Home Artists Posts Import Register

Content

 玩具人形として発生したこけし(小芥子*1)は、幼児の手に合わせて胴の太さが細く、古くは自立しないこけしであった。また一部の地域では雛祭りの雛壇に飾る風習が発生し、これらは安定して自立するよう胴が太く作られた。


 本来は土産物であり子供の玩具人形に過ぎず、こけしを赤子に見たてたままごと遊びをする女児をよく見かけたとの古い記録も残されている。

 一方でこけしと赤子が強く結び付いた地域もあった。それらの地域では、子宝祈願や安産、子供の成長祈願、水子供養などがこけしを通して行なわれた。

 天児産み(あめのこうみ)は子宝と安産を祈願するものである。祭儀自体は単純で、こけしの胴に祈願者が生まれくる子供に宛てた一文字を入れて神社に託し、巫女の膣にこけしを挿入、後に自力で排出させるもの。使われるこけしは古くは伝統主要11系統の蔵王系とされるが、現代では参拝者が持ち込んだ様々な系統が混在する。

 なお儀式を執り行う巫女らにはもっぱら頭部の大きなこけしが好まれる。これは頭部の自重により産み落としやすく負担が軽減されるためだ。こうした巫女側の要望を叶えるために近年では頭部の大きなこけしが発注されるようになったが、木地師へ用途を正しく伝えなかったばかりに大きい頭部に比例して安定して自立できるよう胴も太く作られて納品される事例が見受けられ、結果的に巫女の負担が増してしまったという悲しい擦れ違いも報告されている。


*1 こけしの名称は産地によって異なり、漢字表記も多くある。



Files

Comments

No comments found for this post.