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挿絵 らすP様


前話までのあらすじ

ゴーデスが怪獣墓地に眠る怨念とマイナスエネルギーをかけ合わせて誕生させた、タイラントデスボーン。

タイラントはアルティマレディ・レイを倒し、平成戦姫のエネルギーを帯びたアルティマメダルを吸収する。

そのままメダルのエネルギーを頼りに次元を超越し、ティオ・アイナ・ステラを破りながら、そのエネルギーを吸収していくタイラント。

そしてついに、ルクリアとアンナがいる地球へ、最後の次元跳躍を行うのであった。

怪獣墓地の補修に向かったルクリアがいない今、地球で迎え撃つアルティマレディとは…


ルクリアが地球を離れたタイミングで、ゴーデスの協力者である『青年』こと、新堂タケシと対峙するアンナ。

タケシは学生時代に交流のあった後輩であり、その変わり果てた姿にアンナはショックを受ける。

ゴーデス細胞により不治の病で蝕まれた身体を維持するタケシは、浄化による救済は自らの死であることをアンナに伝え、自分を殺す気かとなじる。

ショックを受け、説得する術を失い襲われそうになるアンナを、間一髪のところでアルティマレディ・メリムが救い出した。

ルクリア不在の地球を任されていたメリムは、タイラントの接近を感知し、アンナを探していたのであった…


「アンナさん、大丈夫ですか?酷いことされてませんか?」

お姫様抱っこの形で跳躍しながら、メリムはアンナを気遣う。

「ええ、危ないところをありがとう…メリムさん。」

タケシの配下たちに肌けさせられた衣の前を治しながら、アンナは力なく笑う。

「すみません、私が同行していれば…調査にかまけて定時連絡が入っていないことに気づかなかったのは一生の不覚…!」

大仰に喋ることで、メリムが元気付けようとしてくれている意図を感じ、アンナは少し元気を取り戻しつつあった。

「そういえば緊急事態って…何かあったのですか?」

助け出された時のことを思い出し、アンナはメリムに尋ねる。

「ええ、実は…」

メリムは怪獣墓地の付近でゴーデスの反応があり、結果としてアルティマレディが1人襲われたこと、そしてその犯人が、次元を超越して『マルチヴァース』を渡り歩き、いく人ものアルティマレディが犠牲になったことを説明した。

「その時奪われたメダルの戦士の中で、まだ襲われてないのがルクリアさんなんです。おそらく、奴はルクリアさんを狙ってこの星に現れることでしょう…!?…あれは!」

説明を終えるのを待ち構えていたかのように、空に次元を切り裂く断裂が入る。

「くっ…まだルクリアさんは戻ってないというのに…アンナさんはお家へ避難してください!」

ルクリアのいない今の自分ではなんの役にも立たないことを自覚したアンナは、軽く頷くと回復した衣の力で飛翔する。

「メリムさん…お気をつけて!」

アンナの言葉に笑顔で敬礼し、飛び去っていくメリム。

アンナはそれを見送ると、ルクリアの帰還とメリムの勝利を願いながら、自宅へと進路を取るのであった…


メリムが春野市の上空に向かうと、空間に亀裂が大きくなり始める。

「このまま地上に下ろすわけにはいかないわ!アルティマフィールド!」

断裂を包み込むようにフィールドを展開し、タイラントを迎え撃つ準備をするメリム。

バリバリッ…

タイミングを見計らったように、フィールド内にタイラントが出現する。

「っ…なんていうエネルギー…」

タイラントからは怨念のマイナスエネルギーと、平成戦姫たちから奪ったプラスエネルギーが渦巻き、暴発寸前の状況であった。

「地上で爆発でもさせたら、大変なことになってしまう…ここで仕留めなければ!」

タイラントが周りを窺っている隙をつき、メリムは突貫する。

「まずはこれで!メリムブレード!」

腕に装着したブレスレットから光の剣を発生させ、タイラントへ斬りかかる。

ガギッ…

どんな怪獣の皮膚も切り裂いてきた自慢の剣が、最も簡単に弾かれてしまう。

「なんていう硬さ…ん?」

メリムの目線には、タイラントの肩に輝く光が目に入っていた。

「あれは…アルティマサイン?」

動きを止めたメリムに、タイラントは腕についた鎌を振り下ろす。

「ガァア!」

メリムもすんでのところでブレードで鎌の切っ先をいなし、すっと距離を取った。

「ふぅ…あぶないあぶない…これはいったい?」

その手にはさきほど目に留まったアルティマサインがにぎられていた。

タイラントの様子を窺いながら、サインに意識を集中するメリム。

すると、ステラがサインに込めた大量の情報が、メリムの頭の中に流れ込んできた。

「あわわ…ちょ…むりむり…」

あまりの情報量に目を白黒させるメリム。

レイに習ったアルティマサインを、始めて実戦の中で使ったステラは、加減が分からずすべての情報をサインに込めてしまっていた。

メリムは何とか理解できる部分だけを抜き出し、再びタイラントと向き合った。

「あたた…こんなに頭使ったのは警備隊学校以来かも…」

メリムは首を振りながら、情報を整理していた。

「サインの中身が本当なら…全力で行かないとだめよね!今持てる最高の力を…」

意を決したメリムは、ブレスから六枚のメダルを取り出す。

「姉さんたち、力を貸して!」

宙を舞ったメダルには、それぞれアルティマ姉妹のデザインが施されており、ゆっくりとメリムのカラータイマーへ吸い込まれてゆく。

タイラントが吸収したメダルと同じく、本人の力を宿したアルティマメダル。

その力を受けて、メリムの姿が眩く輝く。

「これで条件は同じよ!メリム・インフィニティ!」

白を基調とした通常フォームから、赤の意匠を多くあしらった強化フォームへ姿を変えるメリム。

アルティマ姉妹全員の協力で発動する、メリムの切り札ともいえる最強形態であった。

「ステラさんの情報によれば…」

ステラのサインに込められた情報で、タイラントの体表についた無数の傷に気が付いたメリム。

タイラントはエネルギーを吸収し、蓄えることはできても、それを使用して外傷を癒すことはできない。

それはつまり、ダメージを与え続ければ、必ず倒せる存在であることの証左であった。

「出し惜しみは無しです!コスモミラクルアタック!」

からだ中に自らの膨大なエネルギーをまとうことで、相手に体当たりするインフィニティの必殺技。

それを使ってタイラントへぶつかっていくメリムであったが、タイラントも正面からそれを受け止めていった。

「グゥウウウウ…」

低いうなり声をあげながら体全体で抑え込みにいくタイラント。

「コスモミラクルアタックを止められるなんて…なんてパワーなの!」

いったん技を解き、距離を取るメリム。

しかし次の瞬間、タイラントは鎖鎌を飛ばし、メリムを縛り上げた。


「ああっ!しまった…」

強力な締め上げに苦痛の表情を浮かべるメリム。

しかし、伸びきったタイラントの鎖鎌を見たメリムに一案が浮かぶ。

「この状態なら…いきます!インフィニティ・メリムブレード!」

腕のブレスから、先ほどとは比べ物にならない太さの剣が発生し、そのまま拘束を内側から切り裂く。

「はああああっ!」

次の瞬間、鎖の部分が切断され、タイラントの右腕から切り離される。

「グギャアアアア!」

さすがのタイラントも、鎖鎌を切り落とされた腕を抑えて後ずさった。

切断個所からはマイナスエネルギーとプラスエネルギーが同時にあふれ出し、ブシュブシュと音を立てて滴り落ちる。

「さすがに伸びきった部分への斬撃には耐えられなかったようですね!今度こそ決めます!コスモミラ…」

再度突撃の態勢を取ろうとしたメリムに、タイラントは大きく口を開けて構える。

「へ?…きゃあああっ!」

タイラントの口からメリムに向けてどす黒い瘴気がはなたれ、メリムはまともに顔にそれを浴びてしまった。


「けはっ…かは…い、いけない…」

瘴気の正体はマイナスエネルギーを濃縮したガスであり、光の戦士であるメリム達には天敵ともいえる存在であった。

体当たりを仕掛けるために突っ込んでいったメリムはまともに吸い込んでしまい、身体を弛緩させる。

ピコンピコン…

カラータイマーも拒絶反応を示すように点滅を始め、メリムは力なく膝をついた。

目の前が霞み、呼吸もままならなくなるメリム。

「ファファファ…最強の戦姫といえど、こんなもんかのう…」

ふいにタイラントからゴーデスの声が響き、メリムは焦点の合わない視線をタイラントへ向ける。

「あなたは…ゴーデス?」

不意に現れた黒幕に、メリムが探りを入れる。

「自己紹介はいらんようじゃの…おぬしならタイラントを倒すかもしれんと用心の策を設けておいてよかったわい。」

タイラントは一気に瘴気を吐き出し、その固まりがメリムの四肢を拘束していく。

磔の状態になったメリムから、瘴気がエネルギーをを奪い始めた。

「あああっ!こ、このままじゃ…」

ピピピピピ…

カラータイマーが悲鳴を上げるように鳴動し、メリムは淡い光に包まれる。

次の瞬間、メリムのインフィニティフォームが解け、白を基調としたビキニ姿にもどってしまう。

「タイラント!切り落とされた鎌の恨みを晴らすのじゃ!」

ゴーデスの命がとび、タイラントは健在の鉄球でメリムを殴りつける。

「がはっ…ああっ…ぐふ…ごはぁ…」


メリムのビキニアーマーは無残に破れ、カラータイマーからは光が消え去ってしまう。

しかし、メリムの目にはまだ希望の光が宿っていた。

「(大丈夫…まだ地球にはルクリアさんたちがいるわ…勝てなかったけど、逆転の布石は打てたはず…後は頼みます、アンナさん…)」

地球を守る二人に後を託し、メリムの意識は深く沈んでいった…


ルクリア編に続く…




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Comments

syonnai_hito

今回はメリムの触手拘束が素晴らしかったですが、タイラントも弱点がわかり手負いの状態。でもやられる前にアンナ&ルクリアを痛い目に合わせることができるか期待して待ちます。

ガチピン@ご支援感謝

syonnai_hito様 いつもご支援・コメントありがとうございます😊 あと1話で完結予定ですが、アンナとルクリアも一筋縄ではいかない流れになっておりますので、お楽しみに!