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地上に降り注いだ無数の星。

地下から迫る無数の悪。

その魔の手から地上を守るのは、二人の心と一つの力。

戦え、新たなる光!



・・・。

光の中で見えないものが、闇の中に浮かんで見える。

そんな感じの、真っ暗な森の中。

今、そこに。



綾音「あ、あれ?!」



彼女が、綾音がいた。



番外編「漏洩と怖い夢」



魚は空に、小鳥は水に。

卵が跳ねて鏡が歌う。

そんな真っ暗な森。



綾音「え、え、ここ、どこですです?!」



こんなところ来たことも行きたいと思ったこともない。

魚が空飛んで小鳥が海を泳ぐそんな空間、宇宙広しとも聞いたことが無い。



綾音「え、えー……?!」



とりあえず状況を整理しよう。

自分は寝たはずだ。

寝たはずなのにここにいるということは、



綾音「そうか、これは夢だ!」



夢だとわかった。

わかったからなんだ。



綾音「……。」



夢なのはわかった。

が、打開策は一切ない。

正直、何もできない。



綾音「ど、どどど、どうしよう……?!」



なんて思ってると。



綾音「・・・!?」



かしゃん。

かしゃん。

何か、音が聞こえた。



綾音「金属音……?!」



しかも、その音がどんどん近づいてくる。

今は幼女でも長年の戦士のカンが、危険信号を伝えてくる。



綾音「―――そこか!!」



綾音はその音の主目がけて拳をふるうが、



綾音「―――?!」



そこには、ただ空を飛ぶ魚がいるのみ。

いや、それって。



綾音「え、え!?」



魚に、食われる。

ものすごくでかい魚に、くわれる。



綾音「あ、ああああ!???」

彩子「―――お姉さま、お姉さま?!」



と、そこで。

綾音の意識は、現実に戻された。



綾音「あ、あ、あ……?!」

彩子「よかった、目を覚ましましたね!」

綾音「彩子……??」



戻してくれたのは、一緒に並ぶと10人中16人が信じてはくれないであろう妹だった。

時期的には夏から秋にかけてなので寝汗をかいてますと言えばそれでいいだろうが、それにしてもすごい量の汗をかいて布団はぐっしょりだった。



彩子「どうかしたのですか?ひどくうなされていました。」

綾音「夢だ……。」

彩子「え?」

綾音「ひどい夢を見た。最悪な寝覚めだったよ……。」



そう言いつつ、戻してくれたのはいいんだけど。

彩子の顔は、非常に複雑な顔だった。



彩子「あ、あの……お姉さま……。すごーく言いづらいんですけど……。」

綾音「え?」

彩子「・・・その、ズボンを脱いでくれませんか?」

綾音「・・・へ?」



彩子の言葉を理解できない綾音は、凄く間抜けな声を出す。

ズボン?

なんで?



と、思ったら。

布団のぐっしょり具合は、汗だけじゃなかった。

ズボン、布団、ぐっしょり。

そこから導き出された答えは―――。



綾音「―――ああああああああああああ!???」



やっちゃった。

実年齢35歳なのに、やっちゃった。

何をやったかは、察してほしい。



・・・と、いったのだが。



真澄「ぶははははは!あひゃひゃひゃひゃひゃ!??」

綾音「・・・。」

真澄「アンタ、あんた、その年でうははははは!し、し、し、しちゃったんでちゅかーだははははは!!!???」



朝っぱらの三隅総合病院で、めっさ笑われた。

しかも、スっごくバカにした笑い方で。



真弓「おいおい、そう言ってやるなって。肉体まで幼くなってるんだ、寝小便したってアイツ意外にバカにする奴はいないさ。」

綾音「うぅ……。」



一人でもバカにされたらきついものがある。

しかも、あんな風にこき下ろされると非常にきつい。

まぁ、真澄的にはここまで大笑いするのも無理はないんだけどね、色々と。



スコーピオン『だらしないな、綾音。平和ボケで気が緩んだか?』

綾音「そうじゃないんだけど……。」

真弓「とりあえず、症状を抑える薬はあるが、出しておこうか?」

綾音「い、いえ、さすがにそこまでは……。」



なんていってると、



明日葉「すいませええええええん!!???」



開業前だけど、明日葉が飛んできた。



真澄「え、どしたの。」

明日葉「替えの下着有りませんか?!」

真澄「は?!」



・・・その後。

色々有ったのち。



綾音「―――怖い夢を見た?!」



明日葉の情報を聞いた。



明日葉「え、ええ。今日の夢で、真っ暗な森を……。」



と、そこまで言いかけた時。



真弓「おい、そこで止めとけ。」



嫌な予感がした真弓さんのおかげで、明日葉は二回目の恥をさらさずに済んだ。

が、妙だ。



キャンサー『でも、今回のこのやらかし、なーんか変なんだぜ。』

真澄「そうね。このロリッ子はともかく明日葉ちゃんまで漏らすなんて。」

明日葉「わー!?!わー!?言わないでー!?!?」

綾音「いや、私たちだけじゃない。」

明日葉「え、何それどういうこと!?」



漏らされた事実を暴露されて若干焦る明日葉だが、綾音の言葉に食らいついた。



綾音「実里も、やらかしてた。」

明日葉「え、あの子も?」



しっかり者のあの子のことだ、寝る前にきちんとすることはして寝たはず。

其れなのに何で。



真澄「え、じゃあ未来ちゃんも?」

綾音「それはノーコメント。」

真澄「ノーコメントって?」

綾音「今日、未来は家にいないので。」

真澄「あー……。」



じゃあどこにいるの?

そんな言葉は聞くだけ野暮だ。

が、



キャンサー『電話、どうだったんだぜ。』

明日葉「―――ダメね。一条曰く、『俺を追いだしたのち俺の部屋から出てきてくれない』ってさ。」

真弓「あー……最悪だな。」



お泊りで「やらかした」となると、そのダメージは計り知れない。

とにかく、いろんな意味でこれは妙だ。



真澄「変ね。」

真弓「ああ、変だ。」



二人が怪訝に思うのも無理はない。

何故なら、



明日葉「うおー!?」

綾音「開業と同時に女性客がー!?」



病院に、女性客が大挙していたからだ。



・・・その後。

SHINE基地では。



みどり「えー?!そんなことになってんの??」

彩子「らしいのよ。みどりさんは大丈夫だった?」

みどり「あー、昨日は夜勤明けだったんで、寝たのは日が昇ってからでしたね。隊長は?」

彩子「私も昨日は徹夜でねー。おかげで眠いわ。」



というお話をしていた。

その中に、場違いな人間が一人。



健司「あの、俺が聞いててもいいんですかその辺の話。」

みどり「だいじょうぶー。だって私はおねしょしてないもーん。」

彩子「ごめんね健司君。あとで未来の様子、見に行くから……。」

健司「あ、いえ……。」



健司は未来の様子よりも、今自分の部屋がいろんな意味でどうなってるか気になる。

なんて言ってると、



隼人『うおーい、魔物だああ?!』

健司「え、魔物!?」



町に、魔物が出現していた。

ついでに、



リース「待てゴラああああ!!」



すでに、リースが変身して追いかけていた。

今回の魔獣は、なんとスーツを着たような人型。

黒いスーツとマントを羽織り、黄色くへんてこな丸い仮面をつけたよくわからない魔獣。

その巨大魔獣がハッハッハと高笑いしつつ、町を謳歌していたのを綾音が見つけたわけだ。



リース「逃がさん!」



そう言うと、リースは手から光弾を発射して進行方向をふさぐ。

一瞬動きが止まったと思った魔獣に、



リース「せいっ!!」



そのまま魔獣の顔面に思いっきり蹴りを入れた。

たまらず吹っ飛ぶ魔獣だが、魔獣の高笑いは止まらない。

それどころか、



リース「な、なんだ?!」



今度は、リースの動きが止まった。



リース「これは……まさか!」



リースは頭を抱えてその場にうずくまる。

内股で膝立ちで、そのまま地面に両足を付いた。

そして、下腹部を襲うあの感覚。



動きの止まったリースを見た瞬間、魔獣はその場から逃げ出した。



リース「ま、待てっ……!」



逃げた魔獣を追いかけようとしたが、リースは襲いくる「尿意」に耐えきれず、そのまま返信を解除した。



綾音「―――くっそおおおおおおおおお!???」



二度も被害を受けたおかげか、なんとなくからくりが読めた。

が、其れよりも。



綾音「トイレは、どこだああああああああ!??」



そんな凄く情けない綾音の声だけが、空に響いていた。



・・・一方こちら、ジャルマー側。

大邪神のタマゴに、新鮮なマイナスエネルギーがどんどん吸収されていく。



シスター「うふふ、首尾は上々ね。」

ドクター「お前、あの魔獣・ドリフェイサーで何をしてるんだ?」



それを見ていたシスターが、スっごく楽しそうに笑っていた。



シスター「……生理現象って知ってる?」

ドクター「セイリゲンショウ?」

シスター「食う寝る出す。人間って不便よね。取りこんだエネルギーをすべて吸収できず、老廃物として外へ出さなければいけないんだもの。」

ドクター「……なんだそれ。」



無生物であるドクターには、理解できていなかった。



ドクター「おいしいものを食べれば、それがすべてエネルギーにならなんのか人間って。」

シスター「ならないのよ。」

ドクター「かー、不便な生き物だな。だからこそ地上をわしらが支配してやるのだ。我ら魔獣にとって無駄なエネルギーはない!すべてを吸収してやると言うのに!」



と、意気込んだのち。



ドクター「で、そのセイリゲンショウがなんだって?」

シスター「人間ってのは、その老廃物を出すというのを恥ずかしがる生き物なのよ。」

ドクター「へー。」



ドクター、理解できてないのかスっごく空返事。



シスター「その恥ずかしさを、あの魔獣を使ってコントロールしてるってわけ。」

ドクター「ほーん。ホント、めんどくさい生きものじゃのう。」

シスター「見てなさい、生きものである以上、これであの小娘どもも無力同前。今度こそ大邪神様にマイナスエネルギーを献上して、邪魔な奴らも一網打尽にしてやるわ・・・!」



今回の彼女は、自信満々に胸を張って空を見ていた。



・・・一方、その空の下。

青空の中で、



健司「―――つまり、今回の魔物は女性の尿意を自在に操れると。」

綾音「―――おそらくは。」



凄くミスマッチな二人が、ベンチで一息ついていた。

遅れてやってきた健司が、被害者になった綾音から話を聞いていたわけだ。



健司「ということは、町中のおねしょ事件も。」

綾音「それ以上其のワードは言わないでくれ……。」



町中8割の成人女性が同時多発でおねしょしたら、そりゃあ事件になる。

健司は綾音にもそう言われて、何か別の言い方を考えねばならないわけだが、



健司「しかし、魔物はどうやってそんな町中の女性に。」

綾音「おそらく、女性の脳に何か超音波でも使って、その。」

健司「あー、はい、その辺をいじったわけですね。」

綾音「だが、疑問は残る。」

健司「え?」

綾音「なぜ、彩子やみどりは無事だったのだ?」



被害者故に、なんでだか疑問が残った。

だが、それは。



真澄「―――からくりは簡単な話よ。」



真澄の一言で簡単に判明することとなった。

ホワイトボードにいろいろ書いた彼女が言うには、



真澄「おそらく魔獣が一番尿意を操作できるのは、ノンレム睡眠状態で一番無防備な女性ってわけよ。だから魔獣が悪さをした時に眠っていなかった人たちは平気だったってわけ。」



ということだ。

つまり熟睡しなければ被害には合ってないというわけだ。



健司「じゃあ、さっきのリースさんは?」

真澄「それも簡単、対象が一人だからよ。夜の事件の時は不特定多数の人を操るために魔物が一度脳内に侵入して、怖い夢を見せたりなんだりしたんでしょう。でも、タイマンだったら?」

健司「そっか、その時はノンレム睡眠が一番都合がよかったけど、タイマンではそんなの関係ないということか。」



一人二人なら直接脳波に語り掛けられる。

それが不特定多数だと、一階下準備として発信機的なものを埋め込む必要がある。

そういうことだ。



綾音「しかし、そんな魔獣一体どうやって倒せば……。」



からくりがわかっても、一対一では尿意が操作されてひどい結果になる。

しかし、魔獣とやり合うには良くて1対3。

現状未来がどうなってるかわからないので、やはり自分が頑張るしかない。



スコーピオン『何か策はないものか。』

レオ『ウチに言われてもなぁ……。』

タウロス『うーん。』



そう思った綾音や星座の皆さんを、



真澄「ちょっと。」

綾音「?」



ジトっとした目で真澄が見ていた。



綾音「な、なんです?」

真澄「アンタ、また一人でやろうって思ってるんじゃないでしょうね。」

綾音「え、え!?」



図星を突かれて、凄く慌てる綾音を見て真澄は大きく溜息をつく。



真澄「―――だと思ったわ。」

綾音「で、でも……。」

真澄「これ以上被害を広げると、傷を負う人が増えかねないわ。」



知り合いに数名いるから、余計に。



リブラ『な、何か策が?』



星座の皆さんの視線も刺さる真澄は、



真澄「ひとつ、考えがあるわ。」



ちょっとだけ膨らんでる、胸を叩いた。



・・・一方こちら、一条宅。

そこに今籠城してるのは、



明日葉「未来ー。そろそろ出てこーい。」

彩子「未来、そこは健司君の部屋なのよー。」



本作の主人公であった。

が、その主人公はその部屋から一切出ようとはしていない。



明日葉「まぁ、気持ちはわかるんだけどねー。」

彩子「急がないと下着がシミになって臭いも取れなくなっちゃうわ。」



何というか即物的な感想を述べているのは、母親故か。

まぁ、一応母親として板について来たってわけか。

それはさておき、



明日葉「おめーら、行け。」



明日葉の指示の元、



未来「え、あ、ちょ、わ、わ、わ!?」



綾音の方にも応援要請を受けた星座12人が突撃。

未来を文字通り、星座パワーで部屋の外へ放り投げた。



彩子「今よ!」

明日葉「突撃ー。」



「ヤバそうなもの」はとりあえず袋に入れて外の彩子にパス。

部屋全体をくまなくファブって、ついでに芳香剤も置いておいた。



未来「はーなーしーてー!?」

明日葉「わ、コラ暴れるな!」



ノーパンで外に出された未来はすごく暴れる。

なお、下はスカート。



明日葉「バカ、その状態で暴れるなー!?」



などと言いつつ、とりあえず。



明日葉「よーしお前ら出番だぞー。」

『よしきたー。』



一条家の裏の空き地でまずピスケスが実体化。

未来の体に水流を浴びせ、キャンサーも実体化して泡を吐き、未来の体の意味深な汚れを洗う。

ついでにアクエリアスも実体化して内部で風を起こし、残りのメンツで強制的に未来の服を着替えさせる。

結果、



未来「―――きれいになりましたー。」



色んな意味で綺麗になった。

なお、着替えは夢藤家からの宅配便。

相方がいろいろさっぱりしたのを確認して、



明日葉「はーい、さっそく移動するよー。」

未来「え、移動って?」



ずーっと閉じこもってた未来的には全然わかんないけど、今は絶賛作戦進行中。

明日葉はそんな未来を見て、



明日葉「ま、それは道中にね。」

未来「えー?」



・・・なんて言いながら、移動を開始した。

その目的地には、



真澄「くー、すかー。」



真澄が寝ていた。

しかも、テントに寝袋を添えて。



バイパー『……本当に来るかなー。』

真弓「くるだろ、多分。きっと。おそらく。」



・・・どんどん希望的推測が薄くなっていくのはなんでだろう。

なんて言いつつ、そのテントの中に真弓とバイパーがいた。

更に、



みどり『えー、ご町内の皆さんにお知らせしまーす。今から30分、誰も寝ないでくださーい。寝た際の補償は致しかねますので、ご了承くださーい。』



トライブースターが空を飛んで、防災無線も経由してそんな通達を流していた。

つまり、今寝ているのは赤ちゃんや重病人・ご老人など、魔物の被害の範囲外の皆さんと、



真澄「すかー、ぐかー。」



真澄だけだった。

その、真澄の元へ。



バイパー『―――きた!!』

真弓「マジか。」



謎の黒い影が出現。

寝袋でがっちりガードしてる真澄の中へ、入り込んだ。



真弓「よーし、作戦第一段階は成功だ。」

バイパー『じゃあ、行って来るねー。』

真弓「おーう、気を付けてなー。」



というと、バイパーも真澄の頭の中へ。

割と恐怖映像的な絵面だが、



綾音「頼みますよー……。」

健司「頑張ってください。」



・・・真澄の夢の中。

そこへ、魔獣ドリフェイサーがこんにちは。



コイツも漏らさせてやると意気ごんだ矢先、



クラス『申し訳ありませんが、そうは問屋は降ろしませんわ!』



突如右から猛烈なストレートが飛んできた。

何が起きたのか一切わからないと言った具合の魔獣の前には、



クラス『まーんまと引っかかってくれましたわねー。』



クラスがいた。

真澄の中にクラスがいる。

別に真澄とクラスは一心同体でもなければ憑依してるわけでもない。

真澄が寝てようがクラスが寝てなければ普通に起きてる。



つまり、彼女はこの魔獣最大にして最悪の相手というわけだ。

そんな真澄の頭の中で、



クラス『さーて、もう捕まえた!』



クラスが魔獣を捕まえ、そのまま外へ。

その刹那、



真澄「―――エクセルチェンジ!!」



真澄がクラスと交代。

そのまま、魔獣と一緒に外に出た。

それはつまり、



クラス「飛んでけぇぇぇぇ!!」



真澄の頭に入ったはずの魔獣も、一緒に外へ。

何でここに魔獣がと言いたげな町の皆さんと共に、



クラス「さぁ、後は任せますわよ!」

リース「せえええええい!」



まずクラスが魔物を投げる。

そこにリースが割って入ってきて、北斗一等星で一閃。

が、



リース「な!?」



魔獣が、自慢のカマで日本刀を受け止める。

このままつばぜり合いが続けば、また漏らされる。

そう思ったリースだったが、



未来『おばさん!そのまま下にしゃがみなさあああああ藍!!』

リース「!?」



突如背中から聞こえてきた声に、リースは慌ててそのまま下に下がる。

直後自分がいたところに、ものすごくでかいハサミが飛んできた。

そのハサミが、魔獣自慢の鎌を粉微塵に切り刻む。



真弓「??!」

リース「み、未来、なんて無茶を……!?」



一歩間違えれば自分が首チョンパされてたという事実の方が、魔獣の強制尿意よりも恐ろしくマジでちびりそうになる。

その主は、



未来『今回の主犯は……おーまーえーかああああああああああ!!!』

明日葉『え、わ、ちょ?!』



キャンサー武装の、トライブアクアファイヤーだった。

そのトライブさん、というか未来さんが恐ろしい形相でドリフェイサーに突貫。

そのまま左右の拳で猛烈なラッシュをかける。

しかも、



未来『おらおらおらおらおらおらああああ!!』



レオファング装備で。

つまり、魔獣、すごく痛い。



未来『どっか遠くへ、飛んでけえええええ!!』



極め付けにアッパー。

おかしいな。

オールスターでもないのに、ファイナルアタック決めた後なのに、普通に戦ってるぞ。



リース「・・・。」

クラス「・・・。」



羞恥と怒りのパワーがエネルギー問題の壁を超えたのかもしれない。

そう思いつつリースは、上空へ舞い上がった魔獣目がけ、



リース「っと、スコーピオン、来い!」

スコーピオン『任せろ!』



ちょっと呆然としてたリースはスコーピオンを召還。



クラス「バイパー!」

バイパー『あいあいさー。』



クラスも負けじとバイパーを装備。



クラス「行きますわよおもらしさん!」

リース「それはいうなあああ!?」



なんて軽口と共に、



クラス「バイパースパイラル!」

リース「スコーピオンテイル!」

「「ファイナル・アタック!!!」」



通算ファイナルアタック3発分を食らっては、さしもの魔獣もひとたまりもなく。

あっという間に、そのマントとローブごと消えていったとさ。



リース「消え失せろ、です!」



・・・それからそれから。

事件解決後の、一条家。



健司「あー、まぁ、その、なんだ。」

未来「・・・。」



スッゴイ気まずい空気が流れる二人が、



未来「・・・ごめんなさい。」

健司「いや、あれは魔獣のせいだし。気にしてないから、まぁ、うん。」



色々有って、お互い何故か謝罪して、このことはなかったことにすることにしたという。

世の中、気にしない方がいい事もある。

とはいえ、思春期な二人的にはそうも言っていられないようだが、その辺はまた別の話だ。

言わぬが花の青春である。



真澄「しっかし、変態的な魔物もいたものね。」

真弓「ああ、まったくだ。」



そして三隅総合病院でも、事後処理の後始末中。



真弓「ま、おかげでこの病院も繁盛してるからいい事じゃないか。」

真澄「それ絶対言っちゃいけない台詞だわね。」

真弓「はっはっは。」



と、真澄は洗濯物を畳んでいると。



真澄「あれ。」



姉の下着とスカートが、一枚ずつ足りない。

オカシイナ、昨日はちゃんとあったのに。



真澄「姉さん、知らない?」

真弓「…………知らん。」



・・・そこまで行って、真澄は合点が行った。



真澄「姉さん、まさか……。」

真弓「―――さーて、たまには実家に帰るか。真澄、1週間ほど帰らないから、絶対探すな。絶対つてくるな!!?」

真澄「え、あ、ちょ?!」



・・・そんなわけで、ジャルマーのひどい作戦はなんとか阻止することができたが、また新たな問題が表面化してしまった。


実際こんな作戦を取られたら生物的にはたまったものではないと、改めて魔界国歌の恐ろしさを実感する真澄なのであった。

なお、家出した真弓を説得するのにかかった日数は、2週間弱だったという。



綾音「……寝る前には、しておこうね。」



つづけ。



Comments

青木林

生理現象を利用するとは、中々えげつない作戦でしたが・・・仕掛けた相手が悪かったですね

551

今までどの宇宙人も考え使なかった、酷い作戦を考えましたね。