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挿絵 JAM様


とある辺境の惑星…

この星を根城にしていた武器の不正密輸組織を一網打尽にした宇宙警備隊は、撤収作業にかかっていた。

慌ただしく動く隊員の中には、治療のため作戦に同行していたウルトラリオナの姿があった。

運良く負傷者も少なく済んだこともあり、治療を終え一息ついたリオナに緊急の通信が入る。

その内容は、戦友であるウルトラエリナの失踪と、それを追ったリオナの義母・ソフィの消息が絶たれたというものであった。

また、ソフィが連絡を断つ前の最後のウルトラサインで、犯人の目的が地球であることが示唆されており、リオナは自分の体から血の気が引いていくのを感じていた。

地球には愛する義妹・ウルトラミレーヌが配属されている。

いきなり家族を襲った危機に、リオナは冷静な判断ができなくなってしまった。

元々この作戦後は休暇を取り、地球のミレーヌを訪ねる予定だったリオナ。

本来の予定では、この後行うはずだったのエネルギー回復を行わずに地球へと向かってしまう。

万全では無いリオナに、果たして勝機はあるのだろうか…


いっぽうその頃、月面ではダダが作戦の最終調整を行なっていた。

すると、停泊させた宇宙船のすぐそばで空間が歪み始める。

歪みの中心にワープゲートが発生するやいなや、中からウルトラリオナが飛び出してきた。

「そこの宇宙船!そこまでです!船内に捕らえた宇宙警備隊員がいるはずです…直ちに解放しなさい!」

宇宙船を確認し、通告を行うリオナ。

「随分早いお出ましだな…ソフィあたりに発信機でも仕込んでいたか。まぁいい…相手をしてやろう!」

ダダの予想通り、日頃ソフィの髪をまとめている髪留めはリオナがプレゼントしたものであり、ソフィの承諾を得た上でその中には発信機が組み込まれている。

その美しさゆえに狙われることの多いソフィを案じたリオナの備えが、今回は有効に働いていた。

リオナの呼びかけに答え、ダダが船外へと姿を表す。

「お早い到着ではないかね、リオナ君…そんなに飛ばしてきて、エネルギーは大丈夫かな?」

リオナの懸念を見透かしたように挑発するダダ。

地球圏はエネルギーの消耗が早い上、任務後に長距離をテレポートした反動で、リオナの身体は万全とは程遠い状態であった。

その美しい体を包んでいるはずのベルウォールも、既に完全に消失しており、リオナは焦りの色を隠せずにいた。

「三面怪人ダダ!あなたに心配される謂れはないわ!今すぐ計画を放棄し、投降しなさい!」

構えを取りながらダダにゆっくりと近づくリオナ。

「それでは仕方ない…これでも喰らえぃ!」

ダダは手に持った謎の銃を構える。

「!?…撃たせません!」

それを見たリオナは瞬時の判断でダダとの距離を詰め、当身を喰らわせた。

「ぐぇえええ…」

情けない声を上げながら、宇宙船の壁面まで飛ばされるダダ。

「観念なさい!今降参するなら、これ以上手荒な真似はしないわ。お願い、エリナとソフィ様を返してください…」

のたうち回るダダの前に立ち、慈悲の心を見せるリオナ。

しかし、この瞬間にダダの策略は完成を見ていた。

「かかったな!」

手元に忍ばせたスイッチを押すダダ。

その瞬間、地面から半分に割れた円柱が迫り出し、リオナを挟んで一つに繋がる。

「きゃぁああ!」

円柱型の容器に閉じ込められた形になってしまったリオナ。



「…!なぜあなたがこのカプセルを?!」

ダダが使用したカプセルは、まさにヒッポリト星人が使用したそれであった。

リオナは以前ヒッポリト星人と戦ったことがあったが、事前にミレーヌから情報を得ていたこともあり、カプセルの餌食にはならずに済んでいた。

それをまさかダダが使用してくることなど、想定外であった。

「これも貴様の義妹をはめるための準備の一つ。今は色々な兵器が流通しているからな…このカプセルのプロモーションでは、ウルトラミレーヌが捕らえられている映像も流れていたぞ!」

その時の義妹の変わり果てた姿を思い出し、リオナは怒りに震える。

しかしカプセルはびくともせず、いたずらにエネルギーを消耗していくだけであった。

「そのカプセルはブロンズに固める機能をオミットしてある代わりに、中からの衝撃に強くなっている。消耗した貴様には破壊できん代物だよ…それにこういう使い方もできる!」

ダダがカプセルのスイッチを押すと、ピンク色のガスが筒内に充満する。

「…っこれは!…いけないっ!」

咄嗟に手で口を塞ぐリオナであったが、ダダはその様子を嘲笑った。

「無駄無駄!その媚薬ガスは貴様らの肌を通じても体内に吸収されるのだ!媚薬にまみれて苦しむがいい!」

ピコンピコンピコン…

ついにリオナのカラータイマーが点滅を始めてしまう。

エネルギーを消耗した今のリオナでは、ガス責めに耐えることはできなかった。

「はぁあん…だめっ…体が反応しちゃう!」

リオナの豊満な胸の先端には乳首が露出し、ただでさえ少なくなったエネルギーを母乳状に噴き出してしまう。

「プロモーション映像のウルトラミレーヌも、情けない顔で母乳を垂らしておったわ!こうなれば貴様らもただのメスだな!」

ダダの口からミレーヌの名前が出たことで、リオナはその顔をにらめつけた。

「くぅ…ミレーヌを侮辱することは…はぁん…許しません!」

しかしその体は生まれたばかりの子鹿のように震え、もはや立っていることもままならない状態であった。

「そんな顔で凄まれてもねぇ。まぁいい、船内へ招待してやろう!」

ダダは余裕たっぷりに告げると、リオナを中に捕らえたままカプセルを船内へと回収する。

カプセルが収容された部屋にはモニターが複数映し出されており、その中のひとつではウルトラエリナが搾乳責めにあっていた。

「エリナ!なんてことを…私たちのエネルギーを奪うのが目的なのね!」

エリナはリオナが銀十字軍に入隊した頃に、宇宙警備隊に配属になった戦士である。

お互い歳が近いこともあり、任務を共にして切磋琢磨しライバルとして高め合う存在になっていた。

それとは別に友情も育んでおり、リオナにとっては家族以外で気兼ねなく付き合える稀有な存在だったのである。

そんなエリナが光を失った目で、エネルギーを抽出される道具になってしまっている。

その事実とそれを前にして何もできない自分が、リオナを悲しませた。

「貴様もすぐ同じようにしてやる。お前たちを標本のように並べてミレーヌを絶望させてやろう!」

怒りに任せて飛び出してしまったばかりに、自ら敵の罠に嵌ってしまったリオナ。

しかも、その自分さえもミレーヌを絶望させる道具にされるという現実に、リオナの頬を悔し涙が伝っていた。

「そそる表情をするではないか…それでは下準備と行こうか…」

抵抗できない状態までガスで弱らせた上で、カプセルを開けるダダ。

リオナは立っていることもできない状態であったが、すぐにその背後に十字架が迫り出し、その体を拘束していく。


十字架に磔になったリオナは、なんとか身を捩らせて逃げようとするが、抵抗虚しく囚われの身になってしまう。

「…はぁ…はぁ…ミレーヌ…逃げて…」

虚な目でモニターが映す地球に声をかけるリオナ。

しかし、その言葉は届くことなく、リオナの意識も途絶えてしまう。

ピコ…ピコ…

同時にカラータイマーも消灯し、リオナの敗北を告げていた。

「だらしなくエネルギーを吐き出しおって。すぐに義妹を横に並べてやろう…」

そういうとモニターに目を戻すダダ。

そこにはミレーヌが守護する青い地球が映っていた。

ダダの野望通り、ミレーヌは敗れてしまうのか…

それとも状況を打開する何かが起こるのか…

月面はまさに嵐の前の静けさを湛えていた。


続く


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