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挿絵 らすP様


前編のあらすじ

地球を襲ったリフレクト星人の前に敗北を喫したルクリアとアンナ。

その窮地を救ったのはアルティマ姉妹の一人、アルティマレディ・レオナであった。

リフレクト星人が撤退したのち、地球人の姿で合流するアルティマレディたち。

そこでレオナから出た言葉に、アンナは困惑するのであった…


「特訓しましょう!」

レオナの提案にキョトンとしてしまうアンナ。

「特訓…ですか?」

確かに少年漫画的なお約束ではあるが、アンナの世代にはあまり馴染まない様子で困惑の言葉が口をついた。

レオナはジェネレーションギャップを覚えて苦笑する。

「ふふっ、言い方が古臭かったかしら。でも、あなたたちだけでもあの星人くらいあしらえないと、これから苦労すると思うの。だから私がいるうちに稽古をつけてあげるわ!」

嬉々として提案を続けるレオナに、あることを思い出したルクリアがアンナに念話を飛ばす。

「アンナ、レオナさんはお弟子さんに超絶スパルタなことで有名な方です。私の方で少し話を…」

「ちょっとルクリア!…コソコソするのは関心しないわよ!」

念話はレオナの介入で打ち切られてしまい、アンナはバツの悪そうな顔で笑う。

「全くもう…私だって今の時代にジープで追い回したり丸太担いで走らせたりなんてしないわよ…でも厳しいのは確かかな。」

少し遠い目をした後、真顔に戻ってアンナに向き合うレオナ。

「アンナさん、私が特訓をつけたいのはあなたの方なの。」

てっきり特訓はルクリアに変身してからの話かと思っていたアンナは、この申し出に困惑する。

「私個人…ですか?」

疑問を呈したアンナよりも早く、ルクリアがレオナに食って掛かった。

「待ってください!アンナは私たちの戦いに巻き込んでしまったこの星の協力者です!これまでもつらい思いをたくさんさせてしまっているのに、これ以上の負担は…」

アンナをかばおうとするルクリアの様子に、レオナは嘆息する。

「あのねぇ…そういうところよ、ルクリア。一緒に戦っているはずなのに、あなたはどこかでいつも彼女の事を心配している…それではいざという時に全力なんて出せないわ。あなた自身のポテンシャルは私たちに引けを取らないのに、あの程度の相手に後れを取る理由はそこにあるのよ。」

図星を差されたのか、言葉を返せないルクリア。

「今言った通りルクリアに足りないのは覚悟の部分。アンナさんには私たちの戦い方に合わせた身体の使い方を覚えて欲しいの。私が教えられるのはそっちの方くらいだから。」

自分を見据える真っ直ぐなレオナの視線に、アンナは決意を持って大きくうなずいた。

「はい!よろしくお願いします!」

光の国で治療を受けた際に、部分的にとはいえアルティマレディの力を行使できるようになったアンナ。

ルクリアと共に、フレアモードも使用できるようになったことで強くなれたのだと錯覚していた自分の甘さに気付かされ、アンナは気合を入れ直す。

「ふふっ…さすがはルクリアとここまで戦ってきただけの事はあるわね!それじゃあ私たちは特訓といきましょう。ルクリアはその機械の中で、少し自分を見つめ直しなさい!」

そういうと、小さなアルティマフィールドを発生させてその中にアンナと消えていくレオナ。

「あっ…」

部屋にスマホと共に残されたルクリアは、黙ってそれを見送ることしかできなかった…


「とはいえ…十分及第点なのよね…」

レオナの発生させたフィールドの中で、アンナが光の衣を身にまとって特訓メニューをこなしていく。

それを見ながらレオナは感心しきりであった。

「身に余るはずの光の力をきちんと自分の許容範囲に落とし込んで、最大限の動きを引き出している…大見え切っていおいてなんだけど、教える事はあまりないかも。」

ということはルクリアの覚悟の方の問題が大きいのかしら…

そう考えながら、それでもアンナ側のパワーアップを…そうレオナは思案していた。

「アンナさん、そこまで!いったん休憩しましょう。」

レオナの声掛けに、アンナは息を切らしながら特訓を切り上げ、その場にへたり込む。


「はぁ…はぁ…どうでしたか?」

ルクリアのパートナー失格…そういわれたらどうしよう…

そんな思いを胸にアンナは心配そうにレオナを見やる。

「この星の人間の強度を考えたら、十分な実力だと思うわ。基礎的な事以外でなにか…必殺技的な物を考えた方がいいかも。」

レオナから飛び出した褒めの言葉に、心配していたアンナの頬が少しほころぶ。

しかし同時に必殺技という新しい課題に、アンナは難しい顔に戻ってしまった。

「技…そういえば剣の使用を提案した事はあったけど、基本的に全部ルクリアに任せてしまっていたわ…」

自分は体を貸している身なのだから、と理由付けて戦い方は任せていたことに気付き、アンナは反省する。

「そうねぇ…何か格闘技の経験とか特技は無い?そこから連想するのが早いし、身にも付きやすいと思うわ。」

レオナの提案に、アンナは思案を重ねる。

「護身術がわりの合気道…あとは、小さい時に習っていたフィギュアスケートくらいかしら…」

「フィギュアスケート?」

合気道の件は最初にアンナから聞いていたレオナであったが、聞きなれない言葉に反応する。

「えーっと…氷上の上を滑りながらいろいろな技を見せるこの星の競技なんだけど…」

そういえば衣装もこんな感じだった…アンナは自らがまとった光の衣を見ながら懐かしい気持ちになる。

実際に動きをつけて説明するアンナを見て、レオナの目が輝いた。

「そういう動きが可能なら…こういうのはどうかしら!」

レオナの提案を聞き、承諾するアンナ。

二人はさらなる特訓を続けるのであった…


「こんなところかしら…アンナ、お疲れ様!」

レオナが手をたたき、アンナは動きを止めた。

「はい!ありがとうございました!」

素直なアンナの反応に、少し懐かしそうに笑うレオナ。

「アンナさんは本当に真っ直ぐね…ね、ちょっとだけ昔の話をしてもいいかしら。」

そういってレオナは腰を下ろし、アンナにも隣に座るように促す。

「私も昔、師匠に特訓を課されたことがあったの。でも反発して素直に言うことを聞けなかったなぁ…」

昔を懐かしむようなレオナに、だまって相槌を打つアンナ。

「私の生まれた星はね…侵略者に滅ぼされたの。妹とも生き別れて自暴自棄になっていた時に師匠に出会った…いまでこそアルティマ姉妹だなんておだてられてるけど、当時は未熟も良い所だったわ。」

「でも、第二の故郷と決めた星を師匠と守り切る中で、ここまで成長できて妹とも再会できた。ね、アンナさん。今まさに侵略を受けてこんな戦いに巻き込まれて、きっと辛いと思う…でも、やっぱり自分の星を自分の手で守るっていうのは大事な事だと思うの。私はそれができなかったから…」

レオナの言葉にアンナは微笑みながら答える。

「レオナさん…わたしはルクリアと一緒に戦えて光栄に思っているわ。大変な思いもいっぱいしたけれど、こうやって地球人として皆さんとも出会えて、この星を守るために戦う力を貸して貰えている。それだけでとても幸せ…文句なんて言ったら罰が当たっちゃうわ!」

アンナの嘘偽りのない真っ直ぐな瞳に、レオナの顔も自然と綻んでいた。

「まったく…いい子過ぎてルクリアにはもったいなく思えてきたわ!あの堅物もなんとかしなくちゃね!」

真面目なルクリアの表情を思い出し、自然と笑顔がこぼれる二人…

こうしてリフレクト星人に対抗する技を引っ提げて、特訓は幕を下ろすのだった…


「来たわね!」

数日後の昼下がり、地上に再びリフレクト星人が現れる。

待ってましたと言わんばかりのレオナのテンションに苦笑いしつつ、アンナはスマホに手を伸ばした。

「まずはあなた達の力で借りを返しなさい。もし何か周りに危害がおよぶ様なら、私が対処するわ。」

レオナの励ましに、アンナの瞳がきらりと光る。

「特訓の成果、見ていてください!行きましょう、ルクリア!」

スマホを高くかざし、変身を遂げるルクリア。

その立ち姿に確かな自信を感じ取り、レオナは安心して2人を送り出すのだった…


「待ちなさい、リフレクト星人!」

街へと向かうリフレクト星人の前に、颯爽とルクリアが降り立つ。

「誰かと思えば…私にやられて情け無い醜態を晒したルクリアさんじゃありませんか。正直あなたに興味はありません!アルティマレディ・レオナをここに呼びなさい!」

自慢の装甲とプライドに傷をつけたレオナへの敵愾心を顕にするリフレクト星人。

しかし、ルクリアは一歩も下がらずそれに応戦する。

「あなた如き、アルティマ姉妹が出るまでもないわ!それとも一度勝った相手に負ける屈辱には耐えられないのかしら?」

優等生のルクリアにとっては慣れない煽りであったが、沸点の低いリフレクト星人には効果覿面であった。

「ほほぅ…随分な物言いではないですか…いいでしょう、受けて立とうではないですか!」

装甲をシールド状に構え、臨戦態勢に入るリフレクト星人。

ここまでは予定通り…

あとは新技が通用するかどうか…

ルクリアとアンナの特訓の成果が試される時が来ていた。

「いきます!たあああっ!」

掛け声と共に空高くジャンプするルクリア。

そのまま急降下し、リフレクト星人の装甲にキックをお見舞いする。

ギィイン…

鈍い音を立てて装甲に蹴りが食い込むも、その表面には傷ひとつつかなかった。

「レオナのキックには程遠い…せめて強化フォームで打ち込んで来ればマシだったものを…なにっ!?」

挑発に乗るほどのことでもなかった…

そうリフレクト星人が落胆した瞬間、ルクリアが不敵に微笑んだ。

「そうっ…この攻撃はまだここから!デヤァッ!」

ルクリアはキックの体勢のまま身を横へ捩ると、反動で回転を始める。

キックの直撃箇所には光の粒子が渦巻き、螺旋状に装甲を砕いていく。

「な、なんだとっ!?いかん!」

身体中の無事な装甲をかき集め、盾を増強するリフレクト星人。

その様子を離れたところで観戦していたレオナが鼻で笑う。

「ふふっ…ルクリア本来の攻撃力に、アンナのスケートで培ったスピンの回転力…そんな急拵えの盾じゃ、あの攻撃は防げないわよ…さあ、仕上げよ!ルクリア!アンナ!」

スピンの生み出す貫通力で少しずつ盾を押し込んでいくルクリア。

そして螺旋状に生み出された光の粒子を浴びて、ルクリアの姿が変わってゆく。

「こ、これはあの時の!?」

驚くリフレクト星人の前で、ルクリアはルナモードからフレアモードへと変化を遂げていた。

それを見たレオナは、自らの仮説が正しかったことを実感する。

「私はできないから知らないけど…あのモードチェンジは体内のエネルギーを爆発的に集中させて行うらしいじゃない。なら、そのエネルギーも突進力に上乗せすれば!」

レオナの解説に合わせるように、リフレクト星人の盾に亀裂が入り、推進力を得たルクリアのキックがめり込んでいく。

「テヤァアアアッ!」

ルクリアの気合いとともに、リフレクト星人の装甲は粉々に砕け散った。

「そ、そんなばかな…」

自らを守る鎧を粉々に破壊され、地面に突っ伏すリフレクト星人。

そのそばにルクリアが降り立つ。

「この間とは立場が逆になりましたね!投降すれば悪いようには…」

前回とは違い見下ろす立場になったルクリアは、それでも優しく言葉をかける。

しかし、それはリフレクト星人の怒号によって遮られた。

「う、うるさい!ちょっと一回上手く行ったからって調子に乗るんじゃあない!…これを見ろ!」

そう言って懐から袋を取り出すリフレクト星人。

「あれは…中に人が?!」

ルクリアが透視した袋の中には、数名の地球人が閉じ込められていた。

「人質とは…恥を知りなさい!」

ルクリアの叱責にもリフレクト星人は動じず、再び袋を前に突き出した。

「ふん、なんとでも言え!このまま負けたままではワタシの沽券に関わるのだ!こいつらを返して欲しくば、大人しくやられることだな!」

リフレクト星人の目が怪しく光ると、ルクリアに粉々にされた装甲が宙に浮く。

「食らえ!」

リフレクト星人の念動力で操作された破片がルクリアの体を襲い、激しくぶつかっていく。

「うあっ…ぐぁ…あぐ…」


ピコンピコンピコン…

無数の礫に襲われたルクリアのスーツが破れ、カラータイマーが点滅を始める。

「ぐへへ…そのまま死ぬが良い!」

人質を気にして動けないルクリアに対し、息巻くリフレクト星人。

しかし、頭に血の登った状態では、背後に迫るアルティマレディには気付けなかった。

「いーかげんにしなさい!見苦しいわよ!イヤァッ!」

次の瞬間、レオナのキックが袋を持つ腕を蹴り上げる。

「ギャアアアアアア!」

腕をへし折らんとする威力の蹴りに、リフレクト星人は袋を投げ出し吹っ飛ばされる。

すぐさまルクリアが衝撃を与えないように袋をキャッチし、地上へと安全に降ろした。

「全く…一対一で戦うなら手を出すつもりはなかったけど…こんな小悪党に成り下がるなら容赦はしないわ!」

レオナはそのままルクリアの横に並び立ち、ファイティングポーズをとる。

「さぁ、やる気ならかかってらっしゃい!」


人質という切り札を失い、2人のアルティマレディを前にして戦意を喪失したリフレクト星人。

大人しくお縄につくと、レオナに引き立てられていく。

「それじゃあ、私はコイツを近くの宇宙警備隊基地まで連行するわ。今のあなたたちなら、そんじょそこらの敵には負けないでしょ!新しい戦士がくるまで、留守中よろしくね〜!」

爽やかな余韻を残し、地球を去っていくレオナ。

颯爽と現れ、疾風怒濤のように去っていった師匠を見送るルクリアとアンナ。

その後ろ姿を眺めながら、二人はは再び故郷を護る戦いへと身を投じていくのであった…


続く…


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Comments

syonnai_hito

今回はアンナはレオナと親密になり、リフレクト星人も死なずに逮捕されて比較的平和に終わりましたが、全く絡まなかったゴーデス&ダケシコンビがどう見たか気になるところ・・・。