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「さらば、アルティマレディ 後編」 

 挿絵 亜狗Rosetta様

 宇宙恐竜 ゼットン登場


前編のあらすじ


地球に接近するゼットン星人の大船団。

防衛隊の奮戦により撃退に成功したかに見えたのも束の間、巨大な宇宙船が飛来する。

その中から現れた宇宙恐竜ゼットンが防衛隊基地を襲う。

侵攻を阻止するため、変身し立ち塞がるアルティマレディ・リアン。

しかし圧倒的な力で迫るゼットンの前にカラータイマーを破壊されてしまう。

絶体絶命のリアンに勝機はあるのか?


ビゴ…ビゴ…

カラータイマーが破壊され、もはや立っていることもままならないリアン。

タイマーからも明らかに正常ではない点滅音が漏れていた。

トドメとばかりに距離を詰めるゼットン。

しかし、そこに謎の声が響く。

「待て!ゼットン!」

その声の主は、唯一生き残ったゼットン星人のものであった。

巨大化し、リアンの背後に現れるゼットン星人。

頭部から長い触手を生やし、一つ目をギョロつかせながら、リアンへと近づいていく。

ゼットンは指示通り停止し、様子を伺っていた。

なんとか立っているだけのリアンの背後に立つゼットン星人。

「こいつには我らの仲間を殺された恨みがある!仲間の地球人の前で辱めてくれるわ!」

そう言い放ち、頭を振るゼットン星人。

頭部から生えた触手の先端が吸口のように、リアンの胸に吸い付く。



エネルギーを失い、生命の危機に瀕していたリアンの胸には乳首が露出していた。

触手の先端で乳首にすっぽりと吸い付き、刺激していくゼットン星人。

「デュア…ヘァ…イヤァ…」

抵抗することもできず、体を振るわせることしかできないリアン。

残り少ない生命エネルギーを吸い上げられ、更なる窮地に陥ってしまう。

「全てのエネルギーを吐き出してしまえ!アルティマレディの最後だ!」

高笑いを上げるゼットン星人。

防衛隊の面々も前面にリアンを立たされたことで、攻撃できずに見ていることしかできなかった。

「ヘァアアアアッ!」

わずかに震えるばかりだったリアンの体が、突如大きく痙攣する。

ブシャァアアア…

その胸の先端からは母乳状に生命エネルギーが噴出する。

吸い付いた触手からエネルギーを吸い上げ、ゼットン星人はリアンの体を突き飛ばした。

「…ヘァ…ヘァ…」

仰向けに倒れ、乳首からエネルギーの残滓を垂らして横たわるリアン。

「ふははは!我々の勝利だ!地球人、覚悟し…」

ゼットン星人が勝利宣言をしようとしたその時、遥か上空から謎の光が襲来し、その首を切り落とした。

その光の刃は上空に現れた青い球体の中へ吸収される。

そして球体は地上に降り立つと、リアンをその中へと取り込んだ。

主人を失ったゼットンは球体を敵と認識し、攻撃を開始する。

球体はゼットンの攻撃に耐えながら、その場にとどまっていた。


球体の中は不思議な光に包まれた空間になっており、そこにリアンは横たわっていた。

そして、そのリアンの前にもう1人のアルティマレディが現れる。

青と銀を基調としたラインで彩られた体に、一際輝くブレスレットが特徴的なアルティマレディは、リアンに対して、念話で話しかけた。

「リアン…私の声が聞こえますか…」

リアンもその声に念話で返していく。

「あなたはいったい…」

返事が返ってきたことに安心したのか、優しい声で答えるアルティマレディ。

「私はフィズ。ゼットン星人の計画を察知し、地球の危機を救いにきました。遅くなってしまってごめんなさい…」

フィズの謝罪にリアンは答える。

「お願いします…私ではゼットンに勝てませんでした…あなたの力で地球を守ってください…」

リアンの懇願にフィズは首を振る。

「私とあなたではあなたの方が強いわ…何か手を考えなくては…」

フィズはブルーを基調としたカラーリングであるが、これは光の国では学者などのインテリ系の証である。

戦闘に秀でたリアンとは戦闘力に差があり、戦闘時はサポートに回ることが多い。

今回も治療でリアンを助けにきたのだが、もはやリアンのダメージは限界に達していた。

リアンは一つの提案する。

「この星の防衛隊が強力な兵器を用意しています…それを当てる隙だけつくれれば…」

防衛隊の新兵器・ペンシル爆弾。

その用意が済んでいることは確認していたが、テレポートをゼットンが使う可能性から使用できずにいるようだった。

「動きを止められればいいなら、私にもなんとかなりそうですね…わかりました。あなたは安静にしていてください。」

そういうとフィズは球体内から姿を消した。


ゼットンが執拗に殴り続けた結果、球体の外部にはヒビが入り始める。

トドメとばかりにゼットンが振りかぶった瞬間、球体内からフィズが飛び出した。

「あっ!新しいアルティマレディだ!」

必殺の兵器、ペンシル爆弾を準備していた防衛隊員から歓声が上がる。

「シェアッ!」

歓声に応えるように、飛び出した勢いでゼットンを後方へ突き飛ばすフィズ。

そのまま自らのブレスレットに手をかざすと、ゼットンの頭上へ向けて放り上げた。

このブレスレットこそ、戦士ではないフィズの力を最大限に引き出すアイテムで、科学者であるフィズ自身の最高傑作であった。

「アルティマバインド!」

フィズの掛け声に呼応し、ブレスレットはいくつかのリングへと変形する。

そのままリングを操り、ゼットンの体を締めあげにかかるフィズ。

しかし、輪が締まる瞬間にゼットンはテレポートでかわしていく。

「アルティマレディー!ゼットンは攻撃の瞬間はテレポートできないみたいだ!なんとか動きを止めてくれー!」

防衛隊の隊員達はリアンがやられている時も、活路を見出そうと必死で状況の分析を続けていた。

ペンシル爆弾を確実に当てるため、テレポートが起きないタイミングを見計らっていたのである。

それを聞いたフィズは頷くと、あえて接近戦を挑んでいく。

戦闘力の低いフィズには自殺行為に近かったが、彼女には策があった。

あえて隙を見せることで、ゼットンに攻めさせるよう仕向けていくフィズ。

フィズのパンチがゼットンを捉えるも、全く意に解さずゼットンはフィズを突き飛ばした。

「ディアアア…」

倒れ込み、立ち上がることのできないフィズ。

背後に迫ったゼットンはフィズの首を掴み、ネックハンギングツリーで宙へと持ち上げた。



「クハァ…ディヤァ…」

強力な締めに持ち上げられたフィズは手足をばたつかせて抵抗する。

しかしそれはフィズの作戦であった。

視線を防衛隊の隊員に向け、チャンスを告げるフィズ。

「しめた!奴がアルティマレディに気を取られているうちに、ペンシル爆弾を当てるんだ!」

隊長から檄が飛び、スーパーガンにペンシル爆弾を取り付ける隊員。

しかしゼットンが締めあげたフィズを左右に揺さぶるため、狙いが定めることができない。

ピコンピコンピコン…

フィズのタイマーも点滅を始め、残り時間がわずかであることを告げる。

「グェアァ…ディヤアッ!」

フィズはなんとか宙ぶらりんになった足をゼットンへ絡み付け、姿勢を固定する。

「これなら狙えるぞ!ありがとう、アルティマレディ!」

そういうやいなや、ゼットンに向かってペンシル爆弾を撃ち込んでいくいく防衛隊員。

フィズに気を取られていたゼットンは、無防備な背中にその一撃を受ける形となる。

「ピポポポポポ…」

フィズを拘束していた手を離し、ふらつき始めるゼットン。

そのまま宙に浮かび上がると、上空で爆発する。

周囲にはゼットンの肉片が降り注ぎ、ペンシル爆弾の威力を物語っていた。

「おお!我々の勝利だ!」

ゼットンを倒し勝鬨を上げる防衛隊。

その様子を見ていたフィズは防衛隊にテレパシーで話しかけた。

「地球の皆さん…アルティマレディは治療を必要としています。今しばらく地球を離れることをお許しください…」

その言葉に防衛隊の隊長は大声で答える。

「アルティマレディー!ありがとう!ゆっくり休んでくれー!地球の平和は私たちに任せてくれ!」

力強い言葉にフィズは頷くと、球体と同化し宇宙へと昇っていく。

さらば、アルティマレディ…しかし、地球がまた危機に陥った時、彼女はきっと帰ってきてくれるに違いない…



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