Home Artists Posts Import Register

Content



中学一年の夏休み明け、放課後の教室で

好きだった女の子が友達とキャッキャ言いながら悪夢の話をしていた。

その子は、帰国子女だった。

お父さんのお父さん、つまりお祖父さんがアメリカ人と日本人のハーフで

この子は1/8、それを聞いただけで純粋は男子たちには

彼女がすっかりお姫様のように見えた。

実際映画に出てくるお姫様のようにかわいかった。


*******


中学校の新入生歓迎会の日、

「どこの小学校でも見たことない可愛い子がいるぞ!」

という話題でもちきっりになっていた。

そして、男子はもれなく見た瞬間にほぼ恋に落ちていた。


透き通るようにやや青みがかった白い肌

やはりどこか異国情緒ただようコケティッシュな顔立ち...

そして、立ち居振る舞いの全てに気品があった


正直、同い年には見えなかった。


一見、おしとやかなお嬢様タイプかと思いきや、実に明朗快活な女の子だった。


とにかく、話し声が大きかった。

そして、いつも笑っていた。


不条理なことがあれば、先生を問い詰める一面もあったし

まるで正義の味方のような子だった。


これがアメリカという自由奔放な文化と、個々を尊重する人間教育が生んだ

賜物なのか...


おそらく誰もが日本人とは違う何かを感じていて、そして

自分にないものを沢山もっている彼女のことが

みんな大好きになっていた。



*******


シャルロット泉


泉がセカンドネームなので

彼女はシャルロットと呼んで欲しかったらしいが(後日談)

みんなは泉ちゃんと呼んだ。


男子はみんな泉さんとか泉〜とかだった。

ぼくは当然泉さんと呼んだ。


中学校を卒業する頃には

「そう言えばシャルロットって名前だったね〜」

などと、みんなすっかり忘れてしまうくらい

泉ちゃんで定着した。



クラスの全員が友達になった夏休み明けの放課後


彼女を取り囲む数名の女子が

午後の傾いた陽射しが差し込む眩しい教室で

キャッキャ言いながら会話をしていた。


僕は部活の仲間と数名で、部活の顧問から受け取った

真新しいユニフォームの仕分けをさせられていた。



「この前金縛りにあっちゃってさ〜 窒息死するかと思った...」

学級委員長で学年一の才女である石田さんが切り出した。

「あるある〜 部活でヘトヘトになった時とか、よくなるよね」

「うんうん、でも疲れてなくてもなるのは、だいたい霊の仕業だよ...」

「小学校の時、大きな猫みたいなのが胸の上に乗ってるの見ちゃったし...」

霊感体質の井坂さんが得意げに話す。

泉さん「飼い猫とか?」

井坂さん「猫は飼ってたけど、秋田犬くらいの大きさの猫だよ?」

「あれは化け猫のたぐいね」

小俣さん「たしかに、猫ってちょっと不思議なとこあるよね」

泉さん「秋田犬ってそんなに大きいの?」

石田さん「うん、大きい。こーのくらい」


「へえ〜」



(井坂って見えるらしいぜ...)

(なにが?)

(おばけ...)

(まじで?! こえええ...)

(なんかさ、うちの日本人形に似ててさ...井坂...)

(日本人形はやばいって話きくね)


3人のバレー部男子はものすごく聞き耳を立てつつ作業をしていた。



そして、穏やかな教室の空気を一変させる会話が始まろうとしていた...


万を辞して、僕らのアイドル泉さんが語り出した...


「私なんか夜の公園でほぼ裸みたいな格好させられて、見ず知らずのおじさん5人くらいに囲まれてるの... あまり大きな声で言えないんだけど...胸とか出してね...パンツなんか膝のあたりまで脱がされて〜... 私は身動きできなくて、その、お父さんよりも歳が上の...あ、そうそう、あの教頭先生みたいな...(教頭....脂ぎった典型的な中年デブ...確か50歳前後だったと記憶している)

そんなおじさんたちにジロジロ見られる夢... もんほんと、 悪夢だったわ...」

石田さん「えええ...こわい...」

小俣さん「アメリカ人のおじさんじゃなくて日本人だったの?」

泉さん「うん、新入生歓迎会の時に見た教頭先生の印象が強すぎたのかな ははははは」

石田さん「あ〜なんかわかるきがする...」

井坂さん「まさに悪夢ね...」



バレー部男子

👂👂👂

🍄🍄🍄




泉さん「とにかくすごくリアルで...起きてからしばらく動けなかったよ...」

石田さん「起きる直前の夢って現実と夢の区別つかないよね...」

小俣さん「いや〜やばいやばい!! 夢でよかったね!」

井坂さん「なんか教頭を変な目で見ちゃいそう...」


「あはははは」



(笑ってる場合じゃねえぞ...)




ただの夢の話なのに

想像力が無限大だった中一男子にはトラウマ級の刺激で

この泉さんの悪夢の話を聞いてしまってからしばらく

夜な夜な想像の世界を膨らませては

絵に描いたり...


まあ、そういうことですね。


(僕が汚いおっさんの絵を描き出したきっk 以下省略)



大学1年の時、同窓会で久しぶりに泉さんに会って

この話をしたら

すごく照れてましたね...

泉さんにも相当なインパクトだったらしく、はっきりと憶えてると言ってました。

あと、盗み聞きするな!って叱られました。


だって、泉、今も昔も声大きいし!



🍄



数十年の時を経て、

そんな衝動を抑えきれなかった写真がこちらです。











Files

Comments

Anonymous

非常に素晴らしい! 写真の女の子は何歳ですか?

juunigou

ありがとうございます! 写真は拾い物なので詳細はわかりません... 18歳以上であることは間違いないと思います...

Anonymous

国道さんの文章読みやすいし情景がすごく浮かぶし好きだな!