Home Artists Posts Import Register

Content



僕は純粋にわくわくしていた。


小学生の頃から

スポーツ万能というわけではなかったが

脚だけは思い通りに回転させ、腕をがむしゃらに降り、

人よりも少しだけ速く走れることができた。


持久走は苦手だったが、瞬発力だけはあった。


これは今の仕事にも通じるものがあると

よく思ったりしたものだ。


小学校では勉強ができる男子より、速く走れる男子の方が

モテる傾向にあった。


中学校でもきっとそうだ!

俺は誰よりも速く走って

泉さんのハートを射止めるのだ!


しかし、そんなささやかな希望を一気に吹っ飛ばしてしまう

出来事がおこってしまったのだ…


そう、あの忌まわしい組体操…


組体操は赤白で勝敗がつく競技ではなく、クラス対抗というか

「わしらこんなんできるんやで〜」って、保護者たちにドヤ顔するための

言わば、対抗戦のインターミッション的な競技だった。


しかし、僕は

100m競争やリレーよりも燃えていた。


そう、あの泉さんと組体操でペアになって

全校の男子からの羨望の的になれる絶好の機会が巡ってきたからである!


組体操は誰でもできそうな一般的な技と

(たとえば扇とか、3段くらいの小さいピラミッドとか)、

比較的難易度の高い、危険性を伴う技の2種を披露するものだった…



さすが中学…小学校とは規模が違う!


後者は、入学して間もない頃に行われた体力測定の結果から

好成績の男女2人づつ、都合4人の少数精鋭の選抜だった。


男子:国道、田島

女子:井坂、泉


女子は泉さんが選ばれるのはほぼ確実と思われていたが、

他はみんなだいたい団栗の背比べ状態で、

まさかの霊感女子井坂さんだった。



僕は武者震いしていた。


組み合わせは男女であること。


つまり、そういうことだ….


好きな女の子と手をつなぐことだけを夢見ていたのに

組体操のペアとなればその密着度は

計り知れない...

もはや、宇宙誕生のビッグバンに匹敵するとさえ

当時の僕には思われた...


頭の中は混乱と焦燥ですでにビッグバンしていた。


***


井坂と泉の名前を書いた紙を折りたたんで

じゃんけんで勝った方から引くというすんぽうだ…


***


田島くんは、実は僕の幼馴染だった。

家が近所で、幼稚園で出会い

中一のこの時に至るまで、実に濃厚な友情を築きあげていた



デンジマ


小学校三年生の頃からだったろうか

彼はそう呼ばれ始めた。


少しいじめられていた。


そんなデンジマとはいつも一緒に登校し、一緒に下校した。

近所の原っぱで僕が凶暴なチワワから追い回されて死にそうになってるとき

間髪入れず助けてくれたのはデンジマだった。


凧糸を何個も繋げて、200メートルくらい先の空まで飛ばした凧が

糸が切れて行方不明になった時、日暮れまで一緒に探してくれたのは

デンジマだった。


彼は僕のことをダビンチくんと呼んだ。


デンジマも僕もとにかくよく絵を描いた。

しかしデンジマはあまり上手とは言えなかった。


小学校の同学年で一番可愛かった女の子の裸の絵を描いて

デンジマに見せた時は、泣いて喜んでくれた。


いつも野山川を二人で駆けずり回っていたので、

いつの間にか二人の体力は増強していった…

瞬発力の国道

持久力のデンジマ


ほんとうにナイスガイだった(過去形だけど元気です)



そんなデンジマが相手でも


僕はこの"男の勝負"に勝たなければならなかった…


そう、あの泉さんとペアになるために…






そして、ぼくはデンジマに負けた



デンジマ… おめでとう…



昔からデンジマと僕の女の子の好みはほぼ一緒だったね



そんなデンジマの気持ちを知っていたのに


小学校のとき、兎小屋の飼育係をやっていた 

スーパー美少女のみのりちゃんと

仲良く遊んでいる時は、自分のことのように喜んでくれたよね


だから僕も言うよ


「おめでとう」と



デンジマ…僕の分まで泉ちゃんをしっかりサポートしてやってくれ


けっして、泉ちゃんの手を離すなよ!


デンジマの不注意で泉ちゃんに怪我を負わせたら


たとえデンジマでも僕は許さないからな!






でんじまああああああああああああ


(素手で泉ちゃんの脚をさわるなああああああああああああ)

(あと、そんな至近距離で泉ちゃんのお尻を見るなああああ)

Files

Comments

Anonymous

小学校の組体操思い出した。男子1女子3で当時ドキドキしてました!

juunigou

ぼくは小学校5年生で発芽したのですが その前後にそんな体験できたら たぶんボケ老人になってもその思い出だけは 消えないきがします