アルティマミレーヌ「アルティマ特攻大作戦 リオナ編」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 kirihalla様
アルティマミレーヌが地球でザザビランを退けていた頃、地球に近い銀河にある惑星に、ミレーヌの義姉・アルティマリオナが向かっていた。
銀河守備隊を支える聖十字隊に所属し、地球を含む宙域の戦士をケアする役目を担っているリオナ。
今回はこの惑星で、義妹のミレーヌのフィジカルとメンタルのチェックを行うのが目的であった。
本来は宙域をカバーする司令部等で検査を行うのが慣例であったが、地球がだいぶ辺境に位置することもあり、中間地点までリオナが出向く形でお互いの負担を減らそうという意図があったのである。
とはいえ本音では、ミレーヌと水入らずで話したいというリオナの意志が働いた事も多分にあった。
「ミレーヌに会うのも久しぶりね…無理をしてなければいいのだけれど…」
血のつながりこそないものの、姉妹として相思相愛の関係を結んでいる二人…
口では義妹にうるさいことを言いがちなリオナであったが、それも全てミレーヌへの愛情の裏返しであった。
「ふふっ…早く元気な顔を見せてもらわないと!」
ミレーヌに会える時間が近づき、自然と笑みが溢れるリオナ。
しかし向かう惑星の地表には、その先行きを表すかのような暗雲が立ち込めはじめていた…
そうとは知らず、惑星の近くまで到着するリオナ。
しかしミレーヌの姿はなく、周りを見渡しため息をつく。
「まったく…今回こそは先に着くと息巻いていたのはミレーヌの方でしょうに…しょうがない子ね…」
文句を言いながらも可愛い義妹を思い、口元が緩むリオナ。
ふと目線を惑星へと向けた時、リオナの視界に本来あり得ない光景が映る。
「そんな…あれは、台風?」
足元に広がる惑星はとても穏やかな気候で知られており、何かあった時の知的生命体の避難先指定をされている場所でもあった。
惑星の気象条件下では明らかに異質な雲が発生しており、日頃厳しい自然に晒されることのない生態系にとっては生命の危機である。
「このままじゃ、大きな被害になるかも…原因を探らなくては!」
ミレーヌへの託けをアルティマサインに変えてその場に残し、リオナは惑星の地表へと降りていくのだった…
「まずは予定通り…」
ミレーヌとザザビランの顛末を確認した『星人N』は、もうひとつのモニターでリオナが惑星に降りたことを確認する。
彼はミレーヌたち『光の星の住人』にとっての天敵『アンチスパークル』の命を受け、皇族として力を開花させつつあるミレーヌに刺客を差し向けていた。
そしてミレーヌの義姉であるリオナも皇族の血を継いでおり、覚醒の可能性を秘めている。
その情報を得た星人Nは、リオナにも窮地を与えようと画策していた。
「さて、こちらはどうなるかな?」
モニターにはすでに放たれた刺客の待つ、惑星の地表が映し出されていた…
「くううっ…なんて風と雨なの!」
一度地表に降りたリオナはあまりの暴風雨に驚嘆する。
もともとここまでの降雨量を想定していない地面は水浸しで泥沼と化し、木々が抜け落ちて生き物たちが逃げ惑う。
「一刻も早くなんとかしなければ!テァッ!」
飛翔したリオナは一度雲海を抜け、台風の上空へと到達した。
台風の目に当たる部分に強力なエネルギーの反応を見つけたリオナは、一か八かの賭けに出る。
「私の攻撃力じゃ決定打を与えることは難しいわ…少しでも威力を出すためには…これで!」
身体を包むベルクロスを足に回し、強力なエネルギーを纏わせるリオナ。
「お母さん、力を貸して!シューティングスタードライブ!」
リオナは実母・アルティマシオンの得意とした伝説の急降下キックを放つ。
もともと戦闘向きではない後方要員のリオナであったが、武闘派の母親の力を継いだことで、ある程度の戦闘を可能としていた。
「たぁあああああっ!」
ベルクロスのエネルギーで貫通力を上げたリオナの蹴りが、エネルギーの中心部を撃ち抜いた。
ズドォン!
爆発音と共に地上に滑り込むリオナ。
風雨はまだ強いままであったが、先ほどまでの危機的な状況はおさまりつつあった。
「はぁっ…はぁ…」
荒く息をしながら膝をつくリオナ。
「これでこの星は…きゃああっ!?」
安堵するリオナの背後から、いきなり触手がその身体を拘束する。
先程まで台風の中心でそれを操っていた怪獣『バリゲイル』が、リオナを排除するために舞い降りたのだった。
「くっ、放しなさい!」
ギリギリと触手でリオナを締め付けるバリゲイル。
「あぅう…き、きつい…」
大技を放ったリオナにはバリゲイルの拘束を解く力は残されておらず、苦戦を強いられる。
ギリッ…ギチィ…
破壊活動を邪魔された恨みからか、バリゲイルは凄まじい力でリオナを締め付けた。
「キュルルルッ!」
続いてバリゲイルは触手を駆使し、リオナの身体を地面へと叩きつける。
「あぅっ!やぁっ…あぁっ!」
美しい肢体が泥で汚され、シューティングスタードライブでベルクロスを使ってしまったリオナは、衝撃をモロに受けて悶絶する。
ピコンピコンピコン…
エナジータイマーが悲鳴を上げるように点滅を始め、身体のダメージを表すかのように胸には乳首が浮かんでしまう。
「は、はなして…」
抵抗する力をうしなってしまったリオナを、バリゲイルは自らの側へと引き寄せた。
センサーとなっている触手を近づけ、エネルギーが集中する胸部に狙いをつける。
「んっ…そこっ、だめで…す…ふ…ぁ…」
エネルギーの排出口として目をつけた両乳首に触手を這わせ、残り少ないリオナのエネルギーを吸い上げるバリゲイル。
「うああ…このままじゃやられてしまう…せめて一太刀!」
なんとか身体中のエネルギーをかき集め、反撃を試みるリオナ。
バリバリバリッ!
「あがっ!…ぐ…ぅぅ…」
それを察したバリゲイルの触手を通じ、電撃が放たれてリオナの反撃の目を潰してしまう。
ピピピピピ…
タイマーの点滅が早まり、リオナに残された時間が後わずかであるのを告げていた。
「せめて…これを…ミレーヌに…」
今もここに向かっている愛する妹のために、情報をアルティマサインにまとめるリオナ。
そのまま宇宙へ向けてサインを飛ばしたところで、リオナのタイマーから光が消える。
「ミレーヌ…きをつけて…」
その目からも光が消え、リオナはカクンと頭を垂れる。
動かなくなったリオナを引きずり、バリゲイルは闇へと消えるのだった…
ミレーヌ編に続く…