アルティマミレーヌ「リオナが死んだ!ミレーヌも死んだ!」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 ⓜⓐⓒⓐⓡⓞⓝⓨ様
ミレーヌが街中でケムジロンとの戦いに臨む少し前…
ソフィが連絡を絶った大寅山には、アルティマリオナの地球での姿『白鐘リオナ』の姿があった。
ミレーヌに告げた通り、ソフィの行方を追って町を訪れたリオナ。
早速聞き込みを開始すると、地元の住民の話では数日前に取材に来た美しい女性記者が山に入ったという話を聞くことが出来た。
その後下山してきた形跡がないとの事で、リオナはそれがソフィではないかと予想する。
「ソフィ様がそう簡単にやられることはないはず。きっと山中で不測の事態が起きているのね…」
まずはソフィの安否確認、そして原因の究明を…
そう考えたリオナは山中へと踏み入っていくのだった…
大寅山の中腹まで登ってきたリオナは、そこでソフィのエネルギーの残滓を感じ取る。
岩場にはすでに熱で乾燥していたが、ソフィの胸から漏れたのであろう母乳状に変換されたエネルギーが付着していた。
「…そんな…何者かに襲われてエネルギーを奪われたというの…」
思った以上にソフィが危機的状況にある事を察し、リオナに緊張感が走る。
「変身しておいた方が良さそうね…んっ…」
パアアッ…
リオナが瞳を閉じて念じた瞬間、その姿はアルティマレディのものへと変化した。
「ふぅ…ん?あれは…」
ソフィのエネルギーの残滓を感じた場所から少し離れたところに、何かの残骸を発見するリオナ。
「これは卵の…殻?」
リオナの眼前には粉々に砕けた卵の殻の様なものが散らばり、その背後には大きな穴が開いていた。
そこからは火口内のマグマだまりが顔をのぞかせ、すさまじい熱が放出されていることにリオナは驚かされる。
「ここまで大きな火口があるにもかかわらず、発見の報が入らないなんて…まさかこの卵が全ての熱を吸収していたとでも…」
たしかに異常気象の報告には、異常な地熱の上昇と下落が計測され、農作物に害が出ているとあった。
しかし、噴火寸前の火山のエネルギー全てをこの卵が蓄えていたとしたら…
その生物の力はいかほどになるのか…そして、ソフィがもしその生物と鉢合わせてしまっていたら…
リオナの中で状況の危険度が跳ね上がり、全神経を集中させて周りを警戒する。
その時、先ほどまであったマグマだまりから熱が消えていることにリオナは気が付いた。
「さっきまでのマグマは一体…!!…地面が!?」
突然足元が揺れたかと思うと、山頂の火口から落石がリオナに降り注ぐ。
それと同時にこの山の主の咆哮が山間にこだました。
「ウェアアアアアアッ!」
轟音を立てて火口から噴き出すマグマをバックに、火炎怪鳥・バードラがその姿を現した。
その雄雄しき咆哮が大寅山をさらに震わせ、その威光にリオナは青ざめて後ずさる。
よく見るとまだ羽が生えそろっていないのか、空を飛ばずに斜面をゆっくりと降りながらリオナへと対峙するバードラ。
生まれたばかりとは思えないその威圧感に、リオナはうかつに攻撃に移れずにいた。
「距離を詰められたらこちらの不利…この距離からけん制するのが得策ね…フェザーアロー!」
光の弓を形成し、カチューシャの羽を矢へと変えて番えるリオナ。
百発百中を誇るリオナの弓術がバードラの頭を襲い、勝負あったかと思われたその時、信じられない光景がリオナの目に飛び込んでくる。
ガギッ!
飛んできた光の矢を、くちばしで難なく受け止めたバードラは、そのままかみ砕いてエネルギーとして体内へと取り込んでしまった。
「なんて野生の勘なの…これならどう!?」
つがえる矢を三本へと増やし、再度攻撃を放つリオナ。
ドスドスドス!
しかしバードラは避けるそぶりすら見せず、命中したはずの矢は全てその体内へと吸い込まれていく。
「私の攻撃が通らない…まるで光の力に耐性を持っているような…まさか?!」
信じられない状況に驚愕するリオナの脳裏を、一つの可能性がちらつく。
もしやソフィもエネルギーをあの怪獣に奪われてしまったのでは…
そしてそれがバードラの異様な強化につながっている可能性に思い至り、リオナはさらに警戒心を強めていた。
しかし、バードラに意識をとられることは、別の敵の暗躍を許してしまうことになる。
「ウェアアアアアアアアッ!」
バードラが何者かに命令するような鳴き声を上げると、リオナの足元で土がモコモコと盛り上がる。
大寅山自体が噴火で鳴動していたせいもあり、リオナは足元の状況に気付けずにいた。
バシュッ!シュルルル…
バードラと共生関係にある吸血植物・スフィラムがその触手を伸ばしてリオナを拘束していく。
「ぐぅう…しまった…」
ギリギリと締め上げる触手に抑え込まれ、膝立ちの状態で身動き取れなくなってしまうリオナ。
そしてスフィラムは以前捕えたサンプル…ソフィから、最も効率よくエネルギーを排出させることに成功した『毒』をリオナへと注入した。
ドスッ…ドク…ドク…
「うぁ…これは…中和できない…あああっ!?」
毒の効果は覿面で、普段見せないような惚けた表情で痙攣し始めるリオナ。
「えぁ…ぁ…」
ピポンピポンピポン…
エナジータイマーはピンクに甲高く明滅し、リオナの口からは涎が滴り落ちる。
獲物が罠にかかったことに気分をよくしたのか、バードラは拘束されたリオナを品定めするように背後から覗き込んだ。
「ウェア!」
そのまま自らの嘴を振り上げ、リオナの背中に突き立てるバードラ。
「きゃあああああっ!」
激しい痛みと毒による快感の強烈な波にさらされ、意識を取り戻したリオナが絶叫する。
ドスッ…ザシュッ…
スフィラムに拘束されて動けないリオナを、何遍も爪や嘴で刺し貫くバードラ。
もはや毒による感覚の麻痺で痛みを感じることはないリオナであったが、その代償が身体に現れ始めた。
「お、おかしいわ…胸の中が沸騰しそうっ…ああっ…」
彼女の胸には未だ大量のエネルギーが蓄えられていたが、それが掻き回されるような感覚に襲われるリオナ。
そしてそれは熱を帯びて排出口…ぷっくりと膨らんだリオナの乳首へと殺到する。
「こんな熱いエネルギーが乳首から放出されでもしたら…」
おそらくエネルギーの喪失と射乳の快感で、リオナは正気を保つことはできないだろう。
そして、おそらくソフィによって光のエネルギーの有用性、もしくは単純な美味しさか…それに気づいたバードラによって捕食されてしまうのではないか…
リオナは頭を振って悍ましい想像を振り切ろうとするが、乳首に迫る快感がその意思をへし折ってしまった。
「あ…も、もうダメェ…やぁあああっ!」
プシュッ…パシャアアッ!
堰を切ったようにリオナの乳首からエネルギーが母乳状に吹き出し、灼けた地面でバシュバシュと蒸発する。
大地に霧散したかと思われたそのエネルギーは、光の粒子となってバードラの身体へと吸い込まれていった。
ピピピピピピピ…
「ぁ…ぇ…」
乳首からポタポタと母乳を垂らしながら、リオナの視線は光を失ったように虚に泳ぐ。
そこにはミレーヌの義姉として、いつも凛とした姿勢を崩さないリオナの姿はもうなかった。
完全に動かなくなった獲物に舌なめずりをしながら近づくバードラ。
大きく開けた口からなまめかしい舌を伸ばすと、リオナの乳首や地面を舐めとり、光のエネルギーを捕食していく。
「だ…だめ…この怪獣は私たちの天敵…ミレーヌ、逃げなさい…」
消え入りそうな意識の中で、なんとか愛する義妹へアルティマサインを送ろうと最後の力を振り絞るリオナ。
しかし、そのエネルギーの流れは、全てバードラに察知されていた。
「ウェアアアア!」
大人しくしろ!と言わんばかりのバードラの咆哮は、その口に仕込まれた火炎袋を通じて強力な火炎放射となってリオナを襲う。
「あああああっ…かは…」
サインを放とうと掲げた腕がだらりと下がり、燃え盛るバードラの炎とは対照的にリオナの命の灯は今、消滅の時を迎えようとしていた。
リオナのエネルギーを吸収したバードラには美しく紅い羽根が生えそろい、次なる獲物へとむけて大空へと飛翔していく。
光のエネルギー狩人と化したバードラの瞳…
それは遠く離れた町でケムジロンに苦戦するミレーヌの姿を、その射程へと捉えていた…
続く…