ウルトラミレーヌ ウルトラヒロイン物語② (Pixiv Fanbox)
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ウルトラヒロイン物語② 挿絵 sfry@あぶそーぶろぐ様
前回のあらすじ
幼少のミレーヌは光の国の怪獣保護区で、友人となった怪獣・ドックンと遊んでいた。
しかし、戯れに放ったキックの当たりどころが悪く、ドックンが暴走状態になってしまう。
そんな時、保護区で任務についていたミレーヌの姉・リオナが駆けつけ、対応にあたる。
リオナは暴走するドックンを安全な場所へ退避させるため、惑星アルファへとテレポートで連れて行く。
ひと暴れした後、エネルギーを消耗したことでグロッキーになってしまったドックン。
リオナはエネルギータンクの役割を成している胸を、直接ドックンに吸わせることでエネルギーを分け与える。
ドックンは一命を取り留め、リオナによって保護区へと返された。
エネルギーをドックンに吸われ消耗したリオナは、惑星アルファで一時の休息をとることにする。
しかし、その一部始終を見つめる視線に、リオナは気づいていなかった…
少し時は戻り、リオナとドックンが惑星アルファにテレポートする直前…
惑星アルファ。
そこは宇宙警備隊の訓練や様々な目的で使われる、無人の惑星である。
しかし、完全に無人というわけではなく、使用時には非常勤の管理人が駐在する仕組みである。
その日、惑星アルファでは、カプセル怪獣候補の評価試験が行われる予定になっていた。
その準備のため、管理担当の宇宙警備隊員・ウルトラガントが派遣されていた。
ウルトラガント…大きな戦争時は歴戦の勇者として名を馳せ、ミレーヌの父やソフィとは戦友の間柄であった。
しかし戦いの中で膝に再起不能の怪我を負ってしまい、一線を退くこととなる。
その後は宇宙警備隊の教官などを務めたものの、戦えなくなったことで自暴自棄になり問題を起こして左遷されてしまう。
部署を転々とし現在の閑職に落ち着いていたが、当人はおよそ歴戦の勇者とは言えないほど落ちぶれていた。
そんなガントの元に緊急通信が入る。
光の国の保護区で暴れている怪獣を落ち着かせるため、場所を貸して欲しいと言う、銀十字軍からの要請であった。
「ちっ…めんどくせえなあ。」
そう言いながらも害のでなさそうなエリアを指定し、許可を出すガント。
何かあった時のために観察用のドローンを派遣し、自らの仕事へと戻る。
評価試験の準備がひと段落したガントは、ふとした興味から観察用ドローンから送られてくるデータに目を通す。
「へぇ、なかなかの出力じゃねーの。」
対象の怪獣はまだ幼体との話であったが、いっぱしの破壊力を感じさせるデータが上がっていた。
「幼体でこの数値ならカプセル怪獣候補としては申し分ないな…どれ、様子を見ておくか。」
そう言いながらドローンをカメラモードに切り替え、様子を見るガント。
ちょうど暴走する幼体・ドックンが光線を吐き出し、相手をしている女戦士がバリアーでそれを弾いているところであった。
「へぇ…女の方も一点もののいい装備だな。こいつどこのエリートだ?」
そう言いながら、銀十字軍からのデータを読むガント。
「対応者は…ウルトラリオナだと!?」
その名を目にした瞬間、ガントは机を殴打する。
忘れもしない…ガントにとってリオナは自らの凋落のダメ押しをした女の名前であった。
話はガントがまだ宇宙警備隊の士官学校で教官を務めていたころに遡る…
怪我により一線を退かざるを得なくなったガントは、その経験を買われ、士官学校で教鞭を取っていた。
そんなある日、銀十字軍の学校から実戦研修に参加する学生が一時士官学校へと編入される。
飛び級で銀十字軍学校を進級し、宇宙警備隊の訓練への参加まで希望する才女。
それこそがリオナであった。
銀十字軍も戦場に出るのだから当然と言えば当然であったが、わざわざ最前線用の訓練を希望するというのはレアケースである。
しかもリオナの成績は戦闘能力でも十分に警備隊で活躍できる素養があり、これを機にスカウトしてはどうか、という話が出るほどであった。
ウルトラソフィの義娘ということもあり、ガントも興味を惹かれていた。
というのもガントは現役時代ソフィに想いを寄せており、怪我さえなければ、彼女の隣にいるのは自分であったという自負があったのである。
結果としてその夢は叶わなかったが、リオナに近づくことで未亡人となったソフィにもアプローチできるかもしれない。そんな下心をガントは抱えていた。
実際、編入されたリオナはガントの話をソフィから聞いており、彼に教えを請う機会も多かった。
ガントの思い通りに事が運ぶかと思われたが、とある告発が状況を一変させる。
その頃、宇宙警備隊の中ではアイドル的な女性隊員の戦場での映像や、プライベートな画像が高額でやり取りされていた。
そのほとんどは健全なもので、広報的な意味合いで公式に出されたものが多かったのだが、同時に裏で過激な内容のものが流通していた。
それは戦場で敵性宇宙人に囚われた際の拷問の記録や、慰安所の隠し映像等、表立って出せないものが取り扱われていたのである。
立派な犯罪行為であったが、ガス抜きの意味もあり警備隊の上層部は見て見ぬふりをしていた。
そしてガントは、小遣い稼ぎにそういった映像を提供する側に回っていた。
戦場では英雄だったガントには言いよる女性隊員も多く、映像の元手には困らなかったのである。
銀十字軍の中ではそういったものに触れることのなかったリオナは、いかがわしい代物が警備隊でやりとりされている現状に激怒し、銀十字軍を通じて抗議する。
万が一にも愛するソフィが対象になっていたり、将来士官学校へ入るであろうミレーヌがそれを目にすることは、リオナには耐え難いことだったのである。
外部からの抗議に警備隊側も重い腰を上げ、公式以外のものは駆逐される流れとなったのだが、このタイミングでガントの悪事も露見してしまうこととなった。
結果としてガントは教職を追われ、閑職を転々とすることになる。
「あの小娘が来ていたとはな…まぁこれも何かの縁か…」
ガントは少し感慨深そうにつぶやく。
監視用に放ったドローンで撮影を開始しながら、アップになったリオナを見るガント。
「一丁前に成長しやがって…」
しかしその目には怨みの光が強く宿っていた。
映像内で華麗に舞いながらドックンの攻撃をいなしていくリオナであったが、事態は急変する。
力を使い果たしたドックンが急激に消耗し、それを救うためにリオナは胸を差し出して自らのエネルギーを分け与え始めた。
それを見たガントは吹き出していた。
「ハハハ!聖女ぶりは義母ゆずりか!」
リオナの利他的な行動にソフィを重ね、劣情を催すガント。
そしてリオナに対する復讐をひとつ思いついてしまう。
「そういえば、今日の評価試験はアイツだったな…」
カプセル怪獣候補の用意の中から一体を取り出し、起動するガント。
目の前には宇宙大怪獣ベムスターが現れた。
「…いけ!」
ガントによって調教されたベムスターは、リオナの方向に飛び去っていく。
「さて、ここからは楽しませてもらおうか・・・」
そういうとガントは通信機を手に取った。
リオナはドックンを保護区へ送り出した後、周りの片付けを済ませていた。
「もう少ししたら胸も元に戻るはず…」
ドックンへの授乳で露出した乳首が治るまで、休憩しようとするリオナ。
そこへ一本の通信が入る。
「あー…聞こえるか?こちらは惑星アルファ管制塔…」
どこかで聞いたことのあるような声に、リオナは応答する。
「こちらは銀十字軍所属・リオナです。ご協力ありがとうございました。」
今回の礼を述べるリオナに、ガントは名乗らずに続ける。
「すまないが非常事態だ。こちらで評価試験中だったカプセル怪獣が一体、そちらのエネルギーに反応してしまった。もうそっちへ着いてしまう。殺さないでやってくれると助かるんだが…」
管理者の声に、リオナは周りを見回す。
「わかりました。善処します!」
リオナが答えた次の瞬間、上空に怪獣の鳴き声がこだました。
「ピギュア!」
鳥の鳴き声のような声を上げながら、ベムスターが飛びかかってくる。
「タァッ!」
空中からの襲撃を交わし、体勢を整えるリオナ。
ピコンピコンピコン…
ドックンにわけたエネルギーが回復していないため、カラータイマーはいまだに点滅を続けていた。
「できる攻撃は限られているけど…これで拘束を!」
リオナは高速で体を回転させ、エネルギーの輪を発生させる。
「キャッチリング!」
そのままエネルギーリングを輪投げのようにベムスターへ放つリオナ。
リングはベムスターの体を包んだ後、一気に締め付けた。
「このままおとなしくしていて!」
リオナの願いとは裏腹に、拘束を解こうと暴れるベムスター。
しかし、リオナは念動力でさらに締め付けを強めていく。
「ピギャアア!」
ベムスターは拘束を解けないと察すると、腹の口をひらいた。
「一体何を…」
リオナの不安はすぐに現実となる。
リングのエネルギーはベムスターの腹に吸収され、霧散してしまった。
「…そんな!」
ショックを受けるリオナにベムスターは両手を広げて襲いかかる。
消耗していたリオナは、ベアハッグの要領でベムスターに抱え込まれてしまった。
「は、離して…」
腕に力を込めても振り解くことができず、腹部に触れたベムスターの腹の口が不快な感触をリオナに与えていた。
ドローンからの映像で様子を見ていたガントは笑みを浮かべながらベムスターに指示を出す。
「いいぞベムスター!そのままエネルギーを吸い取ってしまえ!ウルトラリオナのエネルギードレインショーとして録画して高値で売ってやろう!」
その指示を聞いたベムスターは腹からエネルギーを吸い上げ出した。
「あぁっ、やめて…あなたも正義のために戦うのでしょう…」
説得しようと試みるリオナであったが、カプセル怪獣としてガントの命令に従うベムスターには無意味であった。
締め付けながら体を擦り付けられ、リオナの引っ込みかけていた乳首が再びはっきりと現れてしまう。
「あぁん…こすれて…このままじゃエネルギーが…」
吸われてもいないのにうっすらと湿り気を帯び、甘い香りを滲ませていくリオナの乳首。
ピコピコピコピコ…
消耗を示すようにカラータイマーの悲鳴を上げていく。
「忌々しい女め、苦しむといい!ベムスター、一気にエネルギーを吸い上げてしまえ!」
ガントの指示に喜びの声をあげてエネルギーを味わうベムスター。
リオナの乳首から母乳状に漏れたエネルギーも逃さず腹の口で吸いあげてゆく。
「もう、意識が…」
ピコ…ピコ…ピ…
エネルギーを吸い切られ、リオナのカラータイマーが消灯する。
意識もなくなり、ベムスターの腕の中で震えるリオナ。
ガントは目的を達成し、満足げな表情を浮かべた。
「ふふふ、エネルギーを全て吸い切ったか。いい子だ!そのままリオナをここまで連れて帰ってこい!」
ガントの指示にベアハッグの姿勢のまま飛び立つベムスター。
その後には静寂だけが残されていた。
「……ここは?」
リオナが意識を取り戻したのは、光の国の救護センターであった。
そばにはソフィがつき、看護を続けていた。
「気が付きましたね、リオナ。あなたは力を消耗したところを救われたのですよ。」
リオナは記憶を整理したが、ベムスターに襲われたところで意識が途絶えていた。
「ドックンは…大丈夫でしたか…?」
その問いにソフィは笑顔で答える。
「ええ!よくやってくれましたね…ミレーヌが後でお礼が言いたいそうよ。」
リオナは最低限をこなせていたことに胸を撫で下ろし、同時にベムスターの事も気になっていた。
「あと、惑星アルファの管理人からもお礼をいただいていたわ。ベムスターを静めてもらったって。」
リオナはそこまでの記憶はなかったが、ベムスターも救えていたのなら何よりであった。
「そうですか・・・よかった・・・」
リオナはそういいながら目を閉じた。
「いまは体を休めなさい…」
整理したいことが多かったが、ソフィの言葉にまた意識が薄れていくリオナであった。
惑星アルファでは、ガントがリオナの映像を見ながらこれからの展開を夢想していた。
この映像を元にリオナを脅迫することもできる。
リオナ伝いにソフィにも手が届くかもしれない。
ガントの昏い野望が静かに動き出していた…
終