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「柏木選手!

こちらへ向いて、拳を構えて頂けますか!?」




次々と眩しいフラッシュが焚かれる。

エンジンのように熱かった身体が落ち着きを取り戻して、

さっきまでの狂宴が嘘だったように、

いつものゆったりとした時間が流れ始める。


試合後のこのほっとした時間が好きだ。


『柏木選手、8連勝目、おめでとうございます!

とても綺麗な顔でリングを降りられましたね。

もっと強い相手が必要と見受けられましたが、いかがでしょうか!?』


取材陣のストレートな表現は、現実のパンチよりも切れ味が鋭い。

いつも返答に困ってしまう。


「いや、そんな、、。

相手の宮内選手、何度打ってもとても硬くて、、。粘りのある選手でした。

何度か危ないシーンがありましたけれど、無事KOで勝つことができてよかったです。」


『今日の勝利で、日本ランクは2位。

___言わずもがな、チャンピオンのベルトが目の前ですね。

次戦の王者決定戦を前に、現在どんな心境でしょうか。』


「もちろん不安はあります・・。

でも、出来ることなんて、、、きっといつもと同じですね。

今までの経験、そして、自分の拳を信じて、相手と向き合うだけです。

・・・応援してくれたお父さん、お母さん、そしてファンの皆さんのために、

必ず、チャンピオンになって。

日本一の女になってリングを降ります!」


おおお、と取材陣がざわめく。

我ながらこんなにすらすらと臭いセリフが言えるなと・・。心の中で苦笑した。


『じゃ、最後に。

現チャンピオンの獄寺選手へ一言ありますか?』


「・・・。」


鏡花さん・・か。



「強い選手と伺っています。


・・・対戦楽しみにしています。リングで会いましょう。」






___

________

_____________

___________________ [6ヶ月後]



心臓がドキドキする。

私らしくない。こんなに緊張した試合はかつてないだろう。


今までと明らかに違う大規模の試合。夥しい観客。

・・いや、そうじゃない。そんなことはどうでもいい。


私の目の前にいるこの人が・・・。


『獄寺鏡花』


匂いとして漂ってくるような色気。

26歳にして、国内リーグ女子フェザー級王者に君臨。防衛数は3。

爆発力のあるパンチ力だけでなく、一瞬の駆け引きを制す頭のキレで数多くの相手をKOしてきた、女帝。


情熱的の赤というが、、、

なるほど、赤グローブがこれほど似合う人はいない。


聡明で、頭の回転の良さを窺わせる精悍な眉、視線。

一見ソフトに見えるが、無駄のない引き締まったボディ。

柔らかそうな、大きな乳房。

太い上腕の下で、静かに呼吸する暴力的な筋肉は、

大砲のような恐ろしいパンチを射出する用意が整っているようだ。


生まれてから、一日たりとも怠らず、ボクシングのために作り上げられてきた体。

人間の持つ、野生の美しさを最大限に引き出した姿が、、これなんだ。


過去の対戦相手とは比べ物にならないほど、強い。

テレビではわからなかった。リングで向き合うとそれがはっきり分かる。



この体を、この知性を、私は攻略する。

それが私に求められている。このリングで。



チラリと相手の股間を盗み見る。

長さが綺麗に切り揃えられたアンダーヘア。

丁寧な戦闘スタイルが持ち味という彼女の、几帳面な性格がよく表れていると思った。

陰毛の奥に見えるのは___。


「いつも下を見てるようだけれど。

何か面白いものでもあるのかしら?」




ふと目線を上げると、穏やかな微笑を湛えた鏡花さんと目が合った。

私の考えていることを見透かすような、イタズラっぽい目元。


気づかれてたんだ、、。

自分の悪癖を恥じ、耳が赤くなった。


「ふふ、そういうところすごく可愛い。

・・・よろしくね。」


人を落ち着かせるように穏やかだけど・・・自信を含んで明瞭とした、力のある声。これから戦う相手なのに。すごく色っぽさを感じてしまう。


「っ、 よ、よろしくお願いしますっ」


思わず声が上擦ってしまう。

なんでこんなに落ち着かないんだろう。いつもの私らしくない。

女性の魅力で、この人に負けてるから?

試合前から相手のペースに乗せられているような気がして腹立たしくなる。


冷静にならなきゃ。


大丈夫。落ち着いて。

落ち着いて向き合えば、どんな強い人も相手じゃない。この人でも。

今までそうだったじゃん。今日も同じだよ。


「麗子、緊張してるの?」


コーナーに戻ると、リング下の両親が茶化してくる。


「チャンピオン戦だし、流石に緊張するよ(笑)

でも体はよく動いて、すごくいい感じ。

まぁ見てなって。

・・日本一の女になって、リングを降りるよ。」


カァん!


ゴングと同時に、わっと歓声が沸く。


さぁ。

この人をどう攻略しようかな。


_____________________________________




『19歳の天才、柏木麗子』

『王者の卵』


新聞紙にそんな言葉が並び始めた時は、どうも自分に似合わなくてどぎまぎした。

それなのに・・・いつの間にそれが当たり前になったんだろう。


思えば幼いころ頃から、私は「勝つ定めの人間」だった。

手先が器用で、ゲームでも、体育でも、テストでも、恋愛でも

なんでもそつなくこなせた。


ボクシングだって同じこと。

極論、相手の拳を避けて、パンチを当てるだけのスポーツ。

それを繰り返せば、相手が倒れる。

私にとってはとても簡単な作業だったから、、やはり才能があったんだろうな。


10戦やれば10勝。

20戦やれば20勝。

いつも同じ結果が返ってくる。


周りの友達や、異性や、多くの人が私をちやほやして持ち上げてくれたけど。

そんな ”当たり前” の勝利に、特別な感情や感動なんて感じなかった。

お父さんとお母さんが喜ぶ顔、、だけかな。


いつの間にか、自尊心と傲慢が自分の中で大きくなっていって、

親しい友達を無意識に見下している自分に気づいた。

ジム仲間と対等に喋ってない自分がいた。


才能が違うんだから、しょうがない。

でも、、それがすごく虚しいってことにも気づいていた。

すごく孤独なことだって。


でもそれが、私のボクシングだった。



___________________





『ダウン!



19歳の天才少女、再びダウンです!

過去、被ダウンの実績が無い柏木選手が、、今夜三度目のダウン!

日本一のベルトがすぐそこにあるのに!

絶対王者がそれを阻む!』


「・・・ッ」


信じられない。

絶対、こんなの嘘。


ありえないっっ・・

また読み合いで負けるなんてっ・・・!


麻酔を打たれたように、頭がクラクラする。

唇がキレて、痛い。鉄臭い。


「どうかしら。これが本物のパンチ。

痺れるでしょ?」


たくましい、男らしい太い腕から繰り出される、強力なパンチ。


そのパンチが顔にめり込む度に、腹筋越しに臓器を抉られる度に、

レイプされるようにプライドが犯される。


・・・思えば、誰かに一方的に殴られたことなんてなかったな。

パンチってこんなに・・・痛いんだ。


『柏木、意地のスタンダップ!

試合は終盤10ラウンド!

打たれすぎでしょうか?足元がおぼつかない様子です!

試合前の精悍な表情とは一転、両目が腫れ塞がり、苦しい表情を浮かべている!』


どうして、、、。

あなたと私、何が違うの!?


体格も、身長も、体重も同じ。

裸に、8ozのグローブが2つ。

誤魔化しも効かないほど、対等じゃない。


・・・いや、わかっている。


私と彼女との圧倒的な差。

それはきっと、才能。


いや、才能なんかじゃない。


努力。


血反吐を吐くような、想像を絶する努力の積み重ね。

それが、一発一発のパンチの重さに繋がってるんだ。


パアン!


「ぶっ!」


唾液と汗が空中に飛び散る。

質量のある高速のグローブが顔にぶち当たり、またおおきくバランスを崩した。


それでもめげずにカウンターを放つ。

が、それさえも読まれ、視界外のフックに顔を潰される。


先を、先を、何手先も読まれている。

一瞬の、数ミリ秒の駆け引きさえ、制すことができない。


タン!タタン!

タァン!


小気味良くジャブを絡めたワンツーが、私のひしゃげた鼻面を打つ。


彼女のパンチが重なる度、私の体内に確実なダメージが積み上がってゆく。

なのに。

『決定打』をまだ打ってこない。


狡猾で知性的な肉食動物の、冷酷で合理的な捕食行為。

本当に恐ろしい人。


まるで水を少しずつ、グラスに注ぐように。

水が満ちてもなお、表面張力で縁から溢れないように。

限界まで。私の拳が上がらなくなるまで。

確実に仕留められる、その瞬間を。

伺っているんだ・・!


バゴっ


「あんっっ!」


駄目。


グラスの縁から溢れ始めた水が、



止まらない・・・っ




『ああ〜っと!柏木、失禁です!

激しいラッシュを打たれながら、激しく失禁しています!

日本中が注目するこのリングで、激しく尿を撒き散らしています!

これは彼女の意志が限界を迎えたということでしょうか!?』


『激しい打撃による脳のダメージで、膀胱が弛緩してしまったのでしょうね。

とにかく危険な状態です。』


ブシュッ!

ブシューーー!!


パンチが頬を打つ度、大量のおしっこを噴出してしまう。

股間に感じる、熱い開放感と脱力感で思わず恍惚とする。

リング上で、みんなに見られながら。


「ゆき!」

耳の端で、お父さんとお母さんの悲痛な叫びが聞こえた。

いつも、私の勝利を、私以上に、喜んでくれた両親。

その声に、ちくりと胸が痛んだ。


相手のパンチによる酩酊と、放尿の快感。

混沌とする意識の中、プライドをかなぐり捨て、クリンチに逃げこむ。


尿とも汗とも区別のつかない、ぐちゃぐちゃな身体を、

王者は嫌な顔もせず、力強く包みこむ。


ぬるぬると汗に濡れた、太い腕っぷし。

皮膚の下を厚く覆う筋肉が柔らかく、抱き心地がよい、、。

こんな身体に抱かれて、気持ち良くないわけ、ない。


「・・・うん。

もう、終わりみたいね。

最期は・・・本気で逝かしてあげる。


歯ァ、食い縛りなさい!」


バシーーーーッッ!!!!!!



鼓膜をつんざく、激しい炸裂音。

世界が回るほどの強烈な衝撃に、終わりを悟った。


ごめんね、お父さん。お母さん。

日本一になるって。約束守れなかったよ。




ダンッ


一瞬のラグの後、

糸の切れた人形のように、リングへ倒れる。


『・・・ッッ!


とどめーーーっ!


最終ラウンド、勝ち目のない勝負。それでも諦めない柏木でしたがっ!

最期は王者の渾身のストレート!日本一のパンチに沈みました!


弱冠19歳にして、日本の頂に手を伸ばした少女。

空を夢見た彼女でしたがっ!

成熟して間もないその身体に叩き込まれたのは圧倒的な、実力差!

最後は尿を撒き散らしながらの、凄惨なノックアウトです!

獄寺鏡花、弱冠19歳の天才少女を跳ね除け、4度目の防衛成功です!』


「早く担架を!」

怒声のような、彼女の声が聞こえる。


けたたましい、ゴングの音。

初めてマットから見上げる、対戦相手の姿。

大の字でダウンしてるのか。カッコ悪いな。


ああ。

私、負けたんだ。


悔しいな。

悔しいよ・・・!


「うぇぇん・・」


塞がった両目から、大粒の涙がポロポロと溢れ出した。

こんなに弱かったんだ。

こんなに小さかったんだっ・・・私!

もう、二度とリングには・・

リングに・・・上がれない。


柏木さん。


はっきりと聞こえた。

涙も拭く力も無かった私が奮い立つような、力のある声が。


「柏木さん。

恥ずかしく思うことはないわ。

何度打たれても、何度でも立ち上がり、両拳を構え、最終ラウンドまで闘い抜いた。

誰が笑おうと、貴方は誇り高き、本物のボクサーよ。

最高の敬意に値します。

生涯、この試合を忘れることはないでしょう。


・・・だから。


この敗北をしっかり噛み締めなさい。

その自分の弱さを認めて、また立ち上がるたびに。

あなたはもっと美しく、強くなれるわ。」


_________________________


気がつくと、涙は止まっていた。


担架に揺られ、光輝くリングが遠ざかっていく。


花吹雪舞うリング上の、日本一大きい背中。

その背中はぼやけて、やがて見えなくなった。







ご支援、ほんとーに!いつも!ありがとうございます!

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします!


この話、エロに振り切るか、スポ根にするか、それとも全く違う謎シチュにするかとても悩みました、、、

最終的に、裸一貫の女同士の、ヒリヒリ焼け付くガチボクシングしかないな!

ハードボクシングしかないな!と思って、こんな話になりました。

ボクシングフェチ界隈の一つのジャンルになって欲しいです。ハードボクシング。


投稿にあたって、世界観伝わるように頑張って挿絵を用意したんですけれど、

逆に拙さが出てしまった気がしますね。やるならもっと時間かけるべきだったなと。。。

ただ、簡単な工夫で作品が少しでも華やかになるのは、勉強になりました。


また別で面白いシリーズもの考えてるので、楽しみにしてくださいね〜


Files

Comments

黒鉄

あけましておめでとうございます! グローブもボコ顔も天才少女の敗北っていうシチュも最高でした。。。 今年も素晴らしいイラスト楽しみにしてます!

qwer

明けましておめでとうございます! 簡単に8連勝した選手がチャンピオン決定戦で自分が勝った相手のように散る姿は本当にエロいです。 良い作品ありがとうございました

Askeladden

That’s some amazing art. But imagine if they clinched 🫠🥵

tarupo789

ありがとうございます!負けを知らない子の敗北からしか得られないエロみが有りますよね

tarupo789

あけましておめでとうございます! 今まで当たり前のように勝ってきた相手と同じ気持ち、同じダメージで負ける、、エロい! ありがとうございます!

Anonymous

あけましておめでとうございます! tarupoさんの絵・文章ともに大好きでいつも楽しみに見ています。 自分があまりコメントするタイプではないのでこれからも陰ながら応援していきます!

tarupo789

まに丸さん、コメント頂けて嬉しいです。ありがとうございます! まに丸さんの作品の子、どの子も自分の性癖にストライクで最高です。こちらこそ応援させていただきます!

aero

amazing art!

浅羽銀嵐

体幹を支えるデカ巨尻プリケツと、その美人な清楚顔が無様ボコぶたれ顔に変形しているギャップがもう最高です…

natsulucy

The way the gloves and bodies are drawn are very erotic! Nice work!