アルティマミレーヌ「決戦!ラポール次元の戦い 前編」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 炭酸水様
多次元怪人・ラポールの侵略から人類を守るため、アルティマミレーヌは戦いの日々を送っていた。
そんなある日、ミレーヌの元へ義姉・アルティマリオナからアルティマサインが届く。
サインに込められた情報は、ラポールの本拠地とされる異空間の座標であった。
いつもなら労いの言葉が添えられているリオナからのサインであったが、今回は座標の情報以外なにも込められてはいなかった。
おそらくこの情報を得るために、リオナはギリギリの戦いを強いられたのであろう…
その状況を想像し心を痛めるミレーヌであったが、その胸には同時に、そこまでしてくれたリオナの思いに応えねばという熱い想いが込み上げてくるのだった…
「ミレーヌッ!」
掛け声と共に眩い光が走り、地上で変身を遂げるミレーヌ。
「お姉さま、ありがとう…必ずラポールとの決着、つけてみせるわ!」
決意を胸に、集中するミレーヌ。
その身体を淡い光が包み、ミレーヌは瞳を閉じて座標を捕捉する。
「アルティマテレポート!」
ミレーヌが再度目を見開くと、その姿が異次元へと跳躍する。
ミレーヌの立っていた場所には、淡い光の残滓が静かに漂っているのだった…
幾重にも重なった次元を超え、リオナから送られた座標に到達するミレーヌ。
そこはピンク色の光が溢れる不思議な場所であった。
ラポールの本拠地…という先入観からもっと寂れた場所や、軍事基地のような場所を想像していたミレーヌであったが、辺り一面何もない状況に困惑する。
「ここは一体…まずは何か反応がないか探ってみるしかないわね…アルティマソナー!」
周りになんの気配もないことを確認したミレーヌは、再び目を閉じて探索用の信号を展開する。
その様子を別次元から監視する目があることに、この時のミレーヌは全く気づいてはいなかった…
「くくく…ラポール様、案の定ニセの情報に釣られてミレーヌがのこのこ現れましたぞ!」
『本物』のラポールの基地で嬉しそうに声を上げる、クノイチ凶獣ユリダンク。
この凶獣こそが、リオナにニセの情報を掴ませ、ミレーヌを罠に誘った張本人である。
リオナを倒しラポールの元へ戻ったユリダンクは、自分の仕掛けた罠にミレーヌがかかったことで上機嫌であった。
「私めにお任せいただければ、ミレーヌも血祭りにあげてご覧に入れますぞ!」
興奮する部下を制し、ラポールが重い腰を上げる。
「よい…せっかくここまでご足労願ったのだ。私が直々に相手をしてやるとしよう…といっても戦いではなく、一方的な蹂躙だがな…」
主人の言葉に恭しく頭を下げて引き下がるユリダンク。
次の瞬間には、ラポールの姿は次元の切れ目へと消えていった…
「この空間…とても広いわ…一体ラポールたちはどこに…」
自らが打ち出した信号の反応に集中するミレーヌであったが、その背後にドス黒い次元の隙間が開いたことに気づかずにいた。
「待たせたな、アルティマミレーヌ…私自ら相手をしてやろう!」
急に響いたラポールの声に、ミレーヌはその気配を探る。
「どこにいるの!?正々堂々と勝負しなさい!」
ミレーヌの呼びかけに答えるかのように、色の変わった背後の空間から触手が現れる。
「くくく…背中がガラ空きだぞ、ミレーヌ!」
瞬時に触手に絡め取られ、背後の空間に引き込まれるミレーヌ。
「きゃああ!」
一気に暗い空間へ転移し、ミレーヌは拘束されてしまう。
「くぅっ…放しなさい!…どうして…力が入らない…」
苦悶の表情を浮かべるミレーヌ。
「ふはは…リオナに偽の情報を掴ませ、この空間に誘導したのだ!ここでは貴様の力は半分も発揮でないぞ!」
ラポールの高笑いを耳にし、背後の空間を睨みつけるミレーヌ。
「お姉さまを騙すなんて…許さないわ!」
怒りに燃えるミレーヌを煽るようにラポールは挑発を続ける。
「リオナは凌辱されながら、貴様に偽の情報を送ったことを聞かされて絶望とともに力尽きたのだ…お前も後を追わせてやろう!」
ラポールが指を鳴らすと、ミレーヌを拘束する触手がミレーヌのエネルギーを吸い始める。
「ああっ…やめて!エ、エネルギーが…」
ピコンピコンピコン…
エナジータイマーが点滅を始め、ミレーヌの表情に焦りの色が見え始める。
「くくく…この女、やはり母親の面影があるな。可愛がってやろう…」
自らの術中にはまった若き戦士を見ながら、数万年前のある戦いを思い出すラポール。
ミレーヌの悪夢はまだ始まったばかりであった…
中編・ソフィの過去編に続く…