アルティマミレーヌ「動く島の秘密」 (Pixiv Fanbox)
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挿絵 C-PULSE様
ある夏の日…
海上を航行中の船舶が相次いで失踪する事件が起きる。
防衛隊が海上の捜索にあたるものの、海域には残骸一つ残されてはいなかった。
捜索を続ける防衛隊は、地図上にはない岩礁を発見し、手がかりを求めて上陸する。
休憩のために岩礁の上で焚き火を焚く防衛隊の面々。
するとあたりにカニを焼いたような香ばしい香りが広がりだす。
すると岩礁が大きく揺れ、海中から巨大なハサミが現れた。
岩礁の正体は巨大なカニの怪獣ガニーザの背中だったのである。
そしていい香りに釣られたのか、大蛸怪獣ダッコールまでが現れ、ガニーザと闘いを始めてしまう。
防衛隊は直ちに怪獣の背を離れ、攻撃を開始する。
防衛隊の攻撃など歯牙にもかけず、取っ組み合いを続ける怪獣達。
その進路方向には人が住む島があった。
島に上陸してまで激闘を続ける二大怪獣。
その被害は、人々の住む集落まで近づきつつあった…
一方その頃、非番を満喫していたアルティマミレーヌの人間体・卯月メイ隊員は、テレビで中継で怪獣の出現を知る。
同時に防衛隊からの緊急招集がかかり、戦闘機で出撃するメイ隊員。
現場に到着し怪獣達に攻撃をかけるも、ガニーザが吐き出す溶解性の泡攻撃で、戦闘機が墜落してしまう。
島の山間部に墜落し、爆炎をあげる戦闘機。
しかしその炎が眩く輝くと、光の中からアルティマミレーヌが姿を現した!
「シェアッ!」
二大怪獣の間に入り、チョップとキックで2体を引き離すミレーヌ。
「2体同時に相手にするのは不利ね…まずはこちらから!」
頭のティアラに手を翳し、ダッコールに狙いを定めるミレーヌ。
「ティアラッガー!」
ミレーヌは念動力で宙を舞うカッターにティアラを変え、ダッコールへ放つ。
ザシュッ…ザシュッ!
華麗に舞うティアラッガーは、8本あるダッコールの足を切り落としていった。
「グギャアア!!」
たまらず墨を吐きながらのたうち回るダッコール。
しかし、足を切られてしまったことで逃げることもできず、その場で痙攣を続けるしかなかった。
「まずは1体!」
続けてガニーザに向き直るミレーヌ。
「キシャアアアアア!」
ガニーザはカニらしく横向きの体勢でミレーヌへと体当たりをかける。
「タァッ!」
横に大きいガニーザの体に対し、ハイキックで進行方向をずらそうとするミレーヌ。
ガキッ!
しかし、ミレーヌのキックは硬い甲羅に弾かれ、まともにガニーザの体当たりを喰らってしまう。
「くぅっ…すごい硬さね!」
跳ね飛ばされながらも、なんとか体勢を立て直すミレーヌ。
「甲羅がダメなら…ミレニウム光…きゃあああっ!」
柔らかい腹を狙って必殺のミレニウム光線を放とうとするミレーヌ。
しかし次の瞬間、背後から伸びた触手に体の自由を奪われてしまう。
「ゲアアアッ」
その正体は腕を再生したダッコールであった。
正面切っての戦闘ではガニーザに敵わないと見たダッコールはミレーヌを捕縛し、盾にしたのである。
「いやぁっ!離しなさい!」
身を捩るミレーヌであったが、ダッコールの締め付けはびくともしなかった。
「身動きが…ああんっ!かはぁっ…」
身動きできないミレーヌに、しめしめと距離を詰めるガニーザ。
触手による拘束と同時に、ガニーザの爪による打撃がミレーヌを襲う。
ピコンピコンピコン…
一方的な攻撃に晒され、ミレーヌのエナジータイマーが点滅を始めた。
「ハァッ…ハァッ、このままではやられてしまうわ…テヤッ!」
なんとか打開策を狙ったミレーヌは、再度ティアラッガーを放つ。
ガニーザの腹を狙った一撃であったが、間一髪のところで背中の甲羅でガードされてしまった。
「キシャアアアアッ!」
怒り狂ったガニーザからミレーヌに向けて、強酸性の泡が吹きかけられる。
「あああああっ!」
泡に触れた肌が焼け、ミレーヌは苦痛の叫びをあげる。
「このままじゃ…はぁっ!」
ミレーヌはなんとか体全体へバリアを巡らせ、泡の直撃を防ぐ。
「キシャアアアアア!!」
ミレーヌの背後にいたダッコールは泡の直撃に耐えられず、徐々に融解を始めていた。
ピピピピ…
ミレーヌのエナジータイマーも限界を告げ、激しく明滅する。
「もう…エネルギーが尽きてしまうわ…悔しいけれど、これしか…」
そう呟くと、ミレーヌは残されたエネルギーを全てバリアの維持へと回す。
ピコ…ピコ……
その瞬間に瞳とエナジータイマーから光が消え、ミレーヌは仮死状態へと陥った。
ダッコールが完全に融解したことで拘束も解け、前のめりに倒れるミレーヌ。
「キシャッ!」
対象が完全に沈黙したことで、勝利を確信したガニーザは意気揚々と海へと帰っていく。
ミレーヌの最後の賭けは、バリアで体の融解を防ぐ代わりに、敗北を受け入れるという屈辱的なものであった。
この後、救援の戦士が到着するまでの間、泡に塗れたままの肢体を晒すことになってしまうミレーヌ。
敗北の味を噛みしめながあら、ミレーヌの意識は次第に薄れていった…
終