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わりと初期から思って、全然身につかない、足りない能力があります。それが「比率」です。


今までのエントリーで書いたような、真似したくなる動き、予想したくなる動き、ドラマを感じさせる構図などは、演出を学べば身につくものなんですが、比率を見る目が才能なのかなんなのか、どうにも身につきません。


比率が重要なのは、「黄金比」や「白銀比」といったように、目や脳の基本的な機能で魅力を感じるものだからだと思っています。

トレースした絵は、線がへろへろでもどこか整ってるように見えますが、これは比率があってるからです。

(顔はトレースした線だけだと違和感ありますが、顔はかなり「陰影」の比率も重要です)


身体はすべて比率で構成されます。

以下はルーミスの「やさしい人物画」に描かれているもの。




個人的には、以下のような比率を意識しています。ルーミスでいうと3歳等身に近いですね。




目だけでも、魅力を感じる比率はたくさんあります。

・黒目と白目の大きさ

・黒目とハイライトの割合

・縦横の大きさ

・まつげの太さ

・右目と左目の距離

・眉毛との距離

・頭部を基準とした上下の位置


顔だと

・目と顔の輪郭の位置

・目と鼻の位置

・頬のカーブ

・頬と口の高さ(口の筋肉で頬が動くイメージがあるとかわいくなります)

・顎の角度

・鼻と口と顎の位置

・耳の高さ

・首の位置


などなど、あげればキリがないのですが、こういった比率には、人間の目や脳が敏感です。比率は、機能としては、健康度を測るものだったり、空間の把握(距離と距離を念頭に置いた大きさ)など、生存や生殖に関わる基本的な機能のはずなんですよね。



この比率に合わせて絵が描ければ、絵は良くしていけます。

今うまく描けない、人気ではない、としても、比率を変えて試していき、

人気が出たら、それを守っていけばいいのですから。

模写も有用ですね。



でも比率を見る目が無い私のような人間だと辛いです。

大きさ違うじゃんってわかる人には、全く共感できないと思うんですが、

違和感を認識できないというパターンがあるんですよね。


比率がわからないなら測ればいいじゃない、ということで、

グリッドや物差しなどで測ったりするのですが、

これに頼るとかわいくならない、堅い絵になったりします。ぐぬぬ。



この比率、奥が深いのは、正面でない絵を描いたときですね。

身体が傾いたとき、ひねったときに、カメラアングルがアオリやフカンのとき、絵の表面上にあらわれる比率は変わるのですが、もとの比率を意識させるテクニックが必要です。

ルーミスはこのような目安を描いてます。



傾いた絵の「傾いているとわからせる記号」としては、筋肉の線や塗りのタッチがあるのですが、私の絵はその辺を省略しているので、デフォルメされた絵で、どう落とし込むか、自分なりに考えなければなりません。

前回のエントリーである補助線も、比率を測るには非常に重要ですね。


というわけで、最近は比率を意識して絵を描いています。苦手克服期なので、絵にばらつきがあるのはそういう理由だと思って見ていただけると楽しめるかもしれません。

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Comments

リリンツ

勉強しました!ありがとうございます🙏🙏

香川悠作

比率については、私も学び中ですので、色々試して、また発見があったら記事を書かせていただきます。

み~@たみふる

自分では絵を描かないのですが、絵を見て選択したり評価したりする仕事が多いので、勉強になります!

香川悠作

どのようなメディアかわかりませんが、是非良い作品を世に出してください〜! 私も気づいたところはまた記事を書きます。参考になれば幸いです!

Luissio

香川先生はどのように遠近法の補助線を描きましたかXD

香川悠作

日本語であれば「風景デッサンの基本」という本を参考にしました。 英語の本なら「scott robertson HOW TO DRAW」が優れていると思います。 0から覚えようとすると、概念は難しそうですが、パース定規機能があるアプリを使うと操作しながら感覚が掴めます。 CLIPSTUDIO PAINTや、無料のアプリだとibis paintにパース定規機能があります。 blenderなどの3Dソフトも、パース感を養えると思います。