アルティマミレーヌ「二大怪獣ミレーヌに迫る! 後編」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 kirihalla様
前編あらすじ
アルティマミレーヌの母・ソフィが異常気象の続く大寅山の調査へ向かったのち、連絡を絶ってしばらく…
義姉のリオナに行方をくらませた母の捜索を任せ、自らの任務にあたっていたミレーヌの前で、芋虫怪獣ケムジロンが街を破壊し始める。
変身して戦いに臨むミレーヌであったが、逃げ遅れた少年・タカヤくんを守りながらの厳しい一戦となってしまう。
激しい攻撃に消耗しながらも、なんとかタカヤくんを逃がすことに成功したミレーヌ。
しかしその時、新たな敵の咆哮が空を劈く。
窮地のミレーヌの前に、大寅山にて復活した火炎怪鳥・バードラが街に舞い降りるのだった…
「ウェアアアアアアアッ!」
凄まじい咆哮が空を駆け、巨大な影がミレーヌとケムジロンへと接近する。
「あれは新たな怪獣?…きゃあああっ!」
糸でミレーヌを拘束し、いいように嬲っていたケムジロンであったが、その咆哮を聞いた瞬間、獲物を投げ出して後ずさる。
放り出されたミレーヌであったが、ここがチャンスと糸による拘束を剥がしにかかった。
「くぅっ…でもこれなら糸を外すチャンス…んんん!たぁっ!」
一瞬のことにミレーヌも状況を理解できていなかったが、転がり込んだ千載一遇のチャンスに消耗した体に鞭を打って立ち上がる。
そのまま体内にエネルギーを循環させると、その熱でケムジロンの糸を焼き切って拘束を解くことに成功する。
ピコピコピコ…
エナジータイマーは激しく明滅して危機を知らせていたが、体の自由を取り戻したミレーヌは最後の力を振り絞り、空からの脅威に対峙した。
バサァッ!
舞い降りたのは復活した火炎怪鳥バードラ。
その燃えるような羽を振りかざし、ミレーヌに襲い掛かる。
天敵…というより食物連鎖の上位に位置する存在・バードラに怯えたのか、ケムジロンはビルの陰に隠れて様子をうかがっていた。
「くっ…エネルギーは残り僅か…でも、一対一ならなんとか…はああっ!」
ミレーヌはバードラの鋭い爪を掻い潜り、胸元まで迫る。
そのままチョップとキックを数発入れてすぐに距離を取るものの、その手足はびくともしない岩をたたいたようなしびれに見舞われていた。
「あぅう…なんて皮膚の硬さなの…」
バードラはマグマが滾る火口に巣を張り、それを産湯に育つともいわれる怪鳥…
その皮膚の強度はおそらく、地球産の怪獣の中でも最上位に位置すると言っても過言ではない…
一瞬のやり取りの中でミレーヌは目の前の怪鳥の脅威をまざまざと感じ取っていた。
「生半可な技ではこちらの身体が傷んでしまう…それなら、私の全力で撃ち抜きます!」
素早いミレーヌの動きに脅威を感じたのか、じりじりと距離を詰めようとするバードラ。
警戒してくれている今がチャンス、とミレーヌは意識を集中する。
「はああああああ…」
両腕に身体に残されたエネルギーをかき集め、必殺の光線へと昇華していくミレーヌ。
その様子を伺っていたバードラの瞳が怪しく光る。
「カカカカカッ!」
背後のビルで様子をうかがっていたケムジロンが動いたのはその時だった。
「ミレニウム…きゃああああっ!?」
必殺のミレニウム光線を発射しようとしたミレーヌの背後から襲い掛かったケムジロンは、そのまま羽交い絞めの態勢で押さえつけようと力を入れた。
完全に不意を突かれたミレーヌの手からは、せっかく集めたエネルギーが霧散して千載一遇のチャンスが失われてしまう。
「そ、そんな…協力関係には見えなかったのに…」
ミレーヌの考えは間違いではなかった…
二体の関係は本来捕食者と被捕食者…
しかしこの場にはもう一体の獲物が存在し、バードラは『なぜか』ミレーヌの方を積極的に狙っていたのである。
それに気づいたケムジロンは、自らがミレーヌを差し出すことで、この場を乗り切ることを選択したのだった。
どうぞお納めください…とばかりに拘束したミレーヌを盾にするように突き出し、バードラへと媚びへつらうケムジロン。
「くぅ…離しなさい!ああああっ!」
脱出しようと身をよじるミレーヌであったが、そのささやかな抵抗がさらなる窮地を彼女にもたらしてしまう。
バキイッ!
ミレーヌの柔らかい胸を狙って振り下ろされたバードラの嘴が、その中心にあるエナジータイマーへと直撃する。
「あああああっ!ぐぁっ…」
エナジータイマーの表面にヒビが走り、ミレーヌの顔には苦悶の色が広がった。
ミレーヌたちの胸に輝くエナジータイマーは、その身体を循環する光のエネルギーの制御装置を兼ねている。
著しく消耗した今の状態のミレーヌがその制御を失うことは、戦士としての戦う力の消失を意味していた。
「うぐ…へぁああ…」
タイマーは濁った音で高速に点滅し、明らかに異常な事態がミレーヌを襲っていることを周りに知らせてしまう。
先程散々ケムジロンの攻撃を受けた体は悲鳴を上げ、もはや立っていることもままならず痙攣するミレーヌ。
ズガァッ!グサッ…バキィ!
「うぁ…ふ…ぇぁ…」
弱っていく獲物の反応を楽しむように、バードラとケムジロンの二体は攻撃を続け、ミレーヌの視界は霞んでいった。
漏らすように絞り出される喘ぎ声が、時折打撃音に混じって民衆が避難したビル街に響き渡る。
やがてぐったりと動かなくなったミレーヌはケムジロンに押し出されて地面へと放り出された。
ピコーン…ピコーン…
バードラの嘴からミレーヌの体内に打ちこまれた猛毒が回りきったのか、エナジータイマーは鈍い音を立ててゆっくりと明滅する。
反応のなくなった獲物に興味を失ったのか、バードラはケムジロンをにらみつけた。
このままでは攻撃が自分へと向いてしまう…
危機感を感じたケムジロンは倒れこんだミレーヌの背後に廻り、いきり立ったいちもつをその股間へと差し込んだ。
「…!!へあああっ!?」
一気に根元まで差し込まれてしまい、強引に意識を覚醒させられたミレーヌはその衝撃に上体をそらしてがくがくと体を揺らす。
「ウェアアアアアアアッ!」
子供が壊れたおもちゃが動き出したことに大騒ぎするかのように、バードラはミレーヌの背中を踏みつけて喜びを表現する。
こいつが動いている間は自分は大丈夫…
そう本能で感じ取ったのか、ケムジロンは必死に腰を振ってミレーヌを凌辱し続けた。
「うぅ…ぁ…うぐ…ぁが…」
体を貫く刺激に反応を示していたミレーヌであったが、もうすでに限界がすぐそこまで迫っていた。
ピコ…ピ…ピコ…ン…ピ…
ケムジロンのピストンに合わせてわずかに明滅していたエナジータイマーが消灯し、ミレーヌの目からも生命の灯が消える。
何とか上体を支えていた手からも力が失われ、再び突っ伏す様に倒れこんでしまうミレーヌ。
動かなくなった獲物を何度か蹴り上げたバードラは、その目で何かをケムジロンへと指図して上空へと飛び去っていく。
ケムジロンはミレーヌの亡骸を担ぎ上げ、地面に穴を掘って地中へと消えていった。
こうして地球を守護する女神は姿を消し、絶望に包まれた人々だけが街に残されるのであった…
続く…