香川悠作の秘密その5 (Pixiv Fanbox)
Published:
2019-04-23 03:41:25
Imported:
2024-05
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勤めていた会社の元上司の紹介で久々にゲームプランナーの仕事をしてきました。
イベント会社みたいなところで、リアルイベントでのゲーム性の相談、ゲームアプリを作る場合の予算感の相談でした。いくつかのゲーム案と、ゲームとして成立させるために必要な仕様や機能、オプション的な仕様のリストを作って、コーディネートできる知人に予算感を入れてもらい、ご提案した、という感じです。
企画自体には深く関わらないと話をしているので、進行自体はどうなるかわかりませんが、やはりゲームの予算感には驚かれる感じですね。桁が違う……!みたいな。
さて、こういうことがあったので、企画側から絵をどう見るか、まとめてみようと思います。
* * *
まず、ゲームタイトルには
1・トータルの作家性やゲーム性を重視(FF、モンハン)
2・話題を先行させブームを作る(ドラクエ、サクラ大戦)
3・他の作品の人気にあやかって無難な成功を目指す(IPもの、ソシャゲ全般)
といった感じで、大きな方向性があります。実験的なものとかインディーズとか、ほかにも色々ありますね。
イラストレーターの選定でいうと、
1は、会社のブランディングに大きく関わります。主にデザイナーは社内の精鋭が集って、スタッフとしての名前は出ますが、このキャラクターデザインはこの人……!というアピールはあまりしません。会社がすごい、と思われないといけないですし、このタイトルだから選ぶというものに仕上げないといけないです。とにかくディレクターやアートディレクターと密な連携も必要になるので、固定給の社内のデザイナーが、ガンガンリテイク出されながら描きまくり、理想的なデザインを目指します。
2は、ゲームは面白いけど、会社が有名でない、ゲームデザインになじみがない、難解、といった理由で、なにかしらキャッチーなフックをもとに、ゲーム内容を広く認知をしないといけないタイトルです。フックとして、有名な漫画家など、既にファンがいる作家を軸にしたプロモーションが展開されます。○○先生がキャラクターデザインのこのゲームはここがすごい!みたいな感じです。ドラクエがまさにこれですね。当時、RPGというなじみがないジャンルの面白さをジャンプでアピールできました。
3は、ゲームの面白さはある程度保証され、ライバルも多いので、別の要素で目立つ必要があります。ここでも有名な漫画家などが起用されますが、大成功はあまり臨めないので、プロモーションが地味め。プロモーションが地味ということは、SNSの活用といった、局所的に人気のイラストレーターなどが好まれます。実際フォロワ数は結構重要な指標のようです。
といった感じで、イラストレーターに期待しているものは、絵の質以外にもいろいろとあります。主に話題性ですけどね。
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同じような話で、ゲーム内の各コンテンツや、個々のキャラクターにも目的があって、それにあった絵が求められます。
ゲームの絵の特徴は、設定を伝える以外にも、
・繰り返し見ることに耐えられる
・プレイヤーに行動を起こさせる
・ゲーム的機能を伝える
という役割を持っています。
背景では、明るい方に行くとゲームが進む、とか、最初は狭い道で静かだけど、この丘を越えると、敵の大群が見えるように、といった、企画が設計した体験をベースに絵作りをしてもらいます。
キャラクターであれば、揺れモノでずっと見ていても飽きないような衣装、ジャンプが得意、ショットが得意といったゲーム的機能がわかる、とか、そういったデザインができていないといけません。
いずれにしても、ゲームの絵は、プレイヤーの行動を起こさせる機能の塊ですので、そういった機能的なデザインをくみ取ってもらえるデザイナーが求めらますし、実際、ゲーム体験の質に大きく関わります。
企画からすると、全方位どこを見てもめちゃくちゃ美しいけど、どこにいけばいいかわからん、という背景よりかは、目的地がわかりやすくなっているうえでならいくらでも美しくして、という優先順位になります。
(なんだかんだで看板を立てるみたいな解決になったりするんですが)
こういうことで、特に新人のデザイナーとの間では結構もめたりすることはありますね。ベテランはわかってくれますが、俺の絵はすばらしい!で押し通されても、結局、わからん、クソゲー、という評価になってしまいます。
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ゲーム以外でもそうなんですが、イラストで仕事をもらうためには、絵の質以外に、どういった効果、機能を期待されているのか意識しておくと、自分自身のブランディングや、アピールするユーザー層なども意識できそうです。
綺麗な絵だけをSNSにアップしていれば、技術のアピールにはなって、絵合わせが必要な量産の絵の発注が絶え間なく来そうです。しかし、上手いだけでは、話題を喚起できなさそう、要求に応えてくれるかわからない、となり、メインに据えるのが難しかったりします。擬人化でモチーフの使い方がうまい、とか、すごい想像力をかき立てられたり……という、美しさ以外の、機能的な部分のアピールがあると、よりおいしいお仕事に結びつきます。
私の場合エロは描かないので、そういったイメージがあると困りそうなところからお仕事をもらったり、シチュエーションがわかりやすく感情が豊かな絵が描けるのでキービジュアルなど賴まれたりするようになってきました。逆に造形がまだまだなので、キャラクターデザインのお仕事は少ないですね。
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というわけで企画視点から見た絵の話をしてみました。
キャラクターデザインに関しては、自作ゲームで人気にしてやるぜーという目標があるので、まずはいただいている絵の仕事をきっちりやり、絵を受ける側からの視点も獲得して、より精度の高い、自分の作品が作れるようになりたいですね。
では次は月末です!