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アルティマの命を盗め!前編


光の国の刑務所から1人の囚人が脱走する。

その怪獣こそ、泥棒怪獣ドロボン。

様々な星で悪事を働き、戦争の火種を作った怪獣である。

光の国を脱出したドロボンは、以前組んだことのあるゴーデスに助けを求め逃亡する。

光の国ではドロボン追跡のため、アルティマレディ・ジェニスが選抜されていた。

ジェニスは逃走経路からドロボンの行き先を推測する。

「ドロボンが逃げたのはおそらくゴーデスの潜伏する地球…確かあそこにはルクリアがいたはずですね…」

旧知の中であるルクリアに向けて、アルティマサインを飛ばすジェニス。

まずは未踏の惑星の情報を得る必要がある、というジェニスの判断であった。


ジェニスからのサインを受け取ったルクリアは、必要な情報を自らのサインに乗せて送り返す。

そしてアンナにテレパシーで語りかけた。

「アンナ、光の国から通信が…」

ドロボンの脱走とジェニスの来訪を説明するルクリア。

「私たちはどうしたらいいのかしら?」

アンナの問いかけにルクリアは昔を思い出すように答えた。

「ジェニスさんとは何度か任務でお会いしたことがあるの。『アルティマ姉妹』と言われる歴戦の戦士よ。私たちができることは少ないけど…何か協力できることが有れば、アンナもよろしくね。」

ルクリアの依頼にアンナは笑顔で答える。

「もちろんよ!ルクリアの仲間に会えるなんて楽しみだわ。」

その日の夜はルクリアとジェニスの冒険譚を聴きながら、2人の時間は過ぎていった。


ルクリアからの情報を精査し、対策を考えながらジェニスはワープ空間を飛行していた。

「まだ銀河連邦には参加していないレベルの星…そうすると擬態が必要ですね…私たちと同じヒューマンタイプなのは助かるわ…」

そうこうしているうちに、ジェニスは地球の近くへとワープアウトした。

「素敵な星・・・ルクリアの言っていた通りですね!」

目の前に浮かぶ地球を前に感激の声を上げるジェニス。

「あそこに行く前に準備をしなくては…ドロボンの気配は特には感じませんね…」

そういうとジェニスは近くにある地球の衛星・月に向けて飛行を開始した。


ジェニスは月に降り立つと、地球でルクリアと接触するための擬態を始める。

ルクリアから送られた情報の中にあった同性の地球人の中から、自らのイメージした人物に近いものを選び、容姿を近づけていく。

次の瞬間、ジェニスの姿は地球人の女性が自らの体を走るライン状のビキニアーマーを装着した姿へと変貌していた。

「こんな感じかしら?地球に降りたら衣服も向こうのものに合わせないと・・・」

次の瞬間、巨大なこん棒が横振りにジェニスの体めがけて襲い掛かってきた。



「・・・え?・・・くぅっ!」

何とか腕を上げてガードするジェニス。そのすさまじい威力に吹き飛ばされるも、何とか受け身を取って立ち上がった。

「ほほう・・・あの距離からでも反応するとは・・・さすがはアルティマ姉妹。」

何もなかった空間からスッとドロボンが現れ、ジェニスに向き合った。

「しかしその腕ではしばらくまともには戦えまい・・・油断しましたな、ジェニス。」

宇宙をまたにかける泥棒のドロボンにかかれば、気配の遮断などお手の物のはず。

その可能性を頭に入れていなかったジェニスは、自らの注意不足に歯噛みした。

「隠れていればよかったものを・・・ここで見つけたからには地球にはいかせません!」

逆に言えばこれは好機。そうとらえて気持ちを切り替えたジェニスはドロボンとの距離を詰める。

「ふふふ・・・決着はあちらの星でお願いしたいところですな・・・それ!」

棍棒を振り回しジェニスの機先を制するドロボン。

先ほどの威力を思い出し、ジェニスは一度距離を取った。

「それならこれで!スペリオル・・・あぅっ!・・・」

腕を十字に組み、必殺の光線を放とうとするジェニス。

しかし、さきほど棍棒の一撃でダメージを負った腕がエネルギーの充填に耐えられず、ポーズを解いてしまう。

「ふはは!次にお会いする時はその胸のカラータイマーをいただきますぞ!さらばだ!」

棍棒の先からビームを放ち、ジェニスをけん制しながら飛び去るドロボン。

「待ちなさい!・・・くぅ・・・」

ジェニスは力なくひざまずき、ドロボンを見送ることしかできなかった。

「・・・つぅ・・・こちらもまずはルクリアと合流しなくては・・・」

そういうとジェニスも腕をかばいながら、地球へと向かって飛び立っていった。



一足先に地球へと到達したドロボンは、ゴーデスのいる春野市へと降下する。

いきなり空から降ってきた怪獣に、人々は混乱した。

「ゴーデス!でーてこい!」

そういって歩き出そうとするドロボン。

しかし次の瞬間、まばゆい光がドロボンを包み、光が収まった後には怪獣の気配は消えていた。

「今のはいったい・・・?」

以前にベムラーが一瞬出現したこともあり、人々はまた何かのイベントだったのか、と自らを納得させつつ日常に戻っていった。



光に包まれたドロボンは、その中でかつての悪友・ゴーデスと再会していた。

「いきなりこんな空間に取り込むとは、ずいぶんな出迎えではないか、ゴーデス!」

ホログラムの様なイメージ映像で対峙したゴーデスは、悪びれもせず旧友に話しかけた。

「まぁまぁ、こっちにもいろいろ事情があるんじゃ。お前の望みである組織への渡りはつけてやるから、しばらく大人しくしておれ。」

ドロボンがゴーデスを頼ったのは、かつて二人が所属していた組織へ逃亡する手はずを整えてもらうためであった。

「ふふふ、追手のジェニスはすでに叩いておいた。まぁ追ってくるだろうが、こっちで対処するとしよう。」

ゴーデスはやれやれといった顔で対応する。

「全く・・・厄介ごとはご免じゃぞ。わしの庭を荒らしてくれるなよ・・・」

ドロボンも納得したようで、

「わかっておるわい・・・ここで待機させてもらうとしよう。そういえばこの星には貴様を追ってきたものもいるんだろう?」

ゴーデスは笑いながら答える。

「ファファファ・・・あれは宇宙警備隊員ではない。さしたる脅威ではなかろう。何かあれば手も貸してやろうではないか。」

ドロボンはゴーデスの歓待に感謝しつつ、二人は悪の旧交を温めていった。


翌日の学園は、予想通り出現した謎の怪獣の話題で持ちきりとなっていた。

出現時、ルクリアとアンナも事態にすぐ気がついたものの、とくに被害もなくドロボンが消えたことで、様子見としていた。

この件の対応は、実害が出るかジェニスの到着を待ってからにする、というのが2人の取り決めだったのだ。

特に大きな変化もないまま2人が帰宅すると、アンナのマンションの前に1人の女性が立っていた。

大和撫子を体現したようなその美しい容姿に、道行く人々が振り返る。その度に女性は恥ずかしそうに俯いていた。

「アンナ!あれは恐らくジェニスさんです!」

ルクリアから嬉しそうなテレパシーが飛び、女性に見惚れていたアンナもはっと我に返った。

「えっ?あ、そうなの?」

間抜けな返答をしてしまい、アンナは少し照れながら、ジェニスと思わしき女性に話しかけた。

「あの〜…ジェニスさんでしょうか?」

恐る恐る話しかけたアンナに、俯いていた女性は驚いて顔を上げた。

「あ…アンナさんですね!良かった〜…お会いできないかと思いました。」

ジェニスは嬉しそうに笑い、その笑顔にアンナはまた目を奪われてしまった。

そんなアンナにジェニスはさらに続ける。

「あの…私どこか変でしょうか?通る方皆さん振り返られるので…上手く変身したつもりだったんですけど…」

不安そうに聞いてくるジェニスに、アンナは答える。

「いえいえ、多分上手くいきすぎてるんだと思いますよ。すっごくかわいいです!」

その言葉にジェニスも一安心したようで、

「ほっ…よかったです。あ、いけませんね。自己紹介がまだでした。初めまして、アンナ。ジェニスと申します。」

と宇宙警備隊員の顔を見せる。

「こちらこそお会いできて光栄です、ジェニス。地球人の今野アンナです。よろしくお願いします。」

そういいながらアンナがスマホを取り出すと、ジェニスはルクリアにも声をかけた。

「ルクリアもお久しぶりです。元気そうで何より!」

「ジェニスさん…237年ぶりですね。ご活躍はかねがね…」

一通りの挨拶を済ませながら、3人はアンナの部屋へと入っていった。


「それじゃあ、対策を相談しましょう。」

アンナの部屋で情報の擦り合わせを行った後、ジェニスは本題を切り出した。

「助けに来ながら情けないのだけれど、ここにくる途中でドロボンの不意打ちを受けてしまって…今の私では勝てる保証はないの…」

アンナは手を挙げて質問する。

「私とルクリアが協力しても無理ですか?」

ジェニスは真面目な顔で頷くと、

「それでも厳しいですね。ただ、作戦がないわけではないの。」

と告げた。

「どうすればいいんですか?私に出来ることはなんでもするわ!」

アンナが語気を強めると、ジェニスは目を細めた。

「ありがとう、アンナ。ルクリア、いいパートナーを得られたのですね…それでは説明します。」

「まず、ドロボンの目的は二つ。一つはゴーデスの力を使って犯罪組織に戻る事。もう一つは私とルクリアのカラータイマーを奪うことです。」

アンナは自分の胸を押さえながら質問する。

「カラータイマー…変身した時に胸についている丸いのよね?」

ジェニスは頷きながら、その場でアルティマレディの姿に変身する。

その胸にはルクリアのとは形状の違う、ハートを象ったタイマーが青く輝いていた。

「私やルクリアのタイマーはエネルギーの残量を示すと同時に、カラータイマー自体が大きなエネルギーの貯蔵庫の役割を持っています。このエネルギーを爆弾などに転用すれば星を消し去る威力を持つこともあるのです。」

一度話を区切った後、ジェニスはさらに続ける。

「ドロボンは捕まる前、たくさんのアルティマの戦士からカラータイマーを奪い、闇で売り捌いていました。それなりに名前の通っている私や、浄化の力で多くのエネルギーを秘めているルクリアのタイマーなら、組織への手土産にちょうどいいと思っているはずです。」

アンナは疑問をジェニスに問いかける。

「そんな…カラータイマーって大事なものなんでしょう?取られたらどうなってしまうの?」

ジェニスはカラータイマーに手を添えながら答えた。

「これがなくなると私たちは戦う力を失ってしまうわ。本来なら渡すことはできない…でも、それがこの作戦の切り札になるの。」

そしてジェニスは、ルクリアとアンナに作戦を説明する。

作戦を聞いた2人は、その遂行のために変身し、訓練に勤しむのだった…。


次の日、ジェニスとルクリアは変身し、ドロボンが入っているフィールドに侵入していく。

暇を持て余していたドロボンは、予定通りの客に喜んだ顔を見せる。

「おやおや…ジェニス、また会いましたな!」

ドロボンの顔を見据え、ジェニスが啖呵をきる。

「ドロボン!あなたを逃すわけにはいきません!」

ドロボンも予想通りの反応とばかりに返していく。

「まぁそうでしょうな。これを見ろ!」

ドロボンは何かが入った袋を前に突き出した。

「この中にはゴーデスの細胞に侵されたこの星の人間が入っているのだ!まずはこの袋と貴様らどちらかのタイマーを交換してもらおうか!」

ジェニスは驚いたような表情でドロボンを見据えた。

「そ、そんな…私ではゴーデス細胞を浄化できないわ…それなら私のタイマーを持って行きなさい…」

「そのかわり、人質を浄化している間はルクリアには手出し無用よ!」

ジェニスの提案にドロボンはしめしめといった顔を見せた。ジェニスさえ倒してしまえば、浄化に特化したルクリアなど、彼の敵ではないからである。

「まぁいいだろう。それではこれを受け取りたまえ。」

そう言ってルクリアに袋を渡すドロボン。

ルクリアが中を確認すると、数十人の人質がゴーデス細胞に侵され、意識を失っていた。

「ジェニス、すぐに浄化します!」

そう言ったルクリアに、ジェニスが耳打ちする。

「…ルクリア…それでは打ち合わせ通りに!」

小声でささやくと、ルクリアの前に出てドロボンへと近づくジェニス。

背後ではルクリアが浄化の力で人質の浄化を始める。

そんなことは気にかけず、ドロボンはジェニスの前に立つと値踏みするようにカラータイマーをなぞる。

「あんっ…やるならはやくしなさい…変な触り方しないで!…あぁん…」

敏感な場所を責められ、声を上げてしまうジェニス。

ジェニスの反応に、ドロボンはニヤつきながらカラータイマーを撫で回す。

「いやいや、売りに出すんだから状態を見るのは当然だろう…天下のアルティマ姉妹のジェニスといえど、弱いところを責められるとそんな声をあげるんですなぁ。」

その指でカラータイマーの輪郭を掴むと、一気に引き剥がすドロボン。



エネルギーの源を奪われる喪失感で、ジェニスはさらに苦悶の声を上げた。

「い、いやぁ…エネルギーが奪われちゃう…はぁあ…力…抜けてしまいます…」

ドロボンにしがみつくようになんとか足を踏ん張るジェニス。

カラータイマーはドロボンに掴まれ、完全にジェニスから引き剥がされてしまう。

その瞬間、ジェニスの体を覆っていたビキニアーマーは消失し、ジェニスの目からも光が薄れていく。

体には辛うじてニーソックスが残るものの、ほぼ全裸の状態になってしまうジェニス。

ドロボンは勝ち誇ったように倒れそうなジェニスを抱き寄せると、その体を弄り始める。



「せっかくこの星の人間に擬態したんですから、いろいろ楽しんではいかがかな、ジェニス!」

そういいながらジェニスの胸や秘所を刺激するドロボン。

「この星の人間どもは、こうやって盛るそうですぞ。貴様も快楽に身を染めるのだ!」

ジェニスもエネルギー不足で反応できないものの、か細い声で抵抗の意思を示していた。

「……やめなさい……目的は……達したのでしょう……ぁぁ……これ以上辱めないで……ぁん…」

ドロボンは知らぬとばかりに責めてを緩めなかった。

「ははは!アルティマ姉妹を手籠にするチャンスを逃す馬鹿がどこにおるか!これからたっぷり可愛がってやろう!」

目の前で憧れの先輩がいいように弄ばれる様子に、ルクリアは浄化の傍ら、こみ上げる怒りを抑えることが出来なかった。

しかし、ルクリアにはジェニスから受け取った秘策があったのである。

果たしてルクリアは、ジェニスの窮地を救う事はできるのであろうか。


後編へ続く

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Comments

NASU1917

投稿お疲れさまです! 今回はジェニスのピンチを堪能できました(らすP様のイラストも素晴らしい!)。 ジェニス&ルクリアには秘策があるようですが、ゴーデスが手を貸すと言っているので一筋縄ではいかないでしょう。今後の展開が楽しみです!

ガチピン@ご支援感謝

NASU1917様 いつもご支援、コメントありがとうございます😊 ここまではドロボンの思う壺ですが、果たして内緒の作戦がうまくいくでしょうか? 次回をお楽しみに!