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光を宿した乙女の戦士、その名はエクセルガール。

数多くの次元に存在する其の戦士たちは、幾度となく世界の平和を守ってきた。

これは、その正しい歴史を乱した、新たな戦乱の始まりである。



エクセルギャラクシーファイト 第一章・出会いの光

第1話「破滅と放浪」



・・・大宇宙に輝く星、その名は白の星。

平和な世界に高度な文明、そして人々の笑顔あふれる豊かな星。

その星のど真ん中にあるのが、王族の住む城。

そこにいる小さな少女が、



彩子「お姉さまー!」

綾音「彩子……どうした?」



庭で鍛錬している女性に声をかける。

彼女こそ、この星の第2王女・アヤコであり、声をかけた女性が第1王女であった、アヤネだ。

アヤネは今、城の星守備隊の筆頭教官をしていた。



彩子「お姉さまは、どうして王女ではなく、騎士になったんですか?」

綾音「……お前を、みんなを守るためだ。」

彩子「みんなを、守る?」



その理由は、王家のしがらみから逃げたい、だなんて理由ではない。

理由は、目の前の妹のためだ。



綾音「……。」



目の前の齢10歳程度の妹は、数日前に天啓を授かった。

それは、彼女に超人的な力を与える奇跡の腕輪・エクセルチェンジャーを授かったのだ。

それにより彩子は、誰もなしえない超パワーを身に着けた。

が、彼女はまだ子供。

彼女にそんな戦乱の中枢を任せるわけには、行かないのだ。



綾音「そうだ。みんなが平和に暮らせる世界を作る。それが、私の……騎士としての、願いだ。」



だからこそ、彼女には「妹の細胞を使ったクローン戦士を作る」という赤の星の計画には最後まで反対していた。

だが、皮肉にもその研究成果は上々で、もうじき31人分の戦士がロールアウトするらしい。

その遺恨が、追々まで彼女を苦しめることになることは今は知る由もない。

だからこそ、



彩子「わたしも、世界のために頑張る。お姉さまも、頑張ろうね!」

綾音「―――ああ。」



王族としての、そしてこの星に生きるが故の決意。

姉妹の約束は、ここに刻まれた。




刻まれたその数日後、この白の星はこの世界から消え去った。

否、『取り込まれた』とでもいうべきか。



ドクター「ウハハハハハハァ!!この星は今から、魔界国家ジャルマーの礎となるのだあああああ!!」



あらゆる世界で悪事を働く魔界国家に超常的な物量をぶつけられ、じり貧となり制圧されたのだ。

たとえどんなに強い力を持っていても、一人対5ケタを超える大軍勢では多勢に無勢。

どんなに強い力を持っていても、できることには限界がある。



彩子「お姉さま……お父様、お母様……!!」



彩子は、そのことを強く思い知らされながら生き延びた。

親を殺され、友を殺され、姉を殺され―――。



彩子「―――っ……!」



それでも、自分が死ぬわけにはいかない。

いつか必ず、故郷を復興させるために。

そのために、授かった力と船で星を脱出したのだ。

とめどなく流れる涙で視界が揺らいでも、心に大きな傷を受けたとしても、絶対に生き延びる。



だが、その決意にも限界が来る。



彩子「そ、そんな……!」



白の星、赤の星。

成形を脱出したところで、追手が迫る。

それは茶色い球体の岩石怪物で、時折頭から蒸気を吹きだして砲撃してくる。



ロック「むおおおおお!!」

彩子「こ、こんなところまで……!」



その砲撃で、宇宙船は崩れ落ちる。

小惑星に堕ちるコースを設定して、彩子は覚悟を決めた。



彩子「エクセル……チェンジ!!」



小さな少女が、光に包まれる。

その姿は、可憐ではあったがおろかでもあった。

何せ目の前の相手とは、あからさまに体格が違いすぎるからだ。



ロック「お前、倒す……。それがドクターの頼み。」

彩子「人型に、なった……!?」



丸い岩が、人型になる。

その名は、岩石巨人・ロックバトロン。

ジャルマー幹部の一人だ。



そのロックバトロンの傍らには、無数のおたまじゃくしの様な怪物オタマンが。

彩子……トライブオリジンと比較して何対一だ、なんてことは考える余地もない。



ロック「さぁ、おとなしくこっちへ来い。」

彩子「だけど……だけど!!」



ここで死ねば、すべてが終わる。

でも、死ぬわけにはいかないのだ。

彩子は、流す涙を斬ってその軍団に突撃していく。

オタマン軍団も、彩子目がけて迫った。



が、その刹那。



「エクセライド!ネイバスター・ナックル!!!」



誰も予想していなかった方向から、突如火炎弾が降り注いだ。



彩子「?!」



新手の増援か。

いや、その炎はオタマンだけを炎上させている。

彩子の目の前に広がるのは、緑の旋風。



自分より少し大きい、そんな女性がおさげを揺らしながら優雅に着地した。

彼女の名は。



鈴「わたくしは銀河遊撃隊・エクセルガールリン。救援要請を受けて助太刀に参りました!」

彩子「銀河……遊撃隊……?!」



聞いたことがある。

外宇宙、確か地球という星だったか。

そこで大きな戦乱があり、巨悪が打ち倒された。

それに伴う残党狩りを宇宙の医者や解放奴隷たちが結成し、全宇宙で活躍していることを。



だが、そんな通信したことはないはずだが……。



鈴「『妹を助けてくれ』。そう通信が、白の星から流れたんです。そんなこと言われたら、わたくしたちが駆け付けないわけにはいきません!」

彩子「まさか、お姉さま……!」



姉が、生きている?

わずかな希望を受けた彩子は、そのまま倒れそうになるが。



「おい、倒れるのはまだ早い。」

彩子「あ……?」



また別の声がして、その主の腕だろうか。

ゆっくりと抱き留められた。



鈴「おそいですよーノルンおねえちゃん!」

希空「……お前が早すぎるんだ。」



彼女の名前は、エクセルガールノルン。

鈴の姉で、紫の光を宿す戦士だ。



希空「まぁいい、積もる話はまたあとだ。お前はそこで待っていろ。」

彩子「で、ですがあの軍勢をふたりでは……!」

希空「安心しろ。」



不安になる彩子をよそに、ノルンと呼ばれた大人の風格漂う女性が優しく微笑んだ。



希空「お前は、絶対に守る。」

彩子「……。」

鈴「妹思いのおねえちゃん、来ますよ!!」

希空「わかっている!」



それだけ言って、ロックバトロンとオタマンの軍団に、二人の姉妹が駆けて行った。




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