ただの日記です (Pixiv Fanbox)
Content
こんにちは、暗い話題です。
単行本がダメになりそうです。
端的にダメとは言いましたが、商品としてはB級品レベルのものになった、が正しいです。
Twitterでは少しお話しましたが、ここの方には詳しく全てお話しようと思います。
せっかく3か月近く、完成を見守って応援して下さった方へのせめてもの私からの償いです。
4月16日
担当から連絡がありました。
私は全ての作業を終わらせて告知をしたり、じっくり休んだりして悠々自適に過ごしていました。
「同人から持ってきたカラーページの裁断にちょっとしたミスがあった」
とのことでした。
本来なら表示されないところが入り込んだとのことです。
数ミリなら印刷物ではまああり得る話なので、そんなに大ごとだと思っておりませんでした。
明日サンプルとして刷り上がった現物を見て、お話をしたいとのことでした。
4月17日
担当と二人で話をしました。
単行本の現物を見せてもらいました。
1刷りサンプルでは表紙の色が全体的に暗く、沈んでおり、もう少しどうにかならないのかとお話をしていましたが、すごく綺麗に修正してもらえてテンションが上がりました。
本文は全てトーン処理からグレー処理に変更していて、細かい部分も本当に綺麗に印刷されていて大満足です。
1話を中心にほぼすべてのページを修正しており、時間がない中作業しましたが、かなり「らしく」出来上がってほっとしました。
問題のカラーページを見せてもらいました。
先に原稿用紙についてお話します。
こちらが漫画の原稿用紙です。
真ん中の白い部分が、普段私たちが漫画を読んでいて見ている範囲です。
見て欲しいものは必ずここの範囲内に描きます。
ピンクの箇所は「塗り足し」と呼ばれる部分です。
印刷技術がかなり向上しましたが、現在も印刷は全て手作業なので、ちょっとしたズレが生じる場合があります。
そのズレに対応するため、原稿では数ミリ、塗り足しを描きます。
基本的にはあまり重要な部分ではないので私はかなり手を抜きます。(塗ってあれば印刷所も安心するといった感じのレベル)(あまり真似しないように)
周りの黒い枠が「トンボ外」と呼ばれる範囲です。表示されることは100%ありません。
さて、話は戻ります。問題のカラーページの件です。
何と驚いたことに、トンボ外まで丸ごとすべて印刷されてしまっているのです。
私は作業中いつも、視覚的に分かりやすいよう、トンボ外を全て黒く塗りつぶしています。
作業原稿はこんな感じです。
印刷された実物は、ばっちり全ページ、黒枠が入ってるんですね。
担当は「デザインだと思えばそう思えるし読む分には問題ない」との主張でした。
これは1P目なので、かなり丁寧に塗り足し部分を描いてはおりますが、
他のページはそういう訳でもありません。
変な線の処理もあれば、絵の処理が途中で切れている箇所もあります。
なにより天地、左右の黒枠の比率が異なるので非常に不格好です。
カラー漫画は枠線(コマを割っている線です)を真っ黒にはせず、若干薄い色で絵となじませています。
その枠線がトンボ外にはみ出しているので、それも見えてしまっています。
私からの主張は「このまま世に出すことはない、都内の書店の早売りは諦めてもらって、発売日の27日まで10日あるのでなんとか刷り直してほしい」
という事でした。
担当はこの件を編集部に持ち帰ると言って解散しました。
夜、明日また編集長と交えて話がしたいとの連絡がありました。
私としてはそんな時間を使うくらいなら刷り直しのために時間を使ってほしいと伝えましたが、
編集長から改めて挨拶をしたいとのことでしたので承諾しました。
4月18日
昨日です。
編集長、担当と3人で話をしました。
まず「このような結果になってしまい大変申し訳ない」とのお詫びがありました。
正直憤りました。何勝手に終わった気になっているんだと。
話の内容は以下です。
現在全ての初版分は刷り上がっており、印刷所に保管されているか、若しくは流通センターに移動している。
私の単行本は、初単行本、初レーベル、出版不況の割には発注数が多かった。
多い分だけあり、その全数を刷り直す金銭的体力が我が社(茜新社)にはない。
GW直前ということもあり、物流を止めるのは難しい。また、印刷所も休みに入る。
GW前に単行本発売を決定したのは、GW景気を狙ってのこと、これを逃したくはない。
なのでこのまま販売して、希望者には交換対応を行いたい。
交換用に刷る部数は初版分の1/5、1か月後には刷り上がる。
交換分で追加で刷る部数も印税対象にさせてもらう。
初版分は印税率が上がる直前の数だったが、それを超えるので初版分と合わせて上がった%で支払わせてもらう。
お詫びとして玉之けだまにはその数字の倍での初版分の印税を支払いたい、これで丸く収めて欲しい。
もちろん2版以降、電子版では希望通りの状態で世に出すことにする。
とのことです。
そもそもなぜこのような事が起こったか説明します。
私は今回のカラーページは同人発の原稿なので、茜新社側には原稿データがない為、
3月末、描きおろし分と合わせてトンボ外含めた完全原稿をお渡ししました。
単行本サイズではなく、同人誌サイズになります。
茜新社の雑誌は全て、もとから単行本のサイズではなくB5で同人誌と同じサイズで発行されています。
なので雑誌サイズ→単行本サイズに直すのが編集は得意なはずなんですね。
担当から事前に聞かされていた情報は「今まで使ったことのない印刷所を使っている」という事でした。
なので表紙の色合いについて想定外の色で出たりしていたわけです。
4月上旬、担当の元に単行本全ページの刷り出しサンプルが届きます。私は見ておりません。
そちらは通常もトンボ外もガ印刷されて、「ここからここまでの範囲を印刷するよ、大丈夫ですか?」
と言った目安になるものです。
本来なら2重体制で確認をするはずらしいのですが、今回は私の担当一人で確認したらしいです。
私の担当は編集歴もあまり長くはなく、編集部内では若手の方です。
自分の担当した作家で単行本を出すのが初だったらしいです。
まず第一に、4月17日の担当との話し合い時点で「刷り直しが出来ないのであれば賠償問題も考える」
とお伝えしてしまったのですが、本当にお金で解決しようとされたことに正直悲しく思いました。
追加でお支払いするお金があるのなら、刷り直し分に補填すればよいのでは…
今回刷り直すことで掛かるであろうコストが足りないのであれば、私の方から出資すると伝えました。
倫理上受け取れない、とお断りされましたが、刷り直してくれるなら本気で問わないつもりです。
以下ただの私情です。
メロンなどではありがたいことに、予約で1位を頂くなど、本当にたくさんの方に期待してもらっている本だと自負しています。
だからこそそのような対応はやめてほしいのです。
絵を描いて、漫画を世に出している方は分かると思うのですが、「断ち切りから先は不可侵」だと思っています。
他人に見られることは耐えられるものではありません。
芸能人で言えばすっぴんのゴシップのようなものです。
この状態を楽しみにして頂いている人たちに見せるわけにはいかない責任感と共に、
同業者に見られるわけには行かない恥の部分です。
ここ2ヵ月、ただひたすらに単行本を完成させる為だけに生きてきました。
ほぼ無償の仕事の特典作業も、1件も断らず全て描きおろしで期日内に仕上げてきました。
終わりが見えなくて本当に辛い毎日だったけど、「これで喜んでくれる人がいる」
そう信じて無心に頑張りました。
その結果が、編集部の人間の怠慢でぶち壊されるのかと思うと虚無です。
もしもこのまま期日通り発売したとき、私はどのような顔で単行本を宣伝するのでしょうか。
編集部から永遠娘アンケート用などでサイン本を10冊用意してくれと言われましたが、どんな気持ちでサインするのでしょうか。
きっと単行本を買ってくださった方の中には、イベント会場でサインをして欲しいと持参される方もいると思います。
私はその「不良品」にうまくサインできるのか分かりません。
そもそもこの同人誌として出した時、印刷所のミスで中綴じで発注したものを無線綴じで仕上げられ、
直前で印刷所負担で刷り直してもらったのにも関わらず会場には無線綴じが届いたと思いきや、
中綴じも全てごっちゃで搬入されており、希望搬入部数がまさかの倍になるなどのトラブルもあった本です。
後日印刷所の方で対応をお願いしたのですが、きっと交換された方は、今回の単行本も買ってくださると思います。
その方にまた同じ手間を掛けさせるのが本当に申し訳なくて考えるだけで苦しいです。
そもそもB級品の初版分の1/5しか交換用に刷らないのも購入者を舐めているのではと腹正しいです。
確かに読むには問題ないですし、交換の手間を考えたらこのままでいいやと思う方は大勢いると思います。
私もそうです。
着払いだとしても、着払いの荷物を作るのが非常に面倒ですし、伝票を書くのがあまり好きではないからです。
着払い交換費用も考えても、それでも刷り直さないほうが茜新社にとっていいのかは、私には分かりません。
海外から発売後数日掛けて高い送料を払い、転送サービスから発送されても、ご予約して頂いている人もいる。
私は全ての仕事をちゃんとやったつもりなのになんでこんなことになってしまったのか…
ただ今日も「詳しいことが決まるまでお待ちください」と言われ、ぼうとしているしかありません。
もっといろいろ書こうとしましたが、あまり冷静ではないので良くない言葉が出たりなど、よくないですね…
この辺にしておきます。
先ほど私の方からメロンブックスさんに、単行本と同時に発売する予定だった「けだまとめ」は、
5月5日の例大祭合わせで出してほしい、単行本との同時予約頂いていた方には事情が決まったら連絡をお願いし、
「けだまとめ」は予定通り発送、「僕は小さな淫魔のしもべとグッズまわり」はまた日を追って別口にて発送して欲しい。
と連絡致しました。
けだまとめの方は先ほど自宅に確認分が届き内容を見ましたが、こちらはばっちりです!!
薄くて漫画らしい紙を使ったのでめちゃめちゃに良い感じです。分厚いけど柔らかいから開きやすいし。
今日夜あたりにまた編集部より連絡があるようなので、また進展したらお話します。
ここに書けてスッキリしました。
拙く、気持ちの良くない内容の文章で申し訳ありません。
お読みいただきありがとうございました。