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(以下文字なし差分)























男はサラサリア近郊に潜むしがない盗賊団の一人だった。

自分より力の強い頭目には卑しく媚びへつらい、その一方で新人や力の弱い下の者が相手だと途端に偉そうに威張るという典型的な器の小さい小悪党。

日々盗みを働き、楽しみといえば酒と攫った女を抱くことくらい。


古今東西、物語においてそのような者がたどる末路は決まっている。


いつものように男が攫ってきた女を抱いていると、賊たちを束ねる頭目がにやついた笑みとともに帰ってきた。


「いつまでもヤッてんじゃねぇぞお前ら。デケェ仕事が見つかったんだからよ」

「へぇ、どこぞのお貴族様でも襲うんですかいカシラ」

「へっ、そんなもんじゃねぇよ」


頭目は一息つき、自分を取り囲む手下を見まわしてから言った。


「新しいオアシスが見つかったんだよ」



◇◆◇


その年は例年よりも雨季に降る雨量が少なく、国全体で水不足が懸念されていた。


そんな時に発見された新しいオアシス。

欲に塗れた盗賊共にとっては金塊の山と等しい。

その水があればどれだけ多くの命が救えるかなど考えるはずもなかった。


オアシスを占拠してその解放と引き換えに国に莫大な金銭を要求する。

普通に考えれば無謀であるものの、いくつかの要因が盗賊たちを動かした。

ひとつは王国が内部の派閥争いで平常通りの武力を行使できないこと。

もうひとつは盗賊団の規模がこれまでにないほどに膨れ上がっていたこと。


あるいは国内情勢を不安定化させ自分たちを盗賊という卑しい身分に落とした国に対する復讐心というものもあったのかもしれない。

とかく現状であれば国が相手であろうと対抗できると踏んだ盗賊たちはオアシスを占拠するという暴挙を犯した。


オアシスはあまりにもあっさりとならず者共の手に落ちた。

貴重な水資源であるはずのオアシスに置かれていたのは申し訳程度の極僅かな部隊のみ。

その価値と戦力の釣り合わなさが国の疲弊を如実に表していた。


この分であればこれから奪還に差し向けられる軍の兵力も大したことないに違いない。

業を煮やした国が金を出すまで幾ばくもないだろう。


男たちは自分たちの勝利を確信し、浴びるほどの金銀財宝に囲まれる夢想に浸っていた。


彼らが来るまでは──。


◇◆◇


盗賊団が蹴散らされるのは、盗賊団がオアシスを占拠した時よりもさらにあっけなかった。


彼らを捕らえたのは、来ると思っていた国の軍よりもさらに少ない数の僅か数名の年若い男女。

片手の数にも満たぬ彼らは、それでいて恐ろしいほどに強かった。

国の軍隊であろうと相手にできる数を歯牙にもかけず、オアシスを占拠した盗賊のほとんどは捕らえられ、地下牢に繋がれることになった。


男も逃げおおせること叶わず、今は石でできた牢の天井を見上げながら、自分たちに下される罰について考えていた。

これまで自分たちが行ってきた所業を鑑みれば、死罪であってもおかしくはあるまい。

あの考えの浅いカシラに付いていったばかりに自分たちまでこんなザマだ。


少し前まで自分も金銭に目がくらみ、失敗した時のことなどまるで考えていなかったというのに、そのことは棚に上げて他人に責任を擦り付けることばかり考える。

捕まったところで反省などしようはずもない。

男はどうしようもなく屑であった。


時刻は深夜を過ぎた頃。

同じ牢に入れられた仲間たちは戦いの疲労からとうに寝入っていたが、男だけは不思議と眠りにつくことができなかった。

僅かに地表に出た鉄格子の窓から入り込んだ月明かりが牢の床を青白く照らした。

ちょうどその時――。


「あの……」

「あん?」


牢の外から声が響いた。


「なんだぁ……なんでガキがこんなところに……」


男が声の主に目を向けると、そこには暗くさびれた地下には場違いな身なりの良い赤毛の少年が立っていた。

こんな子供を地下牢に通すなど、衛兵は何をしているのだろうか。

男が疑問に思っていると、少年はおずおずと、だが勢いよく口を開いた。


「あのっ、なにか叶えてほしい願い事はありませんか?」

「は? なにいってやがる」


頭がイカれているのだろうか、この子供は。

罪人が繋がれた牢にやってきて開口一番に聞くことが願い事?

そんなことに何の意味があるのか。


答えてやる必要などなかった。

だが同時に、答えない理由も特になかった。


どうせ死罪になる身である。死ぬ前に叶えたい願望の一つや二つ口にしても良いだろう。

そんなやけっぱちの思考で男は願いについて考える。


願いは、もちろんある。

浴びるほど酒が飲みたい。

一生遊んで暮らせるほどの金が欲しい。

どれも願いといえるような小奇麗なものではなく、欲望といった方が相応しい薄汚いものだ。

だがやりたいこと、叶えたい欲望と言ったらたった一つ。


「俺を捕まえてくれやがったあの金髪エルフを滅茶苦茶にハメ潰してやりてぇ……」


自分たちを捕らえた連中の中にいた女のエルフ――。

陽光に輝く見事なブロンドの髪をたなびかせながら舞うように戦うその女の姿は、戦闘中であるにも関わらず思わず見惚れてしまうほどに美しかった。

サラサリアの民族衣装を身にまとってはいたが、この辺りに住んでいる者ではあるまい。

ただでさえ砂漠地帯であるサラサリアに住むエルフの数は少なく、その中であれ程の美しさを持っていれば噂にならないはずがないからだ。

観光客か、いやあの所作振る舞いを見れば他国の騎士か貴族辺りか。

わざわざ他国の賊の征伐に赴くなど御苦労なことである。

さぞ御立派な正義感をお持ちなのだろう。


昏くドス黒い欲望が首をもたげる。


戦いの中でも見せていた白く美しい肌。

年若いながらも女性らしい曲線を描く豊かな膨らみに男たちが汚い欲望の目を向けていたことにあの女は気づいてはいまい。

穢れを知らぬその柔肌に無遠慮に手を這わせ、あの豊満な胸を揉みしだいてやりたい。

男の剛直を女の性器に無理矢理突き立て、思う存分に蹂躙し、気が赴くまま男の精を女の身体の奥底に注ぎ込んでやりたい。

あの女の持つ正義感や誇りを、歩んできた人生そのものを、すべて自分の欲望で穢し尽くして、そしてその果てに快楽だけを求める雌に堕とすことができたなら――。


「? サレンおねえちゃん、ですか?」


少年の言葉が、夢想に浸っていた男を現実に引き戻した。


そう、すべては牢に繋がれた男の寂しい妄想に過ぎない。

陽の当たる道を行く彼女は、日陰にいる男とはこの先二度と関わることなどない。

そしていつかはどこぞの優男と結ばれ幸せな人生を歩んでいくのだろう。

まったくもってつまらないことだが、それが現実である。


「あの、ハメ潰すというのはどういう意味ですか?」

「……ちっ、お子様がよ。要は俺があの女を抱いて好き放題キモチよくなりてぇって意味だよ」

「……サレンおねえちゃんと夫婦になりたいという意味ですか?」

「くそっ、もうそれで構わねぇよ。ガキ相手にやってられっか、くだらねぇ」


子供はしばらく逡巡するような仕草を見せたが、やがて何かを決意したかのように男を見ると口を開いた。


「……それがあなたの願いなんですね?」

「あ?あぁ。……いや、どうせならあの女に限らず世界中の女を好き放題できりゃあいうことねぇな」

「わかりました」


◇◆◇


かくして物語は裏返る。

少年少女の愛と勇気の物語は終わりを告げ、代わりに始まるは男の欲望と女の嬌声が奏でる愛欲の夜想曲。


◇◆◇



「あっ♥ あっ♥ そこっ、気持ちいっ♥ あぁっ、素敵っ、旦那さまぁ♥ あたしっ、またイッちゃうっ♥ あっ、あっ、あっ、イクッ♥ また、イクっ♥ ああぁあっ、イッ、くぅううう~~~~~~!!♥♥♥」

「へへっ、また景気よくイッたじゃねぇかサレン。なぁ……?」


あの少年が牢を訪れたからしばらくしたのち。

突然男の牢の前にあの金髪のエルフが現れた。

分厚い鉄格子を飴細工のように両断する姿に男たちが呆然としていると、女はツカツカと牢に歩み入り、キョロキョロと誰かを探すように中を見回した。

そして男の顔を見たかと思うと、その顔を紅潮させ、華が咲いたような笑顔を浮かべた。


『やっと見つけたわ、旦那さま!!こんなところに捕まっていたのね、早くあたしと一緒に逃げましょう!!』


何が起こっているのかさっぱり分からなかったが、男は金髪のエルフ――サレンに手を引かれるまま牢を抜け出し、そのまま事前に取っておいたという宿に逃げ込んだ。

逃亡する最中、なぜ自分を助けるのか聞いてみたが、サレンは不思議そうな顔をして「夫婦なんだから助け合うのは当たり前じゃない」などと言うばかり。

ひょっとしたらこの女は頭がおかしいのかもしれない。

そんなことを考えると、ふとあの赤髪の少年の姿が頭に浮かんだ。


『サレンおねえちゃんと夫婦になりたいという意味ですか?』


――偶然にしてはやや出来過ぎている。

あの少年とサレンにはなにかしら繋がりがあると考えてしかるべきだろう。


そう思った男は宿で率直にサレンにあの赤髪の子供について知っているかと尋ねた。

サレンは男の質問に対して素直に答えた。

曰く、その少年はこの国に伝わる願いを叶えるランプの魔神である、と。

サレンは他国で見つかったランプをこの国に返すべくサラサリアを訪れたのだという。


眉唾物だ。

こんな話信じる方がどうかしてる。

サレンという少女が妄想の激しい頭のおかしい女だという方がよっぽど納得のいく話だ。


だが。


ジッと男は寝具の上に腰掛けるサレンの姿を見つめる。

露出の多い衣装から覗く白い肌。

走ったが故に紅潮し、いくつかの汗が雫となってつるりと滴り落ちる。


決して届かぬと思っていた極上の美を持つ女が今そこにいる。


男の遠慮のない視線に晒された少女は、その顔に恥じらいの色を浮かべる。

その顔に嫌悪の感情は、ない。


この状況を前に欲に塗れた男が、理性を保てるはずもなかった。


『なぁサレン……俺たちは夫婦なんだよな?』

『えぇ、そうよ』

『夫婦だったら、ヤることがあるよなぁ……?』


そうして”夫婦”は初夜を迎えた。


初夜というにはあまりにも乱暴で、気遣いのない獣のようなセックス。


これまで男が抱いてきた女の誰もが足元にも及ばないほどの極上の雌。

本来ならば触れることも許されぬであろう相手を自分が穢しているという事実が、男の欲望を際限なく高めた。


肌に手を這わし、胸を揉みしだき、蜜穴を思う存分ペニスで擦り上げる。

妄想の中でしかできなかったそれらすべてが、現実として行われている。


『あっ、んぅ……奥っ、当たって……お腹の奥っ、気持ちいっ……!! そこっ、もっと突いて、旦那さまぁ!!』


サレンは最初こそ痛みに顔を歪ませていたが、拒むことをしない膣はすぐに愛する相手の剛直を受け入れるようになり、いつからか蜜液をよだれのように結合部から零し、雌の悦びに満ちた声を上げるようになった。

元々快感を感じやすい体質なのかそれともこれも魔人の魔法の効果なのか。

理由はさておき、少女が乱れ喘ぐ様はさらに男の興奮を掻き立て、その晩男は日が昇るまでサレンの身体を貪り続けた。


そんな激しく熱い初夜から幾日か経ち――。


男とサレンはサラサリアから少し離れた町の宿にいた。

一盗賊である男の顔を覚えている者はほとんどいないが、いかんせんサレンという少女は目立ちすぎる。

国王のお膝元にいればすぐに見つかってしまい、サレンとともにいる男はまた牢に戻されることになるだろう。


一度知った快楽を手放すことなど、男にできるはずがなかった。

いや、欲深いこの男でなくても一度サレンという女を味わってしまった男がそれを手放すことができるだろうか。


「はぁ……はぁ……今日も素敵だったわ、旦那さま♥」


情交の熱が冷めやらぬ恍惚とした顔でサレンが男の顔を見つめる。


女の艶と色気が凄絶なまでに美しい表情だった。

表情だけではない。めくるめく女の快楽に身をやつし続けた少女の身体は男を虜にする魅惑の肉体へと変わりつつある。

胸は沈み込むような柔らかさで男の指を迎え、膣肉は火傷しそうなほどに熱い愛液を垂らしながら男の逸物を締め付ける。

男を知った少女が、その脆い殻を捨て去り、オンナとして羽化しようとしている。

そのきっかけになったのが紛れもなく自分であるという事実に男は高揚を抑えることができない。

本来サレンと結ばれるはずであった男を押しのけ、自分というサレンからすれば路傍の石のような存在が、彼女の肉体と精神に消えぬ変化をもたらしたという事実に総身が震える。


「あっ……。ふふっ、また、んっ、中で大きくなってるわよ。まだ満足してないのね。まったく、節操がないんだから、あたしの旦那さまは♥」


あの魔神の魔法の効き目が弱いのか、それとも本人の意思が強いからなのか。

サレンは時折正気に戻るような仕草を見せる時があった。

だが、そんな時であっても「夫婦」という単語を強調すると大人しくなった。

おそらくあの魔神のかけた魔法があくまで男とサレンが夫婦であるという形だからであろう。


しかし、サレンが正気を見せるその頻度は日を追うごとに、男がサレンを抱くたびに少なくなってきている。


思うにサレンが元々持っていた魔法に抵抗する意思を、男が与える快楽が削り取っているのではないだろうか。

快楽に対する受容の高まりが、サレンという少女に残された最後の理性を覆い潰す一助となっているのかもしれない。


にやり、と男は笑みを浮かべる。

その様に男らしさを感じたのか、サレンはうっとりと頬を染めながら男の顔を見つめた。


魔神の魔法とやらだっていつまで続くのか分からないのだ。

だがその効力が切れるまでに痴態に狂わせ続け、二度と抜け出すことができないほどの圧倒的な快楽でこの少女を染め抜くことができれば――。


このオンナは一生自分のモノだ。

いや、そうしてみせる。


完全に快楽に溺れたサレンの姿を夢想し、射精した後で柔らかくなっていた逸物が硬さを取り戻す。

もはや男の妄想という絵空事などではない。いずれ訪れる未来の想像だ。


目の前には再び始まる情事を期待し、情欲に満ちた濡れた瞳で男を見つめる”妻”の姿。


”妻”の期待に応えるべく、”夫”は再び猛然と腰を振り始めた。


「あぁぁあんっ、んっ、んっ、ふああぁぁっ♥ いいっ、気持ちイイッ♥ 素敵っ♥ もっと、もっと激しくしてっ♥ もっとあたしを愛してっ♥ 滅茶苦茶にして!! 何も思い出せなくしてぇっ!! あぁっ、旦那さまっ、あたしの旦那さまぁっ!!♥♥♥」



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(小説partのpdf)

20901609_サラサリアの夫婦の蜜月 (A6)




ママサレンはNTR適性高過ぎんよぉ……幼馴染金髪おっぱいエルフママは属性過多だろうがよぉ……


自分としても描き切れていない所が多く不完全燃焼なので、後日イラスト内にテキストと書き文字を追加しようかなと考えています。


それと今月は月末に差分2、3枚の軽いイラスト投稿しようと思っております。

今後ともどうぞよしなに


※11月19日テキスト差分追加。それに伴い基本差分を三枚追加(暗転用含まず)。


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Comments

cblo

イラストも文章もすばらしい。 流石です。

yumejidake

ありがとうございます!! 文章はいつもキャプションの3000字制限を考慮しながら書いていたのですが、今回はそれでは収まりがつかなくなってしまい…… 今度がっつり文章書くときはキャプションを意識せず、思う存分書いてみようと思います。頑張るぞい

凛祢

今月中にはイラスト内テキストの追加はありますでしょうか

yumejidake

今月中旬が締め切りのskeb依頼品がありますので、そちらを納品後サレンのテキスト追加をする予定です。お待たせして申し訳ありません

凛祢

返信ありがとうございます。 ご無理はなさらずやっていってください

yumejidake

ありがとうございます!! 最初はテキストだけ追加の予定でしたが、色々練ってるうちにどう考えても差分枚数が足りないとなったので描き足しました!!よりエロくなった(と思う)のでヨシ!!