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挿絵 らすP様


「へぇ〜、とっても盛況なのね!」

ルクリアが怪獣墓地の結界の補修を終えて戻ってから、少しの時が過ぎていた。

そんなある日、アンナとルクリアは春野市で行われているイベント「アルティママン・フェスティバル」通称『アルフェス』を訪れる。

かつては子供向け人気特撮であったアルティママンも、アルティマレディたちの存在が公になってからは、その扱いが大きく変わっていた。

特に顕著になったのが、女性戦士がメインの作品が作られるようになったことである。

男児向けの本編とは別に、アルティマレディたちの活躍を描いた別枠の作品が作られ、主に大きなお友達に人気を博していた。

地球で活動するアルティマレディたちの印象を良くするためのプロパガンダ的な一面もあったものの、概ね好評を得ているようで、モデルとなったであろうアンナたちもほっと胸を撫で下ろす。

とはいえ、宇宙警備隊のレディたちをそのまま使うわけにはいかないこともあり、完全なオリジナル設定で描かれるそれは、『アルティマレディ・ティオ』という作品であった。

初めてその姿をテレビで見たアンナは、謎の既視感にとらわれる。

「タイラントとの戦いの時に流れ込んだ、別の次元のアルティマレディたちのエネルギー…その中に似たような戦士ものがあったような気がします。」

疑問を抱くアンナに、ルクリアも同意するように意見を述べた。

「そう考えると何か不思議ね…」

アルフェスの会場のモニター・ポスター・ポップ等で笑顔を振りまくティオを見ながら、二人は少しの懐かしさを感じるのだった…


「ふん…アルフェスねぇ…」

一方でタケシも、テレビから流れるアルフェス特集を横目に、一人ため息をつく。

こちらはまだゴーデスが戻っておらず、つまらない日々を過ごしていた。

「久しぶりに行ってみるのもいいかもな…」

アルフェスは大きなお友達も普通に訪れるため、自分が行っても目立つことはないだろう…

そう思いながら、タケシはいつのまにか小さい頃の思い出に浸っていた。

タケシがアルティママンを知ったのは、幼少期に世話係をしていたばあやがアルフェスに連れて行ってくれたのが始まりであった。

両親は多忙で滅多にタケシと過ごす時間がなく、ばあやがタケシにとっての親代わりだったのである。

タケシ少年はアルフェスの会場ですっかりアルティママンに魅了され、それ以降は書籍やソフビ人形を買い漁ってはばあやに自慢する日々であった。

「ばあや以外で話を聞いてくれたのは、今野先輩くらいだったな…」

先日この屋敷で対峙した今野アンナ…アルティマレディ・ルクリアのことを思い出したタケシは、少し複雑な表情で物思いに耽る。

「ファファ…ワシがいない間に随分ふ抜けておるのう。」

不意に背後の空間が歪み、中からゴーデスがひょっこり顔を出した。

「…おかえり。君がいない間、特にやることもなかったからね。緊張感もなくなるさ。」

相変わらずの神出鬼没ぶりにため息をつくタケシであったが、ゴーデスは意にも介さず話し続ける。

「それはすまんかったのう…土産にイベントを用意してやったからむくれるでないぞ。」

ご機嫌の取り方がばあやに似ていることに、少しの懐かしさを感じながら、久しぶりの相棒との再会にタケシの頬も緩むのだった…


ズゥウン…

その日、春野市郊外の山中に、巨大な怪獣が出現する。

その大きさはゆうに200メートルを超え、少しずつ春野市の方向へ移動を始める。

その正体は、モネラ星人が自らの宇宙船と合体し、巨大な植物怪獣となった姿『クイーンモネラ』であった。

周りの山々をゆうに見下ろす大きさのクイーンモネラの出現に、春野市は大混乱に陥る。

その出現をテレビの報道で気づいたアンナとルクリアは驚愕した。

「あんな大きなものが…すぐに行かないと街に到達したら大変なことになるわ!」

急ぐアンナとは対照的に、ルクリアは状況の整理に努めていた。

「アンナ…いろいろ想定外が重なっているわ…クイーンモネラは植物という性質上動けないはずなのに…それにあの大きさ、おそらくアルティマフィールドで包むことができない…」

ルクリアの分析を聞いたアンナは語気を強める。

「だったらなおのこと、街に近づく前に止めなくっちゃ…今は地球に私たちしかいないのでしょう?」

間が悪いことに、近隣の星々で悪の宇宙人の暗躍が報告され、地球の守りにつくはずの宇宙警備隊員の到着が遅れていた。

基本的にルクリアの実力は警備隊員に準ずるとする判断から、地球が後回しになったことが裏目に出てしまっていたのである。

「アルティマフィールドを展開できないということは、私たちの姿を晒して戦うことになるわ…アンナ、それでもいい?」

展開によってはあられのない姿を晒させてしまうかもしれない…

ルクリアのそんな心配は、アンナの笑顔によって払拭される。

「任せて!アルフェスにいた子供たちにかっこいいとこ見せてあげましょう!」

アルティマレディ人気もあり、大盛り上がりだったアルフェスを思い出し、アンナは気合十分だった。

間接的にとはいえ、地球人に自分たちの闘いが評価され、受け入れられていることが嬉しかったのである。

「わかりました…いきましょう!」

二人の気持ちが一つになり、アンナのスマホが眩く輝く。

「ルクリアッ!」

掛け声と共に、アンナは光り輝く光球となって飛び立って行った…


「デカブツと戦わせることで、地球人に自分たちの非力を自覚させ、絶望のマイナスエネルギーを発生させる…随分単純な作戦にしたんだな。」

今まで搦手でいろいろ仕掛けていたゴーデスの方針転換に、タケシは少し驚いていた。

こういう作戦は今まででも取ることはできたはずだが…と訝しむタケシの心中を察したのか、ゴーデスはファファと笑う。

「なに、これも実験の一つじゃよ。使い勝手のいい手駒も手に入ったことだし、いっちょ正攻法もやってみようと思っての…」

モネラ星人は宇宙警備隊に追われていたところを救ってやった代わりに使役しているとのことで、今回の実験にちょうど良かったとの話だった。

「プライドばかり高い奴ほど、心が折れればあんなもんじゃ…もはや暴れ回る獣同然じゃが、せいぜい役に立ってもらうわい。」

モネラ星人は知能が高いと聞いていたが、ゴーデスの方が何枚か上手だったのだろう。

知性とはかけ離れた姿で暴れる姿は、タケシの目には少し哀れに映っていた。

そこへ、アルティマレディ・ルクリアが街中より飛来する。

「おお、ルクリア、随分と久しく感じるのぅ…」

戦況を見守るゴーデスも好敵手の登場に、少し声のトーンが上がる。

「今野先輩…」

同じようにタケシも、先日ここで語り合ったアンナの姿を、ルクリアに重ねていた…


「シャアアアッ!」

触手を振り回しながら前進するクイーンモネラに対し、飛来したルクリアは空中でその進行を静止する。

「ここから先には人口密集地があります!止まりなさい!」

ルクリアの言葉など聞く気もない、そんな様子でジリジリと移動を続けるクイーンモネラ。

「おかしいわ…モネラ星人なら、威圧的な態度で服従を迫りそうなものなのに…もう自我が失われているの?」

ルクリアの動きが疑問で止まった瞬間、クイーンモネラの触手が空中を疾った。

バシィッ…

「きゃああっ!?」


足首を抑えられたルクリアはその力によって振り回される。

ズドン!ドガン!

そのまま勢いのままに地面に叩きつけられるルクリア。

砂煙の中に消えたアルティマレディを人々が案じたその時、一瞬の光が周囲を包む。

「はああああっ!」


フレアモードへと姿を変えたルクリアが、触手を切り裂きながら砂塵を抜けて飛翔する。

「どんな巨体でも、頭部を落とせば止まるはず…一気に決めます!」

L字に組んだ腕にエネルギーを集中し、必殺のネイバスター光線の体勢に入るルクリア。

しかし、その集中の隙をクイーンモネラは見逃さなかった。

シャアアアッ!

無数に生えた一気に触手を殺到させ、ルクリアを捕らえてしまう。

「いけない、エネルギーが…」

構えが解けたことで集中させていたエネルギーが霧散し、ルクリアは一気に窮地へと陥っていく。

ピコンピコンピコン…

カラータイマーも点滅を開始し、ルクリアの危機を知らせる。

「くっ…はなしなさい!」

フレアモードのパワーを持ってしても触手の拘束を振り解くことができず、ルクリアの顔に焦りの色が浮かぶ。

触手は一気にクイーンモネラの身体に収納され、ルクリアも一緒に引き寄せられてしまう。

クイーンモネラの腹部に囚われたルクリアを包むように、網目状の蓋が形成され、自由を奪っていった。

「何をしようというの…ああああっ!?」

バチバチバチッ!

クイーンモネラの意図を測りかねていたルクリアを、凄まじい電撃が襲った。

「あ、あがっ…うあ…」

ビクンビクンと跳ねる身体を強固に捕捉され、体内を灼かれる衝撃にさらされるルクリア。

破れ飛んだスーツの上から触手の群れが襲いかかり、ルクリアを犯していく。


「や、やめてぇ…うぅ…へぁ…ぁん…」

ピピピピピ…

カラータイマーが高速で点滅し、ルクリアは電撃と触手の両責めに意識を失いつつあった。

バチィ!

トドメを刺さんと出力を上げた電撃がルクリアを貫き、カラータイマーがショートしたように煙をあげる。

ピ…ピ…シュウウ…

「あ…ぅ…」

タイマーの消灯と同時にフレアモードが解け、ルナモードに戻ったまま意識を失ってしまったルクリア。

その首に触手を巻きつけたクイーンモネラが、晒し者にするかのようにルクリアの身体を空中に掲げる。


地球を守る正義の女神の無惨な姿を前に、人々は戦慄するのだった…


「ふむふむ…流石にこの絶望感はいいマイナスエネルギーを産むのぅ。」

嬉しそうに状況を分析するゴーデスの背後で、タケシは小さく舌打ちする。

「この間は大見栄きったくせに、簡単にやられるなよ…」

視線の先で晒されるルクリアの姿に、先日のアンナの表情を重ねたタケシは、複雑な感情のこもった視線を向けるのだった…


後編に続く…


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Comments

syonnai_hito

触手に犯されるルクリアを見せて、地球人に恐怖と絶望を与えるどころか人によっては「ご褒美」になりそうな・・・💦 アンナとタケシの今後の関係の変化も楽しみです。

ガチピン@ご支援感謝

自分たちの命がかかった中でも、ルクリアのエロシーンを楽しむ強者はいるのでしょうか? ここに一人いますが(笑)

ます。

ルクリアのピンチ良いですね! もっと見たいです(´∀`)笑