとしては画面の構成要素のうち広くを占めるパーツから描いています。

今回であればまずは地面をある程度仕上げつつ、

次に遠景と木に手を付けていきます。


遠景と中継(左側のキャラクターの後ろ)にあるライトと、

カメラ手前にもフラッシュがあたっているイメージで進めます。

冷たく薄暗い印象にしたいため、写真や3Dの出力結果から

カラーリングを寒色に寄せつつ、更にコントラストも強めていきます。

手前部分には質感が見て取れるようにカスタムブラシを多用しながら

色々なタッチを入れていきます。

中景の木の幹はある程度目立つためタッチを残しつつ、

遠景はシンプルに済ませて葉っぱもなんとなくで描きます。

単調にならないように多少の色味を変化させ、ライトの近くは

光が当たっていることがなんとなく分かる程度にシルエットを残します。


ライトは逆光になっているため、光源部分を飛ばしつつエフェクトを追加します。

最近の個人的な流行で、ライトのフレアのようなボケ幅のあるエフェクトに

ディザ合成のようなノイズをかけるのにはまっているので

マスクをかけてまわりをジャギジャギさせます。

さらに背景部分にとても遠くにある謎の光源(建物や街灯?)のイメージをぽつぽつ追加していきます。



大まかな範囲が完成したので、メインオブジェクトを描きこんでいきます。


滑り台は個別に出力して、クリッピングしながら全体を加筆します。

周囲のカラーイメージに依存して大げさに環境光を反映したり、

形をわかりやすくするために面毎に描写をはっきりさせます。

手前のライトの影響を考えて、キャラクターからの落ち影や

滑り台自体の落ち影を追加します。


乗り物はデザイン性も強いため、あくまで下敷きとしつつ

ビジュアルを変更することにしました。

猫が全体的に主題になっているので猫にしようと思ったのですが不思議生物になりました…

こちらもキャラクターからの影や落ち影、逆光のハイライトなどを追加して完了です。


また、これらの段階で調整レイヤーなどを一番上に配置して

仕上がりの印象を整えます。

キャラクターが完成したら改めて微調整を行うことが多いですが、

調整レイヤーを入れた状態で変化する色味を念頭において

仕上げに向けて描きこみを進めていきます。


4.キャラクターから完成まで

背景が完成したのでキャラクターの塗りを済ませます。


全体のライティングイメージは決まっているので、

色分けしたレイヤーを順に描きこんでいきます。

右のキャラクターの場合、

上から大体肌・シャツ・上着・ブーツ・小物・髪といったような順番だったので

肌ができたらシャツ、シャツができたら上着といったように

下から順番に完成させていきます。

下塗りレイヤーの上に新規レイヤーをクリッピングして描きこみ、

ある程度できたら統合を繰り返します。

全体的に手が入ったら調整レイヤーとしてグラデーションを全体にかけるなどして整えます。

服を描く際には写真などを参考にしながら、どの程度の深さの時にどの程度の影が入るのかを見ることが多いです。

最近はハーフトーンで情報量を増やせるように気を遣っているのですが、なかなか思うようにいかないので

完成した1枚絵をつくるのとは別に個別に質感練習などをしないといけないなと思いつつも作品も増やしたいし・・・というのが悩みです。


キャラクターができたので最後に猫を描きます。

乗り物が謎の生物になったので、前回と少し見た目がかわってしまいますが

猫もディフォルメしてしまうことにしました。

飼っている猫のポーズを思い返しながらなんとなく描きます。


最後にレイヤーを複製して統合し、

Camera rawフィルタを使用して全体のトーンを整えてます。

寒色に寄りすぎているように感じたので、暖色に寄せつつ周辺減光を入れました。


まとめ


これでイラストが完成です。

※本記事のイラストは別途PSDデータの配布も行っています



ここまで見てくださってありがとうございました。

今後も今回のような制作過程の記事を定期的に載せていく予定です。

制作過程の記事では書ききれないような基礎知識やフォトバッシュなどのやり方、

過去作品の工程なども順次記事にしていく予定ですので

引き続きよろしくお願いいたします。


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