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挿絵 Jam様


「私と結婚していただけますかーーー」

ソフィの口をついた意外な言葉に、ケインは頭の理解が追いつかず絶句する。

固まったケインのリアクションを見て、ソフィは慌てて説明を補足しようと、アタフタし始めた。

ソ「あ、いや、その…ちゃんと理由があるんです!言葉通りの意味じゃなくって…あ、言葉通りか…えっと…」

真面目な告白をしたかと思えば、今度はすごい勢いで取り乱す…

そんな不器用なソフィの様子に、ケインは年相応な可愛らしさを感じて吹き出していた。

ケ「ハハッ…わかっているよ。君がこういうところでジョークを言う性格じゃないことくらいはね。もう付き合いも長いんだし…落ち着いたら理由を教えてくれ。」

そう言って肩を叩くケインの笑顔に助けられ、ソフィは落ち着きを取り戻した。

ソ「す…すいません、取り乱しました…」

顔を赤らめながら、深呼吸するソフィ。

自らを落ち着かせたところで、ソフィは真意を切り出した。

ソ「隊長はアルティメイトブレードとアルティメイトイージスの伝承はご存知ですか?」

かつてアルティマ族の王家に伝わる伝説の剣と盾…その伝説は絵本になるほどであり、当然ケインもその逸話は知るところであった。

ケ「ああ…でもお伽話の類だと思っていたが…」

ソフィはその通りと頷く。

ソ「皆さんの認識ではそれで合っていると思います。しかし実物のそれ自体は、今も存在しているのです。」

ソフィはそういいながら手元の端末を操作し、ホログラムを展開する。

ソ「私の家は代々皇族に割り当てられた仕事として、王家由来の宝物を管理を任されています。といっても今は数万年に一度、状態のチェックをするだけですが…そしてこれがアルティメイトブレードとイージスです。」

ホログラムには2つの指輪が映し出され、その形状はとても伝説の武具には見えなかった。

ケインの怪訝な表情に、ソフィは説明を続ける。

ソ「このふたつはあまりの威力から、使用に制限がかかっています。その条件とは…皇族の血を引く家系の夫婦のみが使用できると言うものです。」

ソフィの説明にケインは頷く。

ケ「話が見えてきたな。それで君との結婚という話になるのか…」

ソフィはケインの理解の速さに感謝しながら言葉を続けた。

ソ「その通りです。この2つを使うためには指輪をはめて婚姻し、夫婦となった2人のエネルギーを同期させる必要があります。その理由に関しては後ほどみんなの前で説明します…私の皇位継承権は現状第3位。おそらく問題なく使用できるはずです。」

そこまで聞いて、ケインは一番の疑問を口にする。

ケ「使用できるかは置いておいて…使用していいものなのか?光の星の国宝に近いものだと思うんだが…」

その質問に、すらすらと説明を続けていたソフィの口が初めて言い淀む。

ソ「…そうですね…本来は女王陛下とそのパートナーとなる方しか使用は許されないでしょう…現在、陛下はお一人の身。それに戦場においでいただくわけには参りません。現状は保管管理者の私の独断という形で事を進めるのが、最善と思います…」

そこまで言い切ってからソフィは悲しそうに目を伏せる。

ソ「隊長が危惧される通り…これは明らかな越権行為です。おそらく全てが無事に終わったとしても、私は罪に問われ、許されることはないでしょう…それでもーー」

言葉を続けようとしたソフィを、ケインがそっと抱き寄せる。

いきなりのことにソフィはその厚い胸板に顔を埋めながら、目を白黒させていた。

ソ「ーー!あのっ…た、隊長?」

ソフィの困惑した声に、ケインは口を開く。

ケ「安心しろ、ソフィ。君のことは必ず俺が守ってみせる…なんせ、夫婦になるんだしな!」

真面目な口調と少し砕けた表現で、自分を安心させようと振る舞うケインの声に、ソフィは抱えた不安が薄れていくのを感じるのであった…


一旦作戦の概要を詰めたあと、ソフィは前線を離れて王都にある生家へと向かう。

数千年ぶりの帰宅であったが、その家は何も変わりない姿であった。

敷地内に降り立とうとしたソフィの目に、懐かしい顔が飛び込んでくる。

父の代からソフィの家に支えている執事…アルティマネグルが、玄関先まで出迎えに来ていたのだった。

ネグル(以下ネ)「お嬢様…お久しゅうございます。ご立派になられて…」

ソフィも懐かしい顔につい顔が綻びそうになるが、すぐに当主としての表情に切り替える。

ソ「ネグル…留守中ご苦労様でした…長い間家を開けて閉まってごめんなさい…いろいろ話したいことがあるけど、今は時間がないわ。頼んでいたものは?」

するとネグルは手に持っていた箱を差し出し、ソフィへと手渡した。

ネ「はい…ここに。」

てのひらに収まるサイズの小さな箱…

その中に目当ての物を確認すると、ソフィは再度ネグルに向き直る。

ソ「ありがとう…あなたなら、これを持ち出す意味がわかりますね…」

これが今生の別れになるかもしれない…そんな気持ちがソフィをよぎり、視界を滲ませる。

しかしネグルはなんでもない、といった様子でソフィを励ました。

ネ「お嬢様…全てはお帰りになった後でお伺いします。まずはお勤めを果たされますよう…」

自分を銀河守備隊に送り出した時と変わらない笑顔を向けるネグルに、ソフィも再び当主の表情に戻る。

ソ「ええ、そうですね…ごめんなさい、少し感傷的になってしまったわ。本当はお父様たちにも報告していきたいのだけど…」

少し名残惜しそうに実家を見遣ったソフィであったが、ネグルにいくつか指示を出すと、再び戦場へと飛び立っていく。

ネ「お嬢様…どうかご無事で…」

ネグルはその姿が王都の空へ消えていくのを見送ったのち、家の中へと戻っていった…


前線に戻ったソフィは、チームαの面々と作戦の調整を行っていた。

前線基地の外へ出たチームαは、指輪の起動実験に移る。

持ち帰った箱から指輪を取り出すと、ケインとソフィはそれぞれの指にそれをはめていった。

指輪のサイズは装着した瞬間に2人ヘとフィットし、エネルギーのリンクが形成される。

ソ「これが第一段階です。この指輪をつけている限り、私たちはエネルギーを同じ波長で共有することになります。隊長、よろしいですか?」

ケインも初めてつける指輪の感触と、エネルギーの同調に少しの違和感を感じていたが、ソフィの問いかけにすぐに頷く。

ソ・ケ「起動!」

2人の意思に呼応し、その場に伝説の武具『アルティメイトブレード』と『アルティメイトイージス』が姿を表した。

ブレードの方はケインの身の丈ほどもあろうかという大剣。

イージスの方はソフィの身体が完全に隠れるほどの大きさを持つ盾であった。

ソ「ここからが作戦の肝になります。試したほうが早いかな…シオン、一発この盾をパンチで叩いてみて。」

いきなりの指名に、シオンはえぇ…という表情を向ける。

シ「そんな畏れ多い…壊しちゃったら怒られない?」

友人から飛び出た言葉にため息をつくソフィ。

ソ「バカね…それで壊れたらキャノン砲を防ぐなんてできないわよ…グズグズ言ってないではやくしなさい!」

ソフィがいつもの調子に戻ったことに内心喜びながら、シオンは盾に構える。

シ「ふふっ…じゃあ遠慮なく!」

ガィンッ!

鈍い音が辺りに響き、打撃を受けたイージスは淡く光る。

シオンは衝撃をいなされるような感覚に、首を捻っていた。

シ「手応え…なし?」

すると淡く光ったイージスから、その光がブレードの刀身へと移る。

それを見たライオは、感心したように声を発していた。

ラ「なるほど…盾で受けた衝撃をエネルギーとしてブレードに移すのか!」

ソフィは頷き、肯定する。

ソ「そのとおり。隊長、誰もいないところへ剣を振ってみてください。」

ケインは障害物の無い場所を選び、手にした剣を振るう。

ズァッ!

軽く無いだはずの切先から衝撃波が飛び、地面に大きな切れ目が入る。

ガ「おおっ!すげえ威力じゃねえか!」

ガントが少年のように目を輝かせ、ライオもほぅ…と感嘆する。

ソ「シオンのパンチでもこの威力です。あのキャノン砲のエネルギーを受け切れたなら…」

ケ「この剣で敵陣を真っ二つにできそうだな。あとは…」

ケインは視線をソフィへと移す。

ソ「盾と私が耐えられるか、ですね。」

ソフィは少し不安そうな表情を浮かべながら、それでも覚悟を決めた視線をケインへと返した。

ケ「頼むぞ、ソフィ。」

結局のところ、このカウンター作戦の肝は目の前の華奢な少女に任せるしか無い…

重荷を背負わせてしまうことに心の中で詫びながら、ケインは剣を握るのであった…


数刻後、バリアの中でイオンキャノンがエネルギーの充填を完了したことが、ライオの計測した数値から明らかになった。

いつ撃ち抜かれるかわからない状況で座して待つより、相手の砲撃を誘う作戦に出るチームα。

敵陣を囲っていたバリアを解くと、そのまま王都への射線状へとバリアの位置を移動させる。

撃ってこいと言わんばかりに張ったバリアの内側にソフィを配置し、少しでも砲撃の威力を殺した上で、イージスで防ぎきる。

そして砲撃のエネルギーを纏ったケインの剣で敵を撃つ…これがチームαの立てた作戦の概要であった。

すでに配置は終了し、ケインとソフィは前線に、その背後の塹壕にガントやシオンを中心とした戦闘部隊が待機していた。

ケ「ソフィ…無理をするなとは言えない状況だ…隊長としての命令はただ一つ、生きて帰ってくれ!」

ケインは目の前で盾を構えるソフィに、ケインは最後の発破をかける。

ソフィは黙って頷くと、イージスを地面に突き立てた。

逆三角形に近い形状のイージスは、下部の先端をパイルの要領で軸としており、ソフィの小柄な体でも安定して支えられていた。

ソ「私が抜かれたら後ろが全滅ですからね…絶対に守ります!隊長もご武運を…」

おそらく奇跡的に防げたとしても、自分は五体満足ではいられないだろう…

しかし後ろは一緒に死線をくぐり抜けた仲間たちは控えてくれている。

1人では無いという事実が、ソフィに勇気を与えていた。

ラ「それでは作戦開始!ソフィ、頼んだぞ!」

ケインを攻撃に集中させるため、代理で指揮を務めるライオの檄が飛ぶ。

目の前のバリアドームが解体され、巨大な砲身がソフィの眼前に現れていた…


一方その頃、ガルデン大王は膠着した状況にイラつきを隠せないでいた。

偉大な父が隠居し、映えあるガルデン大王の名を襲名した若き大王は、自らの能力を誇示するために光の星への侵略を決行し、今まさにその王都の目前へと迫っていた。

軍勢を謎のバリアで囲まれ、お預けを食らっていたものの、もうすぐイオンキャノンの充填が完了する。

「こいつの威力ならバリアなぞ一網打尽よ!発射準備を急ぐのだ!」

ガルデン大王の檄に、部下のガナガナ星人たちは鬨の声をあげて答える。

バリアがいきなり解除され、眼前が開けたのは次の瞬間であった。

「むむっ…どういうことだ…」

ガルデン大王の目には王都に向けてバリアが張り直される様子と、その背後で盾を構える少女の姿が飛び込んできた。

「奴ら血迷ったか!あんな盾などで我がキャノンを防ぐつもりとは…あの盾ごと王都を焼き払ってくれるわ!うてぇい!」

大王の号令にあわせ、イオンキャノンの引き金は引かれるのであった…


ドゥッ!!

砲身内に溜め込まれたエネルギーが、ブルーリフレクションを介して増幅され、ソフィの元へと襲いかかる。

前に展開されていたバリアは簡単に突破され、エネルギーの奔流が構えたイージスに襲いかかる。

ソ「ぐぅううう…」


盾にエネルギーを送り込み、なんとか耐えるソフィ。

盾の表面では吸収し切れなかったエネルギーが飛散し、王都を囲む山々を破壊していった。

一方ケインの持つブレードには大量のエネルギーが流れ込み、その重みを増していた。

ケ「ソフィ、頑張れ…もう少し耐えてくれ…」

ケインは動けない自分を呪いながら、早く砲撃が終わることを願っていた…


後方の塹壕で状況を見ているライオ・シオン・ガント3三人。

本当にキャノン砲を防いでいるイージスの効力に興奮するライオと、ソフィが防ぎきると信じてウズウズするガントを横目に、シオンは難しい顔をしていた。

ラ「シオン、何か思うところでもあるのかい?君が頭を使うなんて珍しいじゃないか?」

ツッコミ待ちでわざとらしく茶化すライオであったが、シオンは真面目な眼差しを2人へと向けた。

シ「ごめん、2人とも…砲撃が終わった後のこと、任せてもいい?」

3人は砲撃をしのぎ、ケインが切り込んだ後に敵を一掃する役目を任されていた。

戦闘大好きのシオンとは思えない申し出に、顔を見合わせるガントとライオ。

ガ「そりゃあ、なんとかしろと言えばするけどよ…どうかしたのか?」

シオンは周りを見ながら答える。

シ「さっきから防ぎ切れて無いエネルギー量が増えてる…多分ソフィの限界が近いんだわ…」

確かに周りに飛び散っていくエネルギーの量が増え、王都付近への被害が増大している。

ラ「そうだね…君ならなんとかできるのかい?」

ライオの問いに頷くことはなく、真っ直ぐ瞳を見据えるシオン。

シ「確証はないの…でもこのままソフィ1人に任せてもしあの子を失ったら、私絶対後悔する…」

作戦の成功よりも、友の安否を気遣うシオンに驚きつつも、ライオはその両方が因果関係にあることを理解していた。

ラ「ソフィ君が倒れれば僕らの作戦は瓦解する。今は隊長から指揮権を任されているのは僕だからね…いいよ、君の勘に賭けてみよう。」

ライオの言葉に一瞬笑顔を見せるシオン。

シ「ありがと!あんたたち2人とも、作戦が終わったら奢らせなさいよ!」

そういうとシオンは戦場へと飛び出していった。

ガ「めずらしいじゃねぇの、お前が非科学的な勘を支持するなんてよ。」

ガントの疑問にライオは肩を竦める。

ラ「いやほんとにね…でも、こういう分の悪い賭けに乗る時は、不確定要素に頼りたくなるものさ。」

ガントはその答えにニヤリと笑い、腕を鳴らす。

ガ「まぁいいさ!大勝利で勝利の美酒を奢ってもらおうぜ。特別高いやつをな!」

2人はシオンの作戦の成功を信じ、改めてそのあとの戦いに備えるのだった…


一体どれくらいの時間が経ったのか…

ソフィは霞む目と今にも崩れそうな体で、なんとか盾を構えていた。

一瞬なのか、数分が経ったのか…すでに自分のエネルギーがどうなったかもソフィにはわからなかった。

エナジータイマーはキャノン砲の光と轟音で、点いているのか点滅しているのかも判断できず、もはや盾を支えているのか、盾に寄りかかっているのかといった状態であった。

ソ「もう…楽になってもいいのかな…」

少なくともチームαの面々は許してくれるだろう…

自分が消し飛んでも、ケインがエネルギーの貯まった剣で残りの砲撃は捌いてくれるかも…

そんな考えが頭をよぎる度に、振り払ってなんとか盾にしがみつく。

その繰り返しで、ソフィは頭が混乱し始めていた。

想いとは裏腹にダメージは深刻さを増し、構えた盾もぐらつき始める。

一瞬意識が途切れ、足元がふらつくソフィ。

ソ「いけない!」

バランスが崩れそうになったその時、背後から別の誰かによって支えられるソフィ。

シ「助けに来たわよ!ソフィ!」

窮地に聞こえたシオンの声に、涙ぐみそうになるソフィであったが、すぐにかぶりを振ってシオンを怒鳴りつけた。

ソ「バカシオン!なんで来たのよ…あなた、この後の戦いの主戦力でしょ!」

そんなに信用なかったのか…そう言いかけて、先程折れかけた自分を思い出すソフィ。

実際、今支えてもらえなければ、消し炭になっていたかもしれない状況だった。

シ「せっかく助けに来たのにご挨拶じゃない…後のことはライオたちに任せてきたわ!無事に終わったらあいつらに美味しいお酒でも奢ってあげなさい!」

あかるいシオンの声に元気づけられ、ソフィは体勢と意識を立て直す。

ソ「勝手なことして…でもありがとう。」

素直なソフィの感謝に気を良くしたシオンは、そのまま盾を支えるソフィの肩に、自らの手を添える。

シ「素直でよろしい!それに勝算がないわけじゃ無いんだな、これが!」

そういうと自らのエネルギーをソフィに上乗せしていくシオン。

ソ「え…なんで…」

皇族以外にはイージスを扱えないはず…

驚き振り返るソフィに、シオンはしてやったりといった表情を見せる。

シ「あんた忘れてるでしょ…私、惑星リオンのお姫様なんですけど!」

普段の粗暴な態度ですっかり忘れていた…とは言えなかったが、確かに、と表情に出してしまうソフィ。

シオンの故郷・惑星リオンはすでに滅んでしまったが、元は光の星から分家した形の同じ出自を持つ一族が治めていた星であった。

その皇族であったシオンは、自分と同じ光の星の皇族の血筋だったことを思い出すソフィ。

その証拠に、シオンの手から流れ込まれるエネルギーに反応し、イージスの表面にシオンの纏う虹色のオーラが纏われる。

シ「もう一踏ん張り、粘るわよ!ソフィ!」

ソ「ええ!」

2人は渾身の力をイージスに込め、キャノン砲の砲撃に耐えるのだった…


ガルデン大王は自らの目を疑っていた。

星一つ吹き飛ばす威力だったはずのキャノン砲は、盾を構える少女を突破することも叶わず、王都を囲む山々を削ることしかできなかった。

「そんな…バカな…」

事実を受け入れられず呆けてしまったガルデン大王は、その少女の背後で凄まじいエネルギーをため込んだ剣を振りかぶる戦士の姿に気づけなかった。

次の瞬間、ガルデン大王の眼前にはその戦士が迫っていた…


耐え切った…

霞む目で倒れるソフィ。

目の前のキャノン砲は煙を上げて沈黙し、横には自分と同じようにシオンが倒れていく。

お互いエナジータイマーも消灯し、一片の力も残されていなかったが、その表情は満足したものであった。

視線をなんとか動かすと、そこには光り輝く大剣を振りかぶり、敵陣へと突進するケインの姿が映る。

一瞬目があった瞬間、ケインの口が「よくやった」と動いているのが見え、自らの任務成功を確信したソフィは満足そうに目を閉じるのであった…


ソ「これ以降は意識を失っていたから伝聞だけど…お父さんたちがガルデン大王を討ち取って戦いは終結したわ。聞いてるの、ミレーヌ?」

思わぬところで親の結婚の経緯などを聞かされてしまい、ミレーヌは情報の整理に泡食っていた。

ミ「えっと、私勝手に2人はラブラブで結婚したものだとばっかり…」

真面目に話した内容から、全く関係ないところをピックアップした感想に、ソフィは呆れ返る。

ソ「あなた何を聞いてたの!?ほんとに寝ぼけたところはあの人そっくり…」

怒られたミレーヌは申し訳なさそうに下を向く。

ミ「ご、ごめんなさい…」

シュンとするミレーヌに、ソフィはため息をつきながら元の姿へと変身する。

人間サイズで普段のソフィの姿に戻ると、その三つ編みの根本を止める金具を外すソフィ。

その手には義理の娘・リオナから渡された髪留めが握られていた。

それはただの髪留めではなく、持ち物を収納する機能や発信機を兼ねた万能ツールである。

ソ「おそらくこれが、今回の戦いの鍵になるでしょう。」

そう言ってソフィが髪留めより出したのは、ボロボロにひびの入った二つの指輪であった。

はたしてソフィの作戦とはなにか…

ミレーヌは勝機を見出せるのだろうか…


「ガルデン大王の復讐 完結編」に続く…





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